<鴨川沿岸 海岸づくり会議>議事録 全文
 「第3回会議」 平成16725  於・鴨川市役所4階会議室
1.開      会

○総合司会(滝口) 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから「第3回鴨川沿岸海岸づくり会議」を開会させていただきます。
 私は鴨川市都市建設課の滝口と申します。冒頭の進行をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

2.挨      拶

○総合司会 それでは、会議に先立ちまして、本来ですと、本多市長が皆様に御挨拶をさせていただくところでございますが、本日、所用のため、出席できなくなりましたので、代わって、助役の速水から御挨拶をさせていただきます。
 速水助役、よろしくお願いします。
○速水鴨川市助役 皆さん、こんにちは。ただいま紹介をいただきました助役の速水でございます。
 本日は大変暑い中、そしてお休みの日にもかかわりませず、このようにたくさんの皆さんのお出ましをいただきまして、本当にありがとうございます。
 御案内のように、我が国は四方を海に囲まれておりまして、そしてその海は海洋レジャー、あるいはマリンスポーツ、さらには私どもの人類の主要な蛋白の摂取源でございます魚類の漁場として、あるいはさらに海は人の心を大きくするというような社会的な大変貴重な使命を負っておるものというふうに思っております。
 その自然貢献度の高い施設としての海、この会議は海というよりは海岸づくりの会議でございますけれども、鴨川市は東は浦の脇の海岸から西は和田町の境まで、17kmに及ぶ海岸線を有しておるところでございます。そして、鴨川市がこれから房総の観光の拠点として今後も発展していくためには、鴨川の海岸はなくてはならない貴重な存在でありまして、大切な資源として私どもも将来、子々孫々に引き継いでいくという大変重大な使命を負っておるとも思っております。
 そのため、今回は第3回になりますけれども、市民の皆様の御協力をいただいて、より多くの皆さんのお知恵をいただきながら、よりよい海岸にするための議論を進めていきたいと考えておるところでございます。
 そのような意味合いから、この会議を開催をさせていただいておるところでございますけれども、この会議は昨年の11月に第1回を開催して、さらに3月に第2回が開催をされまして、今回が第3回目になるわけでございます。過去2回の会議におきまして、さまざまな御意見や貴重な情報をいただくことができました。本日もぜひ御参会の皆様から忌憚のない御意見をいただきまして、この会議が初期の目的を達せられますように御期待を申し上げるところでございます。
 なお、この会議には海岸の専門家の先生方にお越しをいただいております。先生方にはこの後、鴨川の海岸についての講義をお願いをいたしてありますけれども、会場の皆さんから、海岸について日ごろの生活の中で感じておられる疑問などについてもお答えをいただけるものと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 大変簡単でございますけれども、この会議の開催に当たっての挨拶に代えさせていただきます。
 本日はありがとうございます。(拍手)

3.会議の趣旨等について

○総合司会 続きまして、本日の会議の進め方などについて御説明をさせていただきます。
 初めに、この会議の趣旨を簡単に御説明をさせていただきます。
 先ほど助役の御挨拶にもありましたとおり、鴨川の沿岸では近年、さまざまな問題が発生し、対応が求められておりますが、今後、この地域の発展のためにも、きれいで、安全で、利用しやすい海岸として未来に残していくことが必要でございます。そこで、さまざまな立場の方から御意見をお聞きしながら、皆様とともにこの海岸をどのようにしていくべきかということを考える場として、この海岸づくり会議を開催しているところでございます。
 第3回目の今回は、前回までの会議の概要を御報告しつつ、本日までに得られた情報を加えまして、現在の鴨川の沿岸の状況と課題について御紹介をしながら、皆様とともに課題の解決にはどうすればよいかを考えていきたいと存じます。
 次に、この会議の参加者とその役割について御説明をさせていただきます。
 この会議では、より多くの地域住民の方々や海岸を利用されている方々から幅広い御意見を伺う必要がございますので、市の広報への御案内のほか、海岸に関係の深いと思われる方々にも御参加を呼びかけてございます。また、この会議は市役所が主催しておりますが、さまざまな課題を解決するために、海岸の専門家の方々に御協力をお願いいたしましたので、後ほど改めて御紹介をさせていただきます。
 さらに、皆様の御意見などを事業に反映していただけるように、県の行政機関の方々もこの場に出席をしております。
 なお、会議の運営や資料づくり、技術的な検討などの専門的な内容についてはコンサルタントに事務局としてお願いをしております。
 最後になりますが、この会議のルールなどについて御説明をさせていただきます。
 まず、この会議ではいただいた御意見などを正しく理解するために、議事録を作成することにしております。つきましては、参考のために会議の模様を録音並びに録画をさせていただきたいと存じます。
 また、先ほど御説明したように、この会議は広く皆様の御意見を聞き、さまざまな情報を共有化することが必要ですので、基本的には公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 次に、御発言をいただく際の注意事項を申し上げます。
 まず会議の趣旨から、できるだけ多くの方々から平等に御意見を伺いたいと思いますので、御発言は1回につき1件程度としていただきたいと思います。
 なお、進行役より発言の依頼等があった場合はこの限りではございません。
 また、御発言を希望される方は挙手で意思表示をしていただきまして、進行役による指名を受けてから御発言をお願いします。その際、「前原地区在住のだれそれです」というように、お名前などを申し出ていただきたいと思います。
 さらに、個人や機関に対する誹謗中傷や本会の趣旨に無関係、または著しく反する発言はしないようにお願いいたします。
 なお、これらに反しまして、議事進行の妨げになると認められた場合は、主催者側の裁量によりまして、それ以降の発言の制限、あるいは退場をお願いすることもありますので、御了承をお願いいたします。
 最後に、市役所の建物内は全面的に禁煙とさせていただいておりますので、大変申しわけありませんが、たばこを吸われる場合は1階の正面玄関の両側あたりに灰皿がありまして、喫煙スペースとなっておりますので、御協力をお願い申し上げます。
 それでは、大変遅くなりましたが、本日お越しいただいた専門家の先生方を御紹介させていただきます。
 まず、清野聡子先生でございます。
○清野アドバイザー こんにちは。
○総合司会 清野先生は、東京大学大学院総合文化研究科の助手をされております。御専門は海岸河川保全学、沿岸環境学、生物形態学などでございますが、近年では、特に漁業者や地域住民、生物など、さまざまな立場から地域社会と公共事業の関わり方について研究をされておりまして、全国の住民会議や講演会にと、文字通り東奔西走されております。
 また千葉県においては、海岸保全基本計画の委員、三番瀬の専門家会議の委員などを担当されておりまして、お隣、和田町の白渚海岸でもアドバイスをいただいておりまして、今回も大変お忙しい中、御出席をお願いした次第でございます。
 続きまして、宇多高明先生でございます。
○宇多審議役 (起立一礼)
○総合司会 宇多先生は現在、財団法人土木研究センター審議役、なぎさ総合研究室の室長をされております。
 昭和48年より約28年間、国土交通省国土技術政策総合研究所に勤務をされまして、全国はもとより、世界中の海岸を歩き回りまして、海岸の調査・研究を行うとともに、海岸事業などの計画、立案に関わってこられました。日本の海岸工学の第一人者でございます。
 また、近年では合意形成会議や講演会などに多数出席され、よりよい海岸づくりを目指して超多忙な活動をされ、千葉県においては先ほどの白渚海岸、また九十九里浜へのアドバイスをいただいております。そういう関係で、今回も御出席をお願いした次第でございます。
 大変長くなりましたが、以上で会議の趣旨説明を終わらせていただきます。
 それでは、ここからは司会進行を事務局の方にお渡しして、休憩を取りながら、概ね5時ごろまでの間、会議を進めていきたいと思います。
 それでは、事務局の方、よろしくお願いいたします。
○司会(星上) 皆さん、こんにちは。事務局を務めます星上と申します。
 まず会議に先立ちまして、本日、受付のところでお配りしました封筒の中身を御確認していただきたいと思います。
 封筒の中に3つ資料が入ってございまして、右肩に資料−1から3まで番号が振ってございます。資料−1と言いますのは、本日の会議の会議次第でございまして、大体こういうメニューで中身を進めさせていただきたいと思います。
 そのペーパーの裏面に「鴨川市史にみる海のエピソードA」という文章があるかと思いますが、これは後ほど清野先生の方から御紹介をいただく内容のプリントでございますので、後でお使いになるかと思います。
 それから、資料−2の方は毎回配らせていただいていますアンケート用紙になっていますが、今回も受付の方にも筆記用具を置いてございますし、また後日でも結構ですので、ぜひ忌憚のない意見を御記入いただいて、本日であれば受付の方に、また後日であれば市役所の都市建設課さんの方に、お手数ですが、御提出をお願いできればと思います。
 3つ目のA3判の資料があるかと思います。全部で7ページぐらいの資料ですけれども、これは前回、3月に第2回の鴨川海岸づくり会議をさせていただきまして、そのときの会議の内容の概要を示してございます。これからその内容につきまして、若干前のスクリーンの方で御説明させていただきますので、お手元の資料は後ほど詳しくお読みいただければ幸いかと思います。

