<鴨川沿岸 海岸づくり会議>議事録 全文
 「第5回会議」 平成17730  於・鴨川市役所4階会議室

1.開      開

○司会(佐久間) 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、「第5回鴨川沿岸海岸づくり会議」を開会させていただきます。
 私、本日の冒頭の進行をさせていただきます鴨川市役所都市建設課の佐久間と申します。よろしくお願い申し上げます。

2.挨      拶

○司会 それでは、会議に先立ちまして、本多市長より皆様方に御挨拶をさせていただきます。
○本多鴨川市長 どうも皆さん、改めまして、こんにちは。
 夏本番を迎えておりまして、連日厳しい暑さが続いておりますけれども、御来席の皆々様におかれましては御健勝で日々のお仕事に御精励をされておられますこと、まずもって心からお喜びを申し上げる次第であります。
 本日は第5回目を迎えます「鴨川沿岸海岸づくり会議」を開催させていただきました。きょうはお休みということではございますけれども、お暑い中、しかもまたお忙しい中、小高整備事務所所長さんを初め御来席の皆様方、お忙しい中を御出席いただきました。まずもって心から感謝を申し上げる次第でございます。
 先日、久しぶりに私の大学時代の友人にお会いをいたしました。彼は国内はもとより、中国でもいろいろ合弁会社をつくりながら活躍をしておる一人であります。特に、遼東半島、あるいはまた青島、その地域でいろいろな仕事をしておりますけれども、中国の近代化は目を見張るものがある、このように申されておられました。そういう中で、後進国もこれに続いておる状況の中でございまして、もしいわゆる京都議定書が今後大国の間で守られていかなければ、今後の地球は壊滅的な破壊の時代を迎えるであろう、こういうようなことをおっしゃっておられました。そのように、地球の温暖化が着実に進展をいたしておるところでございまして、世界各地で海岸の侵食が進んでおる、こういう状況の中にあるわけでございます。
 そんな中で、きょう、第5回を迎えました「鴨川沿岸海岸づくり会議」でありますけれども、御案内のように鴨川の海岸は漁業や観光、市民の皆様方の憩いの場として大変貴重な場所でもあるわけでございます。しかし、最近では侵食が多く発生いたしておりまして、台風時期になりますと海岸沿岸の背後まで波が打ち上がりまして、護岸も壊れるなど様々な問題が発生をいたしておることも事実であります。
 去る26日にこの鴨川に上陸をいたしました台風第7号につきましても、報道では「並み台風」という言い方がされておりますけれども、台風の接近が満潮に重なるなど警戒を強めておったところでございますが、海の家の倒壊、あるいはまた越波による被害やそれに備えての自主避難等がございましたものの、大きな被害はなく、台風も通過をいたしまして、打ち上がった砂や流木の撤去につきましても、職員、あるいはまた関係各位に迅速な対応をしていただきまして、無事本日の会議を迎えられ、また今夜はあの地域で花火大会が盛会に開催をする予定でございますので、大きな台風の割には大きな事故もなく胸をなで下ろしておるところでございます。
 御案内のように、鴨川市はいろいろな歴史的な資源、文化的な資源に恵まれておるところでございまして、特に鴨川の海、湾、そしてまた白砂青松の美しい海岸は鴨川の貴重な財産でもございます。これを守り、これを発展させていくことは今を生きる私たちの役目でもあるわけでございます。そのため、市民の皆様方にも御協力をいただき、より多くの方々のお知恵をおかりしながらよりよい海岸にするための議論を進めていただき、その方策を探ってまいりたいと考え、この海岸会議を開催させていただいたところであります。
 この会議は平成15年11月に第1回目の会議が開催をされまして、今回が5回目でございます。過去4回の会議におきましては様々な御意見や貴重な情報をいただきながら、現状把握や今後の方策についても整備がされてまいり、一部鴨川漁港海岸におきましては具体策の実施もなされておるところであります。
 本日は前回までの検討課題となっております事項の報告やあるいはまた具体策の提案もなされるとのことでもございますので、それらを参考にいたしまして、有益な意見交換を賜りながら一定の方向性を見い出せないものかと、このように思っておるところであります。
 なお、前回までと同様に海岸の専門家でもございます清野先生と宇多先生にお忙しい中、お暑い中、こうしてお越しをいただきまして、この後の会議の主要部分の進行をお願いをいたしてございますので、よろしくどうぞお願いを申し上げる次第であります。
 それでは、本日の会議が実り多いものとなりますよう期待を申し上げまして、簡単でございますけれども、開会に当たりましての挨拶にかえさせていただきます。
 なお、大変恐縮でございますけれども、私、1時半から別の会場で会議が開催をいたしまして、挨拶をする予定になっておりますので、途中で席を外させていただきます。石井課長以下、職員、スタッフもそろっておりますので、どうぞよろしくひとつお願い申し上げまして挨拶にかえさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

3.会議の趣旨等について

○司会 それでは、続きまして、本日の会議の進め方につきまして御説明をさせていただきます。
 初めに、本日の会議の趣旨を簡単に御説明をさせていただきます。
 先ほど市長の挨拶にもありましたとおり、鴨川の沿岸では近年、さまざまな問題が発生し、対応が求められておりますが、今後のこの地域の発展のためにも、きれいで、安全で、利用しやすい海岸として未来に残していく必要がございます。そこで、さまざまな立場の方から御意見をお伺いしながら、皆様とともにこの海岸をどのようにしていくべきかを考える場として、この海岸づくり会議を開催をさせていただいたところでございます。
 第5回目の今回は、前回までの会議の概要を御報告しつつ、検討課題となっておりました事項の報告を加えまして、現在の鴨川沿岸の侵食や高波などの課題から我が町を守るにはどうすればよいか、前回より具体的に皆様とともに考えていきたいと考えております。
 次に、この会議の参加者とその役割につきまして御説明をさせていただきます。
 この会議では、より多くの地域住民の方々や海岸を利用されている方々から幅広い御意見をお伺いする必要がございますので、市の広報への御案内のほか、海岸に関係の深いと思われる方々にも参加を呼びかけております。また、この会議は市役所が主催しておりますが、さまざまな課題を解決するために、海岸の専門家の方々に御協力をお願いしましたので、後ほど改めて御報告をさせていただきます。
 さらに、皆様の御意見などを事業に反映していただけるよう、県の行政機関の方々にもこの場に御出席をいただいております。
 なお、会議の運営や資料づくり、技術的な検討などの専門的な内容につきましては、コンサルタントに事務局をお願いいたしておるところでございます。
 最後になりますが、この会議のルールなどについて御説明をさせていただきます。
 まず、この会議ではいただいた御意見などを正しく理解するために、議事録を作成いたします。つきましては、参考のために会議の模様を録音並びに録画させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、先ほど御説明いたしましたように、この会議は広く皆様の御意見を聞き、様々な情報を共有化する必要がございますので、基本的には公開とさせていただきます。
 次に、御発言をいただく際の注意事項を申し上げます。
 まず会議の趣旨から、できるだけ多くの方々の御意見を伺う必要がございますので、御発言につきましては1回につき1件程度とお願いしたいと思います。
 なお、進行役より発言の依頼等があった場合はこの限りではございません。
 また、御発言を希望される方は挙手で意思表示をいたしまして、進行役の指名によりまして発言をお願いしたいと思います。その際につきましては、お住まいやお名前などを申し出ていただければと存じております。
 さらに、個人や機関に対する誹謗中傷や本会の趣旨に無関係、または著しく反するような御発言は避けられるようお願い申し上げます。
 なお、これらに反し、議事進行の妨げになると認められた場合は、主催者の裁量によりまして、それ以降の発言の制限、あるいは退場をお願いする場合もございますので、御了承をお願いしたいと思います。
 最後になりますが、市役所は全庁的に禁煙となっております。喫煙を御希望される場合は、1階のフロアにてお願いしたいと思っております。
 それでは、大変申し遅れましたが、本日お越しいただきました専門家の先生方の御紹介をさせていただきます。
 まず、清野聡子先生でございます。
○清野アドバイザー こんにちは。(拍手)
○司会 清野先生は、東京大学大学院総合文化研究科の助手をされております。御専門は海岸河川保全学、沿岸環境学、生物形態学などがございますけれども、近年では、特に漁業者や地域住民、生物など、さまざまな立場から地域社会と公共事業の関わり方などについて研究をされておりまして、全国の住民会議や講演会にと、文字通り東奔西走をされております。
 また千葉県においては、海岸保全基本計画の委員、三番瀬の専門家会議の委員などを御担当され、和田町の白渚海岸でもアドバイスをいただいており、今回も大変お忙しい中、御出席をお願いした次第でございます。
 続きまして、宇多高明先生でございます。
○宇多理事 (起立一礼)(拍手)
○司会 宇多先生は、現在、財団法人土木研究センター理事、なぎさ総合研究室の室長をされております。
 昭和48年より約28年間、国土交通省国土技術政策総合研究所に勤務をされ、全国はもとより、世界中の海岸を歩き回り、海岸の調査・研究を行うとともに、海岸事業などの計画、立案に関わってこられました。日本の海岸工学の第一人者でございます。
 また、近年では合意形成会議や講演会などに多数御出席をされ、よりよい海岸づくりを目指して超多忙な活動をなされ、千葉県におきましても白渚海岸や九十九里海岸へのアドバイスをいただいており、今回も御出席をいただいた次第でございます。
 大変長くなりましたが、以上で会議の趣旨説明を終わらせていただきます。
 それでは、ここからは司会進行を事務局にお渡しし、休憩を取りつつ、概ね4時過ぎまでの間、会議を進めさせていただきたいと思っております。
 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○事務局(星上) 皆さん、こんにちは。事務局を担当させていただいております土木研究センターの星上と申します。よろしくお願いします。
 では、早速でございますが、入り口でお配りさせていただきました資料の確認をさせいただきたいと思いますので、封筒の中身をちょっと出していただければと思います。
 まずA4判の資料の右肩の方に資料−1と書いてあるものがありますが、本日の会議の会議次第でございます。
 本日の進め方について若干御説明しますと、今、開会挨拶をいただきまして、会議の趣旨の説明を市役所の方からしていただきました。これから事務局の方で担当させていただきまして、会議の第4回海岸づくり会議の概要報告、それから5番目として「沿岸に関する話題提供」、ここでは主に先日来襲しました台風の最新情報も織り交ぜながら海岸の状況について御紹介したいというふうに思います。そして、6番目として「越波対策、加茂川の土砂活用について」ということで、第4回の会議におきまして皆様から御提案いただきました事務局側の宿題をここで御紹介したいと思います。
 7番目として意見交換となっていますけれども、会議の進行上、途中で意見交換を挟ませていただくこともございますので、その都度御連絡いたしますので、御了承ください。
 そして、その他の意見がございましたら「その他」の項でいただきまして、最終的に閉会とさせいただきながら、一応本日は花火大会もあるということで、4時ごろをめどに終了するように進めてまいりたいと思います。
 そして、ここで少し訂正がございます。次第の下の方に今紹介いただきました先生方の氏名等が書いてありますけれども、宇多高明先生の所属は先ほど御紹介がありましたように土木研究センターの理事でございまして、この4月から理事になられましたので、これを訂正させていただきます。申しわけありません。
 続いて資料−2、A3判の資料でございます。こちらは第4回の海岸づくり会議の概要を簡単にまとめたものでございますので、後ほどお時間のあるときにお読みいただければと思います。
 後ろの方に、3枚ほどめくっていただきますと資料−3というものがあります。資料−3には過去4回の海岸づくり会議の簡単な概要をまとめました。
 1枚めくっていただきまして資料−4になりますと、後ほど後半の方で御紹介いたします東条海岸での越波対策の案について、事務局案を記入したものがございます。
 それと資料−5、一番最後のページですが、これにはもう一つの課題であります加茂川の土砂の堆積状況ということで、鴨川整備事務所さんの方でお撮りいただいた写真のコピーをつけております。
 このほかに今朝ほど先生方と現場を回りまして、そのときの写真がございますので、それは後ほどスクリーンの方で御紹介をいたします。
 最後に1枚、「「第5回鴨川沿岸海岸づくり会議」ご意見・ご感想のご記入の御願い」というアンケート用紙が今回、入っていると思います。また毎回お願いしていることでございますが、会議の終了後でも会議中でも結構ですので、何か意見等がございましたらこちらに御記入いただいて、事務局または受付の方に御提出いただければと思います。場合によっては後日御記入いただければ、鴨川市役所の都市建設課の方にお出しいただければというふうに思います。


4.第4回海岸づくり会議 概要報告

○事務局 それでは、早速ですが、前方のスクリーンの方で、前回の会議の概要の報告を簡単にさせていただきます。
                〔 Power Point 〕
 第4回海岸づくり会議ですが、昨年の11月27日の土曜日にここの会議室で同じように午後、やらせていただきました。会議の趣旨は先ほど市役所の方から御紹介いただいたとおりでございます。約75名の参加をいただきまして、会議の趣旨説明等の後、鴨川漁港の波除堤の整備について南部漁港事務所さんの方から御説明いただきました。また、「海浜植生の観察の結果」ということで、清野先生の方より情報提供ということで御紹介をいただきました。
 続きまして、「沿岸の抱える課題と方策」ということで、事務局より海岸の現状報告を簡単に述べさせていただいた後、過去の越波対策の案につきまして、鴨川整備事務所さんより説明をいただきました。
 続きまして、サーフライダー・ファウンデーションの上田様の方から、この沿岸についてどういうことを考えたらよいだろうかという御提案を「短期、長期の対策」と称しまして御提案をいただきました。これらについて意見交換、情報交換をさせていただいたということになります。
                〔 Power Point 〕
 会議の様子はこちらの写真のようになりますが、下の写真のように、当日、これも地元の皆様からいろいろな写真をパネル展示で紹介していただきました。
                〔 Power Point 〕
 会議の内容は今冒頭で申し上げたとおりでございますが、具体的にはこのようになります。波除堤につきましては進捗状況と工程、スケジュール等の御説明、海浜植生につきましてはツル草の繁茂状況、あと弁天島の錦絵というものの紹介、「沿岸の抱える課題と方策」については沿岸全域の現状報告と、平成14年の災害のときの対策、それから越波対策案についての民間のホテルさん等へのヒアリングの結果、これに引き続きまして、サーフライダー・ファウンデーションの上田さんからの御提案として、海岸の短期、長期的な対策の御提案というものがありました。
                〔 Power Point 〕
 参加いただきました皆様からの主な意見、質問を抜粋させていただきました。
 まず、短期対策として前原海岸や加茂川の中の砂を東条海岸へ移動させて、同時進行的に嵩上げを行ってみてはどうか。また、関東大震災で隆起しても、台風が来ると芝通りや本町通りに波が上がったらしい。
 昔の広い浜に戻したい。長期的ビジョンを持ってサーファーや漁師、市民の方々の意見があればセットバックも不可能ではないと思う。
 また、加茂川、待崎川の堆砂状況、洗掘状況はどうなのか。さらに、加茂川の流速が20年前と比べて早くなった感じを受ける。
 最後に、川の堆砂を海岸にいかに平均的に分配するかを考えるべきというようなさまざまな御意見がありました。
                〔 Power Point 〕
 これはサーフライダー・ファウンデーションの上田さんから、当日御提案いただいた資料をお借りして御紹介しますと、「すばらしい海岸を次の世代に引き継ぐために」ということで、早急なハードによる対策ではなく、正確な情報の共有を前提にした話し合いが大切である。また、究極的な目標としては古きよき海岸に戻すことである。自然海岸の経済的メリットの正確な認識ということで、「観光にとって、漁業にとって、市民にとって」という題目で……。
                〔 Power Point 〕
 まず直ちに実行できることは何かという御提案の中身として、海浜の中央部での越波防止と砂浜の回復というようなお話がありまして、堤防の強化、嵩上げであるとか、砂の回復についてはさまざまなところから出た土砂の投入によって砂浜を回復できないかという短期的な御提案でありました。
                〔 Power Point 〕
 長期的な課題、じっくり取り組むことということで3つのテーマがありまして、砂浜の回復と維持、それから海岸の有効利用、越波にも強いまちづくりという3点セットを御提案いただきまして、具体的な中身を海岸中央部、マリーナ周辺、加茂川の河口ということで諸説御説明をいただきました。
 ここまでが第4回会議の概要の報告でございます。
                〔 Power Point 〕

5.沿岸に関する話題提供

