<鴨川沿岸 海岸づくり会議>議事録 全文
 「第4回会議」 平成161127  於・鴨川市役所4階会議室

1.開      会

○司会(佐久間) 皆さん、こんにちは。ただいまから「第4回鴨川沿岸海岸づくり会議」を開会させていただきます。
 私は鴨川市役所の都市建設課の佐久間と申します。冒頭の司会を担当させていただきますので、ひとつよろしくお願いいたします。

2.挨      拶

○司会 それでは、会議に先立ちまして、本多市長が皆様に御挨拶を申し上げるところでございますが、本日、所用のため、出席できなくなりましたので、代りまして、助役の速水より御挨拶をさせていただきます。
○速水鴨川市助役 皆さん、こんにちは。ただいまお話のございましたとおり、助役の速水でございます。一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
 皆様方にはきょうは大変すばらしい天候に恵まれ、そして休日であるにもかかわりませず、このようにたくさんの皆様にお集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。
 毎回申し上げておりますけれども、この海岸は漁業や観光、そして市民の皆様の憩いの場として大変貴重な場所でございます。しかし、最近では侵食が発生したり、また台風の時期になりますと海岸護岸の背後にまで高波が押し寄せ、護岸もそのために壊れるなど大変な変化が生じてきております。特に、本年は9月から10月中旬にかけまして異常な高潮の発生によりまして、特に待崎川左岸から浦の脇の海岸にかけては極めてひどい侵食に見舞われたところでございます。県の整備事務所、そして本市におきましても、その対策のために大変な神経をすり減らし、そしてまた労力も投入いたしましたけれども、なかなか自然の強さには勝つことができません。
 10数年前につくりました待崎川河口左岸の海浜植物園、そしてさらには鴨川グランドホテルの下の観光施設等にまで被害が及びまして、大変な潮流の変化を感じたところでもございます。
 鴨川市がこの房総の観光拠点として今後も発展していくためには、この海岸は大変貴重な財産であろうというふうに思っております。そして、私どもはこの貴重な海岸を将来ともに子々孫々まで守り、そして受け継いでいくという大きな使命もあることだろうというふうに存じております。
 そのため、市民の皆様にも御協力をいただきながら、多くの皆様方のお知恵をいただいて、よりよい海岸にするための議論を進めてまいりましたけれども、またこれからも引き続いて取り組んでまいりたいと考えてこの会議を開催をいたしております。
 この会議は昨年の11月、ちょうど1年前になりますけれども、第1回を開催以来、ことしの3月に第2回、そして7月には第3回の会議を開催いたしまして、今回が4回目になるわけでございます。過去3回の会議におきましても、さまざまな皆様方から御意見や貴重な情報をいただくことができました。本日もぜひ引き続いて忌憚のない、そして建設的な御意見をいただければ大変ありがたいというふうに思っております。
 なお、今までと同様に、海岸の専門家の宇多先生並びに清野先生にお越しをいただいておりますので、先生方にはこの後、会議の主要な部分の進行をお願いしておりますけれども、会場の皆さんの海岸についての日ごろ感じておられますことなどについても専門的なお立場からいろいろ御指導をいただけるものと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、この本日の会議が実り多き会議になりますことを念願いたしまして、簡単でございますけれども、挨拶に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

3.会議の趣旨等について

○司会 続きまして、本日の会議の進め方につきまして、御説明を申し上げます。
 初めに、この会議の趣旨を簡単に御説明を申し上げます。
 ただいま助役の挨拶にもございましたとおり、鴨川の沿岸では近年、さまざまな問題が発生し、対応が求められておりますが、今後、この地域を発展させていくためには、鴨川の貴重な財産である海岸をきれいで、安全で、利用しやすい海岸として未来に残していく必要がございます。そこで、さまざまな立場の方から御意見をお伺いしながら、皆様とともにこの海岸をどのようにしていくべきかを考える場として、この海岸づくり会議を開催させていただいておるところでございます。
 第4回目の今回は、前回までの会議の概要を御報告しつつ、本日までに得られた情報を加えまして、現在の鴨川の沿岸の状況と課題について御紹介をしながら、侵食や高波などの課題から我が町を守るにはどのようにすればよいか、ある程度具体的なお話を皆様とともに考えていきたいと考えております。
 次に、この会議の参加者とその役割について御説明をいたします。
 この会議では、より多くの地域住民の方々や海岸を利用されている方々から幅広い御意見を伺う必要がございますので、市の広報での御案内のほか、海岸に関係の深いと思われる方々にも参加を呼びかけております。また、この会議は市役所が主催しておりますが、さまざまな課題を解決するために、海岸の専門家の方々にも御協力をお願いいたしましたので、後ほど御紹介をさせていただきたいと思います。
 さらに、皆様の御意見などを事業に反映していただけるよう、県の行政機関の方々にもこの場に出席をいただいております。
 なお、会議の運営や資料づくり、技術的な検討などの専門的な内容につきましては、コンサルタントに事務局をお願いいたしておるところでございます。
 最後になりますが、この会議のルールなどについて御説明を申し上げきます。
 まず、この会議では皆様からいただいた御意見を正しく理解するために、議事録を作成いたします。つきましては、参考のために会議の模様を録音並びに録画をさせていただきますので、御理解を賜りたいと存じます。
 また、先ほど御説明したように、この会議は広く皆様の御意見をお伺いし、さまざまな情報を共有化することが必要でございますので、基本的には公開とさせていただきます。
 次に、御発言をいただく際の注意事項を申し上げます。
 まず会議の趣旨から、できるだけ多くの方々から平等に御意見を伺いたいと思いますので、御発言は1回につき1件程度とお願いしたいと思います。
 なお、進行役より発言の依頼等があった場合にはこの限りではございません。
 また、御発言を希望される方は挙手で意思表示をし、進行役による指名を受けてから御発言を願いたいと思います。その際には、「どこどこのだれだれです」というように、お名前などを申し出ていただければと思います。
 さらに、個人や機関などに対する誹謗中傷や本会の趣旨に無関係な御発言等については御遠慮をいただければと思います。
 なお、これらに反し、議事進行の妨げになると認められた場合につきましては、主催者側の裁量によりまして、それ以降の発言の制限、あるいは退場をお願いすることになりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、市役所の建物内は全面的に禁煙とさせていただいておりますので、たばこを吸われる方々につきましては、大変申しわけありませんが、1階の正面玄関付近が喫煙スペースとなっておりますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、大変申し遅れましたが、本日お越しいただきました専門家の先生方を御紹介させていただきます。
 まず、清野聡子先生でございます。
○清野アドバイザー こんにちは。
○司会 清野先生につきましては、東京大学大学院総合文化研究科の助手をされております。御専門は海岸河川保全学、沿岸環境学、生物形態学などでございますが、近年では、特に漁業者や地域住民、生物など、さまざまな立場から地域社会と公共事業の関わり方につきまして研究されておりまして、全国の住民会議や講演会に、文字通り東奔西走されております。
 また千葉県においては、海岸保全基本計画の委員、三番瀬の専門家会議の委員などを御担当され、和田町の白渚海岸でもアドバイスをいただいており、今回も大変お忙しい中ではございますが、御出席をお願いいたした次第でございます。
 続きまして、宇多高明先生でございます。
○宇多審議役 (起立一礼)
○司会 宇多先生におかれましては、現在、財団法人土木研究センター審議役、なぎさ総合研究室の室長をされております。
 昭和48年より約28年間、国土交通省国土技術政策総合研究所に勤務をされ、全国はもとより、世界中の海岸を歩き回り、海岸の調査・研究を行うとともに、海岸事業などの計画、立案に関わってこられました。日本の海岸工学の第一人者でございます。
 また、近年では合意形成会議や講演会などにも多数出席をされ、よりよい海岸づくりを目指して超多忙な活動をなされ、千葉県においては白渚海岸や九十九里浜へのアドバイスをいただいており、今回も御出席をお願いした次第でございます。
 大変長くなりましたが、以上で会議の趣旨説明を終了させていただきます。
 それでは、ここからは司会進行を事務局の方にお渡しし、休憩を取りつつ、概ね5時ごろまでの間、会議を進めさせていただきたいと存じます。
 それでは、事務局、進行をお願いします。
○事務局(星上) 皆さん、こんにちは。事務局を担当させていただきます星上と申します。よろしくお願いします。
 それでは、お手元に本日御来場いただいたときにお配りした資料を確認したいと思いますので、開いてください。
 全部で、右上の方に資料−1から7まで番号が振ってあるものと、そのほかに「サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン作成」というA3の1枚、合計8つの資料がお手元にあるかと思います。ない方はお申し出ていただければ、すぐお届けいたします。
 それでは、早速進めさせていただきます。資料−1の式次第に沿って進めたいと思います。

4.第3回海岸づくり会議 概要報告

○事務局 本日の会議の趣旨等については今市役所の方から御説明いただきましたので、まずは前回までの会議の概要について簡単に御説明したいと思います。
                〔 Power Point 〕
 本日はスクリーンが2枚ありまして、別々の情報を提示しますので、その都度、右、左を見ていただきたいというふうに申し上げます。
 すでに御承知の方もいらっしゃるかと思いますが、右側のスクリーンのように、鴨川市のホームページの中にこの海岸づくり会議の情報公開をするためのホームページを作成させていただいておりまして、今回、広報のほかにここにきょうの開催の告知と、そのほかに前回までの会議でお配りした資料ですとか、それから正面のスクリーンで御紹介したような内容につきましては、すべてこちらのホームページの中をクリックしていただくと内容が見られるようになっておりますので、御不明な点等があればこちらの方を参照していただければと思います。
 それから、パソコンとかを余りお得意ではない方もいらっしゃるかと思いますので、市役所の1階の資料室、入口を入って左手の奥の方に資料室がございますけれども、そちらの方にチューブファイルの形で、お配りした資料であるとか、ここで御紹介したような資料を紙で印刷したものをとじて置いてあります。そちらの方をごらんいただいても結構です。
                〔 Power Point 〕
 では、早速前回の会議の概要について、簡単に御説明したいと思います。左側のスクリーンをごらんください。
 会議の概要につきましては、お手元にお配りしたうちの資料−2というA3判の横の資料がございます。こちらを後ほど詳しく読んでいただければと思いますが、ここではざっとその概要をかいつまんで御説明したいと思います。
 前回は7月25日の日曜日に同じ会場で午後からやらせていただきました。約60名の方々に来ていただきまして、会議の内容としましては、森住さんから前原海岸の過去の古い写真を提供いただきましてそれを御紹介したこと、それから清野先生にお手伝いいただきながら東条海岸の生態系について、アザラシとかカメについての情報を御紹介いたしました。そのほか、海岸、それから漁港の課題と方策について御説明をいたしました。また、県の南部漁港事務所さんから、前原地区の波除堤の整備の計画について御紹介をいただきまして、さまざまな意見交換をさせていただいたということになります。
                〔 Power Point 〕
 こちらは会議の様子です。プリントの方にもございますので後で見ていただければと思いますが、休憩時間も含めまして、比較的多くの御意見、活発な議論をさせていただけたかと思います。
                〔 Power Point 〕
 主な会議の内容は、先ほど口頭で申し上げたこのようなことを御説明しまして、いろいろなディスカッションをさせていただきました。詳しくはプリントの方をごらんください。
                〔 Power Point 〕
 当日、参加者の方から主な意見、質問として出たもので代表的なものをここにピックアップしました。読み上げますと、シーワールド前の護岸は直立堤がよいのではないかという意見、それから沿岸流などの物理的な現象を検討の中に入れた方がよいのではないかとか、また離岸堤を撤去することで砂が戻ってこないのかとか、初めからフィッシャリーナの東側を何か違うもので埋めてしまうのはどうか。社会学、経済学、法律の専門家を交えながら合意形成ができないものか。海岸のあり方は主体である地域住民、利用者が決めていくべきであるといったような御意見などを賜りました。
                〔 Power Point 〕
 それから、アンケートを当日いただきまして、今回はアンケートは1件だけいただいたわけですけれども、アンケートに書かれた全文をここに掲示させていただきました。サンドリサイクルの応用としては、砂袋に砂を詰めて人工リーフ的に使う事例もある。護岸は垂直護岸に戻すしかない。世界的に見て緩傾斜護岸は異常である。鴨川のケースはかなり進歩的なもの、この「ケース」というのは、この会議をやっているということについてのことだと思います。会議の進行は大切なので、議長役を務める総合的な社会学系の専門家が必要なのではないかという御意見、議題の事前告知が不可欠だ、参加者の誘致も兼ねて、次の会議のテーマは何かをしっかりと共有した方がいいと思うということで、情報の共有の窓口としてはホームページ等を開設するということで一応対応させていただいておりますが、その他の専門家を入れるということにつきましては、今、専門家を入れる必要のある議論にまだ至っていないというふうに判断していまして、今のところこの体制、私どもが事務局をやらせていただきながら、専門家のお2人の先生に御意見をいただきながらという方法で進めたいと思っています。中でも、例えば法律とか社会学的なところは清野先生もかなりお詳しい立場でいらっしゃいますので、清野先生にその辺を代弁いただけるのではないかというふうに思っております。
 続きまして、前回の議論の中で少しいろいろな施設の参考になるようなものがないかということで、今回、お手持ちの資料の中に資料−4というプリントがございます。こちらは皆様に今現地にある海岸の施設の代表的なものを見ていただけるように海岸施設見学マップというものをつくりました。これ以外にもほかにもたくさんあるのですけれども、この鴨川の周辺を中心に代表的と思われるような施設について、地図とあと後ろに各地の写真を掲載してございます。お時間がある方はぜひお近くでも行けるところもありますので、行っていただいて実物を見ていただくと非常にわかりやすいのかと思います。この後ろの方にそういう実物の写真を並べてございます。
 それと、めくって2ページ目を見ていただきますと、ここだけ情報が今多く入っています。これは、今回、鴨川はこういう形で海岸づくり会議をやっているのですけれども、同じような海岸づくり会議を中心にこういう海岸の計画を組み立てていった2つの事例について情報を掲載しました。紙面の左半分は和田町にある白渚海岸というところで数年前まで住民参加型の会議をやりながら、実際に当初、大規模な人工リーフを入れる計画があったものを護岸の嵩上げで早く効果を出すように対応した。それから、磯場とかサーフィンのできる場所を守ったというような事例でございます。
 右半分は勝山漁港海岸というところでございまして、これは今でも継続中の案件でありますが、住民の方々から越波対策を早くしてほしいという要求を何とか早く実現したいということで、今、協議を進めながらいろいろ下の方に現状の写真と施設をつくったときのイメージのフォトモンタージュというのですけれども、こういうものの写真とかを今やりながら住民の皆さんでいろいろ議論をして、もう具体的な対策に入ろうとしているという事例です。
 そのほかの写真は現地の写真をそのまま生で撮っていますので、ここへ行きたいのだけれども、場所がわからないという場合は事務局の方に申し出ていただいても結構ですし、県の鴨川整備事務所の方に伺っていただいても現地は紹介いただけるのではないかと思います。
 それでは、ここで前回、鴨川漁港事務所さんの方から前原地区の整備計画についてお時間をとっていただいて説明をしていただきましたが、その後の経過報告という形で少し御説明をしたいというお話がありましたので、この場をおかりして南部漁港の高木さんの方から今の現状を少し御説明いただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○高木(南部漁港事務所) 南部漁港の高木と申します。
 前回の会議におきまして、前原地区の波除堤、これについて皆さんにお話をして承認を得て、これから工事を始めるということのお話をしたと思います。
 それで、現在の状況なのですけれども、11月に発注いたしまして、現在、請負業者の方が調査及び準備にかかっております。構造的に、ここに写真はないのですけれども、基礎の部分、これは捨て石、石でつくる基礎の部分なのですけれども、その工事は12月から着工いたします。それと並行して、直立消波ブロックというのが本体に乗るのですけれども、それについては並行して本港の地区の野積み場をお借りしまして製作を、これは12月までに終わらせる、捨て石は1月までかかる、その後、本体の据付に入って、上部工は3月の頭ぐらいから施工して、3月25日に終わらせる、そういう工程で今進んでおりますが、何分にも天候に左右されるのと同時に、本体を据え付けた後の上部工、そのときは沈下もございます。そういうことがございますので、4月、あるいは5月に多少かかるかもしれませんけれども、一応そういうことで今、進めております。
 なお、ここにいる皆さんの中で釣りをする方もいらっしゃると思うのですけれども、1つお願いがあるのですけれども、工事にかかりますと資材の運搬等で前原の防波堤を行き来したり、作業員が動いたり、あるいは作業をしますから、釣りを一時の間だけ我慢してもらいたいということをお願いして、前原の今後の進め方について報告させていただきます。
 ありがとうございました。
○事務局 どうもありがとうございます。
 そういうことで、波除堤の方も工事の段取りができて、早速工事に入っていただけるということで、前回までにありました船が揚げられないということもだんだん解消する方向に向かうのではないかと思います。
 続きまして、資料の中で幾つかあるのですけれども、資料−6というA4判のプリントがございます。これは前回の協議の中で、実は漁組の方から海面が年々上がっているようだ、どうなのだというようなコメントがありまして、それについて若干、公表されている資料をインターネットで調べたものを抜粋して持ってまいりました。これが何を意味しているかというのはきょうの議題とは外れるので詳しくは御説明しにくいと思うのですけれども、資料の出典は気象庁のホームページの中にこういう「海面水位上昇の実態調査」というレポートがインターネット上に載っています。それの抜粋版です。
 全国の観測地点で年々潮位がどういうふうに変化しているかということが書かれています。ただ、これは潮位の何を指しているかというのは、裏をちょっと見ていただくと、「潮位の偏差」とか難しい言葉が書いてありますけれども、このグラフであらわされているものは偏差を考慮したものではなくて、年間の平均的な潮位が毎年どう変わっていっているかというのを年間、その年を遡って5ヶ年の平均値というものを毎年更新していっているのですけれども、それのグラフを書いているということのようです。参考までにお読みください。