4.第2回海岸づくり会議 概要報告

                〔 Power Point 〕
○司会 まず、第2回目の海岸づくり会議は3月7日の日曜日にやらせていただきまして、大きく午前の部、午後の部と分けまして、午前の部につきましては、市民の方々に海岸の環境であるとか漁業、それから海岸の利用に関する情報提供をいただきまして、広い意見交換というか、情報交換をさせていただきました。
 それに引き続きまして、午後から本会議といたしまして、今の鴨川の沿岸の現状と課題という点につきまして、両先生方の方から解説をいただきまして、会場の方からもさまざまな意見をいただきました。
                〔 Power Point 〕
 これは当日の会議の午前中の様子でございます。左側の写真の左手から、情報提供いただきました相原様、本日もお越しいただいています。真ん中にいらっしゃいますのは漁協婦人部の橋本さん、左にいらっしゃいますのは本日もお越しいただいておりますサーフライダーファウンデーションの上田さん。それぞれの方に、相原さんの方からは、海岸の植物のお話を、橋本さんの方からは、今の漁港の現状について御報告いただきまして、上田さんの方からは鴨川のサーフィンの歴史とか、昔あったサーフィンのポイントですとか、そういう多岐にわたるお話をいただきました。休憩時間中も、右側の写真のようにいろいろな情報交換を、立ち話とかいろいろ含めてしていただいた次第です。
                〔 Power Point 〕
 会議全体の様子、これもプリントの方にもありますけれども、狭い会場ながら非常に多くの方に来ていただきまして、非常に熱心な御討議をいただきました。
                〔 Power Point 〕
 会議の内容をざっと整理いたしますと、午前中につきましては、先ほど御紹介させていただきましたお三方から情報提供という形でいろいろなディスカッションをその後させていただいたということで、皆さん、海岸のことにかなり詳しくなったのではないかと思います。
 午後の方ですけれども、海岸の漁港の現状につきまして、前のスクリーンの方で御説明をさせていただきました。主に内容としましては、海岸の方につきましては鴨川の越波の被害の状況について、それから鴨川漁港につきましては、今、船がとめられないとか、静穏度が確保できていないというような現状と、そういう課題について御紹介しまして、これらに関するディスカッションを続けて皆様とやらせていただいたということです。
                〔 Power Point 〕
 参加者の方から、ディスカッションの中で出ました意見、非常に多くあったのですけれども、かいつまんで御説明しますとこのようになります。漁港を整備したが、現状では使えていないけれども、どうなのだ。船揚場はいつごろ使えるようになるのか、また一度設置された構造物を移動した事例などはあるのかということ、それから、堆積した砂を移動させるような方法はありますか。また、地球温暖化による侵食への影響などはどうですか。それと、波除堤、これは後ほど御説明が詳しくありますけれども、港の中を静穏にするための施設ですが、これの設置については逆にどうなのだということを、これは逆に専門家の方から会場の皆さんに投げかけて、いろいろな意見をいただきました。また、今の鴨川漁港のうちの前原地区の方とフィッシャリーナの方、つまりヨットをとめている方を漁港として使えないのかとか、あと漁港の入口に水門のようなゲートを設けたらどうなのだとかいうアイデアも含めていろいろな意見をいただきました。
                〔 Power Point 〕
 それから、これは当日、または後日に届けていただきましたアンケートに書かれていた内容をざっと御紹介いたします。
 このアンケートの本文については、お手元の資料−3の一番最後のページに、お書きいただいたアンケートの内容を一言一句そのまま載せてございます。一応、氏名につきましてはイニシャルにさせていただいていますけれども、内容はそのまま生のとおり書かせていただいております。
 スクリーンの方ではそれの概要を御説明しますと、少しでも砂がつくような案を出していただきたい。それから、人工リーフ、これは波を消す海岸の施設ですけれども、それを設置してはどうか。それと人の利ばかり、まあ利益ばかりでは解決にならないよという御意見。それから、この海をきれいなまま残したいという御意見。消波工、消波ブロックなどは入れない方がよいという御意見。じっくりといろいろな方法を考えたいというような御提案。今、考えられる最良の方法を提案してほしいというような要望。それと、シーワールドの前の堤防が心配でありますと、これは越波したり壊れたりしたりするのが続くのではないかという心配。このほか、会議を開催したことにつきまして、お礼などもたくさんいただきました。ありがとうございます。
 これらの意見につきまして、今回、検討中のことも含みますが、対応としましては、後ほど、受付の方にパソコンが1台置いてございまして、この海岸づくり会議の情報公開の窓口としてホームページを立ち上げることを今検討しておりまして、それのパイロット版を受付のパソコンの中に入れてあります。ですので、休憩時間等の折にぜひごらんいただきまして、またいろいろな意見をいただければ幸いでございます。
 それと、左の特にいろいろな御提案ですとか、意見につきましては、本日のプレゼンテーションの中である程度方策の提案とかいう形で御紹介できるかと思います。
 以上が第2回までの内容の御説明でございます。
                〔 Power Point 〕
 続きまして、第2回から今回までの間に、またさらにいろいろな情報を入手してまいりましたので、この場をおかりして、皆さんに御紹介したいと思います。
 そのうちの1つが、前回の会議に参加いただいたときに、前原在住の森住さんという方が、たしかお母様が撮られたという古い写真をお持ちいただきまして、皆さんにお見せしてみてくださいということでしたので、きょう御紹介します。
                〔 Power Point 〕
 これは恐らく昭和20年から30年代ごろということで年代はちょっとはっきりわからないということでしたが、前原海岸の風景を撮った写真ということです。
                〔 Power Point 〕
 これは後ろの家を写したような写真、まだ壁が木でできていますから、20年代ぐらいの建物かもしれないですね。
                〔 Power Point 〕
 これはもう少し海岸側から撮ったような写真ですけれども、これは下地に草が生えているのですか、多分砂利ではないと思うのですけれども、結構広いこういう土地のような形になっていたようですね。
                〔 Power Point 〕
 これはもう少し時代が進みまして、護岸ができたすぐ後ということで、右にサウナ富貴屋というのですか、旅館という看板があります。護岸ができて、やはり前浜が少しないようにも見受けられますけれども、背後地はやはりこんな感じであったというようなお写真をお借りすることができました。
 続きまして、今度は清野先生の方から、鴨川シーワールドさんとかにいろいろ御協力いただきまして、前回もちょっと話題に上りましたアザラシとか亀のお話を、先生の方から少し詳しいお話をさせていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○清野アドバイザー よろしくお願いします。
                〔 Power Point 〕
 鴨川は本当にいろいろな生き物たちが元々たくさん豊かにいて、そういった点で、実は明治が始まったときにドイツ人が鴨川に調査に来て、どうも生物をサンプリングしているらしいのです。その情報をまた調べてから御提供したいと思うのですけれども、今回はゴマフアザラシとウミガメの、割と大きめの海岸生物についてのお話をしたいと思います。
 この会議は海岸の会議ですけれども、実はアザラシも海岸生物の1つです。哺乳類はイルカとかクジラは有名ですけれども、アザラシというのは海岸生物だと言うと、「えっ」と言われることもあるのですけれども、やはり海にずっと浮いて泳いでいるだけではなくて、岸に上がって子供を育てたり、それから海岸の周りで餌を捕ったりしています。ですから、海岸の状態がいい方がこういう生物にも本当に棲みやすい場所になるわけですね。
                〔 Power Point 〕
 これは本当に地元の皆さんの方がよく御存じで、多分ごらんになった方はいると思うのですけれども、「カモちゃん」ということで、結構話題になりましたね。この「カモちゃん」の映像が鴨川シーワールドさんによって撮影されまして、今回も御提供いただきました。ですから、シーワールドさんは自分の水族館の中のアザラシもいるけれども、フィールドに、まさに目の前に野生のアザラシもいるというような、そういう場所になりました。
                〔 Power Point 〕
 本当に砂浜にこうやって上がって、ゴロゴロしています。「タマちゃん」って、多摩川だとかあっちの東京湾の方でウロウロしていて話題になったアザラシと種類が同じです。それで、「換毛」というのですけれども、夏になると冬の綿毛みたいなものが抜けてきて、それでちょうど皮がむけているみたいな状態なのですけれども、アザラシの夏毛に生え替わるときの状況で、こんな感じで砂浜をゴロゴロしていたようです。
                〔 Power Point 〕
 本当に子供たちの近くにアザラシがウロウロしているというような、そういうような情景が3月の末に見受けられたようです。
 実は、水族館の中に飼われているアザラシと、その前の浜に野生の哺乳類がいるというのは日本だともうめずらしくなってしまったのですけれども、海外だと、例えばハワイだとか、カリフォルニアとかで両方の生態が見られる、むしろ水族館の中はじっくり横から観察させてもらって、野生のものはどういうふうに天然の海域の中で生きているかが環境も含めてわかるというような、そういう状況が自然を大事にしているところの町にはありまして、鴨川もまたそんな形でアザラシが戻ってくるといいのかなというふうに思いました。
                〔 Power Point 〕
 これは、「カモちゃん」、どこから来たのだろうとか、人気者になりましたとか、そういう話なのですけれども、もともとアザラシは、日本で言うと福島より北の方にいることが多いのですけれども、やはり子供が海流に乗って流されてきたりとか、餌を追いかけてくるうちに迷い込んだりということがあるようで、多分、北の方から来たのだと思いますが、もともとは鴨川の近辺もクジラだとかそういうものもいますから、主に海流の温度だとか、どういう魚がいるかによって北のものが下りてきたりということがあると思います。写真展を開催されたということで、水族館の方とか地元の方も随分楽しまれたようです。東条海岸もこういう会議をやっておりますけれども、本当にそういう点でお祝いに来てくれたのかなというふうに思います。
 「野生動物なので、むやみに近づいたりさわったりしないこと」というふうに書いてあります。つい、かわいいからとペットみたいな気持ちで触ってしまう子もいるのですけれども、相手はやはり野生生物なので、そうするとかまれたりということがあって、遠くから邪魔しないように見学するというのが普通のスタイルなのかなと思います。
                〔 Power Point 〕
 これは鴨川土木事務所がつくられた看板で、なかなかかわいい絵が描いてあるのですけれども、鴨川の海岸を目指して続々亀が泳いできているというような、そんな絵が描いてあります。これが今回、この会議を主催してくださる鴨川市さんとともに、行政としては県の方がいろいろな海岸管理をしていますけれども、土木事務所というのもこういう亀を守るとか、そういうお仕事もしているというのがこういう看板でもわかっていただけるかと思います。これは亀とサーファーが共存しているとか、そういう本当にシンボリックな絵なのかなというふうにも思います。
 「亀はきれいな砂浜が大好きです。海岸を汚さないようにしてください。」というふうに書いてあります。だから、亀はやはり自分の卵を産みに来るので、そこがごみで汚れていたりとか、腐っていたりすると産めないので、やはりきちんとしたトータルな海岸が必要です。だから、赤ちゃんのベッドが汚れていたら嫌だなというのと同じですよね。
                〔 Power Point 〕
 この亀がことし産卵に来てくれまして、ニュースになったかと思います。ところが、やはり海岸が侵食していることとか、浜幅が狭くなっていて、亀にもなかなか厳しい状況があります。それで、高波で流されるかもしれないということで、シーワールドさんの方で亀の卵をこうやってクーラーボックスに入れて、とにかく波に流されてしまうよりかは人工孵化させてやろうということで避難をさせたようです。
                〔 Power Point 〕
 これで、天然の亀さんの卵というのはこういう形で、砂に穴を掘って、ピンポン球みたいなものを産み付けるわけですが、多分、鴨川の人は昔から御存じの光景だと思います。ところが、めっきり見られなくなってしまいました。実は、カリフォルニアの水族館で飼っていたウミガメを放流したら、太平洋を泳いで渡って房総沖までやってきたのです。だから、もしかすると鴨川から出た子供が、泳いでカリフォルニアまで行っているかもしれないということで、太平洋全体をすみかにしているようなウミガメの卵がまさにここに産み付けられているということになります。
                〔 Power Point 〕
 こういった形で、海から上がってきた親亀が砂を掘ってということで、一生懸命産卵しているわけですが、それはやはり亀の方としても、自分はもう、親は帰ってしまうわけですから、その後に卵がきちんと育つようにという場所を確保してやらないとだめなわけですが、それが人間の方で判断がついたものはまた移植してあげるということもあるわけです。
                〔 Power Point 〕
 ところが、いつでも移植してしまった方がいいかというと必ずしもそうではなくて、緊急事態のときがやはり人間がやってあげられるときなのですが、理想的にはこういうふうな形で、人間が立ち入らないようにして、天然の海岸で孵化して海に出ていくようにしてあげた方がいいのですね。これは竹の棒を刺して、やわらかに立入禁止にしている状況です。つまり、絶対に入っちゃだめというと物々しくなってしまうのですけれども、こういうふうに何となくここに亀の卵があるから大事にしてくださいというような、そういった示し方なのですね。
                〔 Power Point 〕
 シーワールドさんの中では、こういった一番海岸に近いところの水槽で、ちょうどうまく設計して海とつながっているかのように亀の池がありまして、「海亀の浜」という展示をされていると思います。これは実際にウミガメが砂浜のところでどんなふうに歩くのかとか、あるいは、体とか顔がどんな生物なのかということも水槽とこういう、まあ箱庭的ですけれども、「海亀の浜」を展示するということで、環境もセットで見ていただこうということになっていると思います。
                〔 Power Point 〕
 それで、ここの中でウミガメをさわったりとか、それから卵を動かすというのは法律上の特別な許可が必要です。日本の中で昔からウミガメの卵とか親を食べているところもあるのですけれども、基本的には、今は国際的にも減ってしまったから保護しようという動物になっているので、できるだけやはり人間が捕ったりしないで、大事に見守るということになっています。
                〔 Power Point
 それで、きょうお配りしたプリントにも書いてあるのですが、「鴨川市史」という鴨川市の教育委員会でつくられた本の中にウミガメについてのお話が書いてありました。それがおもしろかったのでちょっと紹介させていただきます。
 鴨川の漁師さんたちは、ウミガメを「リュウジンサマ」と呼んだ。竜の神様ですね。そのお使いとして大切に扱っていたということです。ウミガメが定置網の中に入り込んでしまった場合には、そのままだと死んでしまったりとかいうこともあるわけですが、きちんと網の中から出して、亀に酒を飲ませて海に放したというふうに書いてあります。これは鴨川だけではなくて、千葉県のいろいろな海岸とか、ほかの海岸でもお酒を飲ませてということで放しているのですが、余り飲ませ過ぎると苦しくなってしまうというか、飲み過ぎて急性アル中で死んでしまうこともあるのでちょっと難しいものがありますが、亀を大事にするという気持ちの1つだと思います。
 私がここから先はすごく大事だと思ったのは、前原海岸ではウミガメが産卵に来ると、産卵後にその場所に注連縄を張ってお酒で清めて、無事に孵化することを祈ったというふうに書いてあります。ですから、鴨川シーワールドさんがしていたかどうかはわからないのですが、鴨川の人たちは本当に昔から亀が上がると、その卵があるところに注連縄を張っていたということで、一種の伝統文化なのかなというふうに思います。
 それから、亀が死んで打ち上がることがあるのですが、その場合はごみにしたりとかそのまま放らないで、埋葬して竜神様としてお祭りしたそうです。この鴨川の中には、幾つかやはり地区ごとに大体決まって亀のお墓があったようです。ですから、亀のお墓の話などをもし地元にお年寄りに聞かれたら、きちんと記録に残してくださると、そういったウミガメを通じて海の生物を敬う気持ちというものがいつまでも鴨川の人たちの心の中に残るかなというふうに思います。
                〔 Power Point 〕
 これは鴨川の海底渓谷の絵です。この鴨川の海底地形というのをこの間、意見が出て、こういう地形の中でいろいろな流れが出て、それが海岸に影響しているのではないかというお話がありました。これは漁業者を初めいろいろな方にまた具体的に伺いたいのですが、いろいろな流れがあります。つまり、海流がこう来て、こういう深みのところからわき上がっているような湧昇流だとか、こういう深みがあるところはやはり特殊な流れが出るところが多いです。それから、後ほど説明があると思いますが、今回言っている流れがこういう海流とか湧昇流とかなのか、それとも海岸の方の流れなのかというのは、具体的にどの現象がどの流れで影響しているかということを見ていく必要があると思います。
                〔 Power Point 〕
 これは皆さんに次回までのお願いなのですが、タカアシガニのお面というのは鴨川の中にありませんか。市史の中にはこのお面が鴨川の家に飾られていると書いてありました。千葉県の中だとこのタカアシガニというカニの甲羅をお面にしたものは鴨川と鋸南町にあるようです。鋸南町の方に伺ったらまだあるのですね。だから、鴨川はもしあったら、ぜひこれを大事に取っておいていただけるといいかなと思います。これはさっきの鴨川の沖の海底渓谷のところにいるタカアシガニというすごい大きな、足を広げると2〜3mあるようなカニの甲羅です。それがちょうど人間の顔ぐらいの大きさなので、もったいないので、だれか昔の人がこういうお面をつくって魔よけにしていたそうです。だから、これは名古屋のお寿司屋さんで撮った写真なのですけれども、伊豆の人たちもこういうお面をつくっているみたいで、どうも海底渓谷のある駿河湾と鴨川とか東京湾渓谷とか、そのあたりの漁師さんがこういうものをつくってきたみたいです。ですから、どんどん昔の文化が失われていく中で、今気づいた人がいろいろな周りの人に声をかけて、鴨川の自然と海の共生のいろいろな写真とか資料を取っておいていただけることをぜひお願いしたいと思います。
 それでは、以上、鴨川の海岸についてのトピックスでしたが、そういう場の海岸について、今後具体的にどういうふうに海岸保全ということを進めていくかということがきょうの議題の中心になります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○司会 清野先生、どうもありがとうございました。
 それではまずここで、今まで御紹介いたしました前回までの会議内容ですとか、あと清野先生の方から御紹介いただきました内容につきまして、何か御意見、御質問等があれば承りますので、よろしくお願いします。
○倉野 先生からさっき亀塚の話が出ましたね。鴨川の前原浜と北浜というのは分かれていまして、そこで地引をやっていまして、戦後、昭和30年ごろまで。私の芝通り地区に亀塚という塚がありまして、昔から亀を埋めたり、無縁仏を埋めた場所があります。今はそれは宅地が建っていまして、もう消滅していますけれども、鴨川にも「亀塚」という名前はあります。
○司会 どうもありがとうございます。
○清野アドバイザー どうもありがとうございます。
 後ほど地図の上に具体的にここということで教えてください。貴重な情報、ありがとうございます。
○司会 ほかに何かございますでしょうか。
○宇多審議役 ちょっと私が聞くのもあれですが、何で酒を飲ませたのですか。酒が好きなのですか。
○清野アドバイザー いろいろな説があるのですけれども、酒を飲ませると亀が涙を流すという話があって、でも、亀は苦しがって泣いているかもしれないのと、それからもう一つは亀には塩を取り込んだものを涙腺から出すということで、涙袋が大きいものがついているので、苦しがると多分泣くのだと思いますが、それを喜んで、涙を流して酒を飲んでいたというふうに書いてあるところもたくさんあります。お酒を飲ませるというのは1つ、お酒で清めて無事を祈ったということで、本当に亀を神様として扱っていたというような1つのシンボルだと思います。
 浦島太郎の話も、今となってみると、やはり日本人がどういうふうに海を見ていたかということで、いろいろな研究がなされるようになったので、ぜひ地元のそういう伝説もあったら、そういう海岸環境とか、何を神様としてあがめていたかというのも含めて、昔の人の気持ちを考えてみるとすごくいいかなと思います。
 ちなみに、今、ウミガメの保護の人たちは余り酒を飲まさないようにしてくださいと九州や四国の人たちにお願いしていまして、亀が打ち上がって胃を解剖していたらただれていたとかいうのがあって、伝統文化を残すのと、あれは難しいですね。亀がたくさんいるときは飲ませてあげても全員あれではないのですが、1〜2匹来た亀にお酒を飲ませると、もう後がないという感じみたいです。(笑声)
 だから、そういう信仰の気持ちというのはすごく大事ですね。漁師さんたちはやはり自分も海に出ていくので、海から来るものはすごく大事にされていたと思います。
○司会 ほかに何かございますでしょうか……。

5.海岸、漁港の課題と方策について

○司会 では、ないようでしたら、続きまして、前回までの議論の中で、特に沿岸の海岸と漁港が抱える課題について前回御紹介しました。その内容につきまして、今回、ざっとおさらいをさせていただいて、終わりましたら一たん休憩に入らせていただきまして、次のセッションでまたその先の詳しい内容について説明したいと思います。
 それでは、宇多先生、お願いします。
○宇多審議役 パワーポイントをよろしくお願いします。
                〔 Power Point 〕

 これから20分ほどお話をするスライドは全部、前回お話をしたことですので、事務局がおっしゃるように復習です。ここに、護岸の後ろには随分古めかしいサニーがとまっています。その目の前のところに、これは先ほどの何とかさんが出してくれたまだ護岸ができたばかりの当時の写真に近いわけで、ここに直立の壁があって、その前にたくさんの流木があるというのは、これは通常、風や何かでこういうところに流木は上がってきませんから、これは昭和57年、今から22年前にここに大波が上がってきて、ここのところまで水がジャブジャブこぼれるような事態がこの前原で起こったという間違いない証拠の写真が出てきたわけです。
 ここの先に、さっきちょっとお聞きしたのですが、このテトラは実はこの災害のために置いたのではなくて、別に離岸堤か何かつくるためにあったものをここに置いたようです。
                〔 Power Point 〕

 なぜ昭和57年のときにここにこれだけすごい勢いで波が飛び込んだかというのはまだ正確に理由がわかりません。多分、そうだろうなというのはわかるのだけれども、なぜ昭和57年だけがそうなのかということについてはきちんと特定されていなのが現状です。ここのところにすごい水が飛び上がっているのが見えると思います。それから、ここの壁にすごい勢いで衝突して、水がここのところをスルリと超えて中へ大量なしぶきが落ちているのがわかると思います。こういう状態になると、背後地に相当な強い勢いで水が流れ込むので、いろいろな施設が壊れてしまうということ、それから、これは何しろ海水ですから、新潟と福井の災害は真水が流れてくる、まあ泥水ですけれども、それに比べると海水が入ってくるというのは、電気製品から機械からすべて完全にだめにするので、当時としてはえらい災害が起こったことになると思います。
                〔 Power Point 〕

 これはビルの上から撮ったのでしょうか。ここにいる5人の人が、特にこの人は飛び跳ねるようにして逃げていますけれども、大変な量の水が陸の中に飛び込んでいる。このとき、これはさっきの一連の写真と同じなのですけれども、護岸はこういう緩い勾配の護岸があって、きょうあたり行けば、この全面にかなり広い前浜があるし、それから離岸堤があるので、ここら辺は今で見ると非常に砂がたまっているわけですけれども、当時は砂浜が非常に狭くて、高い波が来たときにこういうことが起こった。これはこういうことがあったために、前原では今2つと半ありますけれども、離岸堤を入れてくださいという形で、これは鴨川土木事務所の方が防災工事として、その後、工事を進めていったわけです。
                〔 Power Point 〕

 その当時の越波の状況があって、これは市から駆けつけたいろいろな防災の車、ちょうど新潟はきょう行けばこんな風景になっていると思いますけれども、これはパイプがあるのは水中ポンプで多分水をかい出しているのだし、ノンキー、サーファーの人は御存じのあのハウスの目の前あたりに水が大量に飛び込んだという風景です。
                〔 Power Point 〕

 そのときの経緯のほどを調べてみると、さっき非常に波がたくさん飛び込んでいたのは前原の南側の方の鴨川に割と近いこのあたりで、もともとあそこには、さっきごらんになったように護岸があったのですけれども、それは38年から40年、だから今から言うと40年ぐらい前にこの辺の護岸ができていた。1982年とか83年、今から20年前は前原地区は非常に前浜が狭くて、これはほとんど存在しないような状態であったわけです。数mという砂浜の広さ。
 これが非常に不思議なのは、なぜこれがここのところでこのときに起こったかというのが非常に不思議で、というのは、海のこういう高波の現象ですと、起こることは何遍も起こっているはずなのです、海の波というのは何遍も来ていますから。ここの現在の海面の高さになってから8,000年は現在の海面の状態をほぼ保っています。ちょっと高いときもありますけれども、だとすると、例えばここ数十年、40年に1回、こういう大きい波で取られたのならば、それは平安時代からこの方、鎌倉時代をずっと考えてみれば、そんなことは何遍でも起こってしまって、このあたりのところは人が住めなかったはずなのです。ところが、これを見るとここのギリギリまで人が住む市街地があって、その目の前に薄皮一枚のようにして護岸があって、さらにその前面の砂浜がこれだけきつく取られた、なぜか。これはちょっとミステリーで、余り海の方の構造物もつくってもいないし、なぜだろというのがまだ私自身、頭が整理されていません。
 それから、これはそのときの待崎川で、よく見ると砂州がこう延びてきて、少し段違いになっているということは、このときは砂はこっちへゆっくりと動いているので、この濁りの状態も何となくそんな感じで、ですから何か要因があったのだろうと思うのですが、それは判然としない。
 その後、こういうふうに離岸堤が3個並べられた。離岸堤というのは岸から離れてブロックを汀線と並行方向に置く消波構造物で、この1個で「テトラ」と呼ぶものが大体3,000個ぐらい入っています。水面上に出ている。これは波が沖から来るとズドンと当たって波しぶきが当たるので、裏側が静かになる。そこに静かだということは砂浜をつくっているので、これは舌状砂州、ひっついたものを「トンボロ」といいますけれども、そういう形で、これとこれは十分広い、十分長さが長いので、後ろの砂浜の大きさも大きい。それに対してこれ、真ん中にチョコッとありますけれども、あれは効果が小さいので、ほんのちょっと、チョコンと出ているだけだという形になっています。
 右の上、上というのですか、ここを見ると鴨川漁港の前原地区、フィッシャリーナという俗称の防波堤工事が、1995年ごろ、阪神大震災のあった年ごろからぼちぼち始まる。それ以前はこの加茂川と前原のこのような、こことここの間は小さな導流堤1本で仕切られていた状態にありました。
                〔 Power Point 〕