○事務局(星上) 続きまして、ここからは南部漁港事務所の方から、今回の台風のことも絡めまして、波除堤の整備の進捗状況などの御紹介をいただきたいと思います。
 では、ク木さんの方でよろしくお願いします。
○南部漁港事務所(ク木) 南部漁港のク木ですけれども、これから、今回、7月26日の台風を踏まえた波除堤、それについて説明させていただきます。
 今回の台風なのですけれども、先ほど市長さんがおっしゃったように、風とか雨はほとんどなくて、波向が高かったということでございまして、南部漁港では2ヵ所波高計を設置しておりまして、管理・運営を南部漁港でしております。その1ヵ所は乙浜漁港といいまして、野島崎灯台の先端から約2q沖合、そこに波高計を設置しておりまして、風向、風速は野島崎のすぐそばで観測をしております。それともう一つは、これは鴨川漁港なのですけれども、鴨川漁港のここから沖合に3q、大体水深で行くと32mのところに波高計を設置しております。そして、ここのところで風向、風速を記録している。その2ヵ所で風向と風速、波高を記録しております。
 それで、今回の波高なのですけれども、ほとんどは東南東の風、そして記録によりますと15mを超えた風はありません。これは平均風速でお話ししていますけれども、時間的に見ると1ヵ所、確かに、26日の朝の5時に15m20というのはありましたけれども、台風が上陸したその当時は平均風速で13.6mが記録されているのが最大でございまして、それ以上はないということで、それではそのときの波高はではどのぐらいかというと、記録で行きますと有義波高で7m、有義波高というのは記録の最大波高から1/3をとった平均なのですけれども、それで7mぐらい。最大波高で行きますと11m97です。ただ、11m97というのは、ちょうど鴨川に上陸したころだと思います。それで、ここのところでどういう現象が起こったかというと、昨年の7月1日、この小寄で防波堤を越流してくる状況と同じ状態が…。
                〔 Power Point 〕
 これですね。これは夜の7時過ぎに起こっております。
                〔 Power Point 〕
 それと同時に、向こうの前原防波堤、ここについても恐らくこういう現象が多少はあったようなことが見受けられます。ということはどういうことかというと、ここに上った人はわかるように、救命具が取り付けてございます。それが破損していたということから、何回かはこういうような状態はあったのではないかということでございます。それが今回の私どもの方の台風の記録からは読み取れるのではないかということが言われております。
                〔 Power Point 〕
 それでは、これから本題の波除堤の方を説明させていただきたいと思います。
 波除堤は皆さん御存じのように、ここのところに設置するということを昨年の、ちょうど1年前ですか、皆さんにお話をして了解を得たものでございまして、その後整備をしまして、何とか6月末にはほぼ完了しました。ほぼ完了したということは、実はその後、標識灯をここに設置していただきたいということと、もう一つ、これは釣り客なのですけれども、この整備をしている段階で釣り客の方が「いつできるのですか」というお話をたびたび業者の方にしていたということが耳に入りまして、まさかここに上がって釣りはしないだろうなと私の方は考えていたのですけれども、ほぼ完成してきた段階で、夜、釣っていたという情報とか、あるいは後の始末でわかりました。ということは、ここに標識灯を設置しますから、どうしても箱抜きをしてあります。そこにコマセの残骸とか、あるいは飲んだ缶、そういうものが埋めてあったということになった関係から、まず標識灯をこれから設置をして、それからここのところに防護柵をぐるりと回す、それと同時に、そこのところに危険だから立ち入りしないでください、あるいは釣りをしないでくださいという標識板を設置して完了させようということで、ちょうど今月の27日に入札になりまして、9月末まで、60日間の間に完成させてすべて終わろうと考えております。ということで、現在、皆さんわかるようにここに行っても入れないようにしてございます。それがすべて終わった段階で取り除こうと考えております。
 現在の状況でここはどのぐらいの静穏になったかということなのですけれども、この波除堤をつくってから状況を見ますと、これは漁師の方、組合の方に聞いているのですけれども、大分静かになったと。そうすると、この次は、船をいつこちらの方に回してくるのですかということを私が尋ねたところ、まだ大きい台風は来ていない、そういうのを見てから段階的にここのところに船を張り付ける、みんなここにいる船などを回してこようと考えているようなのですけれども、今回の台風を見ると、昔と違って波除堤で大分うねりがとまったということで静かになっているということは漁師の方もどうも言っているようなので、これからことし、来年、2、3年たつ間には静かであれば船も入ってくるのではないかということを私の方は期待しているわけなのですけれども、そういうことで、9月の末に波除堤はすべて完成するということで報告を終わらせていただきたいと思います。
 どうも。
○宇多理事 さっき26日の有義波高は7mと言ったのだけれども、そのときの周期はどのぐらいでしたか。
○南部漁港事務所(ク木) 周期は12秒です。
○宇多理事 わかりました。
○南部漁港事務所(ク木) 以上でございます。
○事務局(星上) ク木さん、どうもありがとうございました。
 以上のようなことで、波除堤の整備は着々と進んでいるということでございます。この会場にいらっしゃる方は、くれぐれも釣りなどはなさらないように気をつけていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、今台風のお話があったわけですけれども、鴨川整備事務所さんの方で台風の翌日に海岸の状況を写真でおさめていただきました。それから、今朝ほど事務局と先生方で朝、早起きしまして海岸をずっと歩いて写真を撮ってまいりました。その辺の写真を見ながら、今回の台風と越波の関係などについて、宇多先生の方からちょっと講義をいただければと思います。
 よろしくお願いします。
                〔 Power Point 〕
○宇多理事 今朝ほど、これは鴨川事務所の方の、さっきの話で周期が12秒で7mというから相当ダーンと打ち上がる波ですけれども、北の方から、浜荻側から順番に状況を見ていただきますけれども、ここにあるのが例のあそこの浜荻の前面に岩礁帯があるので、そこにいっぱいカジメがひっついているわけですけれども、それが根こそぎ取られて、最大で打ち上がっているのは、確かに私も確認しましたけれども、この植生のギリギリのところまで全部打ち上がっている。この辺は、今もう波が来ているから間違いなくそういう状態がわかると思いますけれども、これで恐らくこちら側の岩礁のところに生えていたカジメはほとんど総なめになるぐらい波で取られたと思います。
                〔 Power Point 〕
 ここは例のサーファーの皆さんが駐車場でとめてあるところだけれども、ここに海草が打ち上がっていますね。ぬれているだけではなくて海草が打ち上がっているということは、ドーッと水が駆け上がったという典型的な写真だと思います。
                〔 Power Point 〕
 これはそのちょっとこっち側の保安林、松林のこっち側のところなのだけれども、この護岸の後ろを見ていただきたいのですけれども、ここのところに砂がたまっていると同時にここの草がこっちに寝ていますね。これは駆け上がった水がこっちへ、手前側の方へ流れた跡なので、この護岸の管理用通路のところは間違いなく水がグジャグジャに駆け上がっていったという非常にいい証拠になると思います。
                〔 Power Point 〕
 これは亀田病院の前で、これは余りピンと来ないかもしれないけれども、ここも多分向こうへ波が打ち上がっていると思います。
                〔 Power Point 〕
 これはシーワールドの隣の駐車場のところで、今朝見てきましたけれども、ここの砂が舌のようにたまっているところはきれいにどけてありましたけれども、明らかにこれはここの柵のところは隙間だらけなので、乗り越えて駐車場の方へドーンと行ったという非常にいい越波の状況写真が撮れる場所です。
                〔 Power Point 〕
 これはいよいよシーワールドの方へ来るのだけれども、シーワールドのところは、この通路の上は、きょうはもうきれいになっていましたけれども、かなり波が打ち上がった痕跡がある。言ってみればこれは目の前がもう海という感じで、たいそう恐ろしいというか、そういう状態になっていました。
                〔 Power Point 〕
 これはシーワールドの職員が撮った写真で、ここのところのこっち側、このあたりにレストランがあるのです。ところが、ここのところが砂と水が大量に入り込んでしまって、次の日に早朝、職員総出でここのクリーニングをやっていたという話があります。このときには、ここのフェンスが全部なくなってしまっていますけれども、今朝は木杭を立てて、竹のこういうもので一生懸命2人のおじさんが直していました。「どうしたの」と言ったら、「越波でここのところがきれいに壊されてしまったので、大至急今つくっているのだ」と言っているのがここら辺できょう工事をしています。ここへ、だからこういうふうに印がついているところから見ればわかるとおり、ここからサッと波が打ち上がってきたということで、この辺の植生はかなり枯れています。だから、これで見るとこれとこれのセットでは波がボーンと打ち上がるのに対して全然対応できないというのがよくわかると思います。
                〔 Power Point 〕
 この辺は、ここの上に砂がたまっているということを除けば、波の打ち上げ痕跡がどこかというのは砂があるということ以外はややわかりにくいところです。
                〔 Power Point 〕
 だんだんこっちへ来ると汐入公園に来るわけで、汐入公園というのは僕は昔から砂丘かと思っていたのだけれども、そうではなくて、実は中にこういう粘性土がいっぱい出てきて、ここのところをよく見ると……。
                〔 Power Point 〕
 これは私の写真には出てくるのですけれども、これは余りうまくない写真で、これは植生が倒伏しているのですけれども、ここの面を見てみると、建設残土を持ってきて置いているというところが結構あります。だから、汐入公園というのは昔から砂丘だなと思っていたのだけれども、全くそうではなくて、残土を持ってきて置いたらその上に砂がかぶって、その上を植生が覆ってこうなったという、どうもそういうことらしいです。
                〔 Power Point 〕
 これはここの縁石のところが、駐車場があって外側を守っていたところですけれども、元通りになった。元通りになったというのは皮肉な言い方だけれども、この地盤、後でごらんに入れますけれども、この地盤はいじくった地盤で、土を盛って駐車場にした。だから、波の方は原地形を覚えていますから、駐車場が消えて大変だという言い方もあるけれども、一方では元の海浜に戻っただけというふうにも見えます。
                〔 Power Point 〕
 きょうはここに仮設の海の家が建っている場所でありますけれども、これを見ると明らかにこの上はスッと飛び上がっているわけで、ここ、前面が非常にやせているために波が非常に入りやすくなっている。ただ、ここの裏側に剛体のコンクリートの護岸がありますから、中へはそう行きにくくなっているけれども、ここはちょっと弱点になっている場所だと思います。
                〔 Power Point 〕
 立ち始めたこの階段の真下が一番状況が悪くて、砂浜幅が余りないところです。
                〔 Power Point 〕
 これはパスします。
                〔 Power Point 〕
 これは一番角の長ったらしい200mの離岸堤の裏なのですけれども、きょう行っても余りはっきりしませんでしたけれども、この写真を見ると護岸のすぐ目の前までドーンと波が来ているというのが痕跡ではっきりわかります。なぜこういうことが起きるかというと、周期が短い波だとパッと来てパッと戻ってしまうのだけれども、ちょうど周期が12秒から15秒というと津波みたいにザーッと流れてくるので、来ては戻り、来ては戻りではなくて、ザーッと流れるがごときに突っ込んできますので、それでここまで波が上がってきたと思います。
                〔 Power Point 〕
 今朝、7時半から見たのです。これがさっき砂がたまっているところがきれいに箒で掃いてありました。だけれども、現地を見ると、明らかにこれはそこまで砂があったということがわかるわけで、これで見ると、土木事務所の方で3人のおじさんと1人のおばさん、黄色いヘルメットをかぶったおじさんが今朝もいましたけれども、あの人たちがきれいにしていたので、ここのところを見ると何もわからないですけれども、この裏側はもうかなりの部分が塩水が飛び込んだという記録がこれに残されていました。
                〔 Power Point 〕
 次が、これが大分向こうの方にシーワールドが見えていますけれども、ダーンと打ち上がって黒っぽく見えているのが全部カジメで、これは表層にあるだけではなくて、このバームの裏側のここらを歩くとブスブス、ブスブス入ってしまうぐらい大量のカジメが打ち上がっていたというところです。この黒いものは全部そういう状況です。
                〔 Power Point 〕
 ところどころにサーファーの人がいたのだけれども、こうやって見てみると、今はバームのてっぺん。
                〔 Power Point 〕
 ちょうどカジメがいっぱい上がっているところ。
                〔 Power Point 〕
 今、横に歩いています。それで、護岸のところ。ここら辺は余り波は来ていなくて、その手前までで浜辺が広いところでは大体とまっているという状況です。
                〔 Power Point 〕
 ちょっとおもしろい、これは余談なのだけれども、ここに川の後ろが飛び出ているところがありますけれども、飛び出てへこんで、飛び出てへこんでと、実はこの前にカスプがあって、カスプのへこんでいるところから波がダーンと来ると裏側のところが飛び出るというのが出ていまして、これは非常に規則的に25mピッチぐらいに並んでいるのはそのことだというのは現地を歩いてすぐにわかったということです。
                〔 Power Point 〕
 これは同じだからパスします。
                〔 Power Point 〕
 これもパスします。
                〔 Power Point 〕
 この辺から、これはロイヤルホテルで、ちょうど7時40分ぐらい、朝食をとっているのです。この朝食をとっているところの前の護岸の高さがこんなもので、これで1m50p、私はこの管理用通路の端っこの緩傾斜堤のてっぺん、50pほど高いところに立ってこれを眺めて写真を撮っているので、そうやってみると、向こうの座敷の方に立てばおよそ海が見えるような高さになっているのかなと、正確ではありませんけれども。でも、もし護岸の高さがこの辺までになったら、多分中から逆に外は全然見られないような状況になっていったのかなと。ちょうど私が行ったときに、7時40分か45分か、8時ごろですか、そのころ、こんな使い方をしていたということです。
                〔 Power Point 〕
 これがさっき、この上から撮った写真があった場所で、これは今ここで工事をしているのですけれども、これが植生を超えてこう波が来て、裏側に水と砂が大量に上がった場所です。今、一生懸命直している最中で、ここのところに椅子がいっぱい並べてあって、お客さんを呼び込むようになっているのだけれども、ここら辺が潮でビチャビチャになったという場所です。
                〔 Power Point 〕
 これはそのお隣のシーワールドホテル、ここは全然びくともしないで、これは全く塩水をかぶった痕跡はないので、高さがやはり非常に重要だというのは、まあ当たり前かもしれませんが、わかると思います。
                〔 Power Point 〕
 これは保安林のところの状況なのですけれども、この歩いている人のここにあるのが側溝で、今、側溝は埋まっていませんが、これはここもきれいでしょう。これ、実はこの砂も側溝も全部埋めていたのです。ここは埋まっていて、ここの砂は前に掻き出していましたから、この側溝というのはほとんど水が満杯状態で越波が来たときに処理できない状態に多分なっていたと思います。
                〔 Power Point 〕
 これはグランドホテル、そこの海への入り口があるのですけれども、そこのところに水が上がった痕跡があって、大体20pばかり地面から水にダーッとひたっていたという、ちょうど洪水の痕跡みたいなものが残されていました。
                〔 Power Point 〕
 これは、今度は汐入公園に近づくとこういう風景が見られるので、ここのところ、彼が立っているところの地盤面が石混じりの粘性土で、大体80p盛ってあって、その下にまた基盤面が出ているのです。この地層というのは全くノッペラボウなわけで、それからするとここはトラックで運んできて入れた土地、元の海浜ではないというのがこれですぐにわかるわけです。
                〔 Power Point 〕
 それでもうちょっと向こうへ行くとこういうふうにブロック状に欠けていたりする場所がずっと続いていて、どうもそういう……。
                〔 Power Point 〕