5.沿岸に関する話題提供

○事務局 それでは、続きまして、お手持ちの資料−5というのがあります。これにつきましては、本日お越しいただいています清野先生の方から、ここの沿岸での海のエピソードということで毎回情報をいただいていますが、その一環で海浜植物についてレポートを作成していただきましたので、今、前のスクリーンを使いながら御紹介いただけるということなのでお聞きください。
 よろしくお願いします。
○清野アドバイザー 前回の会議のときに参加者の方から、鴨川の海岸に黄色い変な植物が生えているということを教えいただきまして、それがほかの植物を駆逐するのではないかということで大変心配だということですので調査に行って、そして調べてみました。
 お手元の資料−5にありますように、確かにこれは汐入公園の前のところの植生で、ハマゴウといって緑色のツルのように長い枝のある地をはうような植物で紫色の花を咲かせるものがあるのですけれども、そこに覆い被さるように、この資料−5の写真のように黄色いフワフワした綿というか、かつらみたいなものがくっついていました。これは近くに寄ってみて、これは何だろうというふうに思ったのですけれども、調べてみたら、蔓草の一種で、特に寄生植物でした。寄生植物は、皆さん、ヤドリギというのは御存じですか。木に引っかかっていて、それで木の幹に直接根を下ろしてそこから栄養分を吸い取ってしまうヤドリギという植物があるのですけれども、それみたいなもので、この黄色の蔓草は海岸の植物に根を下ろして、地面からではなくて、植物から栄養分を吸い取って、それでどんどんふえていきます。
 こういった植物がいつからあるのかというのは前回、情報を御提供いただいた相原さんとか、あるいは地元の方々が、もし記憶が残っていたら、あるいは日記につけていたら教えていただけると、そういった海の生態系の変化がわかるかと思います。
 こういった情報は各地で見ていらっしゃる方がいて、最近はインターネットとかがあるので、どうもうちの海岸に変な植物が生えているということで、植物の方のメーリングリストなどに流すと、うちも実は生えているのだとか、そういう話が出てきます。今回、相原さんの情報をいただきましたので、鴨川市のホームページの方にこういったきょうの資料を掲載させていただいて、ほかの海岸でもふえているのではないかということを聞いてみたいと思います。
 今のところは2種類の可能性があります。いずれにしても、もともと鴨川には余りいなかった植物なのですね。1つは、日本の南の方に生えている「スナヅタ」という、もともと日本の南の方にはいた植物なのですけれども、それがどんどん北上してきたか、あるいはもう一つは外来植物の可能性があります。外来植物というのは、魚ですとブラックバスとか最近は有名ですけれども、外国にもともといたものが人の体とか荷物について日本に入ってきて、そうしたら、日本の気候が合って、バーッとふえてしまうということがあります。これがやはり大分問題になりまして、外来植物で強いのがふえると、もともと日本にいた植物がだめになってしまうのですね。ですから、ぜひ鴨川のもともと生えていた植物を守ってあげるためにも、いつぐらいからふえたのかとか、どこを中心に鴨川では広がったのかというのを教えていただければ、その情報をもとに千葉県沿岸だとか、また日本の海岸で植物を見ている方たちにも聞いてみたいと思います。
 それで、この会議は海岸工事の会議みたいに思われる方も多いと思うのですけれども、基本的には海岸に対するいろいろな疑問だとか自分たちで観察されたこと、考えたことを出していただければ、すぐにこちらの方で調べてわかる範囲でお答えしたいと思います。先ほどの潮位が上がっているのではないかということも情報をいただきまして、事務局の方で調べました。またこの蔓草の話も、今、2種類まで絞り込むことができました。
 結局は、地域の海岸をずっと見ていただける方がいるという場所は、そこがどういう場所かというのを長い間観察したデータがあるので、変化がわかりやすいということと、それから今後どうしたらいいかというのを決めるときにすごく大事な情報になります。
 実は、日本の海岸の問題は、潮位が上がっているからそのせいではないかとか、地球温暖化のせいではないかとか、割と一括りに片づけられてしまうことが多いのですね。実際にそういうのもあるかもしれないのですが、そういう地球規模のものに隠れて、もう少し人間が起こしたものとか、あるいは地元だけのこととかが起こっていることがあります。ですから、そのためには全地球的にとか、日本沿岸で起こっていることなのか、それとも鴨川だけの特別なことなのかをふるい分けするために、皆さんからの情報が必要です。
 これは多分後半からもお話があると思うのですけれども、地元の方の情報が重要だというふうに学者の方がきちんと認識するようになったのは割と最近のことで改めてなのです。というのは、エルニーニョが来たときに、海洋学者の人がエルニーニョということに随分目が行ってしまって、80年代に起こったほとんどのことをエルニーニョのせいにしてしまったのですが、後から考えるとちょっと別の原因もあったのではないかということで手遅れになったことがたくさんありました。ですから、今は80年代に比べれば随分情報も出てきたり、全国の人に聞いたりできるので、きちんと情報を提供していただければ、それが気候のせいか、それとも何か原因がはっきりしたもののせいかがわかってきますので、ぜひ今後とも御協力をお願いします。
 アザラシの看板とかヤドリギの写真も入れてありますけれども、こういった鴨川でいろいろなめずらしいものとか、あるいはアザラシもそうですし、そういうものを見つけたときにはぜひこの海岸づくり会議の方に御報告いただければと思います。
 お時間をいただき、どうもありがとうございました。
○事務局 清野先生、補足で、漁港の錦絵を県の事務所の方に写真を撮っていただいたので、御紹介したいと思います。
                〔 Power Point 〕
○清野アドバイザー ありがとうございます。これはすばらしいですね。
 私の方からちょっとコメントさせていただいてよろしいでしょうか。錦絵というのは、明治時代の人が写真がないときに何とかそれを残したいということで浮世絵の絵を描いていた人がもっと絵の技術を発達させて、ほとんど写真に近い、だけれども漫画のような感じで描いた絵の方法です。鴨川のこの光景というのも本当に画家の人が感動して描いたのだと思いますし、また地元の方が錦絵の絵師、今で言う写真家みたいな人を呼んで描いてもらって残したのだと思います。
 花火を打ち上げたりとか、いろいろな衣装をまとった方がそういったお祭りを盛り上げているということで、すごく細かく見ていくと情報がたくさんあります。
 これは現在はこういった光景が見られることというのは、漁港の防波堤が延びたりしてこのままの景色というのはなかなか難しいのですけれども、ぜひこういった何十年に一遍というような光景をまた盛り上げられるような、そういった鴨川の海のイベントというものをしていただければと思います。
 最近、韓国ブームなのですけれども、韓国もこういうふうに大潮の引き潮のときに対岸の島にみんなで渡るというお祭りが盛んで、調べていくと、アジアの人たちはこういう潮のエネルギーをこういったお祭りで体験するという文化を大陸の方からずっと日本に至るまで持っているみたいなのです。
 その理由は、昔と違って、人生50年ぐらいの時代には、例えばもう30年に一遍のお祭りを2度経験するだけでもすごい長生きという時代だったので、本当に長く期間を置いたお祭りはすごく地元が、自分たちがその期間、生きていられたというありがたみもあって大事にされていたようです。
 今回、こうった絵の情報とか、あるいは後ろに展示してある写真の情報も地元の皆さんからたくさんいただきまして、こういったスライドにしたり、あるいはホームページに載せさせていただいたりすることで、鴨川の海にまたこういう盛り上がりが再度来るような形で、この会議としても盛り立てていければというふうに思っています。ぜひ皆さんのお家でも昔の写真とか絵とかありましたら御提供いただければというふうに思います。
 ありがとうございます。
○事務局 どうもありがとうございました。
 今、御紹介がありました錦絵は県の鴨川事務所の方に撮っていただいたのですけれども、そのほかに、申し遅れましたが、後ろの方に本日、いろいろな情報とか資料を提供いただきました。扉の向かって右側に置いてあるパネルはサーフライダー・ファウンデーションの方に御協力いただいて、地域の資料館、この前にあります資料館の方とか、あとサーフライダー・ファウンデーションがお持ちのさまざまな資料を御提供いただいて、今御紹介しています。
 それと扉の左側の千枚田の絵の下に空中写真のパネルが4枚あります。あれはこの地域の朝日写真館さんでお持ちの古い写真で、昭和4年ごろに撮られた写真だそうです。今後、朝日写真館さんの方にもお伺いしながら、もう少しいろいろな資料をお持ちだということなので、ぜひまた皆さんに御紹介したいと思います。休憩時間等にぜひごらんください。