 そうやってこれをこういうふうに置いたために、先ほどのすごい越波を受けたのはこのあたりですけれども、ここら辺は砂がこういうふうに寄ってきて、前浜が非常に広くなった。これはまあよかれ、よかれというか、よかったねということになりますが、ポケットビーチといいまして、この鴨川の前原海岸の一番南端と東条海岸の一番北の間にある砂の量は一定ですから、ここに砂を1箇所にたくさんためると隣の方はやせる、ごく必然的な結果で、それが直ちにだからいけないというものでもないわけで、ここが人がいっぱい住んでいるので、それを守るためにはしょうがないという言い方もできると思います。大事なことは、砂の量は一定なので、我々が生きているスパンではほとんど一定なので、ここの中から砂を取ってしまえば砂は減ってしまうし、どこか1箇所に寄せ集めると隣は欠けるよと、その動くスピードはともかく、そういうことが起こるわけです。
 2003年になるとこの中はすでにボートがたくさんとめられている。後でちょっと出ると思いますけれども、前原地区の漁港のここら辺が今は斜路ができているのですけれども、使い勝手が悪いという話が、これは休憩を挟んだ後ほどに、漁港のお話としてお話ができると思います。
 この写真をよく見ていただくと、ここのところにちょっと薄茶色く濁った、こっちの方と色が違いますね。これはここの水深が浅いということを意味していて、白いものはもちろん波ですから、この汀線がうねっているのと同様に、水の中もこういうふうに海底地形がうねっていて、特にこのあたりは全体に浅くなっている。ですから、沖から来る波はここを通過する、両方にギュッと広がって突っ込んでくるというのがこの空中写真を見ただけでわかる。それからもう一個、浜辺側を見ていただくと、ここのところ、何となくモヤモヤと幅が見えますね。包丁を研いだときの大根を切り落とす刃先ではなくて、裏側に研いだ跡が残りますけれども、あれと同じことで、波の作用はこの帯状のこの地域を、この帯状のところを洗っていますので、それがずっと痕跡になって残る。
 それから、ちょっと余談なのですけれども、全国いろいろなところで離岸堤をつくったり、防波堤を延ばしたりして、うんと砂がたまるところがあります。そうすると、必ずうんと砂がたまったところでは風によって砂が飛ぶようになって、飛砂という、飛ぶ砂と書きますけれども、それが過剰に溜まって、今度は周辺の家屋に砂嵐というか、砂が障害になるというパターンが多くあります。ここら辺はそれに近い形で砂がたまっているのがわかります。
                〔 Power Point 〕

 今度は東条海岸のシーワールドの、これはシーワールドの方が撮った写真で、ここは海ではないですが、護岸の上なのですが、大量の水が海から滝のように落ち込んでいるのがわかりますか。ここ、ちょうど新潟のあの災害のあべこべで、ここは、先週のテレビでは堤防がちょん切れて水がドーッと流れて家が流されていく写真がありましたけれども、あれと同じように、越波というのは全部ドーンと越えるわけではなくて、ところどころ低いところがあるので、そこを集中的に水が越えて、その後は非常に激しい勢いで水が突っ込んできます。これは洪水もそうなのだけれども、大体膝ぐらいあったら人間はシュッと倒される、腰ぐらいまであったらもう死にますよね。そのぐらい強い急速流となってこれは突っ込んできます。この先のあたりは普通の女性の人だったらこのぐらいで多分倒れるのではないかな。そういう実験をやったことがあるのですけれども、つまり足下がよくわからないところで片方に向かってすごく強い水がドーンと来るとステーンとひっくり返されて頭を打ってしまって倒れてしまうというような水が流れ込んでいる状態がこれ、滝のように流れ込んできていますから、よくわかります。
 実はここのところに護岸があって、ここですからね。もう一回……。
                〔 Power Point 〕

 星上さん、これは事務局だからわかりますか。このラッパの帽子というのは、これ、次の画面と同じ、いじっていないのですかね。
○星上 いじっていないでしょう。
○宇多審議役 これ、とっかえひっかえやってもらうとわかるのですけれども、もう一回戻していただいて。
                〔 Power Point 〕

 こうでしょう。高波が来るとこういう状態になってしまう。
                〔 Power Point 〕

 これ、観光客や普通、お客さんが来るときはこういうイメージで、きょうなどもこれで、ああ、海は広いなと思うのだけれども、一たん、事があるとさっきのようなことになる。だけれども、これはめったには来ない。そこが問題なのです。1997年というのは日本中で台風が6個だか7個だか上陸した、エルニーニョの発生した年で、日本中、あっちでもこっちでも災害が出ました。そのときにこれが起こったというのは非常に象徴的です。
                〔 Power Point 〕

 これはことしのつい先月撮った写真で、ここが一番難しいところで、利用の面から考えると、普段は前浜、広いよね、土地もあいているし、ここもいろいろ使えるようにした方がいいよねと思うわけです。ところが、10年に1回とか何年に1回というときには、さっきのようにとてつもないことが起こるわけです。じゃあ、これを防ぐためにという理由でとてつもなく大きな構造物をつくることはできなくはない。しかし、そうすると……。
                〔 Power Point 〕

 このとき見ると異様に大きい構造物になるのです。これが波を防ごうというところのいろいろなところの問題で、正確に言うと高潮対策というのですけれども、通常時に見ると、何十年に1回というものに耐えられるような構造物にしようというと、莫大な大きな施設になってしまう。それが非常に悩みの種です。ただ、言えるのは、この緩傾斜堤は砂浜が前にあればいいけれども、そうでないと実にたやすく水が飛び込んでくるというのは、これとさっきのものを比較していただければわかると思います。基本的な形式は変わりませんので。
                〔 Power Point 〕

 さっきのところも、これは平成9年、さっきの97年に波が飛び込んでいたのはこちらの方になりますけれども、そのもう少し南の方ではこうやってガタガタに壊れた。ここのところは色が、これは護岸といいますけれども、この後ろはシーワールドホテル、ちょっと緑がありますけれども、そこの前に、実はここから上で色が変わっているのは、これは個人の、シーワールドホテルが、波が飛び込むのを防止するためにこれを、嵩上げといいますけれども、上げたところです。護岸はズドンと深く入っているのですけれども、その目の前にあったこの施設、上面はアスファルト舗装、管理用通路といいますけれども、それが完全に壊れて、これは法枠で緩い勾配の護岸ですけれども、その中の砂が全部消え失せたということでこんなふうに壊れたわけです。ここは全部元に戻す工事がその後、行われています。
                〔 Power Point 〕

 同じようなことが、ちょっと南側ですけれども、平成14年11月、今から2年前に起こっていて、これは一見すると別に、ここだけちょっといかれてしまったように思うかもしれませんが、ここの砂はどこへ消えたかというと、この護岸の下を通り抜けて海に出ていっているので、実はここはもはやこのままではこれはもたない。いつボコンと落ちるかわからないような状態になってしまったわけです。
                〔 Power Point 〕

 それで、先だってヒアリングをしました。グランドホテル、シーワールドホテル、ロイヤルホテル、この3者に、この地図はありましたか。ないですか。どっちからどっちでしたっけ。手前側が……。
○星上 松崎側がグランドホテル。
○宇多審議役 グランドホテルで、シーワールドホテル、ロイヤルホテル、一番向こう側、サーファーのいるのがロイヤルホテル、こういう順序です。
 大事な意見なのでこれを読みますと、まずどこの方が言ったかはわかりませんが、記録は残っていますけれども、砂浜の広さが2/3とか半分ぐらいになってしまったよと、これはやはり随分砂浜が減ったよということです。それから、これは大事な点なのですけれども、昔は10mか20mぐらい草が生えていた。それが今は消えてしまった。さっき、清野さんのお話でアカウミガメの話が出ましたけれども、彼らはこの植生帯と砂浜の間ぐらいを一番産卵に好むので、この植生帯が消えてしまったよということは、一種、今浦島というか、せっかく帰ってきたのに、どこで卵を産んでいいかわからないという状態をこれが暗示していると思います。
 それから3番目、これが今度は彼らの財産を守る上で非常に困っている点で、越波の頻度がふえました。大型台風だとどうしても水が越えてしまうよと、言わんとすることは何とかしてちょうだいよということだと思いますが、4番目は、平成9年の台風では建物が壊れてしまった。ホテルの中まで浸水した。それから、一方では悩みもあるのですが、浸水被害はもちろん軽減したい。でも、国定公園だし、特にロイヤルホテルだったですか、フロアを結婚式場に使っていて、そこから海がそのまま見える。そういう眺めのいいところで売り出しているので、そこがコンクリートの塀でふさがれてしまうと、それではうちは一体何で売り出すかという話になります。白骨温泉では白い温泉のあれで粉を入れてしまったでしょう。だから、これは景色が売りのところにばかな話というので、白い壁に、そこに波の絵とサーファーが上に乗っているような写真を張り付けるわけですね。そうすると、白骨温泉と一緒になってしまって、もう二度とあんなところへ行くものかとなるわけですね。(笑声)だから、ここはホテルのオーナーにとっては、4番目では参ったな、もう壊れないようにしてほしい。だけれども、余り高い壁は困ってしまうので、景色がやはり売りなのですよという、このごく微妙なところをいろいろなものを考えるときにはよくよく考えてあげないと、これが大変なのだろう、だから鉄壁の守りを固めてやるぞということで10mぐらいの塀をつくるのはできなくはないけれども、そんなことをしたら、その守るべきホテルにだれも来なくなるということになりかねないので、そこのところの兼ね合いというのは非常に難しいということがこの方々のお話からわかると思います。
 それから、自分でも60cm嵩上げしたのだ。さっき色が変わっているのが見えましたけれども、それで浸水が軽減された。これは大事なことを言っていて、自分のことは自分で、自己責任で守りましょうということをすでにおやりになっているということと、60cmだけれども、結構浸水は軽減された。これは鴨川土木事務所が言っているのではないのです。こちらの方々が自分でやった結果そうだったということは、やはりこれは非常に重要な意見としてちゃんと工夫に取り入れなければならないなと。
 それから、平成14年台風では宴会場が、これは言っていましたけれども、一波で膝下ぐらいまで浸水した。それから、同じ建物の施設のドアが壊れた。これは事務局の星上さんが聞きに行ったのですけれども、これは結婚式が終わった後でしたか。
○星上 宴会ですね。
○宇多審議役 宴会が終わった後だったのでよかったので、宴会中だったら大変ですよね、これ。満潮、干潮と波の高さの関係がありますから、非常に偶然だったのだろうと思いますが、こういう意見がヒアリングの結果として出てきています。ここに書かれていることは、迷いつつも、非常にポイントを得た発言をされていました。
                〔 Power Point 〕

 今の話をもう一回整理すると、待崎川のところあたりは、それこそ亀が上がってくるような広いスペースがあります。グランドホテルが一番南側にあって、望洋荘はもうなくなってしまいましたね。あそこは空き地になってしまいましたけれども、シーワールドの目の前あたりが前浜の幅が一番狭くて、そこからシーワールドを通って左の方へ行くとロイヤルホテルになって、亀田病院に行く。ヘリポートがあるところですけれども、そうすると、ここで見れば、いかんせん、このシーワールド及びシーワールドホテルの前がやはりとてもやばいなということがわかるし、この浸水区域がこれで、確かにこの辺がすごい写真が撮れたというのは、この状況から、この空中写真から見ればなるほどと思うわけで、だからこれから言えることは、砂浜というのはやはり大事だよねと、これが広いところは波は打ち上がれども、施設の中に入り込むことがないので、本当は砂浜が広いことが一番いいのですけれども、ここは今はそういう状態が満たされていないということになると思います。
                〔 Power Point 〕

 それから、これがグランド前の嵩上げで、これは今ではいろいろな構造物を勝手につくるわけにはいかないのです。これはこのグランドホテルが自分でつくったものなのだけれども、これつくるときにはいろいろな基準というかルールがあるもので、それの中でいろいろ工夫をするという形になりますけれども、基本的には大体この中に鉄筋を突っ込んで、50cmぐらいの厚さのコンクリートの壁体になる。
 ここのところが、彼が立っているのが、ちょうど地盤面に立っていますけれども、これはよくよく後で議論になる、白渚のときもそうなのですが、これは1つが20cm、2、4、6、80cmだと大体腿ぐらい、これですと海を見るのに全然億劫ではない。それが1mでしょう。1m80というと、私は1m60チョボチョボだから、もう私は地べたに立って水平線は見えない。2mになると、これ、直壁で2mというのはもう結構刑務所の塀に近くて、どうやっても見えない。ピョンと跳ねても見えないですね。見える、見えないというのは、視点との関係をよくよく調整をしなければならないけれども、答え的に言うと、海が見えるというのは波も入るのは当たり前かもしれませんね。そこに工夫の余地があるわけで、だから非常にハムレットのように悩まざるを得ない問題を抱えておるということですね。スパッと解決はできない。でも、この人たちはやむなくこれをやったので、それは非常に効果が出たというのは、これはそのとおりだと思います。
                〔 Power Point 〕

 これはこの7月1日に、最近はとても大きな波が来ていまして、6月20日に台風6号というものがまず来ましたね。それから7月1日、これは7月何日ですか。
○星上 1日です。
○宇多審議役 1日でしょう。うねりがすごいいいのが来て、多分サーファーの人は家にいなかったのだろうと思うぐらいすごい波が来て、そのときのシーワールドホテル前面の状況で、この白くあるのが砂です。これはバーンと水が越えて、この中に打ち込んだということで、これの裏側には越えていないので、そういう意味ではこれはかなり効果を発揮したと思います。前面は40cmもないでしょうね。30cmぐらいですか、これがちょっと、これと比べたら格段に波をとめる効果は薄いというふうに言えると思います。
                〔 Power Point 〕

 これ、実はきょう漁港の現状の話は後でまた詳しくお話をしますけれども、とりあえずおさらいをしておきたいのは、特に名前のおさらいをしておきたいと思います。まずは鴨川漁港の本港というのはこっち、弁天島があの三角形のおむすびのように見えているところです。今、船が本港の方に入ろうとしていますが、加茂川をまたいでこちら側の方にあるのが、俗称、すぐ「鴨川フィッシャリーナ」と呼びたくなるのですけれども、これはフィッシャリーナというのはこちら側のヨットなどが置いてある方であって、向こう側の方、南側というのでしょうか、あそこは鴨川漁港の前原地区というのが正確な呼び名になります。これは後々議論をするときに、「フィッシャリーナ」というとこっちになるので、一応頭に、鴨川漁港の前原地区、ここは船揚げがうまくできなくて問題のところなのですが、それはこういう呼び名だということを御理解願いたい。それから、これは前原の防波堤、ここにありますね。そういうことになっています。
                〔 Power Point 〕

 これは今、前原地区のところで見てみると、ここのところに桟があるのですけれども、ここに船を引き揚げておくわけです。そこへ防波堤に沿って波が入ってきてしまって、こんなふうに打ち上がってしまう。これは毎日そういうふうに起こるわけではありません。これも台風時の越波と同じで、普段は別に置いておいてもいいのです。だけれども、いつそういう波が来るかわからないので、来たから動かそうというわけにはいかないですね。例えば、どこかに買い物に出かけているときに、自分の車をどこか波にもまれてもいいところに、駐車場には置かないはずなので、船というのは車よりも値段が高いですから、そういうものを粗雑に扱うことはできない。そのときに、もしかして時化が来たらぶっ飛ばされるというようなところには置けないのですよ。それで、そういう点からすると、こういう状態では船がとめられないという状況が起こっているので、これは前回の議論で何とかしてほしいと、事務局の方でも言いましたけれども、何とかしてほしいという願いはそれから出てきています。
                〔 Power Point 〕

 もう一つ、これはここに渦を巻いているのがわかりますか。これが防波堤の方、こっち側がフィッシャリーナとの境の防波堤で、ここのところはこう入ってきて、こういうふうに渦を巻いている、これもそうですけれども、何となくそういうふうに見えますね。こういう状態になると、小さなさざ波が来るときは別に船はいいのですけれども、これは洪水が洪水から港口から入ってきたという感じなので、繋留していてもグッと流されるわけです。そういう意味では、こんな状態のときでは航行は全然できない。これもせっかくここまで施設をつくったのだけれども、普通、よくあるちょっとした時化のときにこういうトラブルが起こってしまうので、これは何とかならないかということ前回、お話をしたとおりです。
                〔 Power Point 〕

 前原防波堤の越波というのは、最近もこういうものは来ているのでしょうけれども、ここのところにガタガタとあるのは消波ブロックで、ここの天端高はちょっと忘れましたけれども、かなり高いですね。あれの上にザブンと水が乗っている状態から見ると、今まさに砕波が起ころうとしていますけれども、相当な、これはこの前の台風ですね。天気晴朗なれどもうねり高しという、日本中、うねりが来た、あのうねりはどこから来たのだったかな、奄美の方かな。小笠原、奄美というか、あっちの南の方に台風がいたときの、あのときのうねりが寄せたときの状態です。
                〔 Power Point 〕