 これなどもそうなのだけれども、何回もいじっている。汐入公園の下の方、1m下にもう一回いじった面があって、その上に砂がたまっていったのだと思いますけれども、そういうふうになっていたところが今回削れたというふうに思われます。
                〔 Power Point 〕
 汐入公園のところは植生帯がきれいにあったのだけれども、実はあそこはどういうことが起こったかというと、すごい波の高さが打ち上がってくるのでここに大量の砂が上に乗ってしまった。ちなみにここのてっぺんの高さが海面から4.2mの高さでした。だから、沖合で7mぐらいの波がここへ来ると4mぐらいに減衰してきますけれども、4m20ぐらい、ダーンとここへ跳ね上がって、このギリギリまで砂を持ち込んだわけです。
                〔 Power Point 〕
 その結果、これは汐入公園のところですけれども、ちょうどこの護岸の目の前まで浮遊物が流れ込んでいることがわかりました。
                〔 Power Point 〕
 それと同じように、南の方を見ても同じ状態。
                〔 Power Point 〕
 それで、波が沖から来たなというのがいかにもよくわかるのは、これはこの草が全部岸向きに倒れていて、枯れていますね。これは塩水をひっかけたときにこうなるので、まさに波が沖から来てここまではい上がったという非常にいい証拠だと思います。
                〔 Power Point 〕
 待崎川にえらいことが起こっていて、待崎川の河口砂州というのはもっと下流側にあったのですけれども、これが何橋と言ったかな、あの橋よりずっと上流の方へ全部プッシュされてたまっている。
                〔 Power Point 〕
 その右岸側を見るとコンクリートのところが真っ白な層が出ていますけれども、実はここのところに砂州があったわけですけれども、その砂州が全部川の上流の方へ運ばれてしまったという極めて大きな変化がここで起こりました。
                〔 Power Point 〕
 その付け根のところではブロックが露出してコンクリートの面が、ここに彼が立っているのがわかりますか、これで2mですから、3mぐらいあった地盤がスッと消えたということです。
                〔 Power Point 〕
 駐車場のところはこんなぐあいでめちゃくちゃに壊れているのですけれども、だけれども、よく見るとこれは天然の地盤ではないので、何か利用しようというので主に前に出したところが元へ戻ったというか、ガッツリやられた、そういうことに思えます。
                〔 Power Point 〕
 こっちは同じです。方向を変えて撮っていますけれども。
                〔 Power Point 〕
 この辺が一番狭いところの今朝の状況で、9時ごろの状況で狭いところに……。
                〔 Power Point 〕
 たくさんの人が無理して利用しているということでした。
 ここからちょっと川の状況なのですけれども、加茂川を下流から上流へ上がっていくと一番下から2番目の橋から見るとこういうふうな砂州ができている。向こう側、対岸、右岸側にある公園だそうですけれども、その対岸にこういう砂州があるのだけれども、この砂州が見たところ活発な砂礫の移動がある砂州とは思われない。石と石の間に粘性土がかぶってかなり固着している感じなのですよ、この辺。ということは、この川からの供給があれば、本来、ここよりもっと下流側の川の出口のところに砂州があってしかるべきなのですけれども、それがまずなくて、しかも上流側を見たときの砂州の形状がどうもさっき言った粘着性のものが随分絡んでいるということから、この砂州というのは余り動いていない、動きにくい、最近供給を受けていない砂州だというふうに見えました。
                〔 Power Point 〕
 もうちょっと、さっき見たのがこの砂州で、その上流には反対側には、これは交互砂州と言って、右にあったら今度は左、その次は右にあるという川の曲がりに合わせてこういうものはできるのだけれども、ここの面も余り活発な移動があったとは思われない状況を示す。
                〔 Power Point 〕
 ここも同じです。
                〔 Power Point 〕
 それで、上流側へ行くと潮止め堰があって、その下流側には実にきれいな砂礫帯があって、これは動いているのですよ。これでかなりたまっていまして、しかもここのところは粒径が粗くて、ここの植生が生えているところは細かい砂がトラップしているのでかなり細かくて、上下流方向にかなりきれいな分級というのか、それが起こっていて、明らかにこの前の洪水でこれが動いたという証拠が見えます。そのことからすると、この砂礫帯というのはかなり生きていて、「生きている」というのは変ですが、上流側からの土砂が流れてきたときにはここには少したまっているけれども、これより下流にはほとんど動かない。
 ちなみに今朝聞いた話ではここのところと対岸にも水路があるので、ここは中州として取り残されたので野鳥が飛んでくるいい場所で、ここから砂を取るということになると、その野鳥の飛来地、休む場所がなくなるとかいう環境上の問題が出るので、ちょっと心配だと、取ると決めたわけでもないけれども、いじるのがなかなか難しそうに見えた砂州でした。
                〔 Power Point 〕
 その潮止め堰の上流側から下流方向へ見たのがこれで、堰直下は流速が大きいのでここのところはかなり大きな底質がゴロゴロしている。下流に行くに従って下が細かくなる。
                〔 Power Point 〕
 それから、堰はこうなっていて、これは段落ちでここのところにちょうど滝壺ができていて、そのこっち側にたまるくせがあるのですけれども、それが今起こっている。こういう堰がこれより2qの間にもう2ヵ所あって、上側はかなり静水というか、水がたまっている状態なのです。したがって、それらの上流側を見てみても、余り砂州がない。ということは、この加茂川というのは、昔はわかりませんが、今ではほとんどというか、海浜形成に役立つ土砂はほとんど供給していない、ないしはほんのちょっとしか来ていない川だというのが見てわかります。測量して何立米ということはやっていませんからわかりませんが、テクスチャーというか、表層の状態を見た限りでは余り動いていないなと。だから、後ほど議論になると思いますけれども、ここから砂を持ってきたらという話はちょっと難しそうだなと。というのは、あるものを取るというと、護岸の根っこの先の地盤も同時に下がるので、そこのところをどうしたものかなというふうにこの写真は見えた次第です。
 これでラストだと思います。私の報告は以上です。
○事務局(星上) どうもありがとうございました。
 川の方の写真もついでに今御紹介してしまいましたけれども、台風から今朝までの間の情報ということで御理解いただければと思います。
 それでは、一たんここで休憩をさせていただきまして、休憩あけに、前回いただきました課題についてまた議論をさせていただければと思います。
 それでは、今から10分ほどお休みをさせていただきます。また、後ろの方に缶茶とか置いてありますので、御自由にお飲みください。
 では、休憩させてください。
                 〔暫時休憩〕
○事務局(星上) それでは、そろそろ再開させていただきますので、御着席願います。
 それでは、会議を再開させていただきます。

6.越波対策と加茂川の土砂活用について

○事務局(星上) 先ほどまで台風の状況等、いろいろ踏まえまして現状を御紹介した次第でありますけれども、ここからは前回の会議までにいろいろ事務局の方に御提案いただきました内容、まず海岸中央部での越波対策についてと、それからこの後のセッションで加茂川の土砂の活用についてというふうな形で進めたいと思います。
 それでは、まず越波対策について、事務局の方から検討した案を御提案したいと思います。
                〔 Power Point 〕
 まず「海岸の現状と課題」、これは前回の会議の際に皆さんに御紹介した表でございますが、特に砂浜の幅ですとか越波の状況、背後地の状況、海岸環境、海浜利用ということで整理していきますと、今のところサーフライダー・ファウンデーションの上田さんの方からも御提案があったとおり、海岸の中央部での越波対策が短期的になすべきことではないかということを象徴していることになっていまして、特にグランドホテルさんからロイヤルホテルさんのあたりにかけては砂浜幅が非常に狭くて砂が粗くて勾配がきついということ、それから今水面から5mの高さの護岸があるわけですが、これでは全然足りなくて、越波被災を受けているということが今の現状の課題ということになります。
                〔 Power Point 〕
 これは平成9年のときの鴨川シーワールドさんが撮影された越流している瞬間の写真でありますが、先ほど宇多先生の方から御説明がありましたように、現場の写真にもその痕跡が今回の台風でも残っているということで、沖合の波浪が漁港事務所さんの御説明にありましたように、沖で8mぐらいの波ですね。ということは、年間、何回か来るぐらいの台風の規模だと思うのですが、そのぐらいのものでもこのような形になりやすい。当然潮位の関係もございますので一概には言えませんけれども、同じような波が来たときに潮位が高くなった瞬間にバーッと上がってしまうというのがここでの現状です。実際にこの写真ではここのところにもともと護岸が、今は波にもまれて呑まれてしまっているというようなことです。
                〔 Power Point 〕
 これは別の角度からシーワールドさんが撮られた写真なのですけれども、完全に波が護岸を呑み込んで遡上しているというところが見てとれます。
                〔 Power Point 〕
 ここまで越波が激しいと、ああいう護岸は意外と波に余り強くない構造なものですから、こういうふうに壊れてしまうというふうなことが過去に何回かあったということです。ちなみに、これを復旧をした工事の際にはこういうふうに壊れにくいように県の方で対策を若干打っていますので、今、同じような波が来ても一晩でこうなってしまうということにはなりにくいというのが現在の状況です。
                〔 Power Point 〕
 実際、平成9年に台風によって浸水被害を受けたのが大体待崎川の右岸側、未来高校の前のあたりからちょうどロイヤルホテルさんのあたりまでかなり広い範囲で浸水を受けています。その際に、シーワールドさんの前を中心に約800mぐらい護岸が壊れた。同じように平成14年にも被災を受けたわけですが、その直した両脇の護岸がちょうど壊れてしまったというようなことがありました。
                〔 Power Point 〕
 これも前回御紹介した資料でございますが、海岸の長期的な方策も含めていろいろ考えるとして、侵食対策と越波対策という対策の方法論があります。さまざまな方法、例えばセットバックであるとか離岸堤を置くとか養浜、サンドリサイクル、突堤を打つとかいろいろあります。越波対策については離岸堤をつけたり、護岸を嵩上げしたり、断面を改良したりというような方法論を前回若干御説明しまして、大きく分けますと侵食対策というのは若干長期的な課題に属するものであって、越波対策というのは短期的な課題であるというのが上田さんの方の御提案からも聞いてとれるところだというふうに考えます。
 もっぱら長期的対策のメニューとしては、ここで出ているのは沖合または海域で何らかの対策を打つ。それから短期対策については陸上対策がメインになるというふうになるということを御紹介しました。
                〔 Power Point 〕
 会場の皆様からいろいろなディスカッションをさせていただいた中で、やはり陸上対策がいいだろうということで、今回、陸上対策について検討させていただいたわけです。前回、これも御紹介したものですけれども、例えば、今の護岸の中で嵩上げをしようとすると、今の遊歩道の後ろの排水路のさらに後ろ側に壁をつくる場合、例えばですね。下の写真の例がありますけれども、左側はお隣の和田町の白渚海岸というところで実際に工事を行った例であります。それから、右側の写真はシーワールドホテルさんの前の今の護岸の状況になります。これがちょうど専門的に言うと後退型というような嵩上げの方式になります。
                〔 Power Point 〕
 これに対して護岸の遊歩道の海側のところで嵩上げをするという方法があります。下の写真の左側は、これはさらに南の千倉町の千倉海岸の護岸の上に嵩上げした例。それから右側の写真は先ほどの和田町の白渚海岸で一部区間で設けられています対策としての例でございます。この写真を見ますと、嵩上げした前面にちょうど砂がたまっているように見えますが、ここも今の東条海岸と同じように高波浪が来ますと海浜の砂が打ち上げられるところでありましたので、この対策を打つまでは遊歩道の上に砂が結構台風のたびに上がっていたところでありますが、この対策を打った後は遊歩道の方にはほとんど入っていないというふうに聞いていますので、こういうふうにやると比較的効きやすいのではないかというふうにも見えます。
                〔 Power Point 〕
 これに対して、今の沿岸の施設の状況をもう一度おさらいしますと、鴨川グランドホテルさんは今は護岸の遊歩道の後ろにこういう形で高さ6.2mの壁がございます。
                〔 Power Point 〕
 それから、これも先ほどの写真にも出てきましたが、保安林のあたりは護岸が5mに対して後ろは護岸と同じ高さでそのまま植生が生えているということで、これがちょうど、日付が書いていなくて済みません。平成14年の越波被害のときの写真なのですが、同じように土砂が上まで打ち込まれて、土砂とともに前面のブロックが飛んで中に打ち込まれているのがこれで見てとれます。宇多先生が写っていますね。
                〔 Power Point 〕
 それから、これはシーワールドホテルさんの前でございますが、ここの壁は今、約6mぐらいの高さがありまして、手前が一段ちょっと低くなっているわけですけれども、これがシーワールドさんの水族館の方の施設の前にある護岸の高さなのです。先ほど公園の方に、堤内に越波した写真がありましたけれども、この高さの護岸は簡単に越えてしまうということなのですね。
○宇多理事 これの中側を今朝見たら土砂が落ちていた。
○事務局(星上) そうですね。ちょうどこれはシャチのプールとかイルカのプールのある前のところなのですけれども、そこのところは今回も土砂が打ち込まれたというふうに聞いていますので、この高さではちょっと足りないのだということですね。今の高さというのは大体T.P.5.5mと言いまして、今の護岸が5mの高さですから、プラスあと50p高いだけということで、後退型にしても50p程度ではちょっと不足しているのだというのがこれでわかります。
                〔 Power Point 〕
 そしてこれが鴨川ロイヤルホテルさんの前面ですが、ガラス面のところがちょうど宴会場になっていまして、今朝、食事をしている写真を撮られたところですけれども、ここは6.2mぐらいの高さがあります。ただ、ここのガラスも平成14年の越波被害のときには波か風で飛ばされてきた流木などの固いものが当たってガラスが割れて、その後、大量の波が侵入したということで、この後ろの宴会場が膝上ぐらいまでの水深に一発でなったというふうにお聞きしましたので、相当大量の波がこの高さでも打ち込まれる可能性があるということを若干示唆しています。
                〔 Power Point 〕
 波の打ち上げ、こういうふうに写真でよくお見せしていますけれども、こういうのが一体どういう状況かというものをちょっと数値シミュレーションで再現してみました。
                〔 Power Point 〕
 今回提案をしようとしていますのは、実は後退型、護岸の歩道の後ろでやる嵩上げではなくて、前面でやる嵩上げの方を提案したいと考えております。理由は後ほど申し上げますけれども、実際にシーワールドさんの前で現状でどういう越波が起きているかというのを、波を数値シミュレーションで起こして、今右側に見えているのが護岸です。ここに今回の台風と同じで大体8mぐらいの波が来るとこういう波ですね。ザバーッと越えてしまうのがわかりますか。もう一回見ますか。これはたった1波だけの計算なのですけれども、天端5mのところを1回波がシューッと引いてズワッと、後ろの小さい壁は簡単に越えていますね。この小さい壁は実際に今シーワールドさんの前にある5.5mの壁です。
                〔 Power Point 〕
 それから、ロイヤルホテルさんの前も同じように計算してみますと、ここはちょうど宴会場の前の6.2mの壁なのですが、ザバーッと来て、護岸をはるかに越えて、この波だとちょっとこの辺までたまって終わっていますけれども、御存じのとおり波というのは、代表的な波、平均的な波より1.5倍とか2倍ぐらいの大きな波が100波に1回ぐらいはまじってくると言われていますので、この計算よりも大きな波がドーンと来て、たまたま水位が高い状態で来れば先ほど御説明したように宴会場に浸水するような大量の越水を招くこともあるということなのですね。ですので、この後ろ側で壁を設けるというのは実は意外と効くようで、ときどき来る大きな波に対してはちょっと高さが不足する感じがあります。まして、この建物が非常に近いものですから、越波したときの被害が非常に甚大に出やすいという特徴を持っています。
                〔 Power Point 〕