6.海岸、漁港の課題と方策について

○事務局 それでは、続きまして、前回までの会議の中でさまざまな意見とか、私どもでいろいろな調査をやらせていただいた結果をある程度今回、1回整理してみたいと思いまして、お手持ちのプリントの資料−3というA3判の1枚をお手元に出していただければと思います。
 この左側はここの御当地の空中写真です。そこに場所に丸をして、右に一覧表があります。これはこの沿岸を幾つかの地域に分けまして、その沿岸の地点ごとにどういう海岸特性があるかというのをざっと整理したものです。この表の左から2番目に「第3回会議までに得られた沿岸の課題、意見等」というふうにまとめた欄があります。縦の欄ですね。特に、ここのところは3回目までの会議の中で出た意見ですとか、調査をした結果で、課題として考えられるであろうというところを事務局の方で適宜ピックアップして書いています。この表は完成版というふうに思っていただかなくて、ここがこう違うよとか、もう少しこういう課題とかあるのではないのかというのはこれからどんどん御意見をいただいて、どんどん修正をしていきたいと思いますので、たたき台だと思ってください。
 では、沿岸を坂下の方、海岸の東側の端部の方から簡単に写真を見ながら御紹介したいと思います。この表は後で詳しく見ていただければと思います。
                〔 Power Point 〕
 まず、海岸のこの空中写真の一番上の方、坂下の方になりますともう浜荻の方の岩礁帯と接しているところですけれども、比較的緩やかなビーチが今もある。ときどき浜崖とかが発生していることが見られるというふうには聞いております。実際には護岸等の施設は海浜にはなくて、後ろの道路のところに昔の直立護岸があります。浜幅は大体70mぐらいございます。
                〔 Power Point 〕
 ここはバイパスの下のところで、よくサーファーの方が車をとめて波乗りをやっているマルキというポイントのところです。ここは問題点としては、これは御意見でありましたけれども、ここの駐車場が雨が降るとぬかるんで困るようなお話を承ったことがあります。この写真にありますように緩傾斜護岸がありまして、浜の幅は大体40〜50mあります。勾配としては1/10〜1/20ぐらいの浜で、比較的緩やかな勾配である。実際には今、駐車場で使われていたり、もう少し亀田病院の方に行きますと保安林、それから亀田病院のヘリポートがあるような地区になりまして、ウミガメが上がってきたり、先ほど申し上げたようにサーフィンをやられていたりというようなエリアであります。
                〔 Power Point 〕
 ここはその隣の保安林のあるところですけれども、真ん中に写っているのは護岸の天端のコンクリートです。護岸は完全に砂で埋もれていまして、この砂は越波とか飛砂で護岸を覆い尽くして、後ろの保安林まで連続した植生帯になっています。
                〔 Power Point 〕
 もう少し進みますと、これは鴨川ロイヤルホテルさんの前です。これは前回ちょっと御紹介しましたが、前回の台風で越波被害を受けて、今、護岸の後ろに大きなガラスの窓がありますけれども、あそこが割れて、あの後ろは宴会場になっているのですけれども、宴会場に大量の波が飛び込んだ。たまたま宴会が終わった直後だったということで人災はなかったそうですけれども、中の被害は相当なものだったというふうに聞いております。
                〔 Power Point 〕
 これは振り返りまして、鴨川シーワールドの昔からある方の駐車場とシーワールドの施設の前を見たものですけれども、護岸は緩傾斜護岸なのですが、ちょっとブロックが小さいタイプの昔のタイプの護岸になっていまして、浜幅は大体20m前後かと思います。先ほどのマルキの方のポイントに比べると砂浜の勾配が若干急で砂粒も少し粗い感じになっていまして、今、護岸に人が座っていますけれども、護岸の後ろにも少し砂がこぼれているように見えます。あれは越波、波で飛び込んだ砂です。ここは結構頻繁に越波をしてしまうという場所であります。
                〔 Power Point 〕
 それから、これはもう少し進んでシーワールドホテルさんの前で、これは去年の写真なので今重機が入って壊れた護岸の復旧工事をしている最中の写真になっていますが、今はすっかり直っていますけれども、この辺も比較的越波が激しい。浜の勾配も20mぐらいで粒径も比較的粗くて勾配が急であるというのが特徴だと思います。
                〔 Power Point 〕
 間を少し飛ばします。ここからグランドホテルさんぐらいまでの間は先ほどのシーワールドホテルさんの前と同じような状態のビーチがずっと延々と続いていまして、鴨川整備事務所さんのところを越えて、今度は待崎川の近くに行きますとこのような風景になりまして、これは去年の写真ですけれども、ことしは皆さん御承知のとおり、10月ぐらいの台風で浜がガクッとやせまして、大きな浜崖ができていました。これがそのときの1週間後ぐらいの写真だと思うのですけれども、浜崖の高さは一番高いところで2mぐらいありました。今はこの前にまた浜が戻りまして、浜崖だけは少し残っていますけれども、浜の幅は昔の幅にだんだん近づいているかなという感じはします。
                〔 Power Point 〕
 この後ろはこういう植生帯が広がっていて、先ほど清野先生から御紹介いただいたような草が生えていたりするところもこの中の一部にあります。見てわかるように、ほぼ真っ平らですね。浜の幅としてはこの植生帯も入れて大体全体で70〜80mぐらいの浜幅がありまして、この後ろに昔の直立護岸が埋もれています。
                〔 Power Point 〕
 それと、これは待崎川の上流側を向いて写真を撮ったものですけれども、ここでの課題としては、河口がいつもふさがっていて、水質が悪化していて臭いがすごいとか、そういうような御意見が過去の会議でありました。それと、表の方では、この護岸の後ろの方に汐入公園があるわけですけれども、そこにホームレスの人が住みついていて余り風紀がよくないと言っていいのか悪いのかあれですけれども、そういうような御意見もありました。
                〔 Power Point 〕
 これは待崎川の右岸側、前原側です。今、駐車場になっているところですけれども、真ん中にポールを持った人が立っていますが、これは去年の写真ですが、このときには1mぐらいの浜崖ができていまして、普段からここは波で土地がすくわれやすいところで、つい最近も土砂を持ってきて入れていたと思います。
                〔 Power Point 〕
 このちょっと先に行きますとこういう篭の中に石が入った布団篭の護岸がありまして、ここのところは昔は同じように結構被災を受けていたのですけれども、篭の材料を数年前に結構頑丈なものに変えたおかげか、今は余り壊れずにそのまま維持されているというような状態だと思います。この後ろは駐車場、それから未来高校、それと市民会館等々があります。
 課題としては、やはりこの駐車場がしょっちゅう被災したり浜崖ができたりするということと、ここの前面は見ておわかりのとおり、浜がないのですね。すぐ水面になっていますので、浜がないというのが問題になっていて、過去、大きな台風が来ると駐車場の後ろの古い護岸を越えて波が飛び込むこともございます。
                〔 Power Point 〕
 それから、これが前原・横渚海岸の、今3基ある離岸堤の真ん中辺を撮ったものでありますけれども、これは去年の写真なので実は砂浜が比較的あるなというふうに感じますが、一番凹んでいるところは、今行っていただくとほぼ護岸にくっついているような状態でほとんど浜がないところまで変形を来しているというのがあると思います。実際には浜がないこととか、それから離岸堤とトンボロといって地形が湾曲していることで水域が若干狭い。それから、ここは離岸堤がないころ、前々回ぐらいにも御紹介しましたけれども、前原地区に多量の越波を起こして越波被害があったということで、実際は離岸堤を建設したという経緯があった場所であります。
                〔 Power Point 〕
 これは鴨川漁港の前原地区の方に一番寄ったところから、階段護岸のところから写真を撮ったものですけれども、ここのところは今は浜幅が大体130mぐらいあります。後ろの方に行くと植生が生えているところがあります。ここは非常に勾配が緩くて、砂粒も細かい。それから、ちょっと冬場とか夏場の風の強いときになると飛砂が飛んで、後ろの住宅の方まで行っているというような御意見も昔ありました。
                〔 Power Point 〕
 今、実際はこういう離岸堤があるのですけれども、干潮、潮が引くとここの離岸堤まで地続きになってしまうぐらい遠浅になっていて、水域が今狭い。同様にここも過去に越波被害を受けた地区の1つであります。
                〔 Power Point 〕
 海岸の概況は大体こんなところなのですけれども、あとは先ほど南部漁港の方からも御紹介いただきましたが、前原地区の船揚場、ここについては波が普段から高くて船が揚げにくいということがありまして、今、波除堤の工事をこれからやっていただけるということで、少し解消の方向に向かえるのではないか。
 以上のような海岸の現状と課題、今、地区ごとに大体こういう課題があるというのが今まのでの会議または調査の成果であるかと思います。
 ここで休憩に入らせていただきまして、休憩の後、この辺の内容につきまして、ぜひ活発な意見を賜りたいと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いします。
 では、10分間、休憩させていただきます。
                 〔暫時休憩〕
○事務局 それでは、そろそろ再開させていただきたいと思いますので、御着席をお願いします。
 それでは、再開いたします。
 先ほどのパートで私の方からざっと概要を御紹介したわけでありますが、この中の情報について県の鴨川整備事務所の方から若干補足説明をさせていただきたいという申し出がございましたので、この場をおかりしたいと思います。
 では、児安さん、よろしくお願いします。
○児安(鴨川整備事務所) 鴨川整備事務所の児安と申します。よろしくお願いいたします。
 後ろの方からベラベラとしゃべらせていただきますけれども、ただいま事務局の星上さんの方から説明がございましたけれども、一部話がダブるところがあるかもしれません。よろしくお願いしたいと思います。
 まず管理者の立場からということで、沿岸で抱える課題はどんなものがあるかとか、今回、特に越波対策についてちょっとお話をさせていただければと思います。
 先ほどのお手元の資料の資料−3の「海岸の現況と課題の整理」という表を見ながら話を聞いていただければと思います。
                〔 Power Point 〕
 正面の左側のスクリーンに映っていますところ、前原海岸の、これは昭和57年当時の大規模な越波災害を受けたときの写真でございます。それで、昭和58年から平成5年までの間で高潮対策事業で、現在できています離岸堤3基ですか、それをつくりまして、今の状況に至っているような形でございます。ただし、この資料−3の20番、そこがことし台風16号以来ですか、汀線が大分後退してきて、法枠が2〜3段見えるような状況になってきているというのが現在の状況でございます。
                〔 Power Point 〕
 次に東条海岸でございますけれども、今までの海岸づくり会議の中で専門家の先生方から何度も御紹介がございましたが、前浜、汀線が急速に後退しまして、平成9年ですね、鴨川シーワールドさんを初めグランドホテル、ロイヤルホテルさんで越波による直接的な被害を受けているところでございます。また、海岸保全施設、緩傾斜堤でございますが、それも管理用道路を含めまして約780m程度が被災いたしまして、海岸災害復旧事業という事業で今の形に直してきている状況でございます。
                〔 Power Point 〕
 またその後でございますけれども、2年前ですか、平成14年、再度またグランドホテル北側からシーワールドホテルまでの約380mでございますけれども、緩傾斜護岸と管理用道路が高潮と高波によって被災して、災害復旧事業でこれも復旧しているところでございます。
 ここでその災害復旧事業で申請するに当たって、どんなことを県が考えてやってきたかというのを参考までに紹介させていただきたいと思います。
                〔 Power Point 〕
 被災を受けました護岸の天端高、一番高いところでT.P.+5mという高さでつくっておった施設なのでございますけれども、高潮と高波浪ですか、その関係で越波被害の状況を判断しますと、1m程度上げないと絶対もたないだろうということから……。
                〔 Power Point 〕
 一番高いこところでT.P.+6mという断面に改良しようかという形で、一番てっぺんに波返しをつけたような構造、直立護岸に近い形、そういう形も検討いたしまして、国に対して断面を改良するという話を認めてもらえないかなということで事前に相談をしてきた経緯がございます。
 ただ、災害復旧事業というのが基本的には原形復旧ということが原則ということで、計画時点で、高さが6mまで必要という計画が申請時にできておれば、まだ何とか6mまでという申請を受けてくれたのではないかと思うのですけれども、当時まだ5mという高さで計画しておりましたものですから、そこまで認められなかったという経緯がございます。今、現状の形で復旧してきたということでございます。
 災害復旧の方は一応そんなところでございますけれども、あと今年、特に夏から秋にかけて何度も台風が本県を通過、上陸してきている状況でございますけれども、たまたま越波は大分観測はされておりますが、直接的な被害はなかったように聞いております。
 また、先ほどちょっとお話がありました待崎川の左岸側、前にありました砂浜が単純に言うと約半分ぐらいまで削られてしまったというふうな状況になっております。一番最大で約2mぐらいの浜崖が発生した状況でございますけれども、現時点では概ね50cmから1mぐらいまでに回復してきているということで、比較的安定してきている状況ではないかという観測はしております。
 それと、実はこの会議に先立ちまして、鴨川ロイヤルホテルさん、シーワールドさん、あとグランドホテルさんにお伺いいたしまして、いろいろな話を聞いてきたわけなのですが、特にロイヤルホテルさんの方は先ほど事務局から紹介がありましたとおり、波が飛び込んで1階の宴会場ですか、ほとんど水浸しで全然使い物にならなくなってしまったというふうな話がございまして、基本的にはぜひとも越波被害を抑えてほしいという要望を賜っているところでございます。
 あとシーワールドさんにつきましては、一部、浸水等ございますけれども、ある程度は自分の社内で対策をとっておられるということでございますが、できれば被害の少ないような方法ができないかということでございます。あと海に直接関連する施設といいますか、事業ということで、海が見えなくなっては困るなという、そういう御要望も承っております。
 あとグランドホテルさんも基本的には同じような話なのですが、やはり観光の目玉が海ということで、直接例えば海が見えなくなるような施設というのですか、そういうのは非常に困るのだけれども、なるべく越波被害だけは少なくしてほしい、そういう御要望が出ているところでございます。
 一応そういうような話を承った中で、現在、海岸法もちょっと変わってまいりまして、防護だけではなくて、海岸の環境利用には十分な配慮が求められておりますので、昔でしたら私どもはこういうものをつくるぞと言ってポンと仕事ができたというような状況もあったのですけれども、現在ではなかなかそういうわけにはいかない。ぜひこの海岸づくり会議の皆様のいろいろな御協力をいただきまして、よりよい対策が図れればいいかなというふうに考えております。
 まとまりませんが、県の方の意見ということでお聞き願いたいと思います。
 ありがとうございました。
○事務局 ありがとうございます。
 私の方から若干補足いたしますと、私は先ほどの県の方と一緒に今御紹介があったホテルさんたちのヒアリングに同行させていただきました。これは県の方からもホテルさんからもなかなか言い出しにくいのだと思うのですが、率直な感想を言いますと、民間会社さんでありますので、私も民間会社にいますけれども、なかなか言いにくい面が多分にある。ただ、かなり言われていたのは、昔であったら、10数年に1回ぐらい波が飛び込んでもしょうがないかなという感覚だったのが、最近はもう年に何回か来てしまって、それが設備を壊したり、経済的な負担になっている場合、こういう時代ですので、利益が潤沢にあるわけでもないと思いますから、そういうところで非常にジレンマを抱えているなというのを率直な感想として受けたというのを御報告しておきます。