 これを見てください。これは前原防波堤、ここに斜板堤が入っていますけれども、これはあの高い防波堤を乗り越えて、これはすごいですね。こういう状態だと、さっきも言ったけれども、上を歩けるかといったらそういう話ではないです。歩いていたら即座に流されて死んでしまうので、これは雨だれのように、雨だれというのか、華厳の滝というか、滝のように落ちていますけれども、これはこういう状態だと結局のところ中に船を繋留しておいた場合に、水がドーンと落ちて波が立ったりするので、そういう点からも状況がよくないわけです。
                〔 Power Point 〕

○星上 今、何人か入ってこられましたので、会場を明るくしてください。
(漁業関係者入室)
○宇多審議役 では、電気を消していただいて続けます。
 漁業関係者の方がここで見えられたので、今の復習をもう一回やります。話が少しくどくなってしまうかもしれませんが、シンプルにやります。
                〔 Power Point 〕

 弁天島の後ろにあるのが鴨川の漁港の本港の方で、こちら側にあるのが鴨川漁港の前原地区で、先ほど来話をしているのはここの防波堤とか、ここにすごい波が当たって水が越える状態、あるいはこの中でこう渦が巻くという話を今したばかりです。その隣にあるのがフィッシャリーナです。よろしいですね。
                〔 Power Point 〕

 今言っているのが前原地区のところで、ここのところにスノコみたいな板が敷いてあるのは、ここに金具がありますね。船をここの斜路を引き上げて、ここに固定するための固定金具で、それのてっぺんまで波がこうやってドーンと上がってくるということは、ここのところ、特に防波堤側というのですか、本港寄りの防波堤の角はそこに置いておけない。これが前回の話で、とにかくそこに漁船が安全に置けるように早くしてくれないかという意見がたくさん出たのはここのことです。それで、船をとめられない。船をとめられないというのは、港をつくった意味がないなということだと思います。
                〔 Power Point 〕

 もう一つあったのが、これも南部漁港事務所の方で撮られた写真で、ここが港口の方なのですが、ここから防波堤に沿ってドワーっと水が回っているように、こうやって渦を巻いているように見える、こっちも同様。要するに、波がチャプチャプ来るのではなくて、洪水がドーッと押し寄せたような感じのことが起こっている。こういう状態があるので、航行が危険になってしまっているので、それを何とかしてくれないかということが前回、3月7日に話が出ました。
                〔 Power Point 〕

 これは、さっきここまでやったところで皆さん、後から来られた方が入ってきたのですが、7月1日の台風8号のすごいうねりが、この日はすごく天気がよくて、たしか小笠原とかあっちの方にえらい台風があって、うねりだけ来たときですけれども、そのときに前原防波堤の上に波が乗っている状態、これは反対側、どこから撮ったのでしょうかね。
○星上 加茂川の河口です。
○宇多審議役 河口ですか。
                〔 Power Point 〕

 これは前原の防波堤のてっぺんを、天端を乗り越えて、これはえらい越波ですね。それがドーンと入る。そうすると、落ちるとそこのところでまた波が立ったり、それから浮遊物が飛び込んだりするので、これもよくないですね。静穏度という意味ではこういう状態になると余りよくない。
                〔 Power Point 〕

 これはその話を要約したもので、これの正確なお話はまた後段にやります。これは前回の何が問題でということを整理したものだけ今お話をします。どうしましょうという話は後でやります。それはここのところに船を揚げるためにつくったのだけれども、船が揚げられない。高波浪時には波が本当に飛び込んでくる。それから、要するに、それはここが静かではないからということなのですけれども、それは主として波がこっちから入る。一方では、それでは防波堤でも延ばせばどうかという話が、この会議を始める前からあって、ここのところはたしか100mぐらい延ばす計画があったのだけれども、これを延ばすと砂浜の方が広がってしまう、堆積する、その砂は北の方から引っ張ってきてしまうということがあったので、いろいろ話し合いがあった末、これはちょっと延ばすけれども、先をちょっと折った形にしようということで、ここのところまで今工事ができている。ただし、これでもここは今使えないので、何とかならないものだろうかという話が前回まで出ていた。
 その中でちょっと提案したのが、ここの入口から外海が見えるような形になっているから、波がこういうふうに入ってきてしまうのだよということは原理的に御説明したところ、それではここをかぎの手のように、本港の方でもちょっとやっていますけれども、そうやると波が入らなくなるのではないかということの案を前回はすでにお話をしたところです。それの詳細はまた後ほど話が出ます。
                〔 Power Point 〕

 これはどうしようか。
○星上 飛ばします。
○宇多審議役 これは後ほど出てきますので。
 ついでに、本港の泊地の方も、これは高いうねりが来るときには漁船の裏側にものすごい、これは弁天島ですけれども、ものすごく高いしぶきが上がっています。これはごみとともに水が落ちるので、繋留上、非常にまずい。水が落ちると船が隣り合わせでぶつかる。自分の車同士ぶつかったらどうなりますかというのと同じで、そういう状態からすると、こういう場合はここのところに船をつないでおけなくなるので逃げなければならないという事態が発生する。これについてはすでに漁港事務所の方も手を打ちつつあるので、詳細は後ほどお話をします。
                〔 Power Point 〕

 これも大口防波堤の、どえらいしぶきが上がっていますけれども、そういうこの前の8号、これはごく最近ですね。今月、7月1日のしぶきの状態です。
                〔 Power Point 〕

 それから、これはしばらく前、3年前の8月21日、高潮のせいもあるのだけれども、こういうふうになって、これは潮が上がってしまった上に波が来ている、これは船がもう繋留できないという話や大量のごみが上がってしまう。ここらはもう使い勝手を非常によくなくしているわけですね。本来、ここは船に物を載せたり、船のものを下ろして車でやりとりする場所なので、そこがこういう状態になっているということは、そこに物を仮置きもできませんよということです。だって、波がこっちから飛び込んできますからね。前ではなくて、後ろ側からドーンと飛び込んでくるので、そこらも問題だったわけです。
                〔 Power Point 〕

 本港の方はそういうわけで、ここが防波堤から直接波が飛び込むという問題と、それからこっちからの波が入ってくる問題と、ここにちょっと波除堤をつくって、これはないときに比べたら随分効果は出ているわけです。もう一つ、ここのところ、元からあるところなのですけれども、ここは使い勝手はいいのですけれども、過密です。こっちの船もここに入れているし、こっちも逃げてくると、ほかの船もあってもう満杯状態なので、これはほかがよくなればもう少しスペースができるのでしょうけれども、これは今現在、もう満杯で避難はとてもできませんよという状況のお話も前回あったわけです。
                〔 Power Point 〕

 それで、何が問題か、前原地区、フィッシャリーナと隣接するところで、波高を下げたい。何で下げたいかというと、船揚場に船をとめられるようになるからだ。とめるだけではなくて、航行が安全にできるようになる。とめるだけではしょうがないですね。船、出られないのだったら陸の上に置いておけよという話なので、それは有り得ない。だから、セットで何とかこの両方を達成できないか。それには、前回提案されたのは、波除堤の整備というものは、これは詳細なところは前回は未定だったのですけれども、大体いいかなというセンスのお話が出ました。大体いいかなというのは、これらを本当にちゃんとうまくできるのかというのは計算で一応ごらんに入れたし、波除堤をつくるときに隣のビーチ、前原とか東条の方に変な影響というか、侵食みたいな影響は出ないのですよね、大丈夫ですよねという質問に対しても、一応クリアできそうな答えがどうもありそうだということがあったので、それで今回、それをもう少し正確に後ほどお話ができることになりました。
 もう一つ、前原だけの問題ではなくて、本港の方も問題があって、これは岸壁に船をとめたい。ごみが打ち上がらないようにしましょうというところあたりは、それではどうするのという、一部嵩上げの話もありますけれども、とにかく今後の課題ということになっていて、一遍にあれもこれもというのはできない、仮に工事をするとしても一遍には無理ですので、順番を追って達成していこうということで、前回、特にお話が集中したのはこのあたりのところに議論の中心がありました。
                〔 Power Point 〕

 これはさっき清野先生がすでに説明していただいたので、この辺はさっきの説明でもう網羅されているのだけれども、ここのところに、今我々がお話をしているのはごく汀線に近い、水深で言うと10mよりこっち側、このごく浅いところでの砂の動きとか水の動きについての話ですので、こっちとか、湧昇流とか、黒潮の流れがどうのという話とはちょっと別になっているということを理解していただきたい。砂を動かすのは、この浅場での波が砕けたときにできる流れであるということが一応わかっていますので、質問としては出てもいいのですけれども、一応、波除堤を延ばすとか延ばさないとか、侵食対策とか、越波対策とかいうのは、ごくこの汀線にひっついたところに議論が集中するであろうということです。
                〔 Power Point 〕

 これは浅場のところで、昔、前原地区の防波堤も何もないときの波の状態が、これは色で分けていますけれども、この色は波が高いところですから、こっち側は波が高くて、こっち側は静かだった。これは弁天島の方の岩礁の影響もありますけれども、そういう状態だった。それがこうやって離岸堤と前原の防波堤と、本港の防波堤を延ばすとその後ろ側がちょうどコウモリ傘を立てたようにブルーになってくる、波が静かになる。当たり前ですよね、離岸堤の背後は、防波堤は背後を静かにするためにつくるわけですから、こんなふうになる。こういうのは入口のところに置いてあるパソコンで簡単にできるようになっている。これの信頼性はかなり高いものがありまして、ほぼ計算法としては確立している。したがって、後ほど出てきますけれども、フィッシャリーナの中のところに波除堤をつくりたい。それで波がどれだけ静かになりますかという質問に対しては、ほぼ間違いのない答えが、こういう種類の問題は出すことができる状態に今あります。
                〔 Power Point 〕

 その後、わかりにくくなってしまうのだけれども、汀線というのは陸と海との境界線ですけれども、これが1983年、今から20年前のころの海岸線から、そのときを基準にして、それからどれだけ前に出たか、あるいは凹んだかというグラフをつくってみました。これも計算で予測ができるので、これはこの辺がシーワールドのあたりで、東条海岸ですね。それから待崎川があって、そこから離岸堤が2つありますので、沖に小さい離岸堤も含めて置きます。それから、右角はフィッシャリーナを置く。そうすると、波がこの構造物の背後は静かになるので舌状砂州、俗称「トンボロ」ともいいますけれども、砂がたまる。これが砂がたまるのはいいのだけれども、その砂はこうやって、ここの破線がゼロですから、ゼロより線が下がっているということは、広く薄く集めて集中的に堆積させる。だから、これが前回お話をしたようにシーワールドの前の砂浜が減ってしまったよという、これは1目盛りが、これで10mですから、シーワールドの前だと大体10mぐらい減っている。これはシーワールドのオーナーが言っていた砂浜が半分ぐらいになってしまった、あるいは2/3ぐらいになってしまったよということの、本当にそうかどうかというのを計算でやってみるとそのとおりになります。それの原因は南側の方に砂が寄ってしまったせいだ、寄せてしまったせいだと言うべきでしょうか。
 ただし、これをもって直ちにこれがけしからぬということを私は言うことはできない。なぜかというと、昭和57年のときにこの前原で大変な波が飛び込んだ写真をごらんいただいたと思いますけれども、ああいう災害で非常に被害を受けていますから、そこの前浜を広げようというその地域の人の願いというのはあるわけで、それからすると、そこのところに離岸堤をつくろうよというのは、当時としてはまあまあしょうがない面もあったと思う。その砂が全部こっちから来るとは限りませんから、かなりこっちから来るとわかっているのだけれども、その当時、こちら側はまだ前浜が広かったから、今から思うと何もしないでほっておけばいいかという意見もあるいはあるかもしれないけれども、当時としてはしょうがないかなという感じに見えます。
 そういうわけで、こういうことも一応起きたことを正確に計算で予測することができるという状態にあります。
                〔 Power Point 〕

 それからもう一つ、さっきの汀線だけではなくて、沖のコンターといって、浜辺を歩いていくこのゼロというのが渚線で、これは離岸堤の下でポコンと膨れて、ちょうど小さいものが前原のところに1基あるのですけれども、あの後ろでちょっと出て、こんなような海底地形のうねりというのでしょうか、沖は平らなのですけれども、そういう状態も一応計算できて、これは本当に実測と合っているのかと言われると……。
                〔 Power Point 〕

 これがそうで、絵は少し歪ませていますけれども、汀線がこうなって、真ん中がチョコッと出て、こちらでまたフッと膨らんでという状態、それから離岸堤の沖合では真っすぐコンターが走っているよというようなことは一応計算でできる。これは別に計算できたからすばらしいだろうということを言っているのではなくて、こういう手段を我々は持って、例えば波除堤をつくったらどうなるかとか、あるいはいろいろな御質問があると思うのですけれども、私から言ってしまうのも何だけれども、じゃあ離岸堤を全部取り払ってみろよというような話が、それは架空の話かもしれませんが、そういうときに口で言い合っても科学的な立脚点が正確に説明できないと言い合いしているだけで進歩はなくなりますね。それで、そういうことで、一応そういう道具立ては我々はちゃんとそろえています。これはどこに持っていっても恥ずかしくないような道具立てをここの場に用意していますということだけをまず理解していただければいいと思います。結果の詳細は要らないと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、ここまで、前回までの御説明のところをちょっと復習しました。ここで一たん事務局にお返しします。
○司会 宇多先生、ありがとうございました。
 それでは、ちょっと長くなりましたので、これから10分程度休憩をとらせていただきます。
 会場のあの後ろの立派な額の下に缶のジュースを置いてございますので、御自由にお取りください。それから、先ほど申し忘れましたけれども、第1回目の会議でお配りした同様の資料は受付の右手の方に置いてございますので、御入り用の方は御自由にお取りください。
 では、休憩に入ります。
〔暫時休憩〕
○司会 それでは、休憩の後のセッションを始めたいと思います。
 続きまして、先ほどまでは前回までのおさらいという形で情報を皆さんに見ていただいたわけですけれども、次の会議では、今度、また宇多先生の方に、その後、前回の会議でいろいろな意見とか出たもの、または例えば波除堤とかいろいろなものをやったときに実際にどういうふうになっていくのかというようなこと、先ほど最後の方に数値計算みたいなお話が出ましたけれども、そういうものを交えまして若干、その後の検討した成果を御紹介させていただきます。
 それでは、宇多先生、お願いします。
○宇多審議役 前回は少し時間オーバーをしてしまったので、今度は割と短めにやりますので、せいぜい20分ぐらいでやります。
 パワーポイントをお願いします。
                〔 Power Point 〕

 細かい話は余り、これはさっきごらんに入れましたけれども、これは予測はまだ入っていないのですね。これはさっきお話をしたように離岸堤の背後で砂がたまって、東条海岸側では汀線が後退しますというグラフですね。
                〔 Power Point 〕

 では、ほっておいたらどうなるか。このまま10年ぐらいほっておいたらどうなるかという計算をやってみました。一応、だから現在までの再現性は十分OKよということが出ているので、このまま前原地区の防波堤と離岸堤をそのままにしてやってみるとどうなるかというと、もうちょっとこちら側のシーワールド側の汀線が凹みます。ただし、目盛りに気をつけてください。目盛りはこれで10mですから、さっきはもっとすごかったですね。さっき、1目盛り10mでしたけれども、これはこれで2mだから、3mぐらい凹むよと、その凹んだ砂はずっと南に動いて、もうちょっと離岸堤の背後にたまりますという答えが出ます。これはそういうことですね。現在のままほっておくとどうなるか。
                〔 Power Point 〕

 ここに書きましたけれども、最大、ざっと3mぐらい後退するし、こっちに広く薄く集められたものがここに集中的にたまるので、一番向こう側の離岸堤の背後では37mぐらいさらに砂浜が広がりますという答えが出ます。これは余りたまるとフィッシャリーナ側のあれは、前原地区の防波堤の入口を砂が埋めるようになっては困るのですね。向こうは障害になりますから、そこのところがどうなるのだろうということで、そのままの状態で見たのが一応こういう答えが出ました。だからどうなのという話はまだ考えていませんけれども、そういうことになりました。
                〔 Power Point 〕


 それから波除堤を追加した場合、前原地区の中に波除堤を追加、波除堤の具体の詳細はこの私の話の後に南部漁港の方でなさる予定ですけれども……。
                〔 Power Point 〕

 これはさっきと何も変わらないでしょう。さっき、私は最大3m程度後退と言いました。こっちはさっき、37m程度前進、波除堤をつくってもつくらなくても、1mは差と言えるかどうかというのは、1mだから大きいという言い方はあるかもしれませんが、37mと38mなので、ほとんど誤差のうちと見た方がいいと思います。そういうことからすると、波除堤の詳細については別途お話をしますけれども、波除堤を設置して10年ほっておいても状況は変わらないということがほぼ出ました。だから、そういうことがあって、漁港事務所の方は、私の話の次に出てくることとして、何とかあそこの静穏度を上げるために波除堤をつくったらどうかというお話が次に出てきます。
                〔 Power Point 〕

 もう一回、回してくれますか。これが平成15年1月。
                〔 Power Point 〕

 これ、ゆっくり変わっているのがわかりますか、2枚の写真を重ねていますけれども、そういうことで、替えてください。
                〔 Power Point 〕