 これに対しまして、これから御提案する方法として、例えばじゃあ前面であと50p壁を高くしたらどうなのというのを再現してみます。ここがちょうどあと50p、コンクリートで壁を高くした状態です。ザバッと越えて、ちょっとこの辺にこぼれていますね。この状態が一体どういうことかというのはなかなか説明は難しいのですが、この状態だと先ほど申し上げたようにたまに来る大きな波が来たときにちょっと足りないのだろうなというのが、専門的な技術屋が見るとそういうふうに見てとれます。
                〔 Power Point 〕
 それでは、もうちょっと上げてはどうかというのが次のシチュエーションですけれども、これはちょうど6mまで上げた場合なのですね。同じように波が引いていって、来た波がドーンと、これでもうほとんどこぼれていません。ここまで来ると波の大部分を抑えられるのではないかというのがこの映像でわかると思います。
 実際にこの数値シミュレーション以外に海岸の計画を立てるときの方法でいろいろな机の上での計算をする方法があるのですけれども、それで計算しますと護岸の必要高がやはり6mは必要だというような計算結果が出てきます。それともこの数値計算の結果が大体一致しているということです。
                〔 Power Point 〕
 ちなみにロイヤルホテルさんの前で6mまで上げた状態を一度お見せしますと、こんなような形で、若干通路の方にもこぼれますが、波の大部分は嵩上げした壁によって防護できているというのが見てとれると思います。こういう感じですね。
                〔 Power Point 〕
 今お見せした数値シミュレーションとこの写真がまあまあよく似ているというのはわかっていただけたかと思います。
                〔 Power Point 〕
 ここで今の施設の現状と課題を改めて整理しますと、越波を防止するためのレベルについて、どの程度のレベルにすべきかということについては、先ほどの数値の画像とか、あと計算のもろもろの手法によりますと、越波の被害を防止するためには、やはり今より1m程度の嵩上げは必要ではないかというふうに見ています。それから、施設に、施設というのは背後の民間施設ですね。ホテルさんとかシーワールドさんの水槽の施設とか、そういうもの自体に被害が及ばないようにするためには、やはり大量の越波を防止するというのが1つの鍵になります。しぶきは多少、台風の大雨と同じで、施設が壊れない程度のしぶきはちょっと我慢していただけないかというようなこともあるのですが、大量に越波してしまうとひとたまりもありませんので、これは何とか食い止めたい。
                〔 Power Point 〕
 実はもう一点ありまして、先ほど現状の写真を幾つかお見せしたとおり、これは構造物をつくるときの施工上の問題点なのですけれども、ちょっと戻って写真をごらんいただくと、例えばこれはシーワールドさんの施設の前の護岸がありますが、護岸の本当にすぐ後ろに今施設があります。
                〔 Power Point 〕
 それから、ロイヤルホテルさんも建物が本当に近接した状態で建てられています。こうした状態で工事をする場合に非常に厄介なのは、ただコンクリートで真っすぐ壁を立てればよいということではなくて、当然コンクリートの壁が波に対して壊れないようにつくらなければいけないですから、今の施設を少し下まで掘ったり、ある程度の幅で掘って広げたりして強固につくる必要があるわけです。そのときに今、実はこの護岸の後ろに排水溝があるのですけれども、排水溝までは県のつくった施設、護岸としての施設なのですけれども、排水溝の後ろは今、民間の土地になっています。民間の土地でいろいろ工事をするというのがまたこれは非常に厄介な話がありまして、建物が接近しているだけではなくて、工事をするとなれば土地を、例えば場合によっては買収させていただかなければいけないとか、公用地、県の土地として寄附していただかなければいけないとか、そういう利権の問題も若干絡んでまいります。
                〔 Power Point 〕
 というように、施工上の問題として官民境界というのですが、そういう境界上の問題があります。また、施設が近いということで、特にシーワールドさんの場合、シャチとかイルカのプールが間近にありまして、特にシャチは工事の振動とか音に非常に敏感な生物だというふうに聞きました。ですので、水槽の直近でコンクリートをバババーッと壊したり、重機でバリバリやるような工事ができないという実態も実はあります。本当にやるならシャチに引っ越していただかないといけないという大変なことになるものですから、こういう施工上の問題点があるということをちょっと御理解いただきたいと思います。
 それともう一つありまして、当然、防護だけではなくて、海岸の利用ですとか環境に配慮しなければならないわけですが、今回御提案する方法は遊歩道の海側に壁を1m設けたらどうかということなのですけれども、そうなるとおわかりと思いますが、海側の眺望、後背地のホテルさんとかシーワールドさん、または歩いている方からも当然海が見えなくなるのは嫌だというようなことがありますので、眺望を確保するという制約条件がちょっとあると思うのです。制約をクリアするためには1mより高いものを立てていくと当然大人でも見えないわけですから、それはどなたが考えても眺望阻害だろうということなると思います。こういう制約があります。
 もう一つ、今までは海浜へどこからでもアクセスできていたわけですけれども、これが壁を立てることでどこからでも降りられるということにはならないわけです、壁でふさがれますので。これについては別途お話をしますが、ところどころ階段のようなものを設けて、階段で出入りしていただくということができないかというのが提案の中の1つであります。
 ただし、メリットもございまして、前側に壁をつけることで、先ほどのセッションでごらんいただいたように、ちょっとした波でも遊歩道の方に流木とか土砂がどんどん打ち込まれて維持管理も、市役所の方も含めて大変だと思うのですね。お金も膨大にかかります。
                〔 Power Point 〕
 そういうことを、前に壁をつくることによって打ち込まれにくくするというメリットがございますので、こういう全体を考えますとこうした護岸の遊歩道の前の方で嵩上げをするというのが望ましいのではないかというふうに私ども事務局では考えました。
                〔 Power Point 〕
 これは先ほど参考でお見せしました和田町の白渚海岸の遊歩道の前にある嵩上げの壁の例でございます。実際は今御提案申し上げている1mではなくて、ここでは遊歩道から50pの嵩上げになっていますが、遊歩道から見ると50pなのですけれども、海側に立つと1mの壁があるように便宜的になっています。ちょうどL型にコンクリートの壁を設けるようなものです。
                〔 Power Point 〕
 これが今回、御提案したい越波対策の案の断面図です。左側に「天端」と書いてあるのがちょうど今の遊歩道の部分ですけれども、その前面の今、緩傾斜護岸になっているところのブロックを2つないし3つ取りまして、そこの部分をL型のコンクリート構造物を現場で打って、直壁、壁をつけるというような改良の方法を考えています。このときにところどころに階段を設けて降りられるようにするということと、後ろ側の歩道の高さを、歩道の歩いている面から壁までの高さを1.1mにコントロールします。これは理由がありまして、実はこの天端は当然歩行者だけではなくて自転車も通るような利用をされていますけれども、日本の場合、自転車が通るようなこういう歩道の場合、転落防護のための措置をとらなければいけないのですね。海側に落ちないように壁なり、または柵を設けなければいけないのです。そのときの基準が一応1.1mの高さが必要であるというふうに構造基準上なっていますので、若干それに合わせています。1.1mというと大体大人の方の脇腹よりちょっと上ぐらいですか、その高さになります。小学校の低学年の方とかはちょっと海が見えないかもしれません。
 海側に出ますと、今度は高さ約1.8mの壁が陸側に見えるようになります。少し高いという御意見もあると思いますけれども。ちなみにこの壁の前のところはほぼ平で、若干海側に勾配をつけますから、水は流れますけれども、ほぼ平に仕上げますので、ここのところを歩くことも可能です。
                〔 Power Point 〕
 イメージとしてどんなものかというのを簡単なフォトグラフィックで示しますと、写真の中央に宇宙人みたいなものが見えていますけれども、青い濃い方が身長185pぐらいの人のイメージ、水色のものは165pぐらいの人のイメージです。ちょうど護岸の高さは脇腹からもう少し高いぐらいですか、こういうイメージになるかと思います。前面にはもう一段低い水平部ができる。
                〔 Power Point 〕
 ここはちょうどシーワールドさんの駐車場のあるところで同様の措置をとった場合ですけれども、残念ながらシーワールドさんの駐車場に乗り入れた車からは海はもう直接は見えないようになってしまいます。ただ、後ろの柵を越えてこの天端上に上がればもちろん海は見えるというふうになります。
                〔 Power Point 〕
 それから、アクセスを阻害するということにもありますので、このアクセスを阻害しないように200m程度に1ヵ所ぐらいこのようなイメージ、これはお隣の和田町の和田浦海岸にあるスロープのタイプなのですけれども、今回考えていますのは、スロープではなくて階段にしようかと思っています。その辺は御意見をいただきながら調整ができるのではないかと思いますが、嵩上げした部分を階段の開口部のところだけ若干海側に張り出させまして、波は飛び込まないようにしながらアクセスができるようにするというような方法です。200m程度に1ヵ所と申し上げましたのは、細かい場所については今現在、例えば通路として使われている部分ですとか、それからホテルさんが出入り口として使われている部分の位置を考えながら、当然それに近いところに階段を設けるというふうに微調整をしていくわけですが、もっぱら200mに1ヵ所というのは、仮に地震とかで津波が来るとか、急に台風で大波が来てしまうというようなときに、海浜にいる方が速やかに逃げられるように100mに1ヵ所ぐらいは自分の最寄りに開口部があるというようなことを今、目指しています。100mというと大人が普通に歩いて約1分、健常者の方だともっと早いと思うのですけれども、お子さんとか御老人の方でも1分強ぐらいあればこの護岸の裏に逃げられるのではないかというようなことです。
 以上が一応越波対策の御提案ということになりまして、これについて若干フリーディスカッションを進めてまいりたいと思います。
 先生方、何か補足することとかございますか……。
 先生方の方からは特にないようなので、会場の皆さんから今御提案した諸々のことについて、何でも結構ですので、質問等がございましたら手を挙げてお知らせいただければと思います。
○上田 上田と言います。どうぞよろしくお願いします。
 ものすごくわかりやすい提案、どうもありがとうございます。1つこの写真というか、この図面なのですけれども、現在の遊歩道の幅というのは変わらないということですね。
○事務局(星上) 変わらないです。
○宇多理事 それは変わらないというか、変えることはできないのです。3mの幅は確保しろという別のルールがあるので。
○事務局(星上) ほかに何かございますでしょうか。
○石井 済みません、石井と申します。
 素人の質問で恐縮なのですけれども、鴨川の海を大変愛しているのですけれども、コンクリートでやると見えなくなってしまうという話があって、子供さんが見えないというのはすごく残念なことで、ただこれが必要だということもよくわかるのです。それなら、例えばシーワールドさんにある大水槽のような厚いアクリルのパネルでつくるとか、そういった技術というのは今日本とか世界にはないのでしょうか。
○宇多理事 今、ものすごい水圧に耐えられるような、よく水族館で、自分が潜っていってしまう水族館がありますね。だから、ああいう技術そのものはあるのです。ところが、これは公共事業でやるもので、公共事業でやるとなると、なぜ特別なものを使うのだという質問が浴びせられて、プライベート企業がやるならそれはいいのですけれども、そうではないと、厄介な話なのですが、基準という、まあ基準どおりである必要はないのだけれども、それをなぜやらないのかというマイナスっぽい質問に対して立ち向かわなければならないわけです。そこがいろいろな新機軸を打ち出せないすごく強い理由になっています。この場合ですと大体あの絵は厚みは書いていませんが、あの種の構造物のコンクリートの厚さは基本的に50pにしろという、明示はしていないのですけれども、そういうふうになってしまっているという、それが、だから例えば潜水艦のようにポコン、ポコンとあけて耐久性の強いものでやれば見えなくはないのだけれども、技術論上はできるのだけれども、そこのもう一歩が踏み出せないという、ちょっと情けないというか、そういうもので動いているというところがあります。
 それから、この絵で1つだけ補足説明を忘れてしまったのですが、いいですか。
 これは皆さん不思議に思う、ここを何でこんなに掘り下げるのかという質問が出るかなと思ってちょっと補足しておくと、これはもっとこの辺で曲げておけばいいではないかと思うかもしれませんが、さっきの事務局が計算した波のものをやると、この壁にものすごい勢いで水の塊がぶつかります。そうすると、この塊を2人の宇宙人が立っているところまで、バーンと後ろへ押し込もうとする力が出るのです。ないしは、これは下の面がこのぐらいのところでこうやっておくと、これを中へ押し込もうという力で転倒させてしまう。それをだから防止するのにはここのところを深くしなければいけないのです。これをずっと深くやってしまったのが直立の護岸の昔あったものなのだけれども、今はこれがあるでしょう。だから、上を1個にすればいいのにとか、1個もなしでチョンと載せればどうなの、鉄筋を入れたらどうなのという話があるけれども、鉄筋ぐらいでは全然もちませんで、図体がでかいやつが丸ごとドーンと動いてしまう現象に対してはこうやって切り欠きを入れて、ここの面で後ろにガチンと抵抗してもらわないとならないので、その面でこういうふうに深くなってしまった。それがこっち側をさっき事務局で歩けるよと言ったのだけれども、歩けるけれども、1m80の壁がこっち側にあると結構圧迫感はありますね。そういうふうになってしまったというのは、いかにも残念なのだけれども、こっちの方の波の力とのバランスで、ブロックが1個半というわけにはいかないですね。これはあるので、1個では足りない。しょうがなくて2個、そういうふうなことでこんな絵になったという説明があると思います。
○事務局(星上) ほかに何かございますでしょうか。
○清野アドバイザー その絵を見て思ったのですけれども、和田町の白渚海岸のときに防犯上の指摘をいただいたことがあります。こういうふうにずっと壁になってしまうと非行する子が多くなるのではないかということで、陸から見ているからいいのだけれども、そういうことも考えてほしいということがありました。鴨川だとそういうような御意見はありそうかということと、それから和田町の場合は結局どうなったかというのも県か、あるいは事務局の方からも教えていただければと思います。
○事務局(星上) それでは、その和田町の方のお話、さっきの絵をお見せすると……。
                〔 Power Point 〕
 和田町でやった壁はちょっと小型なものですから、これは鴨川よりも波が若干小さいということで小型になったのですけれども、実際に海側の壁の高さは1mということで、非行と言っていたのは、要するにここの陰に隠れてコソコソするやつがいるのではないかというようなことの御指摘があったわけですね。この1mぐらいであれば歩道をだれかが歩いていれば見えるのではないのかというようなこともありまして、それなら防犯上も問題ないねというところで白渚海岸の場合はクリアさせていただいたという経過があります。
 ですので、おっしゃるように鴨川の場合は1.8mですから、確かに見えないと思うのですが、直立護岸のところでもしそういうことをやっていれば、それはそれで見えませんね、当然。そういう海岸も多分沿岸を見るとたくさんあるのだと思うのです。浜荻の海岸なども直立護岸ですね。壁が低いですから、道路から見えるのではないかと思うのですけれども、その辺を皆さんどういうふうにお考えいただけるかというのもここの会議の中でいろいろ御意見を出していただければと思います。
○清野アドバイザー もう一点、先ほど透明のアクリルのようなもので、もうちょっと景色が見えるものでつくれないかというお話がありまして、公共事業の制度上のことでお話をいただきました。実際に高速道路などでずっと壁の中を何十分も走るのは気分が悪いということで、ところどころはそうなっていると思うのですけれども、あれは結局は水みたいな塊が当たってくることがないという理由で採用されているという問題なのか、私なりにちょっと整理してみると、道路でできて何で海岸でできないかというのは、水みたいな塊が当たらないからああいうふうに使っても大丈夫だというのと、道路公団がつくるから公共事業で完全につくるのとちょっと違うのかというのと、もう一つは単価で、要するにお金の問題で、それなりに高い素材だと思うので使えるのかなと思ったのですが、そのあたりは可能性としていかがでしょうか。
○宇多理事 道路の場合は道路公団という、あのいかがわしい、そういう話ではなくて、道路構造令というのが、まず「令」だから法律に準じて命令するわけですね。それにこういういろいろな構造物のつくり方がちゃんと整理されてあって、そのときにこのドーンという波みたいなものが当たるということはないという前提のもとにいろいろなガードレールとか、そういうことはない。ただ、例の車が当たって、三角形状のとげのようなものが残るというのは今度初めて見つかったわけですが、ああいうことは起こるので、そういう対応は当然するけれども、波のそういうことは起こらないという条件で設計してしまっているから、これとは違うものになる。これに対してはそういういろいろな工夫をやろうと思うと海岸法のもとにいろいろな基準があるので、その中でルール化されてしまっているからなかなか辛い。