7.意 見 交 換

○事務局 それでは、今、海岸の課題と県の方からもいろいろ御指摘があったのですけれども、ここで少しフリーディスカッションに入りたいと思うのですが、今まで御提供した情報とか、今の海岸の特に現状と課題について、何か御意見、御指摘等がございましたらぜひ伺いたいと思いますので、御意見のある方は申しわけありませんが、手を挙げていただければと思います。
 先生方の方からでも結構ですので、何かありませんか。
 では、清野先生。
○清野アドバイザー 特に私からというあれはないのですけれども、ぜひきょうできるだけ議論の時間をたくさんとりたいと思いますので、昔だったら本当に護岸をドカドカとつくって終わりだったと思うので、こういった機会に意見をおっしゃっていただければ、それを極力技術面からもいろいろな調整も含めて対応するつもり、県の方でも頑張ってくださっていますので、お願いしたいと思います。
 ちなみに、千葉県の中でこういう会議が開ける鴨川というのはすごいなと思います。千葉県の中でも開けないところも実はあります。それは多分専門家の目から見ると開けないと、やはりうまく調整ができなかったり、技術的にああいうこともできたのにと思って、お手伝いのしようがあったのに残念だったということになってしまうと思います。ただ、鴨川は本当に市役所さんの方で頑張ってくださったので、こういう場ができること自体がすごくめずらしいと思います。ですから、ちょっと堅苦しい雰囲気になってしまっているので発言しにくいかもしれませんが、ぜひお願いしたいと思います。
 どうぞ。
○事務局 済みませんが、お名前等を先にお願いできますか。
○谷内 谷内太郎と言います。
 今、県の方が言った垂直の離岸堤というのですか、護岸ですか、あれをやると、結局もっと高くするという話だったのですけれども、ポール・ジェンキンスさんという先生がこの間、カリフォルニアから来て、ダムとか、アメリカで反対している人なのですけれども、その方の話だと、垂直に上げれば上げるほど、今度は下の砂がボンと持っていかれやすくなるという話を聞いたのですね。だから、またそれを上げてしまうと、今度はもっと量が多く砂が出ていってしまうようなことになりかねないのではないのかというふうに思うのですけれども、その辺、質問なのですけれども、どうなのでしょうという。
○事務局 宇多先生、少し解説していただいてよろしいですか。
○宇多審議役 つくる位置によるのです。あの絵はあのとおりつくるという意味で説明なさったのではなくて、今ホテルの前に、遊歩道の右側、陸側にあるではないですか。ああいうものでもいいし、いろいろあるだろう。だから、波に向かって顔をボンと突き出すような、そういうものではないものもいろいろあるので、そういうものとして、割とレンジを広く考えていただければと思います。
○谷内 はい。それで、被害に遭ったときに、結局ホテル側の方まで行っているわけではないですか。そうすると、確かにそこまでに歩道があったり何かして傾斜はあるけれども、あれだけえぐったわけではないですか。ということは、結局垂直にもっと上げれば波の当たる量が多いわけではないですか。そうすると、落ちる、そこをえぐる力というか、それも大きくなるわけではないですか。そういった場合に、上げれば上げるほどもっと砂が侵食しやすくなってしまうのではないのかなというふうに……。
○宇多審議役 原理的に言えばそのとおりで、本当は前にたっぷり砂があるところに、後ろに引いた形である場所が随分ありますね。そういうのが一番理想なのです、本当は。
○谷内 わかりました。でも、結局それを何年かに1回とか、年に2回とか、もっと大きな規模のものが来る可能性というのがあるわけではないですか。そうすると、もっと被害が大きくなるという可能性がある。だから、余計に危険なことなのではないのかなというふうに、可能性ですよ、私は全然そんな、あれなのですけれども……。
○宇多審議役 それは上田さんがいみじくも資料、これはサーフライダーが入れたのでしょう、これ。短期的な問題と長期的な絵が入っていましたね。後でだから上田さんの方で多分説明なさるのですね。
○事務局 そうです。
○宇多審議役 つまり、さっとやれることには限りがあって、だからそこさっきから言っているように、いろいろ議論をして、大体どのぐらいまでのあれをやるのかとか、また子供が大きくなる時代までにもう少し鴨川をよくしようとか、さっきから議長が言っているような割とロングスパンの話とかいろいろあると思うのですね。
○谷内 ただ、でもあした来るかもしれないですよね。
○宇多審議役 そうそう、それはおっしゃるとおりで、だから県の方で何かやるにしても、つくりました、すぐ壊れましたとか、それは何をやっているのだという話になるので……。
○谷内 冬の時期にやれば……。
○宇多審議役 その段取りをやはりオープンの形でちゃんと議論していこうよという、だから決して、さっき児安課長の言っていたものは青写真を持っていて説明したわけでは全然ない、そうですよね。
○谷内 わかりました。
○宇多審議役 それも含めてもんでいただきたいという趣旨でお話になったと思います。
○上田 谷内さんの質問に関してのポールの説明のときには、海岸の砂の移動のというか、システムというか、仕組みが若干違った海岸だったのです。だから、ここはポケットビーチで左右にウェーブ。それと違って、だからそれと違って川から一定方向にずっと流れるような海岸で変に垂直にボンとやってしまうと急に洗掘が起こって、供給がないところにやると一挙に洗掘が起こって、すごいことになるということを提案していたのですね。だから、そのあたりは宇多さんから鴨川はどうなのかという見解をいただいた方がいいのではないですか。
○宇多審議役 説明してもいいですか。
○事務局 はい。
○宇多審議役 これだと後ろの人は見えないから、パワーポイントで空撮を出してください。今の上田さんの質問に少し答えさせていただきます。
                〔 Power Point 〕
 余りしつこく答えないで質問にだけ適切に答えると、ここ、浜荻は岩礁帯でしょう。向こう側も岩礁で、今、ポケットビーチと上田さんが言ったのは、こっちと、こっちと両方クローズされていて、ここから砂がたまにはこっちに行ってみようかということがないからポケット、私のポケットみたいなポケット、10円玉を入れておけば出ない。そういうところで、とてもヤバイのはこの辺ですね。砂の動き方はどうかという質問があるので、幾つか種明かしをすると、この1つ目の離岸堤のすぐ南側、前原のサンライズコーストがガクッとえぐられているのはなぜか。それはすごく単純で、この離岸堤がしっかり頑張っているのです。この防波堤をちょっと延ばしたでしょう、昔。それで波がこっちから来たときにこれは波の遮蔽で、願わくば、少しこっちへおいでよと引っ張っているのです。だけれども、これが頑張っているもので、この頑張りが効いているがゆえにこれのこっち側から向こうに砂が動くことはできずに、これのすぐ隣のところがザクッとえぐられた。そして、この砂はどこへ行っているかというと、ここら辺のところに非常に緩勾配をなしてたまっています。だから、ポケットの中のポケットというか、居場所が変わったという具合で今起こっている。それからもう一個、こっち側は、待崎川のここのところは、これはさっき星上さんから聞いたのだけれども、植物のあったところは80%全部きれいにカットされて、その砂はこっちの方へたまっていたのだけれども、今は東うねりに変わったのでまた戻っている。だから、こうなったのだけれども、今はこう戻っている。まだこっちにうんとたまっていますけれどもね。そういう、この中にある砂の量は一定で、右へ行ったり左へ行ったりしているということだと思うのです。これが鴨川の、さっき上田さんの言っていたダーッと川から出た砂がどんどん、どんどん行っているものとはちょっと違うのかなということでいいですかね。
○上田 だから、護岸に対して急に洗掘するという危険性はない……。
○宇多審議役 その「急」という言葉が意味深長で、例えば待崎川の、さっきの相原さんの植物の、あの得体の知れない植物がついてしまってという、さっき行ったらホームレスが2人いたけれども、ここのところなどはもし護岸がこういうふうに凹んでいないでこの辺にあったら、これは短期的にガーンとなったでしょうね。それがうそだと言うのならば、鴨川市の、あそこは何でしたっけ、小屋があったではないですか。
○事務局 防災倉庫。
○宇多審議役 防災倉庫、あれ、私、さっき行ったら大体1m50ぐらい、私の目の高さよりちょっと上ぐらいまで、砂がもう全くない。宙に杭が立っていましたから、それぐらいの変化が起こるようなすごい勢いで砂がこっちへ動いたので、だとすると、もしそのときにこんなところに護岸があったら多分壊れていたでしょうね。だから、今のは場所によりけりではないですか。どこに護岸があって、どれだけ前浜があるかというのが非常に重要で、だから、この一連の問題も国道128号でしたか、この国道の全部こっち側は海というふうになっていれば別に取られたってまた戻すだけよということになるのだけれども、そうはなれない状態に今なっているというところが辛いところでしょう。
○足名 足名と申します。
 宇多先生にお聞きしたいのですが、ことしの秋口ですか、待崎川左岸の砂が、先ほどから何回も言っているのですがなくなった現象がありますね。これは浜崖だと思うのですけれども、浜崖というのは、私の知識の中では砂がたまったところにそういう現象が起きる。これは侵食とはまたちょっと違う意味合いがあると思うのですが、先生の御見解はどうでしょう。
○宇多審議役 あべこべです。きょう一番、浜荻側に行くと、サーファーが50〜60人いたけれども、あそこにこんもりと、シューット上がってゆっくりと勾配が下がるようなこういう砂の塊、あれを「バーム」と言うのです。あれが堆積したときにできるもので、それを包丁でストンと切ったような感じで、あとは平らになりますね。あの浜崖というのは侵食のときにできる一番典型例です。砂はどちらに動いてもいいのだけれども、おおよそ沿岸方向にあるところからパッときれいさっぱりなくなったときに構造物の隣であれがよく見えるのです。
                〔 Power Point 〕
 だから、今回の場合はあそこの待崎川の左岸導流堤のところがちょうど屏風のように突っ立っていて、これは私が撮ったのではなくて、だれが撮ったのだろう。
○事務局 我々です。
○宇多審議役 事務局が撮ったのですか。これの高さが、これを見ていただくとわかるけれども、1m50、身の丈ぐらいある。きょう行ったところは私の大体膝ぐらいだから、このぐらい、だから1mぐらいはもう戻しているのですね。だから、ある日、ある一時出て、こういうふうにきつい崖ができて、しかもこれは待崎川の近くでうんと高いこういう崖ができて、だんだん、だんだん向こうに行って、土木事務所ではなくて、今は整備事務所と言うのですか、あちらの前に行くとだんだん低くなってきているということは、やはり待崎川の導流堤でパチッと切れてしまったためにこういうすごいことが起こった。
○足名 そうすると、そこは砂がすごくたまりやすいような状況ができているということですね。
○宇多審議役 そうそう、ある意味ではそうですね。
○足名 そうですね。
○宇多審議役 ええ、導流堤があるもので、北東うねりが来ればたまるし、南うねりが来ればすっ飛んでしまうということだと思いますけれども。
○足名 ありがとうございます。
○事務局 そうしましたら、今議論の中で、お手持ちのプリントの中に資料−7というのがあるかと思うのですが、これは今回、サーフライダー・ファウンデーションの上田さんの方にかなり御協力いただきまして、サーファーの方々にいろいろな勉強会をしていただいた中で、サーファーの方々がこの海岸について今どういうふうに考えていて、何が問題だというふうに思っているかというのを別紙でまとめていただいたのを事務局の方で少し加工したものなのです。
 せっかくですので、これについて上田さんの方から少しプレゼンテーションをしていただきたいと思います。
○上田 今、紹介をいただきましたサーフライダー・ファウンデーションという団体の上田といいます。
                〔 Power Point 〕
 今回のこの海岸に関しての検討をいろいろしましょうということを一番最初に提案したというのは私たちサーフィン関係者なのですね。やはりそれを言ったからには最後までこういうものにしっかり参加していこうということで、余り無責任な言いっぱなしだけはやめておこうということで、今までの3回の会議にも参加もしていますし、それ以外にもまた自分たちでいろいろわからないこととかを勉強しようということでいろいろなことをやっています。
 先ほど、だから千葉県というのは特別で、本当だったら一挙にいろいろなものができてしまうのを一たんストップして、少し時間をかけていろいろな意見を聞いていただいているということは本当にそのものでというか、それは千葉県の行政関係者の方にものすごく感謝したいですし、法律が変わってそうなったとおっしゃっていたのですけれども、実際に法律が変わっていても前のまま知らないうちにどんどんできている海岸というのは日本中にはいっぱいありますし、それに対してクレームとか、それを嘆いている仲間というのもいっぱいいます。それがゆえに、できるだけこういうチャンスを大切にしたいと思っています。
                〔 Power Point 〕
 ちょうどこういうことをやっているときに、10月にアメリカの同じように海岸のことに取り組んでいる仲間がたまたま日本に来たので、勉強をする会がありました。彼らの話というのは、鴨川とは大分ケースは違って、大きなダム、そのスケールというのは保台ダムよりももっと大きいものですね。金山ダムよりももっと大きいもの、それが50年ぐらいたって全然使えなくなってどうするか。またその下流がどんどん侵食が始まっているということで、だからダムというものを考えようということを10年かけてずっと地域で話をしてきたそうなのです。
 彼らも最初はその話をしたときに、そんなことはとんでもない、そんなでかいものをつくったものが壊せるはずもないし、社会的にそんなことできるはずがないとずっと言われていたそうですけれども、やはりそういうものを維持していくのに関するお金とか、その地域のいろいろな経済的発展とか、そういうものを細かくチェックしていって、本当に将来的に何が必要なのかということをずっと、だから10年かけてやったそうです。だから、それを聞いた私たちもやはりこの1年間で結果は出なくてもずっとやっていこうということで何回も話をしていました。
 だから、そこで得たのが、すぐに何かやってしまうと、それがまたいろいろな影響を起こすので大変なことになる。それと同時に、今回また新たに古い海岸の写真とかを自分たちで探しに行って、本当にここはもともとどうだったのかというのをじっくりと考えたのですけれども、実はそれというのはそんなに突拍子もない回顧主義でもなくて、今、世界中で、かつての状態がどうだったのかというのをしっかりと見直して、その変化というのを本当に客観的に考えないと、変わってしまった段階からどんどん変えてしまうともう取り返しもつかないことになるということが世界中で話をされているらしいのですね。
 その資料というのは「Shifting Baseline」という、それは外国の情報ですけれども、そういうもので紹介されています。それも1枚紙が入っていますので、後で帰って読んでいただいたらと思います。
 究極的なゴールというのはやはり古きよき海岸というか、昔の鴨川のあの海岸線になれば一番いいのになということはいろいろ話はします。もちろん、それというのは現実的にいろいろな問題が多分あると思いますし、だからすぐにそこに到達するはずもないと思うのですけれども、やはりそういうふうなビジョンというのは持っていたいなというふうな感じになっています。
 それと、やはり徹底的に自然の海岸というのはどういうメリットがあるのか、本当にこれから何年か後の自分たちの次の世代とかにどういうものを残せるのかということはものすごく大切にしたいなと感じます。
 大体そういう感じの話し合いを経て、ですが、いろいろ提案することというのはしっかりと論理立てて整理をしなければいけないということで、この表にありますように、だからすぐにこういうことをしたらどうかという提案と、あと長いスパンをかけてこういうことをしたらどうですかというふうなものに整理をして紹介したいと思います。
 短期的なことに関して、同じく鴨川サーフィンクラブの栖原の方から少し説明させていただきます。
 お願いします。
○栖原 済みません、栖原と申します。
                〔 Power Point 〕
 短期的に今何かやれることということについて、私たちサーフライダー・ファウンデーションの方とか、鴨川でサーフィンをしている人間たちで考えたのですけれども、
                〔 Power Point 〕
とりあえず、今ここに砂がなくなってしまっているということについて私たちが提案したいのは、ここにある砂ですとか、あとはこちらにある、鴨川の中にある土砂を物理的にこっちに移動させてみてはどうかと思うのです。例えば、これはまた実際にすぐに1年、2年なりでこっちに戻っていってしまうかもしれないのですけれども、それで逆に1年、2年でもその間にもつということがわかれば、何か人工的なものをつくらなくても、1年、2年もつサイクルでやり続けていけばいいのではないかというふうに考えました。
 もう一つはここの漁港の前なのですけれども、釣りをやっている方々、この辺で今逆に浅瀬の魚が釣れるとかいう話も聞きますので、もしかしたらこちらの砂をこっちに船で、浚渫というのですか、それで移動させてみるという、砂がまた戻ってきてしまうかもしれないのですけれども、1年、2年というのを繰り返していけばいいのではないかという意見が出ました。そういう意見をまとめてみました。
 それで、こちらから砂を運んでいる間に、先ほどおっしゃったような堤防の嵩上げですとかを同時進行的というか、そういうやり方でやっていってはどうかという意見なのですけれども、先ほどのここから取ったりした砂をどこに入れるかというのはまだ提案なので、専門家の方に調査、意見を伺いたいと思いますけれども、以上です。
 ありがとうございました。
                〔 Power Point 〕