 こう変わって、ちょっと歪んでいるのですけれども。
                〔 Power Point 〕

 そういう変化が出てきて、元はというと、さっき大波がかぶったのはこのあたりですけれども、昭和57年の汀線がここにありますので、これに比べると離岸堤の背後とフィッシャリーナ側がうんと砂がたまっているというのがわかると思います。この離岸堤の背後に、ここにポコンとお山がないということが1つのミソで、ということは、こういうふうに砂がたまるということは、むしろこれの影響があって静かだから砂がこうたまるよということを言っていますので、これがあるからたまるのであれば、こういうふうになるはずです。そうならないということは、ここに砂がたまるというのは、むしろこっちの方の影響が大きいということ。それから、この一連の、たまったからいけないというものでもないのですが、このときに一番よく注意しなければいけないのは、このところの汀線というのは前進しながらこういうふうに回ってきますので、そうするとここのところでは水がこういうふうに循環していますので、少し色の変わった水が見えますか、皆さん。この防波堤に沿ってこういうふうに離岸流が出てきて、循環流になっていくと、それによって砂が港口の方に移動する危険性が出てくるので、くれぐれもここの偶角部とここの間の距離については十分注意しないと、こっちのことだけ考えるとまずい。そういう意味で、ここの汀線がどうなるかというのを広域で見たわけです。
                〔 Power Point 〕

 これが予測の結果で、37mと言いましたけれども、こんなドットの点のような形に変形するだろう。一応、離岸堤の先を越えてはいないという答えになりました。
                〔 Power Point 〕

 今度は、「対策」というと何の対策かと言われるといけないのだけれども、越波の方、これは後段で詳しくお話をしますので、波除堤の話については重複してしまいますので、省略させてもらって、先に行ってしまいましょうか。
                〔 Power Point 〕

 これはさっきやったから、だから漁港の話は別に無視するわけではなくて、少し先に行ってしまいましょう。
                〔 Power Point 〕

 今度は、これ以降は越波がすごいのをどうしたらいいかという話に移りたいので、前原海岸についてはこういうふうに離岸堤をつくって、その背後に前浜の形成を促進してやって、越波が起こらないようにしていったということは御存じのとおりです。
                〔 Power Point 〕

 では、東条海岸はどうするの、これだけひどい越波の状態を見せつけられると、放っておけよというわけにもいかないし、困ったなということになってくるわけです。こういう場合、いろいろな方法があって、きょうはこれに決めましょうという会議ではないので、一体どういうことがあるかというのをできるだけ具体的にお話をしたいと思います。ここまではさっきごらんに入れたとおりです。
                〔 Power Point 〕

 放っておくとこうやって壊れてしまうわけですね。
                〔 Power Point 〕

 それで、これは地区に分けて少し整理をしてみます。まず何が大事かというと、東条海岸と一口で言っても、先ほど前で少しお話をしましたけれども、待崎川から前原、横渚、こちら側がフィッシャリーナの前原地区の漁港のところですけれども、前原、横渚、このあたり、そのから待崎川の河口ぐらい、それからグランドホテルとかロイヤルホテル、この範囲、それから亀田とかもっとあっちの東の方、こういうふうに区分けしてみます。そこで一体どういう地域の特性があるかというと、例えば砂浜の幅、砂の粒の大きさ、前浜勾配といって汀線付近の砂の斜面の勾配、こんなものをざっと拾ってみました。
 そうしたら、前原、横渚では大体15m〜100m、これは幅があるよなという言い方もあるけれども、結構広いなと。待崎川の辺では70〜80mはある。それがグランドホテルとかロイヤルホテルでは15〜20ぐらいしかない。だから、例えば3m汀線が後退するといっても、100mのところの3m後退というのは全然わからない。ところが、15mぐらいの海浜の中で3mぐらいの後退というと、結構ボディブローのように効いてくるなということがわかると思います。
 ここのところに「勾配」と書いてありますけれども、勾配と砂の粒の関係というのは非常にいい関係がありまして、一口に言うと、浜の砂の粒が大きければ勾配は急である。粗目みたいなものがあると勾配は急、それから前浜、前原、横渚のフィッシャリーナの脇に行くとサラサラの細かい風で飛ぶような砂になりますね。ああいうところに行くと勾配が1/30とか、だから1/30ということは30m行って1m下がるようなかなり緩やかな勾配になるのに対して、グランドホテルの目の前は1/7ぐらいになってしまう。
 この辺というのはそうなっているということなのだけれども、これに実はとてもよく対応してくるのが越波の状態なのです。越波というのは、前原、横渚は現況では越波などは全然起こらない。離岸堤の後ろだって護岸があるし、砂浜も広いから、そんなのは問題ではないよとなりますね。だけれども、待崎川のところもまあまあいいなと。亀ちゃんが上がってきているのはどうもこの辺だろうと、正確ではないけれども、思います。
 ところが、ここの勾配が緩くて前浜が狭いところです。礫がゴロゴロ、砂浜の粒が粗いところではここがとても厄介なのです。それからまた東の方に行くとほとんど越波しない。どうやら地域特性があるなと。もちろん、これは人が住んでいなければ別に護岸から越波するから即問題というわけではなくて、後ろ側がどうなっているかというのが問題で、前原はもうこれは密集地域ですね。ホテルもいっぱいあるし、だから防護レベルというのは非常に高い。だからこそ、ここへ離岸堤がつくられた。真ん中は、待崎川は保安林だし、住宅、まあ土木事務所もありますが、土木事務所が水に沈むというのもみっともない話ではあるけれども、そんなことを言ったら怒られてしまいますが、だけれども、守るべき一番主体はここにあって、学校とかホテルとかこの辺、それなりにここは大事だなと。その隣はホテルシーワールドです。これまたそこに現に立地して、たくさんの鴨川市の有効な、有力な観光資源をここが持っているわけですから、ここを、これはあなた、水をかぶるのは当然よというふうに言い放つことは多分できないだろう、何とかしなければならないけれども、ここら辺が一番大変だ。それからちょっと離れるとまあまあいいかなという状態になります。海岸は、これは防護だけではないので、環境的に見ると、こっちの南の端は植物が一部生えているし、いいところが多い。それから、待崎川のところはさっきちょっと言いましたが、アカウミガメが産卵するコウボムギの植生帯もある。ところが、真ん中辺はウミガメが上がってくる場所なのだけれども、ほとんど産卵に適する浜辺がないという状態に今もうなっている。もう少し東の方はまたよくなる。
 今度は水の中とかいろいろなところの利用面を見ると、こちら側はサーフィンとか駐車場とかいろいろある。中2つはもっぱらサーフィン、東の方はサーフィン、駐車場、こうやって自然条件や防護のレベルとか背後地がどうなっているかなとか、利用とか環境がさまざまだ。そうすると、1つ物を決めて全部ズドンと構造物をつくればいいよなという話にはならないということは、これでよくおわかりいただけると思います。
                〔 Power Point 〕

 それで、これから数分、余りおもしろくない話をして申しわけないけれども、砂浜、砂浜幅を調整するというか、侵食をとめようよねという話は一体どういうことがあり得るのかというのを、今我々が日本国で使われているものを一応書いています。1つ、もうしょうがない、逃げよう、もうもはやだめだと。もともと汀線に向かって人間が出てきたのなら、もうあきらめよう、陸の方へ逃げようというのがセットバック。日本ではなかなかこれは、清野先生が1つセットバックの例を知っていますので、後で質問で聞いていただければいいですけれども、これは頑強に抵抗勢力がいます。日本人にとっては一寸たりとも国土を失ってはならないという、私みたいな団塊の世代は特にそういう精神構造の人が多くて、なかなかうまくいかない。だけれども、案としてはあり得る。
 それから、離岸堤を取り払ってしまうという案だってなきにしもあらず。それから、砂をどこかから持ってきて、砂をたくさん入れてしまえばどうか。もちろん、これによって周辺の漁港や何かに砂がたまってしまうよとか別の影響があるのはちょっと置いておいて、そういう案もなきにしもあらず。
 もう一つ、サンドリサイクル。サンドリサイクルというのは「リサイクル」に「砂」をくっつけたので、たまったところから絶えず侵食しているところ、もっと具体的に言うとフィッシャリーナの裏の離岸堤のところの裏から砂を取ってシーワールドの目の前に砂を投げ込み続ける、無限に投げ込み続けると、砂浜は東の方で広くなる。だけれども、すぐに元に戻りますね。この辺は割とソフト的というか、ハードの構造物は余り要らない方法。
 それから、ここ30〜40年でめくらめっぽうやってきたのが突堤とかヘッドランド、離岸堤、人工リーフ、これらは全部バードストラクチャーを突っ込むもの。でも、これは究極的に言うと、これらはうまくいかないということが科学的に証明されてしまう。問題を先送りするのにはそれなりに役に立ちますけれども、そういう面があります。痛しかゆしです。
 これも同様。これは特に大事なのは、一ところを守ろうとすると隣がやられる。おれの前を守ると隣がやられてしまう。これはこういう合意形成の場で一番言いにくい案で、人工リーフもそうなのです。だれかだけを守る方法としてはいいのです。ところが、全域に並べようとするといろいろトラブルが出る。
 ここまでが水の中で行う行為、セットバックは何も行わない、逃げてしまうというもので、今度は陸でやるものもあって、これは護岸の嵩上げというのがあります。さっき冒頭にお話が出た白渚の海岸ではこれです。当初、人工リーフとか養浜とかいろいろな案があったのですけれども、最終的にはこの案で結構うまくいった。それから、断面改良というのもあって、断面を波が越えにくいような形に変える。一応、こんなようなものがありますので、今、私たちはどれにすべきとかいう話ではなくて、まずこういうものはどういうものかというのを、文字を見ていてもわからないと思うので、ちょっとごらんに入れます。今、順番に行きますので、イメージ図をごらんいただきたい。
                〔 Power Point 〕

 今から申し上げるのは、利害得失について申し上げます。利というか、いい方だけ話すとずるいよという話になるので。離岸堤というのはこれです。これが大体さっき申し上げたように1個つくるのに3,000個ぐらいのブロックを入れます。これだったら4,000個ぐらい入っていますかね。この背後は静かになります。防波堤の背後と同じように静かになる。そのためにここに砂がたまる。それは科学的に一般論として証明できます。この砂の大部分は横から持ってきます。この沖合の砂も一部分、ここに入ってきます。でも、おおよそは横から来るので、これを並べたところの背後地の住民の皆さんは安心できます。だけれども、隣の方の区域は砂が減ってしまうので、これをつくらないときよりもつくった後では防護的に見るとちょっと問題が生じる。もちろん、これは魚を捕る船がこのそばに接近することはできませんので、漁業利用上はちょっと障害になる。もちろん、逆に言えばトコブシがひっついて魚礁効果が出るというプラスの面もあるかもしれません。サーファーはここに来たら、亀もサーファーもこれは横切れませんので、いろいろなトラブルが出るということで、日本中で大体6,000〜7,000基これが入っているのは御存じのとおりです。
                〔 Power Point 〕

 これは取ってしまう。奇想天外で、すぐやるとかやらないという話ではなくて、取ってしまったらどうなるか。取ってしまうのは対策にならないかもしれませんが、取ってしまうとこの膨らんだ土地はペチャンコに消えてなくなります。それで、この砂がとても厄介なのですけれども、フィッシャリーナ側に突き出ます。ここから中に入っていく。だから、これはこの突出した汀線がなくなるという面ではまあいいかな、景色上、いいかもしれない。それから、この間で波乗りしている人にとっては、サーファーにとっては波に乗りにくくなるという、それは自分が利用しているのだから、まあいいかなということかもしれませんが、この地域の人は昔に戻っていってしまうので、波が前と同じように当たるようになるので、これはなぜ取ってくれたのか。家の前はそれがあるから安心していたのに、なぜ取ったのとかという質問が出てくると思います。それから、一方で砂が過剰にたまってしまった側は、今度は航路埋没を引き起こす可能性がありますので、これまたちょっとどうかと。ただ、案としてそういうことをやったらどうなるかという説明で、これは私の御推薦ですとかいうのとは、評価とは別物だということは理解をお願いします。
                〔 Power Point 〕

 それから、養浜というのがあるのです。養浜というのは、浜を養うと書くので、どこかから砂を大量に持ってきてこうやって入れるわけです。大体養浜で、日本では、これは絵が変わりますか。
                〔 Power Point 〕

 こういうふうに入れるのですが、こういうのでは大体うまくいったためしがない。もちろん、こういうふうに囲い込みをして、例えばフィッシャリーナの中に浜辺をつくりましょうという、そういうのはうまくいきますが、これだけ広大な土地でうまくいった例は日本ではまだない。ただし、外国ではこれが一番主流です。
 こうやってみると、ここに、シーワールドの前の汀線がやせているのだから、ここにこういうふうに養浜したらいいではないかというふうに思うかもしれませんが、原理的にできません。現在の汀線と全地点で平行に前に出るかどうか。出ないような養浜というのはあり得ません。したがって、これをやると一番前浜が欲しいフィッシャリーナの前にうんと盛ってもその砂は両翼にすっ飛ばされて、シーワールドの前には砂はいつかない。いつかないどころか、こっちへ来て、こっちの方まで砂がうんと堆積するので、へたにやると、今度は漁港サイドからクレームがついてしまう危険性がある。でも、これは構造物を使いませんから、案としてはかなり有効で、いろいろなところで、今はこういうものをとにかくやる方向で動いていることは認めます。
                〔 Power Point 〕

 サンドリサイクル、さっき言ったように、ここを取ってこっちへ持ってきて盛る。その後、これが戻っていってしまう絵はありますか。じゃあ、私が戻します。ここから取るでしょう。取って、こう行くでしょう。置いたな、置いたら、これは直ちに元に戻りますので、1年未満で、1年か2年ぐらいですっかり元のようになります。そうすると、これは2年たったら完全に元に戻ることを、ここに砂を入れたとしますと、今度はそういう、社会保険庁ではないけれども、元の木阿弥みたいな仕事に公的資金を使うことは本当にどういう意味があるのかという質問が必ず出ますので、なかなか辛いところ、つまりもしかしてズルをして何も入れなかったときと同じ答えになってしまいますので、永年にわたってグルグル回すということに対して、長続きするのにはよほどの理由が必要ということになります。
                〔 Power Point 〕

 ヘッドランド、私、昔、こういうものを一生懸命やろうとしたのですけれども、その限界を知りました。その限界というのは何かというと、こうやって砂がこっちへ行かないようにするのだから、こういうふうに仕切ればいいではないかというふうに単純に考えるわけです。ところが、砂というのはこの地域では水深7〜8mぐらいまでは楽に動いていますので、こういうふうに棒を立てたからこの砂は動かないかというと、この砂はこう回ることができます。したがって、こういうふうにやるというのはどのぐらいの構造物が必要かというと、このフィッシャリーナの構造物みたいなものをニョコニョコ、ニョコニョコやらないとならなくなって、そういるとこのビーチに行って待崎川の河口から東側をこう見てもらうと、長いビーチが続いていますね。あれが鴨川のよさですから、それが串刺しされてしまう姿にするというのは、そもそもそういうことを何でやったのという質問が出る可能性があると思います。だから、そういう点からすると、この突堤とかヘッドランドとかいうのも、なかなか思うようにはいかないなというふうに考えていただいていいと思います。もちろん、これはこれだけやるのでは全く意味がなくて、砂を実際に入れるというのと、同時にやらなければならないけれども、なかなか外海に荒い波が来る場所でそれをうまくいかせるのは大変だということになると思います。
                〔 Power Point 〕

 それから離岸堤、人工リーフ、離岸堤はさっきお話をしたとおりです。それから、人工リーフでも離岸堤でもいいのですけれども、どこでもいい、シーワールドの目の前に置くとしますね。そうすると、こういう議論になるのです。シーワールドの目の前は砂浜、前浜が全然ないから、さあ、大変だ、大変だ、大変だと言って置くわけです。これは全国、これでみんなやってしまって失敗したのだけれども、置くと、この背後は確かに静かになるのでこうやってトンボロ、ちょっとこれは大げさに描いてありますけれども、背後は静かになるので、砂浜がつく。ところが、その両翼から砂を引っ張ってくるわけです。そうすると、シーワールドを守るためにその右隣、左隣が凹むということは、シーワールドのところは守られるけれども、今度はこことここで波が当たるようになって、へたをすると保安林まで突っ込んでくるようになる。そうすると、そこも置けばいいではないかという議論になって、今度は両翼になる。そうすると、今度は隣側からまた入ってしまうので、あら、大変と言って、これはこうなるのです。(笑声)私は事の善悪を言う立場にないのだけれども、これを言ってしまったらおしまいよという方向に突っ走ることになるので、皆さん、どういうふうに考えていただけるかですね。
 これの1つ置いたところに戻せますか。
                〔 Power Point 〕

 1個だけポツンと、こういうところで議論をするときには、この会議が終わって、来年、再来年、波が来なければいいよ、そういう話だったらこれでいいかもしれません。だけれども、鴨川の海というのは、それこそこれから何十年、何百年と続いていくでしょう。だから、とりあえずという日本的な対応をやるというのは危険なのです。とりあえずの積み重ねが……。
                〔 Power Point 〕

 こうなるのです。これをやってしまったところが、言いましょうか、日本で。新潟でしょう、新潟県、富山、高知、それから石川では100基並べましたね。高知も60基ぐらい入っていますかね。だから、結局、1個つくるときにはそこまで考えなかったのだけれども、考えなかったというか、考えようと思ったのだけれども、20年たってみたらこうなっていたというところが多いもので、きょうはそういうふうに、結果としてそうなってしまうということは極力避けた方がいいのではないかなと私は思います。
                〔 Power Point 〕