 1つは、これはそれを出し抜いてやろうと、例えば縦スリットをところどころに入れるなどということはできなくもない、難しいかな。だめかな。横スリットというわけにはいかないでしょう、だって。横スリットだったら構造物としてもたない。すごく気持ちはわかるのですがね。その辺、むしろ会場からも、こういうことはできないだろうかという意見を出してもらってやるしかないのかなと思いますけれどもね。普通に構造の基準を読んでいったらこれになってしまうわけですね、50p厚の何とかって。だから、そこを何か風穴というか、僕は昔の戦争物が好きなのですけれども、昔のトーチカというもの、銃眼、よくお城の土壁にちょっと穴があいているのです。下を見ると、攻めてくる軍勢に向かって火縄銃を撃てるというようなところがところどころついていますけれども、何かのぞけるというのかな、難しいかな。
 どうぞ。
○中台 和田町の中台と申します。
 景色が見えるということを考えたらば、のぞける透明なものというよりも、可動の護岸をつくって、危ないときだけせり出してくるというのはいかがでしょうか。
○宇多理事 人口が来年ピークで没落しつつある日本民族にはもはやそれだけの力がないというか、要するに金がない。そこまで言ってはいけないのだけれども、これでさえつくるのが結構なお金がかかりますので、本当はそういうフレキシブルなものもあってもいいと思うのだけれども、やはり公共事業でやると一番スカンスカンの安いものでやれよというルールがどうしてもついて回ってしまうので、可動というのは極めて大変。しかも、塩水をかぶるから、可動というのはよく排水機場などもあるのだけれども、可動が可動であるためにはスイッチを入れたときに可動するという担保が必要なのですが、多くの場合にスイッチを入れたときに動かないというのが大きな問題になってしまっているのです。
 例えば、津波水門などというのをつくると、津波というのはあした来るとわかっていれば油も差しておくのだけれども、あしたかもしれないけれども、10年後かも、20年後かもしれない。その間、ずっと装置が動くようにして、いざ来たときにパッとスイッチを押して5分ぐらいでバーンと閉まるようにするということにものすごくお金がかかってしまうのです。だから、そういう点で可動は結構しんどいなと思います。
○清野アドバイザー 今のちょっと補足で、今度また機会がありましたら一度、せっかくいただいたアイデアなので、どのぐらいお金がかかるのかとか、いただいたアイデアで何が問題かというのを一応整理していただくといいと思うのです。そうじゃないと、いつになっても安いもので済みませんとか、基準だから済みませんというのが続くと思うので、なかなかそういう次の段階に進めないと思うのですね。ちょうど今、法律とか基準が変わって、もうちょっと海岸でいろいろなことが考えられるようだったら、昔みたいに四角四面でこれしかだめとは言いませんよということなので、例えばですけれども、ここの区間かどうかもわからないですけれども、どうしてもここは眺望がいい方がいいとかというところとか、光が入った方がいいというときに、1回そういうアイデアをみんなで検討しておけば、スリットが入って、波の塊は入らないけれども、少し光なり空気が入る感じだとか、それからアクリルを使ったときにどのぐらいの強度はコンクリートと比べてあるのかとか、やはりせっかくの意見は技術の向上のためにも大事なので、ちょっとお手間ですが、検討してください。
 千葉県は、多分全国でも先駆けて海岸のこういう会議のときに、今まで余りお金の話で、1m当たり幾らですという話は言わないのが花という世界もあったのですけれども、やはり県自体も財政が厳しくなる中で、お金の中で、じゃあ高くてもいいから、30年以上使うのだからきちんとそういうものに一部だけでもしようよと言う人もいるかもしれないので、一応その差額が皆さんにわかるように市川海岸、三番瀬のそういうところで単価を出していて、そういうのは結構大事な情報だと思います。だから、きょうの御意見をもとに透明アクリルとか、あとは可動式だとか、そこを検討というか、つくると決めるわけではないのですけれども、整理していただけたらと思います。
○宇多理事 ただ、透明アクリルというのはつくったときは透明だけれども、直ちに透明ではなくなって多分見えなくなるので、私は銃眼、九州の熊本城とかあの辺へ行くと本当にきれいに塀に銃眼があいているのですね。そして見るところは小さい。だけれども、それがこうあいている。よくあるではないですか。ああいうのがポン、ポンとあった場合にまずいかな。流量がふえますよね。
○事務局(星上) 大きさにもよるでしょう。
○宇多理事 大きさにもよる。こんな大きさだったら、こうやって、おもしろくなるよね。(笑声)
○清野アドバイザー そういう研究会もぜひ、ちょっとマニアックですけれども、やってみるといいと思うのです。なぜかというと、ここは散歩道にされている方が多いと思うので、多分そうすると暑くなったとか言ってそのうち苦情が出るので、もう少し風穴が開けられないのかとか、そういう話も出る可能性があるので。
○宇多理事 まさに風穴で。
○清野アドバイザー ですから、それは少しずつ検討して。
○宇多理事 だから、そういう可能性もちょっと当たってみるということで、できるかどうかわからないのだけれども、これは却下してしまうのはもったいなさ過ぎますね。そう思います。
○中台 せっかくの「なぎさ百選」ですので。
○島田 私は北小町の島田と言いますけれども、戦後のウミガメを私は全国レベルで保護活動をやって、水産庁のウミガメの保護の方まで立ち上げてお手伝いしてきたのですが、千葉県の場合はウミガメが今とてもお寒い感じで、1つも具体的な対応の方がとられていないのですけれども、遅くなって入ってきたので今ここでの討議の対象が人工構造物の話なのか、ウミガメの話を私が横やりみたいに持ち出していいのかわかりませんので、砂浜のウミガメ保護の方はちょっとこっちへ置いておいて、私が長年気づいた矛盾した構造物の、つくり手ではなくて、利用者というか、地元の方々というか、そういう方々がとんでもないことをやっているのをちょっと今後の維持管理といいますか、こういうもので生かしていったら有効ではないかと思っているのは、ホームレスだとか、鴨川の漁港の中でもそうですけれども、廃材を持っていってコンクリートの擁壁の内側で、それこそ長年にわたって燃しているのですね。
 ですから、あなた方は気がついているかどうかは知らないけれども、えらく加熱したり、さましたりしていれば、例えば3mでも、5mの厚さがあるコンクリートの擁壁であっても、そんなものは強さは何もなくなってしまうので、もしも外側からの波の強度を受けた場合にはひとたまりもなくなって崩壊してしまうということを私は県の土木や何かにも、それから港湾の方へも行って何度も話したのですけれども、それを話したらば、今現在、その上に上塗りして、1mぐらいのコンクリートをかぶせてきれいになってしまっているところが幾つもあるのですね。これはやっても中がそんなような、何度も熱を加えてしまったものの上にやったって強度は保てないのではないかと思って、今、ちょっと気がついて、構造物の話ならばウミガメの話はそっちに置いておいて、これだけちょっとお話をしておきたいと思ったのです。
○事務局(星上) どうもありがとうございます
 今、細かい局所的な話かもしれませんが、火を燃やしたら構造物は弱くなるのではないかと。恐らく非常に高い温度で焼き続ければ多分ボロボロになってくるのですね。まあ、もともと護岸自体が火をかぶることまで考えていませんので、護岸としてそれに対応するかということとは多分今違う話なのだと思うのですね。むしろそういうところで火を焚かないようにするのにはどうしたらいいのかとかいう、利用とか維持管理の問題なのかなというふうに聞いてとりました。そういうようなお話でよろしいですね。
○宇多理事 それはおっしゃるとおりで、これは海岸に容易にごみを捨てるとか、幾ら看板を立ててもその周りに自転車まで捨ててあるという、そういう海岸への見方を変えなければいけなくて、それは行政機関とかそういう問題ではなくて、非常に多くの人が海に対してどう、海岸に対してと言うべきかな、どういうふうにすべきかということをもう一回頭を入れ替えてもらわないとならないという教育というか、長丁場の仕事だろうと思います。それの中の1つがそういうこともやってしまうし、ダイオキシンがいっぱい出るプラスチックまで、打ち上がったごみはみんな焼いてしまえばいいというのでやってしまったり、そういうことはあらゆる機会を通じて、そうではないのだということをやはり理解してもらうしか今のところは方法はないのかなと思いますが、いかがでしょう。逆に質問をしてしまって申しわけないけれども。
○山田 先ほど白渚海岸の例が出ていましたけれども、白渚海岸のところを私もときどき通るのです。それから、今のここの波の違いのところ、海岸へ出るためのアクセスとしてスロープがありましたね。スロープよりも階段の方がいいという話が出ていましたけれども、それは強度とかそういう構造上の問題なのでしょうか。私はロイヤルホテルの下ぐらいまで約30分ぐらい、前原海岸から毎日のように歩いていますけれども、今、ここにもそういう仲間がいるわけですけれども、やはり東条海岸というのは釣り人にとっては大変魅力のある釣り場なのですね。特に、これからキス釣りなどにつきましては、今は港ができたり、それから鴨川の灯台のある荒島というところから先の方へテトラがたくさん入ってしまいまして潮流が変わってしまったので、東条海岸、前原海岸ですか、波打ち際から30mないし40m、波打ち際と並行して深みがあったのですけれども、それが非常に少なくなってしまったのですね。それから、鴨川の新しいマリーナと河口漁港の方の間が非常に浅くなったのです。というようなことで、浅くなった部分を何とか前原海岸だとかそちらの方へ回すことができればなというふう単純には考えていたのですけれども、ただ深い考えはありません。そんなことも考えていました。そこら辺についてお話を伺えればありがたいと思います。
 申し遅れましたが、鴨川の山田と言います。
○宇多理事 今、2つ大きな課題を言っておられて、1つはアクセスの道を、こういうのをつくるのはいいことだ。だけれども、スッとした斜面がいいのか階段がいいのかというのは議論があるよということですね。むしろ私たちは、「私たちも」と言うべきかな、階段がいいか、本当のスロープがいいかよくわからない。地元のお使いになっている方の御意見をお聞きしたいというのが事務局のあれで、むしろ僕は階段がいいと、バリアフリーと言っていつもスロープにすべきというのではなくて、実際に使用者がどっちがいいのだろうねというのがやはり必要だろうと思って、そういう問いかけです。これはあるべしというのは全然ないのです。空っぽなのです。
 もう一つ、後段の質問というか御意見は非常に鋭いところを言っていて、こういうことが起こったのです。キス釣りをするときに白波が一たん砕けて、ちょっとまたブルーっぽくなっているあそこにいますから、そこに本当は魚がいたのだけれども、その沖のバーのところをつくっていたのは非常に細かい砂なのです。その細かい砂が今鴨川漁港寄りに引っ張られた、離岸堤もあるし、引っ張られたというか、動いていってしまってあっちへ行ってしまっているのです。だから、おっしゃったことは、あっち側に細かい砂がたくさんたまっているよというのと、ここのところでスキ釣りのいい場がなくなったよというのは同じことを言っていて、本当はこっちのものをこっちへ戻せればいいのですけれども、じゃあスコップで掘って戻したらいいじゃないかと言と、直ちに戻ってしまうような構造に今なってしまっていますので、すぐには、例えば離岸堤とか防波堤を全部どけてしまえばまた元に戻る可能性はなきにしもあらずですが、そういうわけにもいかないので、そういう中で元に戻してちょうだいという質問はなかなか難しいというか、そういう状況に今あると思います。前者はむしろほかの方も含めて、皆さん、どうしたものかなというのが本音なのですよ、これは。そうなのですよね。
○事務局(星上) そうです。
○山田 スロープにすべきか、階段にすべきかということで、1つさっきの写真にもあったのですけれども、前原海岸に階段の部分がありますね。あの階段の部分なのですけれども、あの階段は、私はあの近くに住んでいますが、非常に不評です。なぜ不評かというと、段差の割には足を乗せるところが非常に狭いのです。30pぐらいしかないのですね。ということで、年寄り連中は、私もその中の一人かもしれませんが、非常に歩きにくいということが言われています。降りていく途中で降り損なって足首を折った人も実際にはいるのですよ。そういう状況もあるので、もし階段にするとしたら、そういう人間工学的な面からの検討もしていただいて、人間の歩きやすさ、安全性というか、そこら辺も考えて階段をつくっていただければ大変ありがたいというふうに思っています。
 以上です。
○清野アドバイザー きょう、本当にそういうお話を伺えてよくて、本当にそういう場がないと階段をどこにつけるかとか、設計というのは地元の方と全然接点がないままつくってしまいます。白渚の場合も実はそういう降り口をどういうふうな場所につくったらいいかというのをもうちょっと議論したかったのですけれども、そのときには議論すると、あそこは後ろに駐車場がありまして、階段があるところとかアプローチしやすいところがもうかって、そうではないところが冷えてしまうから、中途半端に議論をすると何かそういう不公平が出るからとかいう話もあって、割と単純に刻んでつくるような感じでした。
 ただ、できたらこの鴨川では、本当に毎日のように歩いていらっしゃる方がおられるとしたら、階段の位置だとかそういう設計だとか、かなり細かい議論をする場を、鴨川土木事務所さんの県の方か、あるいは市役所の方と場をつくれればと思うのです。
 逆に伺いたいのは、きょうここに来ていただいた方のほかにもっと具体的なお話を伺える散歩仲間の方々というのがどうしたら集まるかということなのですが、どうしたらこういう会をやっていて、こういうことが聞きたいのですがというのが伝わりますか。
○山田 私も第1回には来ました。あと、きょうまでに何回か来ているのですけれども、第1回のときには地元在住のサーファーの連中がかなりたくさん来ていまして、それから漁業関係の船主なども来ていました。ところが、きょう見てみると、多分鴨川のサーファーは何人来ていますか、ちょっと手を挙げてみてください。(挙手する者あり)
 こんなものしか来ていないのですね。私の顔見知りは1人しかいませんけれども、やはりそういう場合にはお上の方からこうやってやるよということではなくて、その近くに住んでいる、例えば隣組だとか町内会だとか、そういうような人たちを集めたらいいと思うのですね。ただし、私の住んでいる前原には前原区という区長とか、そういうのはいませんから、その近くの人たちに回覧板を回して、こういう会議をやるから集まってほしいというようなことがあればいいと思うのですけれども、今までそういう話は聞いたことがないですね。そういう回覧板も回ってきませんし、だからそういう意味ではみんながさっきの宇多先生の方から、長丁場で教育とかということもありましたけれども、やはり長丁場の教育だけでは、ちょっと話がそれてしまいますけれども、いけないと思うのですね。やはり注意と規制と指導と処罰がないといけないと思うのですよ。鴨川の場合はその処罰というのがほとんどないですね。
 だから、汐入公園だか潮騒公園だかわかりませんけれども、古泉千樫の碑のあるところにホームレスというのですか、あれがいますね。あの連中に文句を言うと、土木事務所から借りていると言うのですね。おかしなことを言うんじゃないよと言うと、ここからこっちには来てはいけない。海岸の松林の中に、ここからこっちならいいよというようなことを言ったかどうかわかりませんけれども、あの柵からこっちはおれなどが借りているから、だからいいのだと言うのですね。ふざけるんじゃないと言っても、私が一人で文句を言っても多勢に無勢でかないませんから、まあそういう状態です。あそこのトイレも彼らの炊事洗濯の場になり下がっていしますしね。だから、観光客の御婦人たちはあのトイレが怖くて使えないのですね。
 そうすると、そのホームレスいわく、今までいろいろなところに住んでいたけれども、鴨川が一番規制が甘いと言うのですよ。ああいう連中をどけるのはわけないのですね。ちょっと強面の連中がパーッと行って、みんな海へ放り出して火をつけて燃してしまえばもうそれで、これは鴨川流のやり方ですけれどもね。昔は漁師の連中はそういうやり方で解決していましたね。だから、そういうやり方がいいか悪いかわかりませんけれども、そういう蛮勇をふるう場面があってもいいと思うのですけれども、何かやり得な風土のある鴨川ですから、そこまではなかなか今はできないのが現状ですけれども、そういう状態もあるので、環境とあわせてお考えいただければと思います。
○宇多理事 お答えがあるそうですので。
○鴨川市(佐久間) それでは、鴨川市役所の都市建設課の私、佐久間と申しますが、山田さん御指摘の2点についてお答えさせていただきたいと思います。
 まず第1点目なのですけれども、地区住民の皆さんに会議の御案内ということなのですけれども、私ども組長さんを通して回覧を回してくださいということで、毎回、会議の都度、御案内申し上げております。そういったことで御理解いただければと思います。また、広報等でも御案内を差し上げております。
 それと2点目のホームレス対策の関係なのですけれども、実を言いますとホームレス問題というのは鴨川でも社会問題になっておりまして、つい先だって、鴨川警察署の主催によりまして関係機関を交えたホームレス対策会議というものを開いております。私、出席しておりませんので具体的な内容はお答えすることはできないのですけれども、そういったホームレス対策についても行政として動き始めているということで御理解をいただければと存じます。