○上田 だから、すぐにできることでこういうことがどうなのかということなのですけれども、このあたりの国道から河口までの砂とかこのあたりの砂、こういうものとか、河口から漁港の入口にかけてどういうふうに砂がたまっているのかとか、それはさっき言ったように魚の種類が変わってきたとか、ここのバイパスのところの、ここにべーシアがありますけれども、べーシアから見たところの堰堤というのですか、ちょっとした川の段差、あれがどんどん浅くなっていっている。後ろにそういう写真とかも用意してあって、結構雨が降って水量が多いにもかかわらず、このあたりにもすごく砂もあるし、こういう砂というのはもっと浜に提供できるのではないかと考えています。だから、そのあたりは何か土木事務所さんとかで持っていらっしゃる情報とか、そういうものを提供いただけるとありがたいと思います。
 だから、基本的には短期なことということで、すぐにそういうことができないかという、それは先ほどのいろいろな施設の被害というものを最小限に食い止めながら、その地域のいろいろな経済活動というのをしっかりと維持するということです。
                〔 Power Point 〕
 それを踏まえて、その長いタームでどういうことをやっていくかということなのですけれども、これはかなり、だから極端なことも言ったりしています。絶えず、だから砂を堆積させながら、先ほど言ったそれが1年なのか2年なのか、どういう感じで移動するのか、そういうものもしっかりといろいろな客観的なデータとか、そういうものを積み重ねる必要があるのではないか。ここに書いたピアというのは後ろに少しカリフォルニアのピアというのを少し紹介してあって、桟橋なのですけれども、これというのは逆にこういうふうな使い方をしながら観光的に使うとか、結構欲張ってそういうふうにやっていいのかどうかわからないですけれども、今までどおりのコンクリートでいろいろなものをつくったり、固い構造物でいろいろ対策するとかというものに比べて、もう少し観光資源的にもいいし、いろいろこのあたりというのは最近の季節というのは朝市ですね。浜荻の漁協の方がいつも貝を獲っていらっしゃいますけれども、そういう貝の生態系とかにも構造物でとめてしまうとか、コンクリートで何かをするというものよりもいいのではないか。また、だから砂というのはすぐに移動するということに対して、サンドバッグというのは砂袋ですね。今、だからグランドの災害のときに砂袋を使ったりされていますけれども、そういうものも使いながら形というか、人工リーフ的に置いていったりすることもできるのではないかとか、究極的に、だから本当にその施設というもののメンテナンスとかの位置というものが、今後何十年かけてかかる費用とか、それといろいろな災害の可能性を考えた場合のメンテナンスで、海岸のすぐ近くにある施設という場所が本当に得策なのかどうなのかというのもやはりもっともっとずっと継続的に考えるものかもしれないと思っています。
 それと、1つここにある隣接する離岸堤の段階的な撤去とか移動というのは、このマリーナに一番近いところのものです。だから、これというのはこれを取ったからすぐに砂がどうこうというのは全然わからないのですけれども、1つこういう話をしているときに、昔のマリーナがなかったころにはこの堤防の一番近くの手前には磯があって、サーフィンというのはその沖合でやっている程度であって、だから子供たちが遊ぶ格好の場所だったそうなのです。だから、南うねりが一番当たりにくいところですから、ものすごく安定している。だから、今のこの海岸で言ったら、ちょうどこのマリーナとの間、少しあいているのですけれども、そこで実際に子供たちが遊んだりしていることもありますけれども、それを「セーノ」で取ってしまうとやはりいろいろな影響もあるだろうから、今年は10m、それからどういう変化があるかというのを積み重ねながら改良していけないか。それはやはり行く行くは海面というものを有効にうまく利用する。海水浴客というのは今年はふえたというような情報になっていますけれども、これからもっと長い先を考えて、どういう海岸が海水浴客にとって魅力的なのかというのもあると思います。
 だから、マリーナというのはこれはもちろんフィッシャリーナなのですけれども、こういうものをつくるときに余りここが長いとつくりにくいのでマリーナと言っているのですが、だからその施設というものを本当に長い経済的なものを見て、このマリーナを維持するとかということとこの海岸全体のバランスというのはどうなのかというのは、それは本当にはっきり言ってとんでもないことかもしれないですけれども、長いタームでは必要なのかなと。今、だから漁港の中の静穏度というのでいろいろな対策があるのですけれども、もし今回の工事でまた使えなかったら、それは漁業者の人にとって一番大変なことなので、この海面というものをもっと後ろに下げるとか、そういうことというのは物理的には可能ではないかと思っています。
 あと、サンドリサイクルというのは絶えず砂を移動させるということを、これは継続的にやるということですね。
 あと一つ、一番やはりこういう会を踏まえて、それでなかなかこういう場にほかの一般市民の人というのが来るような雰囲気とか、そういうものもあると思うし、これだけ積み重ねてきたことというのをどうやって共有するかということで、もっと長い目で見ていろいろな鴨川のイベントとかでこういうものをわかりやすく展示していく活動というものをずっとやっていきたいと思っています。
                〔 Power Point 〕
 最後に、さっきピアの話がちらっと出たのですが、1つ、これは阿字ヶ浦というところで、これはかつてのということですので、今は海岸は全然変わっていますけれども、昔こういうふうなピアでいろいろ調査をしていたというのは、これは宇多さんの本当に青春の思い出かもしれないですね。
                〔 Power Point 〕
 これがここの海岸がものすごく変わったという例で、こういう大きい構造物がここはできて、大体この方向で今見ているのですけれども、かつては砂浜があったけれども、全くなくなってしまったというところがつい3時間ほど走った北のところにはあるということです。
 以上です。
 何か追加があればお願いします。それと、今の話に関しての質問とかいろいろな意見をいただければと思います。
○事務局 ありがとうございます。
 今の上田さんに御紹介いただいたような内容にでも結構ですし、それ以外のお話でも結構ですので、何か意見がございましたらぜひお願いします。
○上田 1つ追加で、先ほどからピアというものがあって、ピアというのは基本的には砂を確保するというか、そういうふうな目的でつくられたものはアメリカにはないのですけれども、1つ論文が見つかったのは、古いピアがあって、それを取ったらそこの根本が、ピアがあって砂があったものが一挙に砂がなくなってそこが侵食したという報告書が見つかったのですね。だから、それを逆説的に、ピアの本数とかいっぱいあると思うのですけれども、そういうもので砂を確保するというのは全くナンセンスではないというふうに思います。これはぜひ事務局の方に提出して、いろいろ参考にしてもらいたいと思います。
○事務局 ありがとうございます。読ませていただきます。全部英語なのですけれどもね。英語が苦手なもので、ちょっとビビッてしまいますけれども。(笑声)
 今、上田さんの方からプレゼンテーションいただいた内容は、少し短期的にやれることと、それからもっとロングスパン、つまり100年とか数十年という単位でやれること、できることはないか。少しまちづくりみたいなお話も含めた形の提案だったのかと思います。
 会場の方から何か御意見とかありましたら、相原さん、どうぞ。
○相原 済みません、相原と申します。
 私は鴨川に嫁に来る前にここの資料−4を見ていただきますとあります守谷海岸で生まれ育ちました。ここに「直立護岸」というのが書いてあるのですけれども、守谷海岸のところというのはリアス式海岸なものですから、小さな湾ですから、本当に台風の被害などは全くないのですね。子供のときから台風でそんな侵食したなどというのは全く記憶がないにもかかわらず、嫁に来ましてからしばらくしましたら護岸ができたのです。ここに書いてありますように直立護岸というので、確かに直立護岸ができまして、そこのところに道路がつくられて、そしてそこまでずっと、本当は昔は砂浜をずっと行けたのに、ずっと前の方に護岸をつくってしまって、自分たちの私有地にしてしまったのです。そこに家が建ち始めたり、民宿ができたり、いろいろ私物化したというか、私有地ができていきました。まあ先、海岸の何とか権利というのですか、そういうのがあってするのだと思います。
 鴨川もそういう傾向があったのではないかと思うのですが、自分の必要よりも、必要だったからかもしれないのですけれども、本当はあの鴨川シーワールドはもっと、もっと、もっと手前に浜があったはずなのですね。私が嫁に来たときにはあそこは海岸でした。松林でした。そして、あそこが埋め立てというか、どんどん、どんどん堤防ができて、そして昭和44年にお嫁に来ましたが、あそこに翌年シーワールドができて、どんどん、どんどんあの海岸道路ができたわけなのです。
 もうつくってしまった道路です。それは本当は海につくってしまったわけなのですね。それを自分たちが利用してしまったわけですから、それは海は自分の土地を、必ずもう一度大きな波が来れば波で元へ戻したくなるのは当たり前のことで、どうしたったそれは自分たちがつくってしまったのだから、昔の位置に戻すことはできないわけではないですか。そして、守谷海岸だって白い砂や何かがあって、本当にいいのに、あんなに白い、そういうものを阻害するようなものができてしまったわけですね。それで、私は10年以来、ここのところをずっと海岸清掃をしているのですが、これはどんなに、これは夢物語だと思って聞いていただきたいのですけれども、どんなにガードしたって大波やら何かが来れば必ずザブンと来ます。と思うのですね。そうしたら、もう鴨川は確かに、お金や何か、それは考えたら大変なことかもしれないですけれども、夢として、私の夢を聞いていただくという感じで聞いていただきたいのですけれども、もうあと3m以上はというか、今の道路より、私たちの車が通れるような道路を、ニースの海岸に行って見ましたが、本当にこのビルぐらいの高さにまで上げて、その上に道路を走らせて、そしてその海岸道路は道路がドーンと大きく通って、ホテルはその後ろに下がっていただくなどという夢物語ができたらなぁなどと考えているのはどうなのでしょうという感じなのですけれども、済みません、これは夢ですかしら。
○事務局 ありがとうございます。
 今のような話から始まることもあると思うので、今のような御意見でも結構ですので、ぜひどんどん。
 どうぞ。
○倉野 倉野と申します。申しわけありません、座って話させてもらいます。
 私は未来のことではなくて、前原海岸の明治のころからの話を父親から聞いていますので、そのことを話します。
 前原海岸、今、サンシティさん、ラメールさん、それからユニバースホテルさんにかけての海岸は上げ潮になると旅館いっぱいまで波が来て、そこに護岸堤を個人でつくって、材木を組んで、その中に石を入れて波を消していたそうです。その上からクロダイなどを釣っていたといいます。それが関東大震災で、私の家は鰻屋で、井戸水を使って鰻を飼っていたもので、井戸枠を2本半ぐらい足さないと地下水に届かなくなるぐらい隆起したそうです。それでも台風などが来ると、今、ノンキーさんのお店がありますね、前原海岸に。あそこだとか、あそこから芝通りに出てくる道、それと今、グリーンクラブといってペンションをやっているところにもちょっとした海岸からの道があります。昔、あそこを出たところに鴨川の警察署がありました。そこだとか、マンションの富貴屋さんが建てたサンライズコーストですか、あの辺と、台風が来るとあそこから芝通りだとか本町通りに波が上がってきてしまったそうです。それで行けなくて、昭和の元年ぐらいに生まれた人ですけれども、その人が若いころは、15か20だと思います、戦前だと思います。戦後もやったそうです。道の一番高いところに土嚢を積んで波が入ってくるのを防いだそうです。
 それと、私たちのころは、私たち、昭和20年代、待崎川によく遊びに行きました。待崎川は導流堤がなくて、東側は鴨川グランドホテル、西側は市民会館を越えて川が蛇行して、ときによっては海の関係と大水の関係で大分河口が蛇行して、さっき言われた侵食のように直角にえぐられていました。今、松が、防砂林が植わっていますけれども、50cmぐらいからずっと2m、5m、それから大木のようなものが徐々に植わっていまして、50cmぐらいの植えたばかりの松の木はほとんど流されていました。それがいつの間にか、人の手を加えずに、ガクッと直角に侵食された砂は戻っていました。
 ただ、漠然とそういうようなものを見てきていましたけれども、人の手を加えなくて、海から運ばれる砂で、風で運ばれるかもわかりません。また波で上がってくるかもわかりません。そのときは鴨川には加茂川を真っすぐ流すような堤防が港側と前原側にあっただけでした。2mから3mの松の木の植わっている海岸と防砂林の間は、絶えず海から波で上がってきた10cmか5cmぐらいの細かいごみが波で打ち上げられるように松林の中に入っていました。高さはほとんど今のところと変わらないです。今、あそこに遊歩道ができていますけれども、遊歩道よりもちょっと前ぐらいまで小さい松が海岸、波打ち際に向かって植わっていたと記憶しています。ただ、きちっとした記録は持っていませんけれども、私が子供のときから遊んでいる海はそういう海でした。
 以上です。
○事務局 倉野さん、どうもありがとうございました。
 実は、私も倉野さんのところに先日お邪魔しまして、さっき本町の通りの方まで波が上がったというところの現場を見させていただきまして、昔の砂丘地が、今、海岸に出てくるところの細い通りは全部なだらかに傾斜をしていますね。あそこが昔砂丘地だったというお話を聞いて、ちょうどその一番高いところに土嚢を積んで波が内側に入ってくるのを防いだというようなお話を伺うことができました。
○宇多審議役 ちょっと。
○事務局 宇多先生、どうぞ。
○宇多審議役 さっき相原さんの意見があったので、基本的に私はきょうは黙っていようと思ったのだけれども、やはりちょっと言った方がいいかなと思って、結局まことに正論なのです。日本の国の海岸の問題というのはほとんどそういう人間が余計に出しゃばって川の流れをいじくって、海から砂を取ってギリギリまでやったという、その過去を全部調べるとほとんどそれに突き当たるのです。それで、全く言っているとおりだと私も思う。しかし、これはずっとやっていくと、結局イスラエルとアラブの、その土地は一体だれのものかというずっと歴史的に遡っていってしまって、多分、相手、AとBがいたら、Bを完璧にやっつけるか、Aがもうつぶしてしまうかという熾烈な戦いになるしかなくて、というのは、あの辺でやっているのはそういうあれで、民族全部をつぶしてしまえばいい。つまりそこに住んでいるものを全部総なめにして、松林というか、砂浜に戻せばいいではないかという、そういう論理にどうしても行ってしまう。それで、そのときにまことに正論なのだけれども、これは日本の国の政治ないしは社会制度、その物の考え方、きょう、きのうの問題ではなくて、ここ数十年間にわたって、あるいはもう戦前からかもしれないけれども、そういうふうなもので一応コンセンサスをつくってきたという歴史があるもので、それをガーンとやるのは、まさにこれは政治的な問題で、非常に困難だと思う。
 そうすると、あなたは日和見主義者というふうに、多分また言い返してもらってもいいのだけれども、そうだとすると、現在の法律とそれで非常に合法的に、例えば道路も、125も全部合法的につくられて、現にこの姿がある以上、相手を根底からなしと言うふうに言うのは口では非常に言いやすいのだけれども、違法行為なら警察に頼めばいいけれども、全くの違法行為ではない以上、しかもそこに住んでいる人は憲法に保障された生存権というのはみんな持っているわけですね。そういう中で、本当の妥協点を見出そうとすると、答えはみんな辛い答えを何とか編み出していくしか方法はないのではないか。だから、だれかが満点でだれかが20点とかいうふうな答えにはどうもならなくて、極めて悪く言えば妥協したなと言われるかもしれないけれども、そういう辛い選択をやはりやらなければならない歴史を背負ってしまっているというか、そういう面があると思うのです。
 だから、上田さんのさっきのお話で、短期的と長期的なお話をされたので、私も全く同感、中身はそうではないと思うものもあるけれども、物の考え方としては、余り長期的な話ばかり言っていても、篭をちゃんと用意してくださいと言ったのがどこかへ持っていってしまったとかあるではないですか、ちりとりの。だから、そういう短期的な問題をやはり1個ずつ解決しながら長い目で彼の言うようにみんなで協力して、非常に腹に詰まる思いはあってもやはりしょうがないのかなとちょっと思うのだけれども、言い過ぎかな。
○相原 私ばかりで済みません。
 でも、先生、やはり絵の描き方というのがあるのではないかと思うのですよ。鴨川をどんな町にしたい、どんな海岸線にしたいというアートを描いて、そしてやはりそのアートの中で自分たちがそれに年々歳々年をやっていくという、そういうような考えじゃなかったら、じゃあここで今認められていますから、ホテルの認可が下りましたから、はい、建てさせてしまいます。私は自分がホテルをやっておりましたから実に思うのですが、認可を得られたからあそこへ建てたわけです。それは建てられましたけれども、そこへ波がザブンと来ましたといっても、それは自分の責任かもしれない部分もあるわけなのですね。ですから、でも来てしまったことは仕方がありません。だから、それを今度は海が見えなくなるということは少し我慢をして、高く道をつくっていただいて、今度は自分が建て直しをするときにはそのもっと上にホテルの客室をつくる、そういうようなだんだんの直り方をしていって、自分もそれを直していき、町もいい方向に行ったらいいのではないかなと思うのですが。
○宇多審議役 いいですか、答えて。
 全く同感、つまり夢を持って、今すぐにはできないかもしれないけれども、理想の姿を共有の姿として持って、それでいろいろあってなかなかうまくいかないところはそれぞれ応分の、満点ではないというのは、例えばホテルの目の前に離岸堤でも打てば簡単にビーチはつくれるわけですよ、隣を犠牲にすれば。だけれども、そういう手はなくて、眺望が悪くなってしまう面があるのだけれども、それもある部分はやはり我慢しなればならないのは、相原さんの言うのは自業自得だというものですよね。みんなで、「自業自得だから、あんた」という言い方はないけれども、みんなそういうので、非常に狭い隣組で住んでいるわけだから、そこを、私はちょっと悪く言ってしまったけれども、自業自得だと、そういうことは口が裂けても言ってはいけないのだけれども、言わないでそれとなくそちらの方もやはり日本人の知恵というか、みんなでちょっと我慢しようよというふうになれば、相原さんの言ったとおり、全く私は同感です。