 これは離岸堤ですね。
                〔 Power Point 〕

 これはさっきお話をしたとおりです。
                〔 Power Point 〕

 人工リーフというのはこういう代物で、いろいろな形のものをつくることができます。水の中に没しているので、表面上は見えない。これは離岸堤ほどどぎついものではないのだけれども、非常に広範な地域の砂浜の上にこういう大きい構造物が乗るということはどうでしょうかね、皆さん。ここに海草がつくからいいよという言い方もあるのかもしれないのだけれども、では海草のつく環境が最高のもので、砂浜のこういうところは無価値かと、これは質問があったら清野さんあたりに聞いてもらいたいのだけれども、価値というのは何なのかということまでよく考えないと、土木的に波が消えるから、これは消す意味ではいいのだけれども、本当にそれでいいのかという素朴な疑問はあり得ると思います。すべて全否定するのではなくて、そういう場合も出てきてしまうので考えてくださいよということです。
                〔 Power Point 〕

 実際にあるのですね、これは。千倉の人工リーフは、私はちょっとはいいかなと。これは事務局に聞いていただきたいのだけれども、これはすごくいい藻場になっていますね。たしかあれは……。
○星上 石です。
○宇多審議役 石ですか、たしか。そういうのなら、そういう使い方を、漁民の皆さんと相談をした、あるいはサーファーの人とか何かと相談をしながらやるならまだしも、防護だからだめ、だめ、この定規断面でやる、というような話になると、ちょっと変なふうに行ってしまう危険性もあって、今はやはり千倉のこれなどを参考にしながらとかいうのだったらまだ多少の検討の余地はあるかもしれませんが、基本的には離岸堤と一緒の面があると思います。ここに黒く見えているのが、これ、これ、これは千倉、ゆっくりと出ていますね。これはこれの緩やかな消波効果が出ているせいです。だけれども、隣側は、ここのところはちょっと前浜が削られています。
                〔 Power Point 〕

 次、陸で逃げるもの。これは清野先生が議長でさんざん口角泡を飛ばすというすごい議論をした結果、水の中でやるのはやはりやめよう。ここのところ、128号の国道が通っていて、ここの境のところに後退型の護岸というものをつくって、その前側にもう一列つくるという二段構えでやった。もちろんこれは車から見えるかとか、歩いたら見えるかとか、この後ろ側は安全が大丈夫かどうか、そういうことを全部つぶさにチェックをして、ここにいる星上さんなどはここへビールの空き瓶を入れるケースを持ってきまして、それで実際に並べて、サーファーの人とか歩いている人に、これに上ってみてくれないかというようなことをやって、何とかここまでこぎ着けてきたという面、これは別に自慢高慢に言うのではなくて、そういうのは日本で初めてだったもので、詳しくは清野さんか事務局に聞いてもらって、そういうことができたものであります。
 ここはそれが絶対にいいとは言いませんが、今あるものだけでは足りないのだったらば、場合によったらここのところをちょこんと上げる、ちょこんで済むかどうかはまた別途検討が必要ですけれども、そういうところをやっているところもあるよというふうに理解願いたい。これだとドミノ倒しというか、はっと気がついてみたら離岸堤だらけとかいうような話にはならなくて済む面があります。
                〔 Power Point 〕

 それで、こういうふうに二段構えで、これは緩傾斜堤と言って、その後ろ側に二段構えでできた。これは千倉でやっている例、さっきの千倉ですけれども、高さはこのぐらいだから、80cmぐらいかな。乗り越えるのには階段をつくっていますし、まあ余り障害にならないでいい方法として、あの地域には受け入れられた施設です。
                〔 Power Point 〕

 もう一つあるのです。これは最後になりますが、これは階段、緩傾斜護岸という緩やかな勾配のものというのは人間は下りやすいですね。下りやすいということは波が上りやすいということなので、あれを壊してしまおう、壊して、もとの直立に直してしまおう。シーワールドの前は階段の護岸ではなくて、あれは取ってしまって、縦に鉛直の護岸に直してしまおうということも案としてはあり得る。いろいろ手続上、できるか、できないかということはありますけれども、そういうこともあります。
                〔 Power Point 〕

 当然、海岸へのアクセスというものを考えなければならないので、だけれども、法面全体から下りられなくてもここは、千倉の場合は横に下りていく階段があって、これは昔なじみの海岸、どこもこういう形でありますけれども、そうすれば、こうやって傾斜堤をつくると前の砂浜を全部つぶしてしまうし、こういうふうに直立の壁があるときは波が非常に越えにくいものですから、それに対してかなり有効なものになるということで、対応の方向性はいろいろあるということになると思います。
 今のものがここからここまでのイメージです。きょう、皆さんからこういう意見がぜひ欲しいのですが、事務局としていろいろ検討しますが、どれでもいいのですが、例えばこれをもう少し詳細に検討してみてくれないかとか、あるいは何でもいいのだけれども、全部まんべんなくやるというのは大変なものですから、願わくば、これがもう少しわからないのだけれども、本当に具体的にはできそうなのか、できそうではないのか、ちょっと検討してみろという、そのような種類の発言があれば、きょう宿題として持ち帰って、もう少し正確に検討しますので、それらの御意見を後ほどいただきたい。
 以上です。
○司会 宇多先生、ありがとうございます。
 これから皆さんの方から、今ありましたように御意見なりをいただきたいと思うのですが、その前に清野先生、何かフォローしていただくようなことはありますか、一言。
○清野アドバイザー なかなかどれも厳しいなというのがありまして、今、できるだけ御意見をいただきまして、すぐに皆さん、説明して理解して決めるというのは難しいと思いますので、徹底して質問をしてください。長いことです。多分、ここにいる私たちが生きている間にここで決めたことがそんなに覆るという感じでもなく、何十年後までだと思っていただいて、すみません、聞いていて暗くなってしまいますが、やはりここまで来ると選べることというのは随分限界があるなという気がしますので、じっくりお願いします。
○司会 それでは、ぜひ会場の方から、わかりにくかった点を再度御説明するという形でもよろしいので、どんなことでも結構ですので、ぜひ手を挙げていただければ、何かございますでしょうか。
○上田 サーフライダーファウンデーションの上田といいます。
 きょうのいろいろテーマとして、波除堤のことということもあるというのと、実際、そのあたりが中心なのかなと思っていたら、かなり詳しく東条海岸の方の対応策も出てきているので、だからこの対策に関して、いろいろ逆に日本国内で行われているこういう事例とかプラス、ほかの国とかの海岸の状況のそういう情報とか、いろいろな資料とかもいろいろ集めたりはしているので、そういうものはなかなかきょうちょっとこの場で提供しても、それを紹介というか共有することはできないので、また今後にはしたいのですけれども、そういう形でもう少し、今の宇多さんの説明だけで、やはりもう少しこういうふうにできないのかなとか、そういうふうな技術論の今の日本国内の常識とかに対しての疑問とかというのもやはりいろいろな人が持っていらっしゃると思うので、そういうものはまたいろいろきょうの質問で出てくると思うのですけれども、だからそれ以上、きょうはどこまで話ができるのかなという疑問があるのですけれども。
○宇多審議役 技術論の話は全然する必要はなくて、もっと率直に今おっしゃったように、奇想天外な案でもいいのだけれども、こういうふうにやったらどうなのというのを出していただければよろしいので、それを詰めるのは我々が詰めてちゃんと御報告しますので、技術論争をやると、私みたいに長年こんなことばかりやっている人間と、それと対等に渡り合おうと思うと疲れてしまいますよね。そうではなくて、非常に率直、素朴な意見で、何か変じゃないのというような意見を出していただいた方が理解が進むと思います。
 それから、これはもちろん私の後に波除堤の話が入りますので、きょうのメインテーマは波除堤の話がこの後に控えているので、それがかなりメインなのです。こっちの方の越波対策の話というのは、先ほど来の報告で、やはり問題があるなということはおぼろげにわかっていただいたと思うのだけれども、それに対して、では具体的にどういうことがあるのかという質問が多分わき上がってくると思うので、それに対してチョコチョコと、とりあえずお話をしたということで、まだまだ今後、議論を続けていくつもりなので、割とリラックスして受け取っていただければありがたいと思います。
 先ほどの海外のあれとか何とかという話もあると思うので、それを含んでもみながら、別にこの中から選べとか、そういうことでは全然ないと思うので、もう少し広げながら議論をしていったらいかがでしょうか。
○相原 すみません、10年前ぐらいから東条海岸を毎日歩いている者なのですが、相原聡子と申しますが、私が10年歩いている間にシーワールドの前の堤防というか、遊歩道が3度壊れました。その中で思うのが、このたび修復された中でも、それは元に戻っただけなのですね。さっき写真で断面改良というのを見せていただいたのが、あれは私はすごくよいと今思いました。真っすぐに切るだけで……。
                〔 Power Point 〕

 これですね。段々、段々となっているから波がジューと行ってしまうという感じで、シーワールドのところは、それで下の砂がドーンと、そこが壊れると、壊れた石を私はケルンのように毎日、毎日積み上げて、それで壊れた堤防の後片づけをするような状況なのですね。それがこういうふうに直立護岸だったらどんなにいいだろうと私は今この写真を見せていただいて思いました。
○足名 足名です。今、相原さんが石を積み上げているというところで、参考までに話をしたいと思うのですが、望洋荘下の工事が始まったときに、ガラの小さい石がいっぱいあったのですが、その石がどうしても前原寄り、ビデオも撮ったのですが、土木の下の方にいっぱい集まったのがよくわかります。これはやはり離岸流、汀線からちょっと行ったところに横に走る水域がありますね。それは離岸流だと思うのですけれども、離岸流というのは突堤とか、海岸の中に、海の中に物があると、そこを目がけて結構走るのですね。だから、この鴨川の海岸はどうしても浜荻側は岩場で昔と全然変わっていないのでさほど変化はないのですが、どうしても前原側が変化があって、海にもいろいろ入って、どうしても東寄りに向く離岸流というのですか、それが強くなっていると思うのです。だから、こういう方策とかいろいろあると思うのですけれども、そういう離岸流のこともちょっと検討に入れて考えてみたらどうなのかなと思うのですが。
○宇多審議役 今、相原さんと、お名前は何と言いましたっけ。
○足名 足名です。
○宇多審議役 足名さん、お二方のお話が出ましたけれども、相原さんのお話は、かなり大事なことを言っているのです。それで、そこが清野議長のときに、白渚ですごくもめた点の最大の問題で、要するに緩やかな勾配を壊してしまったらどうかと。でも、一方でせっかくつくっているから、壊すのはなかなか大変よという言い方もできるので、さっきごらんに入れたものは、白渚の完成品はないですか。
                〔 Power Point 〕

 これですか、これはどけたのではなかったでしたか。この一番上は取ったはずなのですよ。
 相原さんの質問に対しては、これは全部取るというと、せっかくつくった土木事務所の人も聞いているのだけれども、職員がどうのではなくて、一度こういうものをつくったものを取ってしまうというのはなかなかしんどくて、すごい議論をした結果、この一番上のところを取ってしまって、全部取るのではなくて、そこをつくり替えて、そこにピョコンと塀のようにしたら非常に効果があって、事務局の星上さんがよく知っていますけれども、その後、高波が来ても全然水が越えなくなったという実績があるのです。だから、その話というのは、これはできているからもうだめ、びた一文譲らぬとか、そういうことではなしに議論の対象にするとすれば、それも皆さんの了解の上なのだけれども、結構そういう案でやれる可能性があります。だから、そういう意見も非常にありがたい御意見です。
 それから、もう一方の足名さん、今、「離岸流」とおっしゃったけれども、あれは「沿岸流」の方がいいと思います。確かに汀線のところからスッと、白波帯から急にちょっと青くなる、波が戻ってしまうというのかな、あそこは横にすごくこちら向きに動いていますね。それに乗るとこのぐらいの礫や何かは、波とともにクック、クックとやって待崎川の方に動いてくるので、それはそのとおりだと思います。今おっしゃったことは計算でやることができますので、そういう視点を載せた計算を可能であればやりますので、そうやってみて、私の説明が悪かったのかもしれないけれども、これは物主体でしょう。物主体というか、水は実際に動いているのに、例えば、ヘッドランドというか、物の説明に終始してしまったから、実際にこういうふうに水が動いているところにこういうものをやったらどういうふうになるのよという質問でしょう、水の流れとの関係で。だから、そこらは説明が少し不足していたと思います。そういう水の流れとかいうことを考えながら、詳細な詰めを行っていった方が私もいいと思います、それは。
 いいですか。答え、少し足りないですか。質問の趣旨と違いますか。もしあれだったら、もう一回言っていただければ。
○足名 やはり物を入れるとそこに向かって離岸流というのは出ると思うのです。だから、例えば人工リーフとか、ヘッドランドですか、そういうものを入れると、そこに離岸流が発生して、離岸流というのは沖に出る潮ですね。それは1回、波のエネルギーがそのまま返るのではなくて、横に走って、それに向かって離岸流が出るので、どうしても前原寄りの方が離岸流が強いと思うのですよ、そのガレ石の状況から見ても。だから、その辺の基本的なところを今の工事の技術ではどうしようもできないのかもしれないけれども、その辺をもう少し具体的に何か考えていって、例えば護岸の柵の棚上げをするとか、そういうことを考えていった方が手順ではないかなと思うのですが。
○宇多審議役 わかりました。それはきょうは持ってきていないのですが、写真の上にこういう流れが出ますというような模式図というのですか、それを次回にでもちゃんとごらんに入れて、そこのところの理解をした上で先に話ができるように少し準備をさせていただくということでいいですか。そういうことでよろしいですか。
○足名 はい。
○大串 大串と申します。
 離岸堤の撤去のところで、砂が戻らないのかというのをちょっとお伺いしたいのですけれども、左の方に。
○宇多審議役 あれはたしかパワーポイントがありましたね。
                〔 Power Point 〕