○山田 今、回覧板が回っているというのは、そういう趣旨の回覧板は見ています。私が言っているのは、階段をつくるときにこういう階段でいいですかとか、そういうような地域住民に直接関連することについての回覧板は回っておりません。そういうことです。だから、きょう私は広報を見て来ました。そういうことです。
 それから、市の方で努力しているというのは知っています。だから、その努力が甘いとか何とかという批判をするつもりはありません。ただ、あの連中が余り態度がでか過ぎるので、もう少し何とかならないかなという、僕らは毎日のように散歩をしている仲間がすぐそこにもいますけれども、そういう歩いている連中はそう思っているから何とか、努力は認めていますので、誤解のないようにお願いします。
○宇多理事 大体お話はわかっていると思いますが、議長が後で総括されると思いますが、この会議は、ここにコンクリートの護岸をつくる、イエス・オア・ノーとやって、あとは何か知らないけれども、工事だけはさせてくれという、そういう会議ではない、そういうものではないようにしようというスタンスで始まったのですよね、これはもともと。だから、実際に非常にこの階段は滑って腰を打って危ないとか、じゃあステップの幅はこういうふうにしたらいいとか、スロープにしたらこういうのはどうかとか、あるいはその具体例はどこどこの写真を示すとこうなっているのだけれども、白渚ではこう、あっちではこう、だけれども、ここはまたもうちょっと別なものがあってもよかろうというのなら形状を描いてみて、そしてちょっとそこまで暇をとれるかどうかわからないけれども、ここに段ボールか木枠でつくってみて、実際に、「おじさん、ちょっと降りてみない」と言うぐらいのきめ細かさをやったらいいと思うのですよ、そういうふうに。あしたすぐにやるというわけではなくて、もう少しこういう方向でいいなと言ったら、やはりそこまでやってもう十分納得した上で物が進むようにした方がいいということで、私、個人的見解としては非常に重要な意見を言っていただいていると思います。
 それから、ホームレスの話とかあれは、本当を言うと日本は法治国家なので、法律に照らして正しいことと間違っていることはきちっと種別がついているはずなのですが、残念ながら全然そうなっていない。例えば、仮設の海の家をつくっている人たちは、あれは県の土木事務所に占用許可というのを出して、それで了解という書面を一枚いただかない限り物はつくれない。それから、終わった後は必ず元の原形に戻せという付帯条件がついたからあれをやっている。じゃあ、その区域を越えたあの松林の中はどうかというと、あれは森林法というのがあって、その権利の中で勝手にそこにビニールの青いシートを張ってやってしまうというのは許されないような法律になっているのだけれども、実際の法律の運用をやっている事務所の方はムニャムニャムニャとなって、個人の水洗便所みたいになってしまうという今のお話ね。そこのところは、アメリカだったら直ちに警察で撤去させますよね。日本はようやらないというか、そこのところがようできないというか、まあいい面もある、すぐけんか、バーンとやらないでしょう。けんかしてパーンと撃ってしまうという、そういうことはやらない、そういういい面ととてもまずい面がちょうど出ているのがあそこの状況だと。
 それなどもやはり、できるだけ幅広くそういうことはおかしいのだということをやはりいろいろな機会で言っていかないと全然進歩がないのではないかなと。やり得になってしまうでしょう。だから、皆さんもホームレスになりましょうという話でしょう。いよいよ食い物がなくなったらあそこに行けばいいという話になってしまう。それはおかしいのだけれども、今のところはなかなかパチッと決められないという状況だと思います。
○山田 話がいろいろあちこちに飛びましたが、いろいろありがとうございました。以上です。
○事務局(星上) どうぞ。
○島田 そこで今そういうあらかじめ何かモデルケースといいますか、そういったものを表示というか、提示するような機会がもしもあるならば、今度は先ほどちょっとお預けにした話題ですけれども、ウミガメの産卵の砂浜もどういうふうに確保するかというのも取り入れたら、とても夢と希望がわいてくる地域になるのではないでしょうか。
○清野アドバイザー きょう、ウミガメのことを御存じの方に来ていただいて非常にありがたいです。実は、ウミガメについての簡単な調査結果をきょうパワーポイントとスライドで用意しておりますので、後ほど一番最後にウミガメと海草の関係のお話をしようかと思ったのですけれども、そのときにぜひお話を聞かせてください。
 多分、今おっしゃられましたように夢のあるということは、ウミガメが産卵できるような砂浜が残っていれば本当に散歩するときも非常に気持ちがいい海岸だと思いますし、それが構造物として設計でどのぐらいの高さとか、そういうのも今後やっていけると思うのですけれども、鴨川の海岸全体をどうしたいかというイメージがこの会議を今までやってきた中で事務局も私もなかなかつかみ切れなかったところなので、ぜひ後半というか、あと1時間ぐらいですけれども、そういうお話ができたらと思います。
 それと、先ほど回覧板で回っているもので、市役所さんで努力してくださっていると思うのですけれども、もう少しこちらも工夫して、散歩している人が「議事次第」とかいうのだと階段の話をすると思ってくれないと思うので、今度はそういった浜に降りる海岸だとか、あと護岸の高さとか、こういうものをちょっと考えたいのでというような、もう少し細かい話題で、それを例えば2時間ずっと階段だけとか、そういうことを、それはあるのですよ。
 実際に和田の白渚もそうですし、その場合には会議だと女性の方はほとんど発言されないのですけれども、女性の方で海草を干したり浜を掃除したりという、浜で活動されている女性の方が来られていて、それで会議ではない現場で模型みたいなものを置いてみたらかなり具体的な御指摘をいただきまして、その結果、護岸の高さがもう少し調整が必要だということで、実物を並べてそこの浜で決めたという経緯があります。それから、東京湾の方の鋸南町の勝山漁港海岸でも、結局最初、大きい離岸堤というのを浜のど真ん中に入れる予定だったのですけれども、自治会の方で、自治会さん主催で自分たちの公民館で何回も県の方とか、そういうコンサルタントの人を呼んで、結構勉強会みたいなものをやった上で、それで自治会から提案を上げていただいたのですね。
 ですから幾つか、そういう自治会から逆に呼びかけていただくとかいろいろなやり方がありますので、具体的なアドバイスを市役所なり県の方にいただければ、次回からはそういう御連絡の方法なり、会議の開催をしたいと思います。
○事務局(星上) ここで、少し議論が長くなってきてあれなのですけれども、会場にお越しの森住さんの方から、先ほど階段で転倒して骨折した方がいらっしゃったというお話で、現場の写真をきょうお持ちいただきました。後で後ろの空中写真が張ってあるところに置いておきますので、休憩のときに皆さん、ごらんいただけるといいと思います。
○宇多理事 それは場所はどこですか。
○事務局(星上) 前原海岸です。サンライズさんの前にある階段らしいのですね。ただ、これについては確かに見るからにちょっと急な勾配で、砂がのっかっていると滑りやすくなっているようなところなのですが、ここは現状ではもうすでに対策を打っていただいたようで……。
○山田 一番下だけね。
○事務局(星上) 一番下の段をフラットにしたということをお伺いしました。参考までに後でごらんください。
○宇多理事 それはステップの幅が短くて急傾斜……。
○森住 そこは全体的にステップの幅が短い。
○山田 ステップの幅が30pぐらいしかない。
○森住 要するに、護岸に階段をくっつけたような。
○宇多理事 ひっつけたという感じなのですか。
○事務局(星上) 確かにこの階段はちょっと急ですね、狭いし。
○清野アドバイザー 一般的にはどうやって海の階段というのは設計しているのですかね、結構使いにくいものも多いのですけれども。
○事務局(星上) 海岸構造物の基準に階段の基準は実はないのですが、階段の基準というのはもともと建築基準法で定められているものを準用することが多いですので、本当はこういう急なものはつくらないのですけれども、護岸が急なのでやむを得ずこうなったのだとは思いますね、当時。
○清野アドバイザー そうすると、もうちょっと皆さんの意見を反映しやすいわけですね。
○森住 だから、砂が洗われて逆に……。
○事務局(星上) そうでしょうね。
○山田 その階段は護岸ができてから、10年か20年たってから、だれが言い出したかわかりませんけれども、この辺に階段が欲しいということで業者がつくったのだと思うのですけれども、常識的に、今の人の足の平均というのは大体25.5〜26、27ですね。中学生ぐらいになるともう27pぐらいというのは男の子の場合、もうスタンダードですね。それが30pぐらいしかないのですよ。そうすると、とても30pであの段差ですから、年寄りなんかオットットットと言って行ってしまうのですね。一番下だけちょっと泥縄式につくったのですけれども、大して効果はありませんね。
○森住 あそこの一番下で滑った。
○山田 そうそう、そうですね。一番下で滑った人がいるから、しょうがないからまあ申しわけ程度につくったのですけれども、近所の者にとっては非常に不評です。よく見てください。
○宇多理事 なるほど。これは私が見たところも本当に危険で、これ、隣に病院を建てた方がいいね、接骨院ではないけれども。(笑声)というか、これはやはりあわててつくったのだと思いますが、さりとて、余りにステップが長くて間延びした階段というのもイライラしますね。1m行って10p下がるような緩傾斜堤も。だから、ほどよい形というのがあるわけで、そのほどよいものをいろいろ探してきて、ちゃんとそういうふうにつくるというようなことを、たかが階段とやると失敗してしまうのではないでしょうか。
○森住 スロープがあって、スロープの下の階段ですよ。だから、できたところには砂があったから、一、二段だけあればいいと思うのです。
○山田 ですから、私がさっきちょっと言ったのは、人間工学的な面で、それから若い人と年寄りではどちらを優先するかと言ったら、やはり年寄りを優先した考え方で、それでもって宇多先生がさっきから言っていますが、実際にこういうような階段が理想的だという見地から考えてつくられたものではないからああいう階段ができてしまったと思うのですね。だから、そういう点でもしそういう階段をつくるのであれば、広報だとか、今までのような回覧板ではなくて、「ここにこういう階段をつくるから前原の隣組の何番組から何番組までは公民館へ集まれ」みたいな、そういうことでやってくださるとありがたいなというふうに思います。市役所の人たちが苦労しているということはわかります。
 まあ、そういうことなのですけれども、それからさっき誤解を生む発言だったかもしれませんが、あの松林は市役所の管理ではなくて土木事務所の管理だということは聞いていて、土木事務所の職員があの柵をつくって、「おまえなんかこっちへ来るな、この柵からこっちならいい」と言ったかどうかわかりませんが、ホームレスの連中は、「おれたちは土木からこれを借りているのだ」というようなことで言っているのですね。
○宇多理事 千葉県というのは無法者がよくいるのですね。
○山田 鴨川土木が一番甘いのだそうですよ。そういうことをホームレスが言っておりました。(笑声)それは今の話とはちょっとそれますけれども、一応、そういうことでね。
 以上です。済みません。
○清野アドバイザー 千葉県の海岸を見ていらっしゃるホームレスさんに一度ヒアリングして、(笑声)海岸管理でどこがどうかということで、とにかくやはりきょう具体的にお話をいただいて、こちらもやっと鴨川の海岸でどうしたら皆さんと話せるかというイメージがつかめてきたような気がしますので、ありがとうございました。
○事務局(星上) それでは、ちょっと話の趣旨が変わるわけではないのですが、今御指名のありました鴨川整備事務所さんの方から、少し別の視点でお話をさせていただきたいと思います。というのは、今回、短期的な対策ということ、緊急度が高いということで早速やったらどうかという御提案に基づいていろいろ検討した結果を御紹介しているわけですけれども、だからすぐ急いで結論を出すとか、そういうわけではないのですが、こういったタイプのものを海岸、つまり公共事業でやろうとすると国との関係でいろいろな制約条件、特にスケジュール上の制約を受けます。そのような事業の流れのことを鴨川整備事務所の方の人から御説明していただきます。
 前の方へお願いします。
○鴨川整備事務所(三浦) 今話題になりました鴨川整備事務所でございます。調整課の三浦と申します。
 これから今いろいろと御議論していただきました事業について、海岸構造物につきましては多額の費用がかかるということで、県単独の事業ではなかなか事業ができませんので、公共事業ということで、国に新たに申請をして、国の補助を得て事業を進めるということになります。
                〔 Power Point 〕
 今、スクリーンに出ていますけれども、東条海岸は現在、補助事業という事業はございません。これから新たに補助事業の申請を国の方にしていくことになるのですが、現海岸法では事業を進めるに当たって地域の方々の合意を求められていまして、この合意を得た上で事業を進める。今、事務局の方から越波対策について説明がございましたけれども、この越波対策について皆様方の御了解がいただければ早速事業化に向けて検討し、資料の作成に入ることができるわけでございます。
 この国の補助事業を得るには書類の提出、それから予算の要望について年間のスケジュールが厳しく定められておりまして、今、スクリーンで映されておりますけれども、今、7月、「海岸づくり会議」ということで載っていますけれども、それ以後、今年度は当然いろいろな費用対効果だとか概算の工事費等これから検討して作成していかなければいけないのですが、来年の4月に「19年度事業要望」という形で申請をしていくこととなります。19年の4月に事業採択になったとしますと、その後に今度は国の審査、それから財務省との予算折衝というようなことが来年の4月以降に進んでいくことになります。
 19年の4月になりますと採択された結果、今度はその予算に基づきまして設計、調査等が実施されることになります。その調査、設計に基づきましていろいろな内部調整等を進めていって、実際の工事着手という流れになっていきまして、今、7月以降、費用対効果等々ありまして、18年の4月、19年度要望ということに進んでいきまして、国とのいろいろなヒアリングだとか調整、それで19年度要望が、19年の3月に予算内示ということになりまして、19年度新規事業ということで認可されて新たに19年度で事業が初めて着手ということになっていきます。
 私たちも1日も早く事業の着手に向けて努力してまいりますので、皆様方にも御理解と御協力をいただきまして、何分にも事業が早くできますようにと、この席をかりまして改めてお願い申し上げて、簡単ではございますが、説明にかえさせていただきます。
○宇多理事 これをもう少し補足しますと、平成17年の7月というところに我々は今いるわけですけれども、あそこに「工法に関する基本合意」という言葉が書いてあるのですが、「基本合意」と書いているのはなぜ基本合意かというと、中身がまだ、どういう形にするのかとか、どこのところに階段をつくるとか、何も詳細は論じていないですね。だから、ここで「関する合意」ができたので、あとは工事をするだけというと、さっきの御意見のような話を全然チェックする場がなくなって進んでいってしまうのですよ。
 だから、これは事務局が考えているのは基本合意であって、そのとおりやるとは限らない。大体そういう方向だけれども、例えば階段の形状とか場所はもうちょっと皆さんと議論して決める時間が絶対に必要なので、それでだからその後、ことしの7月から来年の7月まで何も線がないでしょう。要するに、これは行政の歩みだけの話になっていて、そして予算がつくのが19年4月、19年4月に予算がついてもすぐに工事をやるわけではないということはさらに1年かかるわけです。だから、きょうで「イエス」と言って、「さあ、よいしょ」と言って、今度は本当に護岸ができるのは2年半後なのです。2年半もたつと大体皆さん忙しいから忘れてしまう。そうすると、突然、何か重機が入ってきて、「ああーっ」て言って、散歩している道が通行止めということになるのです。
 そういうふうになると、工事をする方はよくしようと思ってやっているのに、利用者は突然、ここには入ってはいけないというような塀が立つというと摩擦のもとなのです。そういうのをできる限り地元と工事をする方が仲良くやるというか、修正可能なようにしてやらないと、ここの基本合意になった後、途中で忘れ去られて、突如ブルドーザーが来るということになると摩擦のもとなので、そうならないような、さっき議長が言っていたように、区長さんと皆さんで海岸縁へ行って、でき具合をちょっと議論してみようとかいうような話が後々にないと、どこかで話がねじけると思うのです。そういう意味で、これは基本合意であって完全合意でも何でもないというのは、あの「基本合意」というのはそういう意味があるわけです。
 もっといいアイデアが出るとか、恐ろしいのは、この間にすごい台風が来て、当初予定よりもめちゃくちゃになってしまったということだってあり得ますね。だから、そういう海と対応しているときに何が起こるかわからないということ。例えば、津波が来るかもしれないでしょう。そういう問題に対して、できるだけ柔軟に合わせられるようにしながらも、ああいう予算要求書をつくるという意味であって、予算要求書をつくって国と掛け合い漫才というか、あれをやればすべて仕事が終わって、「はい、ブルドーザー」という、そういうものにとらえないでいただきたいというのがこの絵の、でも、普通はこういう説明をしないではないですか。合意するところまでで、あとはもう任せてくれという話なのだけれども、実はあの間の矢印の間にえらい作業とか何かやっているわけですよ。そういうことも含めた上で、なおかついいものをつくってもらわなければしょうがないのでということだと思うので、ちょっとくどくなりましたけれども、そういうことです。