 ごめんなさい、余り言い過ぎた。
○足名 足名と申します。
 第1回目からずっと会議に出ていて、また毎日、相原さんは掃除をしているのですけれども、私は歩いているだけなのですけれども、その辺で海岸のことでちょっと気づいたというか、そういうことがあるのでちょっと発表したいと思うし、宇多先生からもちょっとコメントが欲しいなと思うところもあるのでお願いしたいと思います。
                〔 Power Point 〕
 しゃべりが下手なので読ませてもらいますけれども、これは第1回目に配られた航空写真の古いときから新しいときの写真、何げなく構造物、昔は構造物と言えるのかどうかわからないのですが、ラインを引いてみました。昔は浜の南側ですか、このラインが真っすぐなのですね。この辺まで真っすぐだと思うのですけれども……。
                〔 Power Point 〕
 それで、毎日この辺を歩いているうちに、この辺はもうフィッシャリーナができて、テトラポッドが3基入って、もちろん待崎川の堤防もきちっとできて、土木の下の側溝ですか、今回、壊れてしまいましたけれども、あの側溝もしっかりしているときですね。この構造物を線で、うまく引けなかったのですけれども、線で引いてみますとこういうライン、曲線がきれいに引けるわけです。それで、こっちの浜荻側の曲線というのは古い写真からずっと変化はありません。それで、この曲線と砂の蓄積ですか、これがすごく密接な関係があると思うのですけれども、宇多先生、どうでしょう。
○宇多審議役 そのとおり。
○足名 そのとおりですよね。
○宇多審議役 そのとおり。
○足名 それで、ここで2箇所の砂だまりがあると思うのです。1つは潮騒公園の下、今回、浜崖があって、先ほど宇多先生に聞いても砂がたまりやすくなっているというところですね。あとここの前原だと思うのですけれども、前原のマンションの下の砂がなくなっているのは、ただこのテトラポッドの形状のための砂のえぐられだと思うので、実際にはこの辺には砂が随分あると思います。それで、まず潮騒公園の方の砂浜なのですが、この問題点というか、気がついたのは、待崎川の防波堤とこの側溝の高さが陸から汀線までの傾斜角度に合っていないのですね。合っていないから、ここにすごく砂がたまりやすくなってしまっている状態だと思います。この辺はテトラとかいろいろあるから砂がたまりやすくなってしまっていると思うのですけれども、そこで対策としてではないのですけれども、まずこの待崎川の堤防を低く蒲鉾型のような感じにしたらどうかと思うし、またこの側溝、ちょうど今回壊れたので、これも浜の傾斜角度に合うような低さまで持っていけばどうなのかなと思うし、あと前原側なのですが、今、漁港の沖のテトラポッドとマリーナのテトラポッドを直線に結びますと、ちょうど前原の早川水産さんの下の方までの直線ができると思います。この直線に合わせて3基あるテトラポッドを移動なり、砂の移動しやすいような海底に敷き詰めるとか、工夫してみたらどうかと思うのですが、そうすれば、海底に敷き詰めた場合、波はこの辺で崩れてしまうし、岸までも来ますし、この辺の砂も随分動きやすくなると思います。また、川で砂がたまりやすくなりますが、これは保台ダムですか、飲料水や農業用水を考えて、もう一つの利用として砂の拡散という感じで、たまったら出す、水たまったら出す、そういうのを繰り返してみたらどうかと思うのですけれども、どうでしょう。
○宇多審議役 私ですか。
○足名 はい。
○宇多審議役 いいですか、答えて。
 重々承知だろうと思いますけれども、ここは漁港で漁師がいるわけですね、もちろん。漁は安全に魚を捕る……。
○足名 済みません、このラインはマリーナを突っ切ってしまっていますが、ここぐらい。
○宇多審議役 そんな感じですね。それで、これはやはり安全に漁ができなければならないということがあるから、だからこういうふうに防波堤をつくったわけですね。ただし、絶対に誤解してほしくないのは、こういうのは全国で2,740あって、砂がたまってしまっているのが2割ぐらいある、400ぐらいあるのですけれども、砂をためようと思ってつくったわけではないのですね。それはいいですね。
○足名 はい、大丈夫です。
○宇多審議役 だけれども、結果として砂がたまっているのですよ。このときに、さっきから議論には出ていないけれども、非常に重要なポイントがあって、ここ、車をとめているところから階段をポンと下りてもらうとすごくサラサラの、あれは0.1mmのすごくいい、細かい砂がこのあたりにはいっぱいたまっているのです。それはこの辺にあった砂のうちの細かいものだけがこっちに先に来ているのです。だから、そういう砂がたまってしまっているということはよくよく覚えておいてもらって、それで質問の答え、この導流堤は現在の高さでも足りないぐらいです。あれをもし低くすると、東うねりが入ってきたときにてっぺんに砂利が乗っているでしょう。あれはバーンと乗っかったのですよ、砂利が。だから、あれがフッと大量にオーバーフローしてしまって、待崎川の河口にはそんなにたまらないけれども、こっち側になだれ込んでくると思います。そうすると、ここからこっちは砂に余り来てもらいたくない状況なので、それを助長してしまう感じになると思います。
○足名 だから、古い写真のように、この直線を、何と言ったらいいのかわからないですが、昔のようにコの字のようにここを、こことここはもう安全のために動かせないと思うので、この直線の中で、直線のラインを見た中でこのテトラポッドを移動というか、そうしてみたらどうかと。
○宇多審議役 わかりました。その可能性はあるかという質問ですか。
○足名 はい、そうですね。
○宇多審議役 そうすると、これを取るとどういうことが起こるかというと、今度はここの漁港の管理者側が困ることが起こって、こういうふうに水が渦を巻きますので、今のところは、ここは渦を、手前に押されているのだけれども、これがスッと流れるのですよ、こういうふうに。よく防波堤の脇で水が回るのだけれども、そうすると、細かい砂がちょっと時化たときにスーッと行ってここへたまるのです。そうすると、今度は漁港の管理者の方が困ってしまう、航路に砂がたまってしまうので。今度はそれを取らなければならないでしょう。取るとまたドミノ倒しが起こるので辛い。
 それからもう一つ、だけれども、これはさっきのお話の水没してしまったらどうかということの可能性がゼロというわけではなくて、そういうことを防止するような形にやればできるのではないのかという質問があるとすれば、それは今すぐ答えられないけれども、検討してみないとわからない。やれるかもしれない。
 それから、これを取り払うというのは、向こう側からこっちへ来るのをある程度とめているもので、水道の蛇口を閉めているような面があるのです。だから、これがピュッとこっちへ来ると、ここの砂が、行かないでもいいものが余計行く危険性があるのではないかなと思います。
                〔 Power Point 〕
○足名 私が思うには、これは直線的ですね、どちらかというと。かなり動いていると思うのです。だから、実際にはこっちにたまってしまうのかなという気持ちもあるし、動くのではないかなという思いも強いのですが……。
○宇多審議役 だから、今起こったことはすごく当然というか、ピュッと出したから、その背後に引っ張ってきたという、ただそれだけですね。さっきの説明のとおりことが起こったという理解でいいのではないですか。こう真っすぐだったものがピュッと出したわけでしょう。その陰は静かになってしまったから、ここらあたりはダブルに静かだから砂がたまってしまった。
○足名 もう一回新しい方の……。
                〔 Power Point 〕
 説明のとおりだとしたら、この直線を生かして、この辺の工夫というか、設計を、先ほど57年にこれが入ったとかと言われていたと思うのですが、もう10年以上たっているし、いろいろな問題が出ているので、私はこの直線を生かしたここの辺の設計をもう一度し直して見たらどうかということで発表を終わりたいと思います。
○事務局 ありがとうございました。
 今、3時20分ぐらいになって、かなり議論が白熱している最中なのですが、少し休憩を挟んで、5分ぐらい休憩をして、また議論を再開したいと思いますので、今から休憩に入ります。よろしくお願いします。
                 〔暫時休憩〕
○事務局 5分を少し過ぎましたので、そろそろ始めたいと思いますので、御着席願います。
 では、いろいろな方面の意見が今出されてきたので、少し客観的な立場で清野先生の方に少し整理していただきながら、あと短い時間ではありますので、今後、きょうの残りの時間、小一時間ぐらいの間にどういうことを導くのがいいかというようなあたりも含めて少し清野先生に御指導いただければと思います。よろしくお願いします。
○渡辺 ちょっといいですか。
○清野アドバイザー はい。
○渡辺 先生に話を聞く前に、私は鴨川漁協で漁師をしているのですけれども、この鴨川で昭和27年から漁師を始めて、今までちょうど50年ばかり漁師をしていますけれども、私の知らないような人が結構いろいろなことを考えてやってくれるのだなというふうに思っていますけれども、今、漁港の方の離岸堤の周り、あそこらはやはり昔はみんな本町通りあたりまで波が上がったという、関東大震災後、隆起したという格好で、そうしたら、今度は途端に地先の権利とか何かでワッと前へ出てきましたよね。それで、台風時期になって波が出てくると、結局家の方まで波が来るからということで、漁師の方に悪いのだけれども、漁場を少し提供して離岸堤を打たせてくれと。今まで、きょう話を聞いていて、皆さん方がどういうあれだか、この鴨川の何にしても、浜は広かったのですよ。私が漁師になったときは、その当時はまだイワシ網も綿糸で、それでもって1日漁をして帰ってくると、その明日はその網を干しに行ったのですよ。それで、すごく広かったのですよ。それがいつの間にか前へ出る、出る、出る、出るということで、結局なくなってしまったのです。
 だから、私たちもそれはやはり市でいろいろなことがあるから、このまま波でやられてしまったら人災にもなるのかなと、協力もしてあげましょうと。だけども、やはりそういった一番の元を余りよく知らない人がいるのだなと思って私は見ているのですが、さっき相原さんが言われたように、ほとんど砂浜の中に建造物を建てたのですよ。昔の芝通りなどと言ったら、ハラ医院というのがありますけれども、その医院の後ろ方に松が立っていたのですよ。そこから下は全部砂浜だったのですよ。あそこに網繰が何条といって網を干せたところなのですよ。それが今は1条も干せないのですよ。
 だから、そういったところから見て、やはり今、今度はマリーナの方のあそこへ砂が余計になったから、今度はこっちへよけてやったらどうだと。またそこでもって我々の漁場を取ってつくつてしまった後に、また砂が余計になったらまたこっちだと言って、やはりそういうことも少しは考えて、それは共存共栄ということがあるから、我々も今の時代でそうそう反対もできないし。ただ、といって、これをやるといっても相当な費用でしょう、なかなかできないと思いますよ。
 基本的には我々だって自然に戻すという、この浦の生態系、今、ハマグリだってみんな少なくなる、ナガラミか、ああいったものも少なくなるというのは、やはり川から出る水の腐葉土、そういった面の生態系も結局変わっているのだろうと、そういうことも考えて、皆さんがいろいろ考えてくれることはありがたいですけれども、そういったこともひとつよく考えてやっていただきたい、そういうことをちょっと話しておきたいと思います。(拍手)
○赤堀 赤堀と言います。広場です。
 私はサーフィンをやっていて、さっきのサーフライダー・ファンデーションの意見とかの流れでちょっと言っていきたいのですけれども、今、皆さんの意見を言ったことに対してつながることはいっぱいあるので、今の漁師さんの意見が私は一番胸に来たのですけれども、さっき言ったカリフォルニアの人、そういう運動をやっていた人も、そういう上流の漁師さんとか、そういう人とかの生態系の変化とかというのもすごく研究していて、漁師さんなどの意見もすごく聞いていて、それを元に戻そうという基本的な理念で上流のダムを、保台などよりも何倍も大きいダムを行政に対してサゼスチョンして提案していって、結局は壊すことになったのですけれども、そういった意見を私たちなども聞いて、それで先ほどサーフライダー・ファンデーションの提案書みたいなものを出したのですけれども、私たち、これは個人的な理解の意見なので、一応全員の意見としてさっき出たものとは若干違うかもしれないですけれども、私たちの大きな意見は、昔のそういった広い浜に戻したいというのが一番太い骨子であって、中心の理念なのです。それに対して、さっきの砂を動かそうというのは、一意見なので、それをやろうというわけではないのですけれども、ただそういうこともいいのかなと。ただ、私たちは全然わからないので、そういうことを言ったのであって、それがすべてではないのです。
 それで、さっき相原さんがおっしゃっていたり、あと倉野さんがおっしゃっていた昔に戻すというような感じで、できない、それというのは不可能な話ですよねと言ったけれども、実際にカリフォルニア、まあ、カリフォルニア、カリフォルニアと言っていてあれなのですけれども、その人はセットバックといって、一番、海岸と生活圏との間の線を下げたのですね。だから、要はシーワールド、シーワールドさんだけではないですけれども、グランドさんにしても、ほかの建物、ギリギリに建っているものを何mか岸に戻したのです、建物ごと。そういうこともできなくはないと思うのですね。工学的なことは宇多先生に伺わないとわからないですけれども。でも、実際にそこでできたことなので私は不可能なことではないと思いますし、そういうふうな、一度できたものは壊せないとか、そういうのは不可能ではないと私は思っているし、実際にそういう例も幾つか今まで勉強してきた中で聞いているので、それは決して不可能なことではないと思います。
 だから、昔に戻していくということは確かに、じゃあシーワールドさんをあしたから下げろというのは非現実的でそんなことは絶対にあり得ないですけれども、だけども、さっき言ったみたいに長期的にビジョンを持って昔に戻したいという、皆さん、サーファーだけではなくて、漁師さんとか市民の方々の意見があれば、絶対に不可能なことはないと思うのです。
 それを私は一番言いたくて、さっき宇多先生が言った、こういうこと、行政とか政治というのは日本人のコンセンサスでできてきたと言うけれども、今、そのコンセンサスというのが今後もずっと続かなければいけないのかというのが私は一番思って、何でもそうなのですけれども、政治でも何でも、やはり郵便局だって今までは国でやってきたものが民間になっていくし、そういうコンセンサスというのはどんどん変わっていると思うのです。それはもうこれから若い人、私たちの子供とかももっと変わっていくだろうし、それはコンセンサスにこだわるということは全くないと思うし、それは今まで漁師さんとかサーファーとか、あと住民の人たちとみんな話し合うステージもなかったけれども、きょうみたいにこうやって漁師さんの意見などもお伺いできて、それでそういう話し合うということができるということは、必ずいろいろな不可能なことも可能にできていけると思うので、皆さん、ぜひこういう会議を続けていけるような心を持ってやっていきたいなと、自分自身も思っています。(拍手)
○事務局 ありがとうございました。
 今、漁師の方とサーファーの方から御意見、非常にマクロな話と、皆さんも納得できるようなお話だったのだと思います。
 清野先生、どうでしょうか、ちょっと整理というよりは、今のお話を受けて。
○清野アドバイザー 指導とかそういうことではなくて、私も今お二人とかと、先ほど発表された方のお話を聞いて結構ジーンと来るものがあるのですけれども、2年ぐらい前まではだめと言われていたことが、ことしぐらいになって、やはりこれはやった方がいいよねとか、やれるようになったのというのは本当にあるのです。防波堤が砂をとめて海岸が侵食してしまうという話も、2年ぐらい前はそういうことは日本では起きていないことに、国の機関が認めないとか、本当にそういう目に私も遭って、本当に日本というのはひどい国だと思っていたのですけれども、漁港はまだちょっとわからないですけれども、港の防波堤についても、今度、やはりそういった国民的な議論があって、港の防波堤でちょっと延ばし過ぎてしまったものとか、余り設計がうまくなかったものを戻すとか、取ってしまうとか、あとは埋め立てたところをちょっとずつ戻すとか、そういうことというのは本当に各地域で動き出すようになりました。
 それは何でかというと、やはりさっき漁師さんがおっしゃっていたみたいに、地元の自然をずっと見てきた人が、やはりこれはやり過ぎじゃないのというものはきちんと観察していて、それが形になってきた結果、みんなで考えたら、やはり少しは、前はできないと言っていたけれども、できるようにしようよというふうになってきたのですね。
 だから、さっき相原さんがおっしゃっていたことというのも、ここ5年とかではすぐにはではないのかもしれないのですけれども、長期のこうしたいということを地域の人が過去ずっと見てきたこととかも含めて絵があって、それに向けて5年後とか10年後とか、ちょっとずつできるようなことの予定をきっちり立てていけば、それというのは実現する可能性が出てきていると思います。
 実は、道路も海岸縁の道路というのは絶対に奥に引っ込められないとかという話もあったのですけれども、きのう私は知床の海岸で、やはり道路の近くまで侵食されてしまってというところで、そこはもう道路を引っ込めることにしましたということを言っているのですね。「いや、それってやらないって言っていたじゃないですか」って言ったら、「お金、なくなっちゃって」というので、それと、いつまでも道路を守るということで同じところにブロックを入れていてももう波でやられて全然だめなので、やはり考えたら合理的で、みんなが納得できる方法があるのだったら、今まで国ではこれはだめと言っていたこととかも、役所では考えられないと言っていたことも考えたらということで、現実にやれるようになってきたところがたくさんあります。