 大串さんの話は、この絵で見ると左の離岸堤の背後の砂はフィッシャリーナ側に引っ張られて、向こうへたまっていますね。そうではなくて、この砂がずっとこっちの方へ行ってしまって、フィッシャリーナの前の、要するにやせたところをもう一回復元するのに役立たないかという、そういう質問でしょう。
○大串 はい。
○宇多審議役 これは、この中の幾分の砂は戻ります。多少は広くまき散らされます。しかし、今のところこれの遮蔽効果というのはすごく効いているので、おおよそそれはこっちへ行ってしまいますね。これも全部除けてしまうとかいったら、これは元のようにピタッと元に戻ってしまいますけれども、今の段階ではこれの効果というのはかなり大きいので、ここところはまだたまりたくてしょうがないという、砂があればもっとためたいなという感じで動いてくるので、そういう点からすると、この砂の過半はこっちへ持っていってしまう。これは面積は合っていませんが、実はここは浅いので、この砂が全部こっちへ行くというわけではないですけれども、バランス上はそうなると思います。シーワールドの前の前浜をもう一回昔のようにしてくれと言うならば、加茂川の河口より左側にあるこの一連のものを全部どけないと、元には戻らないと思います。
○大串 それでは、初めから右側に何か違うものであらかじめ埋めてしまうというのはだめなのですか。
○宇多審議役 ここに。
○大串 先に、右側に。
○宇多審議役 それは思いもつかないおもしろい案で、ここの港口を塞ぐということを防除するためにここに何かの、それこそ波除堤ではないけれども、防砂堤が必要になりますが、ここにこうやった上で、ここにどこかから砂を持ってきて全部埋めてしまおう、そしてこれを取ったらという質問でしょう。そうしたら、この砂はこちらに戻ります。急に言われてもわからないと思うけれども、この砂はこっちに最初から行きたいのではなくて、ここがたまりたくてしょうがなくて、どこの砂でもいいから食べたいのですよ、これは。だから、ここを先に入れてしまえば、この砂はもう要らなくなるので、ここらはペチャンコになって、左右にまき散らされておしまいということになると思いますね、原理的には。
○司会 ほかに何かございませんでしょうか。
 清野先生、既設の護岸を取るのが大変だというあたりのお話をちょっとかいつまんで皆さんに御説明していただけないですか。
○清野アドバイザー 宇多さんは、「せっかくつくったのだから」という表現をされていたのですけれども、そのあたりはすごい深い話がありまして、千葉県の中でこういう海岸はたくさんあるので、もう取ってしまった方がいい海岸になるよねという話はあちこちにあるのです。ところが、なぜ取れないかというと、国のお金を使って、県のお金だけでつくったのだったら県民だけで決めていい部分もあるのですけれども、それでもやはり国のお金が入ってしまってつくってしまったので、そういう援助を受けたものは、使い切るまで使いなさいよという県と国の契約みたいなものがあるのですね。それが公共事業の掟なので、国からお金をもらったのだけれども、これを取りたいというときに、金、返せということを国が言う場合があります。これがすごく問題で、公共事業でこれはちょっとやばかったかもというときに、なぜそのまま進んでしまうかというと、金、返せと国から言われて返すよりも、もう行くところまで行ってみようかというので、バブルの時代とかはお金があったので、行くところまで行ってしまったのです。
 今、県も国もお金がなくなってしまって、直したいのですけれどもとかいう話になったときに、じゃあ直すお金を県で出すのだったらいいのではないのとか、国はだけれども、援助しないよということ、それから千葉県も多分もう破産ギリギリになっていることは御存じだと思うのですけれども、相当財政が厳しい中で、全県やはりすごく災害とかが出ているので、1海岸当たり、もう何十年に一遍ぐらいしか工事ができないのです、この後。そうすると、もうすでにある程度対策をしてあるところは、それ以上どんどん注ぎ込むよりも、ほかに困っているところにお金を回してあげたらという話もあったりとかいうことで、ちょっと昔、お金があった時期みたいに、バンバン、バンバン事業を投入するというのは急にできなくなっています。そのあたりのいろいろな税金の仕組みとか、お金の状況があって、アイデアとしてあるのですが、その先というのは、相当いろいろな理詰めで行くとか、だれがどうお金を負担するとかいうような、役所の人が相当汗をかくというのと、それから何で地元がそう考えるかという強い理由と、そうした方が絶対に海岸はよくなって、そうしてもらえれば何十年もこの海岸を大事にしていきますというふうに鴨川の人が約束してくれればいいかもしれないけれども、チョロッと言うだけだと、かなり厳しいかなというのがあります。
 そうは言っても、白渚の場合も最初は絶対にだめとか言われていたこともあるのですけれども、いろいろな人がやはりそうした方がいいのではないかというようなときには、かなり制度的にも、お金的にも、地元がきちんとこれだけ考えているという理由も整理していくと、ガッチリ組み合わさってしまっている税金の仕組みも動かないわけではなくて、そこが相当まだ道のりが遠いかなという感じです。
 ただ、アイデアとしては、出しておくことが絶対に大事です。だから、今できないかもしれないけれども、できるようになるということが急に起こることもあります。それは、例えば自然再生というものだとか、あとは余りに日本の海岸がひどいので、それを直すということに対して国庫補助事業というものがついて、直す方でテトラを取ったりとかいうようなところも出てきているので、今思うことはやはり言っておかないと記録に残らないし、そういうアイデアがあればそのうちチャンスが来たときに巡ってくるというのはあるので、そういう点ではやはり自由な議論をしていただければと思います。
○宇多審議役 相原さん。
○相原 すみません、たびたびで申しわけないのですけれども、10年のうちに3回の事故、事故というか、怪我をしてしまった護岸がシーワールドの前なのですね。そのシーワールドの前の工事方法というのが、石をダーッと並べて、そしてそれを斜めにうんと浜の方に向けて並べていって、その上にコンクリートを井桁のようにして、そこに石を積むのです。もう本当に波が来たら、これはすぐ壊れるだろうと思うような工事方法なのですよ。私は素人考えで、そんなに長く海に突き出すなら深く掘って、深く、深く、深く掘って、砂をそんなに持っていかれないようにすれば、せめて道路は壊れないのではないかと思うのですね。
 どんな波が来るかということは本当に、この間の波は陸から来たときには、砂がなくなるのです。台風が日本の国土を横切って来るときは砂がなくなるのです。ところが、沖を通ったときは砂がドッと戻るのです。そして私の身丈2つぐらい砂が戻ります、一夜にして。それは毎日、砂を見ていて思うのですけれども、台風の来る方向によって違うということは本当にあって、このときは陸から来たときです。そういうのを観察していて思うのですけれども、この方法はシーワールドの前だけでも直角に深く立てたらいいのではないかといつも思っているところなのです。
○清野アドバイザー 技術的なことは宇多さんに言ってもらうとして、やはり10年に3回同じふうに壊れているという記録は、今後どうするかを考えるときにすごく重要な御指摘です。それから、相原さんのように毎日歩いている人がどういう風のとき、波のときどうだったという記録もやはりすごく大事ですので、病気と同じで、しょっちゅう同じ病気になるのだったら手術した方がいいよとか、そういうのと同じです。
 多分、国の仕組みとしては、壊れたものを同じ形で直しなさいよ、そうじゃないとお金はつけられないよという変な仕組みがあって、原状復帰とかいうことで懲りずにやっている部分もあるのかなという気がします。ちょっと、こういう構造はどうなのかということを……。
○宇多審議役 今の議長の話と同じことをもう一回言いますけれども、これは今あるものを壊しましょうと言うと角が立ちますね。しかし、10年に3回というのは3年に1回でしょう。そして予算を出す方から、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律なのだけれども、彼ら予算を握っている方が一番言うのは、二度そういう災害が起こらないようにしたよねということを何偏もくどく言われる、県の皆さんがいるけれども、必ず言われるのです。それを3度やっているわけです。これは逆に利用する手があって、つまり失敗したと言わないで、それぐらい大変なので、今度壊れたらこのように構造を改めないと4回目をやってしまいそうなのですと、だから、それは税金の無駄遣いになりますので、ここで技術的な検討を十分に練りに練った案として、皆さんの同意もあったら非常にありがたいわけだけれども、そうやって、例えば案をつくっておく。それはさっき議長が言ったとおりですね。案を持っておかないと、いざというときにどうもならないので、だからそういう点で割とフランクな意見、くどく言いますけれども、そういう意見は非常に参考になるので、みんなでこれを壊しましょうと言うとちょっと角が立つのだけれども、壊れないようにする前向きな話に展開できる可能性があると思います。
 それから、この施設が壊れやすいというのは言うとおりです。何も言う答えがありません。
○司会 もしほかに特段なければ、実は、先ほど申し上げましたように波除堤のお話もきょうはさせていただかなければいけないので、時間が実はかなり押していまして、5分程度休憩をとらせていただいて、その後に次、休憩明けに、県の南部漁港事務所の方から波除堤の詳しいお話を説明いただけるということなので、今から5分間休憩させていたただきます。
 よろしくお願いいたします。
                 〔暫時休憩〕
○司会 それでは、短い休憩で申しわけございませんでした。
 それでは、早速、次に千葉県の南部漁港事務所の方から、波除堤について、今後の計画等について御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○高木(南部漁港事務所) こんにちは、私は南部漁港事務所の高木と申します。よろしくお願いします。
 今、先生方が説明したようになかなかそこまでうまく説明できませんけれども、これから鴨川漁港の波除堤を中心としたお話をしていこうと思います。
 説明をする前に鴨川漁港、皆さん御存じだと思うのですけれども、千葉県でも有数な漁港でございます。それで、これは第三種漁港と言われていまして、利用範囲が全国的ということで、他県の船も水揚げをしている。現在、13年ごろですか、どのぐらいの組合員数がいるかというと、約500名ぐらいがいる、そのように大きな漁港でございます。
                〔 Power Point 〕

 それでは、漁港の現状で、この丸がついているところが本港地区と我々が呼んでいるところでございます。隣が小寄地区、それから今回メインになっております前原地区、この3つの地区を合わせて鴨川漁港と呼んでおります。
                〔 Power Point 〕

 まず、きょうのメインテーマになります前原の、これは波除堤ですね。その付け根から前の方へ出ているのが前原の防波堤、それから船揚場の前にあるのが前原の突堤です。それから本港地区の方へ行きますと、これが航路防波堤、その付け根にあるのが航路、本港の波除堤です。その本港の波除堤の前にあるのが前原の防波堤と、こちら護岸が一部入っておりますけれども、小寄の防波堤です。話は前後しますけれども、本港地区の大口防波堤から陸の方へ南防波堤、これが今回説明する施設の配置で、これが主にこれから話す中に出てくる施設です。
                〔 Power Point 〕

 なぜ前原地区の船揚場が使われないか。これは実はこの船揚場は平成10年には完成しておりますから、もう6年ぐらい使われておりません。それでは、ここに2隻あるではないかということなのですけれども、どうしても小寄、あるいは本港の方がいっぱいですから、ここに置いて、大きな波が来ても何とかやっていこう、そういうふうに今、努力している2隻でございます。
 波を見てもらいたいのですけれども、今回、平成16年7月1日ということで、台風8号ですけれども、なぜ使われないかというと、こういうようなうねりが前原地区には入ってくる。これを見ればわかるように、これは斜板堤なのですけれども、うねりがずっとこのまま入ってきて、これが船揚場を駆け上がって駆け下りてくる、そういうような状況になっていまして、通常の時化でもうねりが入ってくるということになりますと、船は船揚場に揚げておくことができないということで使われておりません。これは台風8号の状況で、これは加茂川のこちらの方に橋があるのですけれども、橋の上から撮った写真ですけれども、かなり大きな波が来ております。
                〔 Power Point 〕

 今度は逆に港内の方からこの防波堤、これを撮った写真なのですけれども、ほとんど越波というよりも越流状態で、これではちょっと船も置けないような状態になっております。
                〔 Power Point 〕

 これは小寄の防波堤なのですけれども、小寄の防波堤、先ほど先生の方が、ここは安全な船溜まりという話だったのですけれども、今回見て私も驚いたのですけれども、ほとんど越流の状態になっております。
                〔 Power Point 〕

 これはそのときの、ここには工事のユンボがあるのですけれども、こういうような状態になってしまっている。
                〔 Power Point 〕

 このとき、もう一ついけないことがあったのは、満潮とほとんど重なっていまして、ちょうど3時半ごろが満潮で、その当時、ちょうど撮った写真でございます。
                〔 Power Point 〕

 それでは、今度は本港がどうであったか、整備効果、それについて説明しますと、本来であれば先ほどここが荒れたときのここの状態の写真があればよかったのですけれども、波の強さの方に気を取られて、ここがそんなに荒れていないという写真を撮りたかったのですけれども、それはちょっと忘れてしまいました。本港のこの波除堤なのですけれども、沖合から波が入ってくるのですけれども、それをこの本港波除堤で防ぐことによってこの港内が静穏になる。そういうことでこれをつくってみて、平成14年ですか、最終的にできたのですけれども、大分効果が上がっているということでございます。ここに港内が静穏になったということで書いております。
 それでは、同じような向きになっていますから、前原の波除堤を整備したら同じふうに静かになるのではないかということで私どもの方で考えまして、そうしますと、こちらからやはり波は回ってきますけれども、これで抑えられることによってこの中が静かになる、そうすると、船も揚げていくことができるのではないかということでございます。
                〔 Power Point 〕

 それでは、波除堤と航路の関係なのですけれども、今ここに書いてある波除堤、これはこれから説明に出てくる直立の消波構造の波除堤なのです。それに普通、皆さん御存じだと思うのですけれども、波消しブロックをこういうふうにつけた、そういうような防波堤をよく見ると思うのですけれども、そうしますと、ここの場合には、ここにかかってしまいますから、安心して航路を走れないということになります。
                〔 Power Point 〕

 そういうことで、波除堤の断面なのですけれども、直立の消波ブロック構造の断面をこちらの方では考えました。
                〔 Power Point 〕

 これがその配置図でございまして、これは長さが20m、幅が10.8mで、角度的には135度ということで計画しております。これが波除堤の断面で、真ん中には波がこちらから、この中は波を通しますから、それで入ってきた波がこの中に入ることによって、出るときには波が小さくなるということで、真ん中にはこのまま行ってしまうと、あいているとこっちに抜けてしまいますから、不透過の壁をつくります。そうしますと、一番目に波浪をまず阻止するのと、前面の反射波を小さくします。当然、これは全断面をそういうふうにつくりますから、背面も正面も反射する波は小さくなります。
 これを今度は前原の防波堤と波除堤をこの断面で切った場合、それを見ますと、こちらが前原の防波堤です。それからこっちは前原の波除堤、こういうような形になります。
                〔 Power Point 〕

 そうすると、今、前原の防波堤なのですけれども、遊歩道がここの高いところ、このてっぺんのところは高さが8mぐらいあるところ、それと小さいトンネルのように通っていくところなのですけれども、これは高さが2.6、そうすると、ここの高さを波を越えないようにしますから、このてっぺんの高さは5.1ですから、この高低差はこの遊歩道、ここですね、こことこのてっぺんとの差は2.5mの高さになります。そこで、これをつくって、これをつくって、今度はこの間から波が入ってきますから、ここの部分はこれと同じ高さで先端部のところは壁をつくります。そういうことで、港外から港内に入ってくる波を抑えるということにしております。
                〔 Power Point 〕

 今後の方針なのですけれども、まず前原地区の波除堤を整備します。それから、引き続いて突堤の改良をします。そしてこの1番目と2番目が整備されたならば、港内の静穏度などを調査しまして、それから前原のこの先端部の補強として堤頭処理が必要になるという形を考えております。ここのところの静穏度なのですけれども、2〜3年程度、例えば台風が全然来なければここはどうなるか。あるいはどのぐらいの時化のときはどうなるかというものを調べてみることで2年ぐらいかかると考えております。
                〔 Power Point 〕

 本港地区については、すでに波除堤が整備されております。そうしますと、ここのところ、大口防波堤というのですけれども、ここを今整備中でございまして、それからこの南防波堤、これを整備していきます。そして整備された後に、ここは越波がすごく台風のときにするようなので、そういうような港内の静穏度、これらは保護にかなり効いているのですけれども、そういう様子を見まして、それから港内が静穏ということになれば、ここの部分の先端部の補強をして完了したいと考えております。
 実は先ほど写真で見たように、今ここが、ここは小寄の船溜まりなのですけれども、ここがすごく越波してくるということになると、一番安全なところが安全ではなくなるということに、今回見てびっくりしたのですけれども、そういうことで、ここのところは今後また検討して、今回、ここのところの嵩上げということをやっていますけれども、それだけではおさまらない状態であれば、またここのところは考えていきたいと考えております。
                〔 Power Point 〕

 最後になりますけれども、これは航路防波堤の写真なのですけれども、先ほどからお話をしている航路防波堤、前原の防波堤、両方とも実はまだまだ整備しようということを考えておりました。そういうことで、ここのところなのですけれども、見てもらいたいのですけれども、整備をこれからまだしようとすると、どうしても完成の形には持っていけません。そうしますと、ここのところが崩れてきます。ということは、このブロック、これは標準部というのですけれども、同じブロックを使っています。そういうことですから、先端部はいろいろな方向から波が来たり、集中しますから、当然こういうところと比べれば崩れます、何もやっていなければ。
 ということで、先ほどからよくお話をしているように、先端部を補強して終わるということは、ここは例えば60トンのブロック、あるいは50トンのブロックであれば、ここはたしか60トンなのですけれども、80トンクラスでここを巻くということで補強をして完了する。そうでないと、いろいろな波が集中しますから、この集中するこの計算というのがまだ本当に確立されておりませんから、1.5割り増しのブロックでここらを巻くのですよということになっております。それをやらないとこの防波堤としての機能を果たさないということになりますから、最終的には60であれば80トンクラスのブロックで先端部を巻いて完了させるということでございます。
 それで、先ほどの前原の波除堤なのですけれども、皆さんがここで合意していただけるのであれば、私どもの方としては早急に国の方に申請をして、11月中には着手したいと考えております。
 以上でございます。これで前原波除堤を中心とした説明を終わらせていただきたいと思います。
○司会 どうもありがとうございました。
 では、今、南部漁港の高木さんの方から御説明いただきましたが、特に波除堤の今後の整備の計画についてのお話だったと思うのですが、何か御意見とか御質問がございましたらよろしくお願いします。
○宇多審議役 私が聞くのも何なんですけれども、今ある前原の防波堤の上というのは人が上れるようなフェンスもありますね。あれをつくると波除堤の先に行って釣りをしたいなどという人も出てくるのだけれども、その目の前が航路なので、果たして人を入れるべきか、入れざるべきか、あるいは落ちないかとか、そこらもちょっと。
○高木(南部漁港事務所) 実は高さを2.5mにしまして、この前原の波除堤につきましては、先ほど2.5mの……。
○宇多審議役 何か図面がありましたね。
                〔 Power Point 〕

○高木(南部漁港事務所) これですね。2.5mで、これはずっと高いですから、ここには上がれるような施設はつくりません。ということは、ここから釣りをやりますと、ここを通る漁船がぶつけられてしまったり、いろいろなことでトラブルになりますし、そういうことですから、上がれるような施設はつくらない。
○宇多審議役 そうすると、釣り人はこちら側の本体というか、あの垣根のついているところはどうぞ、だけれども、こちらの方はちょっと別ですよ、乗らないでくださいなと、そういう方向で考えているということですね。
○高木(南部漁港事務所) そういう考えです。それと、今回、先ほど荒れた状態のところがありましたね。ああいう状態でも釣っている人がいるのですね。本当に危なくて、それで、今回、話を聞いたら、漁業者の方がかなり怒って、しかったらしいのですけれども、こういうような状態ですね。
                〔 Power Point 〕