○清野アドバイザー 事務局にお願いして、役所のカレンダーをまずつくって公開してもらったのが第一歩なのですが、今度、地元の方から見たカレンダーをこれに対応して、いつぐらいにどういう意見を言えばこういうものに反映されるのかというのを、両方のカレンダーをつくっていただいて、それでせっかく、今回いい御意見をいただいたので、タイミングを外さないようにお願いできたらと思います。
 それと、こういう話し合いをして、基本的に方向性はいいよと言った後に、いろいろと漢字でバーッと書いてあるのですけれども、その間、図面を引いて、その図面を、それも完全にこれで着工しますよという図面と、一応予算で大体こんな感じと決めるための図面と何段階か図面がありまして、そういうものもどの段階でどのレベルの図面が出て、どの段階で言ってくれればきちんと反映させられますよとか、そこもできたらつくっていただいて、市役所さんを通じて何らかの形で配付していただければと思います。
 それから、市民参加のこういう会議のときに、割といろいろな反対運動から市民も参加したいとか意見を言いたいということで始まることが多いのですが、いろいろ基本合意をしたところまでで役所も市民側も結構疲れてしまって、その後がまだまだ実物ができるまでが何年もあるのですが、そこも、役所は仕事になってくるので淡々とやっていますけれども、住民の方も飽きずに、忘れずに意見をしつこく言っていただくというか、ついてきていただけるようにお願いしたいと思います。何となくバーッと盛り上がったときに基本合意して、その後の淡々とした時期に忘れられてしまうこととかって、「これはどうしましょうか」とかまじめに聞きに行くと、「大体あんなのでいいんじゃないの」とか言われてしまうと、せっかく一生懸命やってもガックリきちゃうので、本当に散歩をされている方とか釣りをされている方がどういう海の状況かとか、どういうふうにしたらいいかということをぜひ一緒にチームになっていただいて、きょうから特に集中的に2年間、一緒に考えていただければなというふうに思っています。
○中台 中台です。
 整備事務所の方から事業の流れをお聞きしたので、ちょっとどうしても聞きたいことがあるのですが、今回、天津小湊町が鴨川市と合併いたしまして、旧天津小湊町の海岸も鴨川市の海岸ということになりました。それで、この会議は漁港から東条海岸のことを話し合うという会議だということはよくわかっているのでちょっと横道にそれるのですが、今、私の手元に「千葉東沿岸海岸保全基本計画」という資料があるのですが、今度、鴨川市になりました旧天津の二夕間海岸と城崎海岸、そして小湊の小湊海岸に人工リーフの計画があるのですけれども、この計画は今どの程度進行しているのかという、その進捗状況をぜひお聞きしたいと思います。
 また、その計画が具体的になったらばこういう会議をきちんと開いていただけるのかということ。と言いますのも、この二夕間海岸にもここでサーフィンをしているサーファーがたくさんおりまして、地元のサーファー、遠くから通ってくるサーファーもおりますので、この基本計画の図面が発表されてからいきなり工事が始まって、自分たちのサーフポイントがつぶれてしまうのではないのかととても心配している人たちが大勢いますので、ちょっと横道にそれますが、そこのところを整備事務所の方にぜひ御説明していただきたいのですが、よろしくお願いします。
○事務局(星上) 県の方、いかがですか。
○鴨川整備事務所(須田) 鴨川整備事務所の須田と申します。よろしくお願いします。
 今の御質問なのですが、二夕間海岸と神明海岸と小湊海岸というお話だったのですが、外房沿岸基本計画には超長期をにらんで図柄は入れてございますが、その超長期を今すぐ実施するという計画の進展にはなってございません。したがいまして、海岸に物をつくる、海に物をつくるとなりますと、その基本計画の中にうたわれているとおり、このような地域会議を開きまして、それから皆さんの合意を得て着手する、そのようになっておりますので、その「千葉東沿岸海岸保全基本計画」は超長期と考えていただいて、まだ残念ながら進展していないということで御理解願いたいと思います。
○中台 わかりました。
○事務局(星上) ありがとうございます。
 2つ目のセッションが非常に長引いておりますが、議論が今非常に活発に行われているのでこのまま若干続けさせていただいてよろしいでしょうか。お手洗いとか行きたい方は途中で中座していただいても構いません。
                〔 Power Point 〕
 今、先生方からもいろいろお話がありましたけれども、事務局でつくりましたこの表で書いている基本合意というのは何を目指しているかといいますと、先ほどスクリーンでお見せしましたこういう越波対策の案、特に歩道の前で嵩上げをするということについていいか悪いかというところです。単純に国の申請にこれから資料を作成したりしていく作業が県の方であるのですけれども、そのときに、まず事業申請の段階で必要なのはこういう標準断面図と言いまして、断面をこういうふうに変えますよという計画ですね、断面計画。それと、範囲はこういう範囲でやりますよという、結構大ざっぱな図面をつくります。あと階段工につきましても適宜設けます。例えば、200mに1ヵ所そういう間口を設けまして、その構造については今後若干検討しますというようなことで申請に至るのだと思いますけれども、それでよろしいですね。
 ですので、できるだけ早くこの越波対策をもしやるということであれば、この断面で越波対策をやっていいか悪いかということについて、県のお立場ではきょうあたりに大体そういうことでいいかということを皆さんに大筋合意をいただけないか。そうすれば、早速事業申請の書類作成なりに入って、一番早いスケジュールで越波対策ができるようにしたい。さっきの表に細かくは書いていないのですけれども、結局、これで見ますとあと約2ヵ年ぐらいの間が事業認可まであるわけですね。まあ、1年半ぐらい。その間に先ほどの御提案のように、例えば階段についてもっとこうしたらいいのではないかとか、どんな断面になるのだというような具体的な議論を並行で進めることは十分可能だと思うのです。最終的に工事の図面、要はこの図面で工事をやりますよという図面の作成はさっき県の方から御説明がありました19年の予算の事業認可が下りた後にやっと設計がスタートしますので、そのときに初めてそういう具体的な図面をつくり始めるのですね。ですから、それまでの間には少し猶予がありますから、その間、いろいろな議論ができるというふうに考えております。
○足名 足名ですけれども、越波対策ということなので、大体場所のイメージはできるのですが、範囲はどこからどこまでということを聞きたいのです。それとスロープと階段ですが、私もいろいろな浜へ行って海に降りたりしているのですけれども、スロープの場合、砂がたまって滑りやすいと思うので、できたらやはり先ほどから言われているような人間工学に合ったような幅の階段が私はいいと思いますけれども。
○事務局(星上) ありがとうございます。
                〔 Power Point 〕
 そうですね、さっきの図面を幾つか戻しますが、まだ確定ではございませんが、実際に過去に浸水被害を受けた範囲というのがここにあります。ロイヤルホテルさんから待崎川までが一番集中していまして、待崎川の隣の例のさっき陥没していました駐車場のところですね。未来高校の前。あそこは浸水被害といっても駐車場の上には水が乗ったらしいのですけれども、未来高校の前までは到達していないというふうに聞いていますが、それは正しいですか。御存じの方はいらっしゃいますか。
 市の方、どうぞ。
○鴨川市(滝口) 一番満潮のちょっと後ぐらい、8時ごろ、駐車場の生け垣みたいな間からチョコチョコッとは来ていたという話は聞きました。
 以上です。
○事務局(星上) ありがとうございます。
 あそこはよく現場をごらんになった方はおわかりだと思うのですが、駐車場の後ろにもう一つ壁がありますね、道路との間に。恐らくあそこでかなりの部分を防いでいるのだと思いますが、今御提案している断面は実は主にシーワールドとかホテルの前の緩い護岸のところの改良のパターンになります。ですから、基本的にはそこの部分の改良の方法はああだということですが、越波の対策として必要な範囲はどこかというのはこれから、今の細かい局所的な話とか、じゃあ事務所から待崎川の間はどうするのだとかいうのは断面の形も地形のタイプも違いますので、越波の遡上の仕方とか越波量も違いますから、若干これから検討しなければいけない部分はあるかもしれません。ですので、今言えるのは大ざっぱに川からロイヤルホテルまでの間がやって最大の範囲かなというふうに思います。
○宇多理事 一番いい消波効果は砂浜ですから、むやみやたらに護岸をガンガンつくるとかという、そういう精神構造は持たない方がよろしい。だから、むだなところに、あっちのサーファーのいっぱい入ってきている駐車場がありますね、坂下というのかな。あっちの方までガンガン、ガンガンやるとかいうのは本末転倒ですね。我々は利便施設、まあ昔のことを言えば利便施設が出てきたからいけないのだという話はもちろんあるのだけれども、それは置いておいて、現に被害を被っているところはちゃんと守るべき理由もあるので、その範囲を特定した。彼が言うように、区切りがいいから待崎川までやってしまおうとかという、そういうセンスはございませんので、ちゃんと地先ごとにどの程度危ないかというのを出して、それで決めていく。だから、概算というのはそういう意味であって、一気にやっちゃえというのではなくて、ちゃんと理由がたつように整理をして、その結果は当然オープンにしますので、何でというのはどこでも自由に聞いてもらえるような、あるいは事務局がお答えを全部準備するような理由があるところについて実際につくっていくというふうになると思います。その辺は誤解なきように、工事がしたいためにやるわけではなくて、越波をとめたいためにそこをやるというスタンスだと思います。
○事務局(星上) ありがとうございました。
 説明不足でしたけれども、そういうことです。ですので、最大あそこまでですけれども、越波の範囲をもちろん特定した上で事業申請をするといったことになります。何度も申し上げますが、階段の構造ですとかスロープの構造とか場所ですね。どこにつければいいかというのは、今後議論する時間がまだちょっとあるということであります。
 今、御紹介したような次第なのですけれども、これについていかがでしょうか。
○児安 済みません、児安と申します。
                〔 Power Point 〕
 ちょうどいまいい絵が出ていますので、その辺でちょっと要望になるのかもしれませんです。特にロイヤルホテルさんの前付近、それよりもちょっと浜荻寄りに亀田総合病院がございますけれども、そちらの患者さん等、結構今でも遊歩道、散歩でこの管理用道路を使われているという話をよく聞いております。その中で、パラペットが1.1mの高さまで上がったときに、車いすの方だとほとんどもう海岸が見えないよという状況になってしまうのではないか。その中で、前面の1.8mの壁の下のフラットな部分、あそこの部分が例えば2m以上確保ができるのであれば、当然散歩される方というのは荒天時、荒れているときにはほとんど来られないと思いますので、逆に海側のフラットな部分に誘導するような考えというのですか、そういうこともあってもいいのかなと。その辺でちょっと要望といいますか、そんなのは無理だよという話があるのかもしれませんが、その辺についてちょっとお聞きできればと思います。
○宇多理事 それは全然僕は気がつかなかったので、すごく大事な点ですね。この面、事務局、何mあるのですか。ここから、今の質問はここが……。
○事務局(星上) 2mです。
○宇多理事 2mで、これは水平面ではなくて、やや海側に傾いています。3%ぐらいかな。
○事務局(星上) 2%です。
○宇多理事 2%。つまり、水が戻るように少し傾いている。ここの上を車いすみたいなものが真っすぐは走れないと思うのですよ。一番ヤバイのは、ここのところに何か転落防止というか、柵があればいいのだけれども、こういうところに、例えばポールみたいなステンのものを立てると波の力でパキンと折れるのですよ。だから、そういう点からすると、せっかくの提案なのだけれども、ここでやるというのはなかなか辛いなという感じ、むしろ後ろ側、ああ後ろ側の盛土もできないのか。1m10というのは後ろの面が上がったらこれも全体に上がらなければいけないの。
○事務局(星上) そうです。
○宇多理事 その差が、ここからここまでが1m10、さっきの説明で、なければならないのでしたっけ。
○事務局(星上) いや、海岸法には書いていないのです。
○宇多理事 だから、そこのところをどういうふうにしたらいいのだろうな。僕自身、答えが今すぐ言えない。答えというか、言っている意味はすごく大事で、多分、亀田病院が繁盛するのもあの海岸付近の潮風に吹かれるというのがあるかないか知らないけれども、だけれども、きっとあると思うのですね。そういうものをパチンと切ってしまうことはちょっと考えなければいけないですね。すぐに僕は答えられないな。
○清野アドバイザー それはすごい大事で、もともとの鴨川市民の方もそうですし、あとわざわざ老後に鴨川に家を求めて、本当に海辺で散歩をしたい、老後を送りたいという理由で来られた方もいるので、そこは今、後ろの人が立っているところを嵩上げすることが、海岸防護上、そこを少しでも嵩上げしてしまうと機能を果たさないとかいうとだめだと思うのですけれども、そうでなければ少し考えていただいてもいいのかなと思います。
 それから、私も足の骨を折ったときにしばらく車いすであれしたことがあるのですけれども、横に高い壁があって、それに沿って2mの範囲で行くというのは結構難しいという感じと、それから砂が少し乗っていて、少し勾配があると、やはり元気なときと車いすに乗っているときとでは怖さというのが違うので、そこもさっき人間工学とおっしゃったのですけれども、少しそういう部分も検討していただければと思います。
 今の御指摘はすごく大事で、今、バリアフリービーチとかいうことで、とりあえずそういうスロープをやたらにと言うと悪いけれども、砂浜につけて、それでバリアフリーとか言っているビーチがふえているのですけれども、実際に車いすに乗られている方からすると、「そういうのではなくて」と言われているのですね。だけれども、車いすの方とか、散歩をしたい高齢の方が「そういうのではなくて」と言うのが、どこがどうなのかがなかなかわからないので、ぜひそこもすごく大事な課題だと思いますので、技術検討と制度検討もお願いいたします。
○宇多理事 波がガンガン来るところはこれじゃないともたないというのはさっきからしつこく説明しているのでおわかりですね。こういう可能性はないですか。裏側を盛土してしまう。要するに、管理用通路の高さを上げてしまうのです。だけれども、亀田病院の前は前浜が十分広いので波は来ないのですよ。波が来ないということは、この上に一定の間隔で転落防止のステンのポールを立てれば、だって波が来ないのだから、こっち側からの転落防止だけ図るとすれば、ところどころガードレールではないけれども、そういうものを立てるきめ細かな対応は不可能ではないと思うのですが、余計なことをするよなという話はあるかもしれないけれども、だけれども、今の議長が言っているような鴨川らしさというものの大事な要素の1つだとすると、そういうことの技術的な可能性もあるのではないかしらね。
○清野アドバイザー 今回検討しているここからここまで工事しますという範囲で、どのぐらい波の上がり方がとか、強さが違うかというのもどうですか、今、宇多さんが御指摘されたみたいなところは。
○宇多理事 亀田病院というのはどこですか、忘れてしまった。
○事務局(星上) まず、亀田病院は今、越波対策をしようとしている範囲に入っていないので、ヘリポートのところですからね。あそこはそのまま越波してしまう。ここはだから一番端っこなのですね、ロイヤルホテルなので。この上に物を立ててぶっ飛ばされるかというと、さっきのグラフィックのように、そんなに波圧がバッとかかる、力がかかるところではないのですが、そういう事例がないというので、それがいいか悪いかというのが1つと、あと構造的にもつかという技術検討ですね。あと後ろをそこまで上げたときには排水側溝が深くなるので、ちょっと排水の面の問題といろいろなことを考えなければいけないので、これは宿題にさせてください。
 多分、今の話はこの、さっきちょっと基本合意と申し上げましたけれども、こういうL型のものをつくった上で後でも対処できる、議論できる話かなというように思うのですが、いかがですか。
○清野アドバイザー そうですね。ぜひその点と、あとちょっとそこのスライドがせっかく出ているので、同じ、ここは横方向、沿岸方向でも草が生えているところと生えていないところでちょっとずつ微妙に波の上がり方が違うとか、そういうところがあればまた事務所さんの方でも調査されると思いますけれども、どこはもうちょっと緩めてもいいのではないかとか、草の生え方を参考に何か考えられることというのはありますか、海岸の設計について。
○事務局(星上) これは基本的な検討はすでにもうある程度したのですが、ロイヤルホテルさんから今の鴨川整備事務所さんの前の道路、通路がありますね。あそこまでは浜幅もほとんど変わりません。植生は生えているのですけれども、結局波は越流しているのでタイプはほとんど一緒になると思います。ですから、その範囲は恐らくこれがずっと沿岸方向に一様にできる。
○宇多理事 ロイヤルホテルより北は。
○事務局(星上) ロイヤルホテルさんより北は越波してもいいという確約がとれれば対応はせずにあのまま、例えば。あと逆に鴨川整備事務所さんより南側については浜幅が広いのと、今、後ろに若干直立護岸がありますから、その中で対応できるか、または今の直立護岸の上にちょっと嵩上げするかというような程度になるのだと思うのです。こういう大規模なことではなくてですね。今、ざっとそんなものだと思います。
○清野アドバイザー それはすごく大事なので、ぜひ散歩されている方の情報とかは本当にちょっとずつ海岸の設計を調整するときの鍵になりますので、情報提供をお願いいたします。