 私、鴨川のことで長期のことを考えても大丈夫だと思うのは、棚田のことで特区というのをやっていらっしゃるではないですか。あれもどこでもやはりできるわけではなくて、鴨川で農業というものはどういうふうにあるべきかというので、やはり市として特区というものを特別に認めてもらったというのは、ここの地域の方が信用があるからなのだと思うのです。きちんとこうしたいというのがあって、ほかではだめだけれども、ここでは認めてもらえるということなのですね。
 だから、海岸に関しても、今の条件ではこういうふうにだめですよとか、お金とか法律でだめですよと言っても、皆さんがきちんと出してくだされば、私はそれはこの会議の結果としてきちっと書きとめておいた方がいいと思います。
 それと、短期的なことも、本当に民間のホテルさんなどはすごく大変なので、そこはもう少し具体的にお話を聞ける機会があったら、景観というときにどこまでが許せて、どこからはやはり商売上難しいのかとか、そこもやはり被害を受けられている方の声をきちんと聞きたいと思います。そうじゃないと、何となく観光業の人が言いづらい感じになって、みんなで押し込めてしまったということになると、それもそれで不公平なので、お客さんが要望する景観というレベルをもう少しきちんと聞けたらいいのではないかと思います。
 そのときに、今までは公共の海岸だけで計画しなければいけなかったのだけれども、場合によっては民間の土地の中で少しずつ建物をずらすとか、庭に築山みたいなものをつくるとか、いろいろな工夫が、そのつもりで設計しようと思うとまた中期的にはあり得ることがあるのですね。
 例えば、葛西の臨海水族園というのは皆さん行ったことはありますか、東京の葛西なのですけれども。あそこは、実は葛西臨海公園の中に山があるのですけれども、あれが堤防なのです。堤防というか、そこで波浪をとめて後ろを守るということなのだけれども、みんなあの築山が堤防だと全然気がつかないぐらい公園としてきれいにしてあるので、やはりきちんと機能がわかれば設計することもできると思います。
 資料−4で勝山漁港の例があるのですけれども、これは鋸南町の例で資料−4の2ページ目です。ここは勝山も内房の代表的な海水浴場で、本当にお孫さんの代までずっとお付き合いがあるというような長い間、海水浴のお客さんと地元のコミュニケーションがあったところです。そこで最初に出ていた絵というのは、会議以前の絵で、突堤と離岸堤を入れるということで「えっ」という感じのものだったので、地元もちょっとどうしようかなと思っていて、ここの場合は、結局海水浴場としての水質と景観と、そしてお客さんが海に落ちる夕日を楽しんでくれるということ、それから余りいろいろなものが入っているとかえって観光客の人が気に入らないだろうからということで、この写真にあるみたいに自治会で随分議論して、そこで結論を出していただいて、とにかく余り沖合に物を入れないで、だけれども、ちょっと護岸を高くするとか、いろいろなことを我慢するとか、そういう結論になりました。
 これはやはりさっき漁師さんのお話があったみたいに、地元の方がどこまでどう波が上がったという古い話を丁寧に図面に落としてくれて、それで県の技術の方も、もう少し細かい設計ができるようになったわけです。
 和田町の白渚の場合も、そういう形でサーフィンの方がやはりリーフの問題とか指摘されて、漁業者の方も余り海の中をいじらないという中で、みんなで一生懸命知恵を絞って何とかやったものです。
 ですから、1つは、後の時間で長期的な話をする場をどういうふうにこの会の中で確保していくかということを議論いただきたいということです。年に3回とか4回の会議だと、多分いろいろ方が言っていらっしゃる具体的な項目をお話しするチャンスがないので、できたら、地元でどうやったらそういった場が持てるかという御提案もいただければと思います。
 もう一つは、短期的にはやはり越波被害がある方々の意見というのが、いろいろな自業自得的な話も、海の近くに出ていってしまった人に対してはあるかもしれないのですけれども、ではどういうことがやはりそういう妥協点なのかということも民間の会社の方からもお話をいただけたらいいのではないかというふうに思います。
 短期的なことを丁寧にやると頭がこなれてくるので、長期的なことが考えられるようになるのです。長期というのは漠然として課題が大き過ぎるので、短期のことで知恵を絞れる力がつけば長期も具体的に考えられるようになるので、決して短期だけで終わってしまうわけではないというのは意識していただいて、そこで残りの時間、いかがかなと思うのですが。
○事務局 ありがとうございます。
 そうしたら、今御提案がありましたように、いろいろサーフライダーの方からもせっかく提案がありまして、長期と短期のお話が多分メニューとしてあると思うのですが……。
○宇多審議役 ちょっと、出しゃばりのおやじが出てくるのは何だかなと思うけれども、今のとおりなのだけれども、ちょっと時間が限られているので、それから指摘を私は受けていますのでお答えしなければならない義務があるのでちょっとだけ、さっきの漁師の方のおっしゃることは全く同感。我々は反省しなければならないですよ、やはり。ここがこうなったということに対して、それはみんながいろいろなことで、海のものを人間が奪ってきたというのがある、それは相原さんがさっき言ったとおりです。
 それで、前のサーファーの方がおっしゃったあれは、逆説的にとらえられたらちょっと誤解を招くのだけれども、世の中を変えなければならないというときに、バーンと射殺すれば変わるかというと、変わらないわけですよ。それを変えるのがこういうものを積み上げていくという理解でいいのでしょう、それは。だから、昔、50年やってきたからそのとおりまたこれから行くなどとはこれっぽっちも思っていないので、それを変えるにはこういう場でやはり広く、今議長が総括したように、何遍も、何遍もやりながらコンセンサスをつくっていこうということでいいのではないですか。だめですか。
○赤堀 私はやはり建設的なことが今までのコンセンサスみたいな、それは宇多先生に…。
○宇多審議役 建設的というのは……。
○赤堀 何かつくったりとか、そういうのではなくて、なくしていったりするということも……。
○宇多審議役 そうそう、だから、セットバックも皆さんで合意すればやればいいので。
○赤堀 ええ、後はだからその考え方、そういう場所を……。
○宇多審議役 ただし、それにはだからいろいろな人のコンセンサスが必要で、利害が絡むから、これこれこういうわけでというのが全員わかったと、まあ全員とはいかないですけれども、わかったというふうになれば、それはそのとおり実行すればいいということなので、それはだめ、これはタブー、こっちもタブーとやっていたら今までどおりで、離岸堤が20基並んでおしまいよということになる、それは私自身おかしいと思っているということ。
○赤堀 それはしょうがないということではないと。
○宇多審議役 しょうがないのだったら、これはもうやめればいい。災害が来るたびに構わずつくっていけばいいわけですよ。
○谷内 アイデアを出して。
○宇多審議役 ええ、アイデアを出して、間違っているかもしれないけれども、やはり工夫しながら、鴨川をたたき壊してやろうなどという人はだれもいないはずなのですね、ここには。済みません。
○清野アドバイザー だから、私が思うのは、例えば、そういったいろいろな提案が出たときに、もっといろいろな情報がないとそれができるかどうかわからないことというのはあると思うのです。だから、私は漁師さんのお話などですごく大事だと思うのは、漁港の周りでどんな魚が、例えばヒラメが釣れるようになったとか、放流したときにどうなったとか、そういう生物の情報などがあると、そこにどれぐらいの粒の砂がたまっているのかとか、生態系は変わってしまったのかとか、そういうことがわかるので、そんな話とかも出てくると、多分そこはこういう粒の砂だから、それをこっちへ持ってくるとかいうのだとだめだよとかいいよとか、そんな話にもつながっていくと思うのです。もしあれだったら、例えば宇多さんみたいな技術者の方から、地元の人が何をまとめていったら形につながっていくのかを具体的に言った方がいいのではないかと思うのですけれども。
○宇多審議役 そうすると、反面教師というか、あのやろうということでコツンとやってもらって構わない、そういうつもりでこれから言いますから。私は誘導尋問に引っかけるつもりは全くないから、それだけは聞いていてください。
 それで、実は私の案というよりも、幾つかの立場を考えなければならないので、上田さんの方がさっきSFJでものすごくいい案を出しているのです。これについてもう少しきちんと議論しておいた方が、さっき具体的なところまでやった方がはっきりするよねという議長の意見もあったのでそれを1つしなければならないのと、もう一つ、黙っているけれども、後ろの方に座っている土木……、土木とは言わないのか、まあ土木のおっちゃんですが、彼らはきょう、私が午前中に見た状況からすると、今度来たらガツンとやられて、護岸は全部ひっくり返りますよ。もうこの辺に、背中のところに刃を突き刺されている状態が現に起こっているもので、そっちの方も少し考えないとならないし、かといって、短期でそんなもの、やりだけ磨くというようなことをやってもしょうがないというのは皆さんの言っているとおりなので、だから決して土木をしたいからそういう意見を言うというふうにとらえないでください、前提条件。
                〔 Power Point 〕
 それで、私はこの案が非常によくて、幾つかすごく重要なことを言っているのだけれども、これは鴨川の浜というのは加茂川からの砂がほとんどここから入ってきて、ここに供給されたという事実は否定できないでしょう、必ず。それで、その川の水が海とひっついて生態系を養ってきたという事実も絶対に消えないはずなのです。だとすると、その自然の生業に合うような方向の川のものが実際に運ぶものをちょっといただいてきて海に入れるという行為そのものは絶対に間違っていない。これが水系一貫の土砂管理というか、本来川が運ぶべきものを堰でとまってしまったのなら持ってこいよという、そういうごく自然の流れなので、こういう提案については全く私も同感だと思う。だけれども、ちょっとお金の話は置いておいてもらって、果たしてこういうことが可能なのだろうかという、どこに砂があるのだろうとか、技術者にちょっと見てこい、直に写真を撮って示せというふうに言ってくれれば、私たち事務局は一生懸命になって動いて撮るから、材料はどうかとか、そういうのを私は言ったらいいと思う。
 それから、これなども漁港の入口にたまると、漁港の方の皆さん、船の底がつかえるというのは、とてもヤバイことなので、漁港の管理者は浚渫しなければいけないという義務を負っているわけです。そういう砂をどこかへ持っていってしまえばまたおかしくなるので、それではそれならそれでこれを有効利用しよう、相互に有効利用したらどうかという提案がもしあれば、それはそれでじゃあ、量がどのぐらいあるのかということも検討してみないと、いいとか悪いとか最初から決めるのではなくて、そういう可能性はあるでしょう。だから、そういうふうにづけづけ言ってくれれば事務局は動ける、それが事務局というものだから。
 それで、例えばこれとこれでしょう。これなども、国土交通省が言っている政策そのものですね、これは。サンドリサイクルだし、これはこれから来年度の政策で何かやるとかやらないとか言っていたけれども、要するに余っていてしょうがないところを足りないところに補ってやろうということなので、これらも可能性は一体どうなのだと、行ったらすぐ戻るのか戻らないのか検討しろというふうにずけずけ言われたら事務局はやらなければならないですね。定性的に、大変なのですけれどもね。だけども、そういう可能性もある。
 それで、こういうところで、ここですよ、生態系に配慮してと、これはやはりあの生態系がいかれてしまったら魚も何も、相原さんの好きな植物も全部死に絶えてブロックの山になってしまったら泣きたくなってしまいますよね、これは。だから、そうならないようにするためには、この生態系に配慮してという言葉を重々よく配慮して、とんでもないものが、東京から産業廃棄物を持ってきてぶち込むとか、そういうのはとんでもない話でしょう。だから、そういうことにならないように配慮してやれよということだったら、それはやる。
 それともう一つは、後ろの席で黙っているけれども、もしこれ、今度来た場合にばかばかしいことになって、あれと同じものをもう一回つくれという、災害負担法という法律がそういうふうに書いてあるもので、関係者の恣意的なあれでほかのものにしようと言っても、事務局がさっきちょっと説明したけれども、ノーと言われてしまうわけですよ。言われてしまったわけです。だから、それをノーと言われないようにするには、例えばこういうような方法もあるだろうから、それについて検討してこいという意見、これ以外にもあるかもしれないけれども、当面、そこら辺をもう少し資料を出せよというふうに皆さんは言っていい立場にいるわけですね。そういうふうに議論をしたらどうかと。
○上田 そのために出したのですよ。
○宇多審議役 ええ、だから、私は黙っているから……。
○事務局 上田さん、補足してください。
○上田 いや、本当にそのために出したので、だから、逆にほかの方で、いや、それはとんでもないとかいうようなものがあれば、それはどんどん情報交換をしたいと思うのですけれどもね。
○清野アドバイザー 川の中などもいろいろな方が見ていらっしゃるわけですね。あと、海岸でどの辺にどういう生物がいるとか、だから鴨川の土木事務所で何かすごく大がかりな調査をやることというのは多分難しいのだけれども、みんなが知っている知恵がわかると、どの辺にどういう砂がたまっているとか、どういう生物がいるという情報があの図面に書き込んでもらえると、次回までに結構やれること、やれないことがはっきりしてくるような気がします。
○上田 1つ質問は、結構最近の天候というのは本当に急に雨が集中的に降って、1時間にものすごい量が降って、そのときに鴨川がこんなに水がふえているのかというぐらいにふえているのですけれども、そのあたりの川の底の高さとかと洪水とかの関係とかは、河川管理の方はどういうふうに考えたり、何か対策はされているのですか。
○清野アドバイザー 鴨川土木事務所で川の方の管理もされていると思うので、どういう目で見ているかということで教えてください。
○児安(鴨川整備事務所) 児安でございます。
 二級河川の加茂川ですけれども、皆さん御存じのとおり、ほとんど床止めといいますか、帯工といいますか、河川を横断的に河床低下がそれ以上下がらないような構造を一部つくっております。ということで、現実的にはやはり局所洗掘でつくった護岸が壊れてしまうとか、そういう場所もありますけれども、全体の河床とすると、極端に河床低下を起こしているとか、そういう箇所は加茂川に関してはないのではないか、特に中下流部は。上流部の方は逆にまだよくわかりません。
○上田 というか、逆にふえ過ぎているところというのはないのですか。
○児安(鴨川整備事務所) 河床が上がってしまっているところですか。
○上田 はい。
○児安(鴨川整備事務所) 具体的に測量をしている年次が最近ございませんので、イメージからすると、やはり下流部というのは結構堆砂傾向が強いかなという認識はあります。
○清野アドバイザー 例えば、測量まではしなくていいのですけれども、大体加茂川のどの辺、待崎川のどの辺がどういう感じとか、逆に河川管理的にはここは砂を取ってしまったりすると何かひっくり返ってしまうからだめとか、そういう大体の絵とかいうのは今持っていらっしゃる情報でも、大体の情報というのは出てくるわけですね。どうですか、どこが堆積傾向とか、どこが洗掘傾向とか、大体把握はされていますね。
○児安(鴨川整備事務所) そうですね。逆にちょっと時間をいただければ、その辺を図面に落としてという話は可能でございます。
○清野アドバイザー そうですか。
○倉野 済みません。
○清野アドバイザー どうぞ。
○倉野 ちょっと話は、同じ川のことですけれども、川の流速ですけれども、今から20年ぐらい前に郵便配達をしていた人と話をして、その人は加茂川の権現橋といって体育センターの近くに住んでいる人で、バイクで大山まで荷物を持っていって、ザーッと雨に降られて、仕事がもう済んで、雨に降られて、大急ぎで加茂川にバイクで、法定速度は35キロですから、長狭街道を通って家まで帰って、洋服を取り替えに来るのですけれども、泥水が自分の家の前を走るまでに20分ぐらいの差があったというのですよ。10年ぐらい前になったら、もうほとんどバイクと同じ早さで来るということは聞いています。
○清野アドバイザー ありがとうございます。そういうのもすごく大事で、今おっしゃっていただいたみたいな情報から、恐らく流速が早くなったりとか、そういう推定ができるので、多分いろいろ皆さんに提案していただいたことの項目整理をするには、こういう感じの情報を集約していけば十分なのかなという気がします。
○事務局 これは事務局の方から提案ですけれども、今のお話、上田さんの方から逆にこういう短期、長期の案を分けていただいた提案で、この短期の今堤防の、宇多さんがちょっと整理されましたけれども、堤防の話とか、砂を動かす話ですね。こういうことを当面、少し、例えば我々の方に検討せよと言っていただけるのであれば、それに異論がなければそういう方向でちょっと情報を集めて整理するということで、県の方とかと少し相談したいと思います。
○清水 ぜひお願いします。
○宇多審議役 すぐ事業をするとか、そういうことは別にしてね。
○事務局 そうですね。まずは情報収集という形で、地図に載せるとか、今、流速の話もありましたし、砂の粒径の話も、粒の大きさですね。それもあるでしょうし、あと上田さんが冒頭で言っていたのですけれども、漁師の方もさっき触れられていたと思うのですが、魚がどういうふうにこの地域で変わっていったかみたいな話も、多分環境がどう変わったかにすごくリンクしている、要は非常に敏感に反応している話だと思うので、ぜひ漁協の方にも時間をとらせていただいて伺いたいと思います。そういう物理的な特性と生物の話とを少し情報収集をさせていただいて、地図とか、一覧表にまとめる作業を少しして、それをたたき台にまた議論をしていただいてというのはどうでしょうか。
 相原さん、どうぞ。