○宇多審議役 これでも上がっていたのですか。
○高木(南部漁港事務所) そうらしいのですよ。聞いてびっくりしてしまってね。だから、そういうことがあるので、釣りをやる場合はそちらですけれども、そのときはこういう日はやめてやっていただきたい。たしかこのときは上がれないように閉めることになっていますから、恐らく閉めても入ったのかどうかわからないのですけれども。
○宇多審議役 わかりました。すみません。
○高木(南部漁港事務所) そういうことですから、皆さんもし釣っている人がいたら注意してもらいたいと思います。
○司会 ほかに何かございませんか……。
 先ほど高木さんの方から御説明がありましたように、一刻も早くやって静穏度を上げたいというような県の方の御要望だったかと思いますので、逆にこの場で余り異論がなければ、県の方としてはこれで進めさせていただきたいというようなお話だったと思いますので、その辺について特になければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 大体よろしいでしょうか……。
○池田 ぜひ早めにやっていただきたいと思います。
○清野アドバイザー 多分、いろいろ漁港の使いやすさとか、どういう状況かということで県の方で調べていただいたのですが、きょう、漁業者の方にせっかく来ていただいたので、御説明の中でいろいろ足りないところとか、こういうことはもう少し考えたらということがあったら御指摘いただきたいのですが、どうでしょう。大体よろしいですか。
○池田 私は池田と申しますけれども、やはり予算ということを前提に置かれてしまいますと、希望はいろいろありましても、現に鴨川は千葉県あたりで、実際のことを言うと、気象庁で調べた範囲だと水位が60cmも上がっている。だけれども、防波堤や岸壁を設置するのに、県としては従来どおりの高さの水位でやっているというのが現状らしいのですね。それもこれも予算に応じて、また地球の環境に応じての自然の問題ですから、極端にここだけこうしてくれということもできないと思いますけれども、総体に結局60cmの水位が上がっているところに昔のままの岸壁の高さで、繋留場でやったら、やはりさっき言ったとおり、繋留場に波がああやって上がってくるのは当たり前だと思うのですね。でも、やはりそれが現実であれば、それを徐々にお願いしていくというしかないと、私はそういうふうに考えていますので、またひとつよろしくお願いいたします。
 これは南部漁港さんにも、ひとつよろしくお願いいたします。
○宇多審議役 それは高木さんの話が物語っているのですが、つくってみて、2、3年、ちゃんと見てみようというふうにさっきおっしゃっていたと思うのですね。これが大事で、今、できることはおっしゃるとおり予算も限りがあるのだけれども、きょうで終わったというわけではない、やはり少しずつよくしながら、問題があれば修正していくということなので、きょうやったからパッと、もうそれでおしまいとかというふうに高木さんは多分言わなかったので、ちゃんと様子を見てみようねという、それは高木さん自身がお話をしているということはちゃんとやるはずですから、そういうところでまた日進月歩というか、ちょっとずつやる、その柔軟さがあれば、徐々にはよくなるかなと。
 それと、海面が上がっているというのはこれは日本全国の問題なので、これはどえらい問題で、漁港だけではなくて、砂浜の方もこれは50cm上がったら、もうほとんどおだぶつに近いのですね。だから、そういう問題は共通認識としてやはりちゃんと調べながら、漁港もそうだし、あっちの砂浜の方も同じ問題なので、やはりちゃんと考えていかなければならないというふうに、課題はあるよというふうに認識していったらどうかと、非常にするどい指摘だと思います、それは。沖縄なども、海面がこんなに上がってしまっていまして、水があふれてくるのですね、毎日ではないですけれども。だから、そういう問題があるということはやはり十分注意すべきだと思いますけれどもね。
○池田 よろしくお願いいたします。
○司会 ほかに何かございますでしょうか……。
 それでは、この件についてはもうないようでしたら、ここから先は南部漁港さんの方で波除堤を推し進める方向で今後、具体的な事業の検討に多分入っていただけると思いますので、またその成果は次の機会にでも御報告できるのかと思います。

6.意 見 交 換

○司会 それでは、時間もちょっと押してはいますけれども、先ほど来、本日、午後1時半から長い議論をいろいろさせていただいていますが、いろいろな議論を振り返りまして、総括的に、ちょっと聞きそびれたとか、こういう意見だけはぜひ申し伝えていただきたいとか、どんなことでも結構ですので、意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○宇多審議役 せっかくですから、さっき話した内容にではなくて、海岸のこととか諸々の話、何か聞きたい点があれば、議長共々何とかお答えしますので、少し広めに御質問していただいてもよろしいのではないでしょうか。
○上田 もともと海岸に物をつくったらこっちの海岸がどうなるとか、そこが侵食しているとか、そういう問題を中心にずっと話をしているのはよくわかるのですけれども、実はきのうもほかの学会で合意形成とか、そういうものによっての地域づくりがどうあるべきかというお話の中で、専門家の方というか、宇多さんとか清野さんとか、そういう分野の専門家の方とやりとりするのはものすごくよくわかるし、有益なのですけれども、海岸とその地域の人が住んでいて、その海岸とかがその地域の財産であって、その地域のいろいろな経済的なものをどういうふうに今後展望していくかとか、その地域が海岸とともにどうやって発展していくかとか、そういうふうな明るい海岸づくりというか、そういうふうな合意形成とかも、合意形成というのは日本の中では実際にされているところがないぐらいなものであって、それと同時にいろいろな税金の特区とか、そういうふうな結構行政側の、小泉さん特有の何でもあり状態な末端の仕組みがある中で、画期的なお金の使い方とか、画期的な議論とかというのがもっとできるような、だからそのために私は提案として紙に書いたのは、本当にそういうものを逆に進行できるような専門家というか、その人の分野というのは社会学とか経済学とか法律とか、そういうふうな分野もわかるような専門家の方も入りながらの合意形成とかができないものなのかなと。だから、本当に千葉県でやっているこういうものというのが、そういう1つステップアップするようなこともあってもいいのではないかなというようなことを漠然と感じます。
○相原 すみません、たびたびで。今の話とは全然違っていいというのでお話をしますが、汐入公園のところにホームレスが住んでしまっていて、そのホームレスの住まい方が本当にこのごろすごく大胆になってきまして、鴨川は観光地なのに、これは困ると思うのは、もうパンツであろうと何であろうとあそこに干すし、洗濯物は土木のところの駐車場のところで堂々と発泡スチロールにつけ込んで放置するし、自分たちのぬるま湯をつくるためにペットボトルに水を入れてそこいらに並べてずっと、ちょうどよい温度のシャワーの水をつくっているし、それでなぜそこに住まわせてしまっているのかというのが不思議なのですが、あそこに、県の地所であるところに鉄条網を張って、そこにどうぞお住みなさいと、そういう状況に環境的にしているのですね。それはすごく私も環境美化を考えて毎日ごみ掃除をしている立場としては、何でこれが許されるのであろうかといつも不思議に思っているのですが、あそこは住んではいけないところだと思うのに、それを認めて、それをここの敷地にしてくださいというような状況を与えているのは、ちょっと私は鴨川住民として納得できないのですけれども、何とかしていただきたいと思っております。
○司会 ありがとうございます。
○清野アドバイザー 行政の方、今答えられることがあればあれですけれども、もしなければ一応考えていただいて、なかなかそういう海岸に住まわれている方を無理やり何とかというのも難しいので、そこら辺はぜひ市と県の方で考えていただけたらと思います。
○司会 先ほどの上田さんのお話で、きのうの続き的な話なのですが、清野先生の方からちょっとフォローをというか……。
○清野アドバイザー いろいろ今は上田さんの方から専門家の分野をふやすということで御提案をいただいたと思うので、それはそれで、そういうことも今後あり得ると思いますし、検討してみたらいいと思います。
 一方で、私、すごくもったいないと思うのは、鴨川の市でこれだけ場をつくってくださって、それで県もこれだけ応援してくださっているので、もっとこういう場ができたことをどんどん活用して、この会議で出会った人たちが勝手に勉強会をやるとか、そういうのでもいいから、もっと何ヶ月かに一遍お会いするまでの間に地元での議論を深めていただいた方がいいのだと思います。
 千葉県内にはさっきちょっと宇多さんのスライドにも出てきましたけれども、変な話、海水浴場として終わってしまったところとか、漁場として埋まってしまって終わってしまったところとかたくさんあります。そういうところはこういう会議の開きようもないぐらいもう人と海の関係が切れてしまっているので、もう全然そういう雰囲気にならないのですけれども、鴨川はこれだけやはり海岸を何とかしようよという雰囲気が行政の方にせっかくおありになるので、ぜひそのあたり、この後、お会いするのは多分秋が深まってからなどになってしまいますから、皆さん、夏が終わったら、ぜひ地元でいろいろなディスカッションの場を持っていただいて、それをまたこちらに寄せていただければ、それまでの間にもっと細かい検討ができると思います。
 もう一つ、さっき漁港事務所が割とあっさり説明していたのですけれども、私は漁港事業としては、これは結構画期的だと思っています。なぜかというと、今まで漁港というのは本当にニョキニョキ、ニョキニョキ延ばすことで対策をするということの方が多かったのですけれども、今回は本当に千葉県の漁港課さんと南部漁港事務所さんが漁業者の方に丁寧にいろいろなことを教えていただいたので、もう少しあの中できちんと使いやすくしようというような努力をすごくしていただきました。これもこの会議が始まって、フィッシャリーナの中があそこまで使いにくかったとかいうことがはっきり出てきて、会議がなかったらあのままほっておいたのかなという感じもあるので、それはさっき言ったみたいに本当に皆さんの声が具体的に上がってきて、ああいう証拠写真とかがあると、専門の人とか行政の人は、ああこういうふうに対策ができるとすごくアイデアがわいてくるので、ぜひそういうこともやっていただけたら、もっともっと鴨川の海はよくなると思います。
 暗い話が多かったとかいう感想なのですけれども、逆に明るくしてくれるのは地元の方しかできないので、そのあたり、海の話とか、あとお魚の話、食べ物の話とか、漁業でどんなものが捕れるとか、もっとそういうワクワクするような話を次回までに何か伺えたらいいかなと思いました。
 以上です。
○宇多審議役 今の話でほとんど言ってしまっているので補足なのだけれども、これはもともと海づくり会議なので、我々議長以下は当面問題解決のために来ていますけれども、本当は上田さんが言うような新しい文化というか、これは清野議長が前から言っているので、別にブロックを置くために我々は来たわけではないわけだから、本当は例えばカリフォルニアの海、カリフォルニアが私は好きだから言うけれども、ああいうイメージを何かうまくつくり出そうね、それには地域も行政も協力したらこういうふうにできるのではないかというような前向きな話ができる場をつくれる可能性があると思うのです、いろいろ試行錯誤はあると思うのだけれども。だから、そういう面で、きょうは懸案処理のための合意形成だと言えば、それは前原のあれを直して、はい一件落着となるけれども、本当のねらいはもう少し広いところにあったと見るべきだろうと思います。
 それから、南部漁港と漁港の話をさっき議長が言っていたけれども、これはできればここでの、鴨川での営みをこういう議論があってこういうふうに最後はうまくいったのだというのをぜひ発表してもらって、要するにほかのそういういろいろな地域で悩んでいるのだけれども、どうやって問題解決していいかわからないというところが、実は南部漁港に聞きに行ってくださいというふうになれば、あらかじめ問題がいっぱいある中で、解決をだれかやった人がいればそれに右にならえば、かなりくだらない時間を費やす時間が減ると思うので、そういう意味で、これがうまくいったらそういうものをどんどんオープンしてもらったらどうかと。事務局がやるのではなくて、主体みずからがやはりやっていただいたらどうかと、そんな印象を持ちました。
○清野アドバイザー 次回、11月までに皆さんにお願いしたいのは、千葉県のほかの海岸を見に行ってください。それできょう説明したいろいろな施設とかいうものが実際に海に入っているのを見ていただくと、鴨川にああいうのができるのかなと思って想像してもらった方がいいと思います。こういう会議の欠点は、スライドで見せるので本当に自分のところにできたときに、「えっ」ということになることが多いのです。それで、鋸南町の勝山の漁港の海岸もポケットビーチに離岸堤の大きいものを入れるような話があったのですけれども、地元の方がやはりいろいろなところを見に行って、随分考えてくれて、自分の漁港とか海岸をこうしたいというふうに、結構いろいろなところを比較しながらおっしゃっていました。だから、ぜひ日々やはり考えていただいて、もしどこを見に行ったらそれに相当するものがあるかというが不明でしたら、行政の方に問い合わせていただければ、こういう施設はここに県内では入っているとかいう御紹介もできますので、ぜひお願いします。
 それから、きょう、漁師さん、本当にいいお天気でもっと働く時間が確保できたかもしれないのに、この会議のために本当にお仕事を中断して来ていただいて、どうもありがとうございました。本当に、やはり漁師さんが海のことを一番知っているということで、絶対にお話を伺いたいということで今回来ていただいたのですけれども、これからもぜひそういうわけで、こういう会議とかほかの局面でもいろいろ教えてください。
 それから、アザラシの種類はゴマフアザラシの間違いだったので、次回までにアザラシ図鑑で、アザラシの見分け方の資料を出しますので、申しわけありません。
 私の方からは以上です。
○宇多審議役 大矢さんから。
○大矢 すみません、私は千葉県の職員で大矢と言います。
 先ほど地域づくりの質問が出ましたので、参考になればということでお話をさせてもらいます。
 実は、私は大網白里町という九十九里浜にある町があります。そこの町で海の家の問題でいろいろトラブルが起きました。それがきっかけであったのですけれども、大網白里町というのが鉄道のある陸側約10km、そこに都市化された市街地があります。それから、昔からの大網白里町、海岸沿いですか、九十九里浜に面した地域、同じ町でありながら、そういう地域性が極端に分かれていまして、ある意味では不公平があるということで、海岸沿いの皆さんが、やはり子孫繁栄のためにどういう地域づくりをするかということで自治会さんですか、中心になって動いたのがあります。それは決して難しい専門家とか何とかではなくて、自分たちの地域の問題ですから、自分たちが考えるということで役場も一緒になって、たしか勉強会をしたケースがあります。
 やはりこれから高齢化を迎えるとか、私も昔、前原では大きな旅館があったりして、非常にいいイメージがあったかなと思います。ですから、そういう地域をこれからどういう町にしていくのかというのは、やはり地域が決めることだと思います。そして、きょう議論している海岸のあり方も、だからどうしたいのかということになっていかないといけないのかなと思います。
 当面の課題は解決しないといけないということで今議論していることでよろしいかと思いますが、やはり今後どういう町をつくっていくのか、前原は、東条はということで、やはり鴨川市さんと一緒になって地域が議論をするといいと思います。
 ということで、参考になればと思います。
○清野アドバイザー 次回は多分11月ぐらいということで、本当にその間が結構あきます。それで、実は地元の方からももう少しいろいろなお話をしたいとか、調べたいなどというお話があったのですが、今までどうやっていいかわからなかったので、まず1つはホームページをつくるとかいうことで連絡していただきやすいようにしました。もう一つは、もしも皆さんがきょうのこととか、もう少しじっくり知りたいとか、情報を伝えたいということがあったら、事務局の方にどんどん伝えていただければ、場合によっては例えば会議室をお借りしたり、公民館とか、漁協さんに伺って勉強会みたいな形になるかと思いますけれども、テーマを絞ったものとか、自由討論とか、そういうものをしたいと思うので、また、今すぐにということではないですけれども、どんなことができるかというのも事務局の方にお寄せください。
 今、大矢さんがおっしゃっていたまちづくりもそういう思いつきでちょっとずつみんながしゃべっているうちにだんだん広がってきたものだと思うので、ぜひ鴨川でもそういう形をしていただいて、市も県も十分応援してくださると思いますし、私たち関係している、サポートしている者も応援しますので、ぜひそういうアイデアがあったら伸ばしてください。
 以上です。
○司会 ほかに御意見等ございますでしょうか、一応もう5時を過ぎて、所定の時間を過ぎておるのですけれども、ございませんでしょうか……。

7.そ の 他

○司会 事務局の方から御提案といいますか、きょうの会議で、波除堤につきましては南部漁港事務所さんの方で御説明いただきまして、恐らく次回の会議をやらせていただくときにはもっと具体的な工事の日程とか、そういうようなお話まで進めていただけるのかなと思いますけれども、その前段に御説明していただきましたような海岸のお話につきましては、まだきょうの御紹介した内容ではなかなか御理解しにくい面もございましょうし、先ほど清野先生におっしゃっていただいたように、実物をもうちょっと見ていただくというようなこととか、あと場合によっては個別の勉強会的なことをやっていただくようなことで、もう少し御理解をしていだたく必要があるというふうに感じましたので、次回に向けては少しそういう整理をしまして、また少し前回のおさらいのような形でやらせていただきながら、もっといろいろなアイデアですとか、御意見とか、そういうものをそれまでの間に皆さんの方でもぜひお考えいただいて、次回またぜひ足を運んでいただければと思うのですが、先生方、いかがでしょうか。
○清野アドバイザー よろしくお願いします。
○司会 それでは、長い時間、いろいろと御説明なりをさせていただきましたけれども、会議の事務局の役目を終了させていただきます。
 どうもありがとうございます。
 それでは、鴨川市役所さんの方に引き継がせていただきます。
○総合司会 それでは、皆様、長時間にわたり、大変お疲れさまでございました。本日皆様からいただいた御意見などは後ほど議事録に整理いたしまして、次回の海岸づくり会議の際に改めて御報告をさせていただきたいと存じます。
 また、清野先生からもぜひ県内で見てくださいとか、勉強会がありましたらサポートしますよというお話もありましたように、次回の海岸づくり会議までにさまざま検討等が必要と思われますので、若干御時間をいただきたいと存じます。清野先生から概ね11月ごろというお話がありましたが、年内の開催を考えておりますが、詳しい日程につきましては改めて市の広報などに掲載いたしますので、今回同様、たくさんの方に御参加いただけるようにお願いしたいと思います。
 また、入場の際にお渡しいたしましたアンケート用紙もありますので、御意見とか御感想などがございましたら記入の上、受付の係にお渡しいただくか、後日、都市建設課の方へお持ちいただけると助かります。
                〔 Power Point 〕

 また、ホームページ、きょうは受付の方に試作版ということで置いてありましたが、このような形で、鴨川市のホームページの中にこの海岸づくり会議のホームページを置きたいと思いますので、そちらの方で内容を御確認いただくということもできると思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、これで本日の会議はすべて終了でございます。お疲れさまでございました。気をつけてお帰りになってください。
 どうもありがとうございました。(拍手)

8.閉      会

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