○相原 済みません、忘れないうちにちょっと、その生物のことで困っていることがあります。私は浜掃除をしているのですけれども、今、たき付けやお風呂を木で燃やさなくなり、御飯を木で炊かなくなったので山が荒れておりまして、木や竹がどんどん流れてきて浜を汚します。それと同時に、カジメが年に2回ですか、あれは。私はよくわからないのですけれども、必ず秋には1回ものすごく上がるのです。それは生え替わるのだそうです、落ち葉だそうですね。落ち葉が海岸にドーンと上がるともうプープー虫というか、腐敗はするし、ごみとして燃えないし、港の方だとスクリューに絡まるし、もう本当に困るのです。しかし、聞きましたら、それは畑に非常に栄養になるということを聞きました。それで、畑の人は持っていったり何かするのですけれども、私の生まれた守谷海岸などは狭いですから、みんなすぐ持っていってしまうそうです、なくなってしまう。ところが、鴨川海岸は広いですから、ものすごく上がってもだれも取りに来てくれないのです。
 ぜひこの処理と情報を、栄養源ですから、ミネラルで昔は買いに来たということもあったそうですので、何とかこれを資源として、欲しい人には、そして道路は今鍵で封鎖されておりますけれども、その時期には、例えば土木さんとか、そこが鍵をあけてくれて車が入れるようになったり、そういうことがあれば、みんな資源を大事にして使えるのではないか、これは余分かもしれませんけれども、私は困っていることなので申し上げておきたいと思います。
○事務局 ありがとうございます。
○宇多審議役 ホームページに載せればいい。それはいつごろからなのですか。
○相原 私はわかりませんよ。(笑声)
○清水 塩抜きしなければならないから大変なのですよ。
○清野アドバイザー すごい大事なお話ですよね。
○清水 塩がすごいから。
○清野アドバイザー その塩抜きの方法も、多分昔のお年寄りは使っていたから知っていて、今の若い衆がいきなり田んぼに入れて大騒ぎになったりとかしているのですけれども、そのあたりもぜひ農業関係で鴨川の中でそういうものを使えるとか使いたいという人を、ぜひそこのお見合いのところまである程度市民の方の方が段取りを、申しわけないですが、していただけると、事務所も本当にどうぞというふうになってくると思いますので、ぜひ。
○宇多審議役 塩抜きの方法というのはあるのですか。
○清水 天日で何日か干すのですよ。
○清野アドバイザー 手が挙がって……。
○清水 紀文フードケミカルで使っていますよ、カナダからの輸入物を。昔はヨーチンをつくっていましたからね、この界隈でもみんな。
○清野アドバイザー そうですね、ヨードを取っていたのですね。
○清水 ヨーチンをつくっていましたから。
○事務局 今手を挙げられている方がいらっしゃるので。
○水嶋 済みません、私、千倉から来ておりますが、ただいまずっとお話を伺ってきまして、結局何がどうなればいいのかよくわからないのですけれども、要は削られた砂浜がある程度波に耐えられる広さをに戻れば、そうすればホテルさんにたたき込まれた波などがなくなるということではないかと私は思うのです。護岸を嵩上げすることよりも、前浜を前に出すということだと思います。
 それで、先ほど資料の何番というのでしょうか、白渚海岸の写真がここに出ておりますが、白渚海岸は一昨年、平成14年には確かにこういうような格好でしたけれども、ことしは護岸から約50〜60m先まで砂が堆積して、この磯が見えなくなっております。ただ、私はこの白渚海岸と反対側の白子というところに住んでおりまして、砂の量をよくよく、毎日見ておりますけれども、この白子三原海岸、まあ行政が言う白子三原海岸では上流にダムが2つございまして、1つのダムは約50万トン堆砂がある。もう一つのダムは約30万トン堆砂がある。合わせて80万トンの堆砂があるというお話です。それと、昭和40年代に海岸砂を建築用に採取いたしておりまして、これが100万トンとも言われております。結局、全部で180万トンですか、この白子三原海岸から絶対量が不足しているわけです。そのために、白子の方に砂がつくと白渚の方がなくなり、白渚の方に砂がつくと白子の方がなくなる、こういう運動を潮流と風向きによって繰り返されております。それと同じようなことがこの鴨川の海岸でも言われるのではなかろうか。
 そうしたときに、先ほどのお話の川に堆砂がある、これをというお話ですね。やはり今絶対量が少ない中で砂をどうやってこの4kmぐらいの海岸に平均に分配するのか、これを考えることが一番楽なことだと思うのです。そうすれば、護岸を嵩上げすることもないし、また護岸が大きくえぐられることもないと思います。
 それと、老婆心ながらお話をさせていただきますけれども、ただいまのカジメのお話ですね。カジメは今ここでお話がありましたけれども、そこの八岡の坂のところに昔、鴨川化成さんというのがありまして、あそこでアルギン酸ソーダをつくっておりましたし、君津にも工場がありましたし、そういうところでアルギン酸ソーダをつくっておりましたけれども、先ほどもここで小さな声でお話でしたけれども、輸入品の方が国のものよりも半分ぐらいなのです。そのためにだれも今は採る人はいない。今、仮に採ったとしても1kg当たり20円とか30円という、そういう世界だと思います。これは乾燥のお話ですから、生のまま20円、30円だったらいいのですけれども、乾燥のお話ですから。それと、このカジメを処理するのには砂浜に穴を掘りまして、その砂の穴の中にカジメを入れまして、上からまた砂で覆いをかぶせますと、大体1ヵ月で影も形もなくなります。これが処理するのには一番手っ取り早い方法です。
○相原 埋めるのですね。
○水嶋 はい、そんなに深く埋める必要はありません。砂をかぶせておけばいいのです。
○相原 ありがとうございます。
○事務局 ありがとうございます。
○宇多審議役 ちょっと今のものに答える必要があると思うのですが、白渚と何でしたっけ、その南のあれ、確かにおっしゃるとおりこうやっていまして、ここも同じです。それが1つ目ですね。
 それから、これ、さっき上田さんたちが提案しているのは、砂浜をふやそうよという考えが一番オーソドックスでいいというのは全く同じことを多分言っておられて、そのときに厄介な問題が1つあって、議論していないからちょっと補足すると、金を出す方の側、財務省とか、あの人たちは、砂は入れても動いてしまうだろうということを必ずオウム返しに言ってくるので、カリフォルニアでやっているような膨大な量を入れられれば、100万立方メートルとか、ダムを1つつぶして持ってくるとか、そのぐらい入れられればいいのですが、そこまでの手当をするのには膨大なお金がかかるので、現実問題はそんなに入れられないことが多い。
 それで、その間に波が来た場合に、後列の土木のおじさんたちは責任追及というか、されるべき立場にあるものでイライラしてしまう。だから、ここでダブルヘッダーでやらなければならないというのは、原則はこっちの右側の方の砂をふやすというのが一番オーソドックスなのだけれども、それだけで十分手当ができ兼ねる場合も多いので、まだ量とかチェックしていないからわからないけれども、それで両方やはり考えたらどうかという、そういう理解でいいですか、あれは。そう私は思って……。
○水嶋 そういうことだと思います。総量が少ないのですよね。
○宇多審議役 そうそう。
○水嶋 総量が少ない、その少ない総量をどうやって平均的につかせるか、それを考えていくのが……。
○宇多審議役 そうそう、総量が少ないのは、さっき漁師の方も相原さんも言ったように、出しゃばったからだと。今の家の下とか松の下に埋まっている、元々の海の砂はあの下にあって、遊歩道の下にもあるし、駐車場の下にもあるわけですね。だけれども、それを原状復帰はできないから、上田さんたちは総量をふやす方向のことも同時にやったらどうかと多分おっしゃっているのだと思うのですね。
○水嶋 それと、これはやはりうちの方の経験なのですけれども、砂浜というのは目に見える砂浜が500mも700mも沖までつながっていると錯覚するのですね。だけれども、実際には波打ち際から50mか30mぐらいしか砂はないのだ。そこいらがよくわかっていない。私どもの方の白子三原海岸というところでは外国との通信ケーブルが4本、5本入っております。このケーブルを敷設するダイバーと私は何人も話をしておりますけれども、砂があるつもりで工法をとったけれども、実際に潜ってみると全然砂がないのだよと。
 ということことは、やはり先ほど申しましたように、40年代にまだある、まだあるということで海岸砂を採取した、それは結局目に見える場所では波打ち際から、渚線から陸では砂はあったのですけれども、その砂は200m、300m、沖合の底にあった砂が補給されていて、現在は海の中には砂がないのだということだと思うのです。ですから、ここでもやはりハマグリだとかそういうものは砂がないから成長できないということにつながっていると思うのです。もう絶対量が不足しているのです。それを不足させたのはなぜかというと、河川改良は河川改良で、河川改良だけをやればいい、農業用ダムをつくって、その水を使うのは農業用の水さえ確保できればいい、そういうのが千葉県の土木の考え方なのです。もうこれではだめなのです。河川改良は河川改良をすることを通じて、海岸の保全も考えてもらわなければいけないし、農業用ダムをつくって水を取って田畑を潤す人は、やはりその結果がどういうふうになるかという環境についても十二分に精査した上で、いろいろな想定、仮定を行った上でやっていただかないと、結局こういうことは何十年か先に出る、そう思います。
○清野アドバイザー そうしたら、そろそろ時間が迫ってしまいましたので、きょう本当に皆さんにいい議論をいただいて、ありがとうございました。
 それで、多分、割と土木っぽい川だとか砂だとか、そういう話は事務所とか技術の方でそういった対応ができることとかも、あと量を把握するとかということもできるのだと思うのですけれども、環境のこととか、そういった水中の生態系のこととか、いつぐらいからハマグリが採れなくなったとか、砂がなくなったとかという、そういう情報はなかなか東京にいるスタッフだけだと十分にお話ができないのではないかと思います。
 それともう一つは、すごく皆さんのお話はおもしろくて、1回ずつきちんとみんなで聞きたいなという気もするのです。だから、できましたら事務局と、例えば専門家の人だけが話を聞きに行くのではなくて、ホームページか何かのお知らせの方法で順番に多分お話を、例えば漁協さんとか、倉野さんとか相原さんとか、サーファーの方とか、あとダイバーの方とか伺っていくときに、ぜひ、お嫌じゃなかったらほか人も一緒に聞けるような、特に若い人がそれを聞いてくれることはすごく大事だと思います。昔はどういうところだったのかということが、今直接話してくれないと伝わらない時代になってしまったので、特に昔の話を伺うときには大勢で、大勢と言っても10人とかそれぐらいで集まれる数だけでも聞きたいと思います。そのあたり、進め方として何か工夫はないでしょうか。いかがですか、市の方にお手間をかけてしまうかもしれないのですけれども、きちんとやはりお話を聞いて、どこにどういう魚がいて、いつどう変わったとか、それを聞かないと、次回までに丁寧なデータが私たちもつくれないので、ぜひ地元からもっと御協力いただける方向というか、どうしたらできるかという御提案はありませんか。
 どうですか、私たちだけで聞いて取りまとめて紙にして配るのというのは情報がもったいないのですね。
○上田 もちろんそれにはぜひできる限りの協力はしたいですし、どういうふうに進めるかということですか。
○清野アドバイザー そうですね。こういう市役所か、それとも公民館とか、皆さんが話しやすい場というものの提案とか、あとどうやってお知らせしたらいいかとか、鴨川市にお住まいの方、いかがですか。
○上田 だから、ある程度のターゲットを整理しながら、いつぐらいにどこに行こうかというのでホームページとかで公開していきながら、私たちの仲間でもそのときに都合がつく人はおれば、ぜひそういう話は伺いたいですね。
○清野アドバイザー そうしたら、事務局とか市の方、県の方とも御相談して、例えば公民館とか、可能でしたら漁協さんとか農協さんとかに行って、そういった海や川や、あと山も含めてですか、そういう変化を、海の視点から伺うというのを次回の会議までに何回かできればいいかなというふうな気がします。
 私からはそういうことで、皆さんの御意見を受け止めて考えたことを申し述べました。
○事務局 ありがとうございました。
 時間もかなり、今もう4時20分ぐらいまで長々とやってまいりまして、非常に貴重な意見はまだまだあると思うのですが、今御意見が出ましたように、少し情報の整理を今後進めていくべきだと思います。それはきょうのお話ですと、事務局にぜひやれというようなことだと思いますので、今後の進め方を市役所さんとか県の方とも相談しながらやっていきたいと思います。今、即答できないのですが、次回の開催もそういうことで、その情報収集にどのぐらい時間をかけなければいけないかとか、逆にかかるかとかもありますので、あと例えば今、上田さんに言っていただいたように、地元の方の御協力がこれから非常に大事になってくると思います。そういう意味で、どういう体制で集まるかとか、情報公開をしていくかというのが、少しいろいろなアイデアも議論しなければいけない部分もあると思うので、ちょっとお時間をいただきながら、次回の会議、または小さいグループ会議みたいなものをやる場合には、広報とかホームページを通じて開催告知をぜひしたいというふうには考えていますので、その辺の情報にぜひ注目しておいていただいて、あとお伺いする際には、事前にまた市役所さんとか県の方から連絡をして時間をとっていただきたいと思いますので、ぜひ御協力のほどをお願いしたいと思います。
○宇多審議役 これはやるのかやらないのか確認をして。
○事務局 これは最終確認ということで、上田さんたちから御提案をいただいて今議論をさせていただいた中のこういう砂を動かすことについての基礎データになるようなデータづくりとか生物のデータも含めたもの、それから堤防の強化とか嵩上げとか改良というのも同時並行で少し検討が必要だということについては特に何か異論はありませんでしょうか。異論がなければこの2つの課題を中心にして必要な情報を集めていくという作業をこれから進めたいと思いますが、いかがでしょうか、よろしいですか……。
 では、今具体的な進め方は今お答えできないので申しわけないのですが、それはまた適宜皆さんに御相談しながら進めたいと思いますので、一応きょうの会議の集約としてはそういうことで今後スタートさせていただきたいというふうに考えております。
 では、特にこのほかに何か議題等はございませんでしょうか。
 中代さん、どうぞ。
○中代 中代と申します。
 私は現在、鴨川の県立長狭高等学校のPTAの役員をさせていただいています。子供を持つ親の立場から申し上げたいと思いますが、海岸というのは子供たちにとっても大変重要なところで、高校生にしてみれば青春を語ったり、恋愛を語ったりという大変貴重な場だと思います。そういうよい環境をこの鴨川の海岸に残していただきたいと思います。その反面、松林の中とかコンクリートの構造物の陰では喫煙をしたり、暴力事件を起こしたりというような場にもなりかねませんので、そういう視点からも、ひとつ海岸づくりというものを考えていただきたいと思います。
 こう申し上げますのは、昨今の子供が親を殺したり、また小さい子供がとても残忍な殺され方をしたりという社会現象を見ますと、健全な子供を育てるというのが一番大切だと思います。それで、もちろん海岸というのがそういう犯罪の場になってしまうなどということは絶対にあってはいけないことだと思います。そういう面で、ひとつ海岸づくり会議ということですので、そういう海岸で健全な子供を育てるというか、家でファミコンばかりやっていないで浜に遊びに出たいというような、そういう海岸をひとつ皆さんで考えていただければと思います。
 以上です。(拍手)
○事務局 どうもありがとうございます。
 ぜひ高校生の方にもぜひ次回、参加していただくといいですね。やはり今若いといってもせいぜい二十代の方が中心だと思うので、十代の方の意見もやはり長い意味で海岸を考えるときには必要だと思います。
 それでは、特に意見がないようでしたら、本日の会議はこれで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、市役所の方に議事を返還いたします。
 補足いたしますと、きょう若いスタッフに手伝っていただいておりますが、日大の理工学部の学生さんたちです。
 どうもありがとうございます。(拍手)
○司会 皆様、長時間にわたりまして、大変ありがとうございました。
 本日御提案いただきました御発言等につきましては、後ほど会議録等にて調整整理いたしまして、また公開をさせていただきたいと存じております。
 また、次回会議の開催なのですが、ただいま事務局の方からお話もありましたとおり、資料収集、あるいは調査に若干お時間がいただけたらと思いますので、来年の春先ごろを予定させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

8.閉 会 挨 拶

○司会 それでは、閉会に当たりまして、都市建設課長の石井より御挨拶を申し上げます。
○石井鴨川市都市建設課長 それでは、閉会に当たりまして、一言御礼の言葉等を申し上げさせていただきたいと思います。
 私もきょう4回目、参加させていただいたわけですが、皆さんからの熱心な御意見、海岸への非常に強い思いというものをひしひしと感じている状況にございます。そういうことを考えたときに、やはり行政、市、私の方はまちづくりにも関係している部署でもございます。そういうこともございますので、それらも含めながら、今後とも県ともども、県に御協力をいただきながら、よりよい方向で海岸づくりに向けて邁進してまいりたいと思います。
 きょうは長時間にわたりまして、どうも御苦労さまでした。これで会を閉じさせていただきたいと思います。
 御苦労さまでした。(拍手)
○司会 それでは、最後に申し上げたいのですが、入場の際にアンケート用紙をお渡ししてあるかと思いますが、御意見のある方につきましては、お帰りの際、あるいは後日、都市建設課の方にお届けいただければと思います。
 本日は大変お疲れさまでございました。ありがとうございました。

9.閉      会


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