 今までの海岸の設計というのは、1つの海岸はもうほとんどこの断面を決めるとバーッと同じ高さというか、こういう構造でバーッと何百mとかやるのが普通だったのですけれども、丁寧に波の上がり方とかを見て少しずつ小割にして調整していいよという事例ができたのが和田町の白渚ですので、県としても一度そういうことをやったことがあるので、きちんともうちょっと細かく見るような設計の対応はできるのではないかと思います。
○事務局(星上) それでは、時間も相当押してはいるのですけれども、もう一つ土砂活用の話題もありますので、ここで事務局の判断で、先ほどの県から御紹介いただきました事業に向けてのスケジュール上の問題で、本日、可能であれば前面で越波対策をするということについて合意がいただけるかどうか、この場でちょっと御判断をいただければと思うのですが、いかがでしょうか……。
○宇多理事 特段に異議なしですか。ガンガン意見を言うほどではないけれども、まあまあという感じでいいでしょうか。
○事務局(星上) 特に強い異議があれば、今おっしゃっていただけると助かります。よろしいでしょうか……。
 では、この場では大筋合意をいただいたということで理解させていただきたいと思います。
 県の方には早速この事業化に向けて努力していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 では、ちょっと時間も押しているのですが、次のテーマも大事なので、5分間だけ休憩させていただきます。それでまたお茶もありますので、ぜひお飲みください。今、53分ですので、58分までお願いします。
                 〔暫時休憩〕
○事務局(星上) それでは、再開させていただきます。
 それでは、次のテーマで土砂活用ということについて、若干事務局の方から御説明します。
                〔 Power Point 〕
 先ほども御紹介しましたけれども、前回、上田さんの方から御提案いただいた中で、直ちに実行できることの1つとして砂を投入できないかということがありまして、御意見の中にも、鴨川の土砂をうまく使ったらどうなのだということがございまして、鴨川整備事務所さんの方でも若干現場の状況を写真で撮影していただきましたし、今朝ほど先生方と我々も歩いてきました。
                〔 Power Point 〕
 今の海岸の現状と課題は何度も言うようですけれども、前原海岸については漁港に隣接しているところは浜幅が広くて逆に水面が狭い。その部分、過去の意見をひもときますと水面をもうちょっと広くできないのかというような意見もございました。それに対しまして離岸堤の開口部、離岸堤がちょうど口をあけている部分については浜幅が現状で狭くて、先ほど森住さんからお借りした写真の場所のように、もう護岸に波が当たっているような場所もございます。ここも浜幅を広くできないかというような要望がありました。同じく未来高校の前の駐車場も今、浜崖になっていますので、そこを広くしたり、越波を低減できないかというような話がありました。東条海岸につきましては全体的に浜幅を広くしたいというようなお話がもちろんあったわけですけれども、越波対策については別途先ほど御紹介したようなことで対策を陸上で打っていく。
                〔 Power Point 〕
 去年から待崎川のちょうど北側の左側の海浜、かつて植生がバーッと広く生えていたところですけれども、かなりえぐれている。これは去年の8月の写真ですけれども、浜崖ができている。一番進んだときは多分こんなような状態で、上の方に段になっているのが、その後どうも打ち上げられたり、飛砂でたまった砂だと。その下に平たく黒く写っているところが、これは聞きますと昭和50年代ぐらいまではこの辺に平たいところがあって、そんなに高い地盤ではないのですが、若干平らに整地をして、そこで野球をやっていたというようなことを聞いています。ですので、もともとこんなに浜の高さがなかったところらしいです。というところで、基盤がちょっと残っていて、浜崖のときにそれが少し露出しているという状態です。
                〔 Power Point 〕
 それと、これは去年の写真なので先ほどの写真の方がインパクトはありましたけれども、御承知のとおりガッツリえぐられている。
                〔 Power Point 〕
 前原のちょうど離岸堤の開口部は、これは潮が引いたときでもこのぐらいなのですが、潮が上がると完全に護岸に水が当たっている。
                〔 Power Point 〕
 前回、前々回までにいろいろ侵食を何とか解消するために対策を打てないかという中で、特に例えば前原海岸では離岸堤を撤去したらどうなのだというような案が出ていたと思うのですが、これはこうやって撤去をすると砂浜の形がこんなような形に変形します。今、計算はしていませんけれども、計算すればこうなるということで、ほとんどが前原漁港の方に土砂が引っ張られてしまって、以前にお見せした昭和57年ぐらいに前原海岸で起きた越波被害のような状態がまた再現してしまうのかなという懸念が残されます。
                〔 Power Point 〕
 じゃあ、全体を養浜したらどうなのだということになりますと、この赤い点線のように、結局砂を入れた分、すべてこのポケットビーチ内の沿岸方向に広く薄く広がりますので、入れた土砂の分だけ前出しするということなのですけれども、幅4qぐらいの海岸でございますから、相当なボリュームを入れなければいけないというのは容易に想像がつく。そのときに、同時にちょっと前原漁港のところを見ていただくとわかりますが、浜がさらに前に出ますので、今度は漁港の航路が埋まったり出入りがしにくくなったりという別な弊害を生んでしまう可能性ももちろんあります。この辺は気をつけなければいけないところではあります。
                〔 Power Point 〕
 では、今たまっている土砂を真ん中へ持っていったらどうなのだということも意見として出ました。これは「サンドリサイクル」というのですけれども、あそこで掘った土砂を真ん中に入れますと、恐らく次の年にはこうやって消えてなくなるということです。要するに、こういう地形になりたいように今の海岸の現状がなってしまっているということなので、立て板の水を流すようなものですから、これを繰り返すのかというような話もあります。
                〔 Power Point 〕
 そこで、これは事務局からの当面の方策の提案でございます。長期的なことは先ほど会場の方がいろいろ亀のお話とかもされましたし、やはり回復していくのだというようなビジョンを持ってもいいと思うのですが、当面、今のような現状でどうなのかというと、例えば離岸堤とか防波堤のような海岸、沖合にある施設をいろいろ形を変更したりすると新たにまた海岸が変形してしまうのは明白であります。これをやる場合には当然いろいろな利害得失が出るわけで、これは非常に長期的な問題として慎重な議論が必要になります。
 これに対して、砂浜幅を単純に回復できないのかという養浜の可能性については、新たな利害得失は生じにくいと思います。というのは、先ほどの絵のように単純に考えれば入れた分だけ平行に前へ出ていくということなのですけれども、ではこの辺が実際にできるのかどうか、例えば加茂川の土砂を使ってできるのかというところを、若干、「土砂活用について」ということで御紹介したいと思います。
                〔 Power Point 〕
 先ほど冒頭の写真でも御紹介したところでありますが、これは鴨川漁港のマリンブリッジから上流側を向いて撮った写真ですけれども、こういう状態で砂州が若干ついている。
                〔 Power Point 〕
 もうちょっと上流から反対側、河口の方を見ますとこんなような状態で、ちょっと干潟のような砂も入っているところであります。
                〔 Power Point 〕
 これはそこから上流側を見たところです。ちょっと砂利っぽいものが上の方に見えると思うのですけれども。今、加茂川橋を望んで写しています。
                〔 Power Point 〕
 実際にどんなものかというのはこれを見ていただくと、細かいものも入っていますけれども、結構大きな粒径のものも含まれているといったところです。
                〔 Power Point 〕
 こちらも今の鴨川の中学校の前ですけれども、このような形で結構大き目のものも入っていますし、細かいものはちょっとザラザラしたような感じになっています。
                〔 Power Point 〕
 総じて砂州が非常に大きいかというと、面としては大きいと思うのですけれども、高さはそんなにないのですね、それぞれ。
                〔 Power Point 〕
 これは権現橋の上から下流をのぞいた状態ですけれども、川が蛇行しています。この両脇に砂州がついている。
                〔 Power Point 〕
 ここは少し細かいものも入って、やはり粗いものも含まれているというような状態。
                〔 Power Point 〕
 もう少し上流も同じような土質のものが護岸の法先にずっとへばりついている。
                〔 Power Point 〕
 これはさらにJRの橋を今望んだ状態ですけれども、この写真でもわかりますようにかなり大きなゴロゴロとしたものも混じっています。上流に行くほどちょっと粗目になっている。
                〔 Power Point 〕
 これはもうべイシアの隣のあたりの砂州の状態、この上流に堰があるのですけれども、ここも少したまっている部分はああいう粗い砂がこういうふうにあるといったようなことです。
                〔 Power Point 〕
 堰に一番近いところはここのところを見てわかるとおり、かなりゴロゴロとしたものがある。
                〔 Power Point 〕
 この土砂の現状について、後で補足いただけると思うのですが、状況を整理しますと、今の海岸の砂に比べると粒径が比較的粗いものが多い。それから、鴨川整備事務所さんの話ですと、計画河床まで掘削することは一応計画論上可能だということなのですが、どのぐらい掘れるかは未調査なのでわかりませんということです。この辺も後で先生の方からちょっとフォローがあると思います。
 こういうことを踏まえますと、養浜の可能性はどうなのだということですね。実際に今のような粗いものを汀線、つまり海岸線に投入しますと、投入した場所の粒度は当然粗くなりますね、粗いものを入れるわけですから。もう一つ考えられますのは、入れた場所から細かいものがさらに抜けやすくなるという状態を生む可能性があります。そうすると、勾配がきつくなったりするわけですね。
 それともう一つ、さっきサンドリサイクルの絵で今の離岸堤の後ろの土砂を入れられないかということがありました。例えば、「安定域」と書いてありますが、これは、要するにそこは掘っても波が作用しないところと考えてください。そういうところの砂は掘っても波によって変形しませんから、海浜の変形には至らないと考えられるのですね。ですから、仮に後ろの方をちょっと掘って、そこに例えば加茂川の土砂を持っていって入れ替えるとか、「置換」というのは入れ替えるということですね。そういうことは可能で、その場合は安定するのですけれども、今現に植生が生えているところをちょっといじることになりますので、植生への影響はもちろんあるということですね。この辺は本当にやるなら技術的な検討が必要になります。
                〔 Power Point 〕
 今、置換をもしやるならばということで、「たら、れば」でこういった絵をつくってみたのですけれども、例えばあの辺の範囲、これは幅にして100m掛ける200mぐらいのところが多分取ってもいいかなと思われるところですが、この範囲であと深さがどれぐらい掘れるかという問題はありますけれども、この砂を置換して利用するといってもせいぜい多分1万立米とか2万立米という、まあオーダーがよくわからないと思うのですけれども、海岸線にばらまいたらほとんど汀線の形は変化しないと思います。海にひしゃくで水をまくぐらいの小さい量だというふうに思います。
 事務局の説明は以上ですが、ちょっと宇多先生の方から。
○宇多理事 この絵で加茂川が蛇行して海に入ってきていまして、その一番下流のところの漁港に渡る橋がありますね。川の供給土砂が多い場合には必ずあそこのところに河口砂州ができるのです、元気な川は。それが今朝見たところでは、あそこはもちろん砂州はないし、その上流側の砂州も何というのかな、さっきちょっと説明したように、非常に石と石の間に細粒分が入ってしまって動いた痕跡がないのです。だから、それからすると加茂川というのは上流側から土砂がほとんど入っていない川になってしまっている。その原因は砂防ダムとかいろいろあると思うのだけれども、これのせいでという特定はできませんが、結果的には今ある川はもう余り土砂は運んでいないなという定性的な観察結果でした。
 それから、事務局が説明したように、今、離岸堤と防波堤の裏側にたまっている砂は非常に細かい砂で、一方、シーワールドの前はザラザラの礫質を随分含むものになっているわけです。これはすごく単純な原理があって、波の静かなところには細かいものがたまる。波の粗いところは粗くなるというすごく原理的なことがあって、粗いところは勾配が急になる。細かいところは勾配が緩やかだ。ちなみに、「離岸堤」と書いた漁港寄りの200mの長さの裏側のところを、汀線を歩いていただくとほとんど細かいものだけで、石の粒みたいなものは全くなくて、しかもあそこは普通の乗用車でも走れるぐらい勾配が緩く、なおかつ固まっていますね。それと同じことを反転して、シーワールドの前へ行ってもらうと足がザブッと埋まるようで、なおかつザラザラザラという石でできている。そういうふうになってしまっているので、だから土砂を持ってきてボーンと入れた場合、粗い砂はシーワールドの前に多少留まることができるけれども、細かい砂は脱兎のごとく駆け出してここへたまるのですよ。だから、そういう状況があるので、一般論としては養浜の価値というのはもちろん認められるし、そういう方向がいいのだけれども、なかなかその実施が難しいなという印象です。
 それで、もう一個だけ追加したいのは、今回、今見ている左側の離岸堤の付け根の駐車場がもとあったところがザックリえぐられたし、待崎川の河口の左側も大きくえぐられていますが、あのえぐられた砂は露と消えたわけではありません。あの砂の大部分は亀田病院の方へ移動しています。それからもう一個、待崎川の河口の中へプッシュされてたまっている。一部分はビョーンと行って越波して陸地にはね上げられています。したがって、これは養浜をするということ以前に、その砂はあらゆる砂を全部この海に戻してもらいたいのです。待崎川に入ってしまった土砂は河川管理者のものだなどと言ってどこかに持っていってしまうということをやるとこの砂が減ってしまうので、あれは必ず海に戻してもらいたい。
 それから、これはすでに土木事務所の方でおやりになっているけれども、打ち上がってしまった砂を、きょう4人の人が一生懸命海に戻したりしていた。浜、護岸より海側に戻しておられたけれども、あれが一番正しい方法で、海のものは海のものなので、陸のものにしないというルールでぜひお願いしたい。
 亀田病院側に移動した砂というのは、これから冬になったときにやや東寄りの波が入ってくると少しずつ戻ってきますので、それはごく自然の作用としてお任せした方がいい。だから、浸食されて浜崖ができるとうろたえますけれども、それがどんどん続いて家までひっくり返るということは大抵起こらないで、今度は逆風になると徐々に崖の前に砂が戻ってくるという、そういう変遷を遂げるので、養浜をするということの前に、まずここにあるものはここのものなので、ほかに持ち出さないというルールを確実に確立していただきたい。漁港の入り口に今はたまっていませんが、あるいは河口側に過剰な土砂はたまっていませんが、もしたまった暁にはやはり鴨川の海にもう一回戻していただきたいという、そういう基本的なルールを設立してもらうのがまず第一義的に重要ではないかと私は思います。
 以上です。
○事務局(星上) ありがとうございます。
 今のような状況をちょっと御理解いただいた上で、提案とかアイデアとかも含めて何か御意見があればぜひお願いしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○清野アドバイザー 加茂川が川としては砂をたくさん流さなくなっているのではないかというお話がありました。そのときに、いつからそうなってしまったのかという調査法はなかなかなかったり、今さら調査をするのは難しいことが多いので、よく川に淡水シジミがいつまでいたかとか、石の間に砂がどういうふうに入っていたかとか、主に子供のときに遊んでいたときにそういう生き物のことを覚えている方に聞いたりすることがあります。ですから、直接の土砂量とかそういう数字ではないのですけれども、川の状態も含めて情報がありましたら、いついつまでは加茂川は結構元気だったけれども、徐々に力がなくなってしまったとか、その辺もまた市役所か県の方に寄せていただけたらと思います。
 土砂管理というか、そういう海も含めた川と海の連携した話としてはこういうような検討をしてみたのですが、御提案いただいた上田さんの方からもし何かありましたら、一応こういう調査結果ということで、速報みたいなところはお出ししてみたのですけれども。
○上田 ものすごくよくわかりました。きょう宇多さんと一緒に見たときには一番海岸側の橋のところにはなかったのですけれども、少し前の土木事務所さんの撮られた写真にはあったりとか、そのときによってかなり変わるのでというか、それを取ったらどうなるとかという専門的なことがなかなかよくわからないので、そのあたりは専門家の人にいろいろ意見を聞きたいですし、あとだから河口というか、マリーナができることによって河口というものに対して入ってくる波のエネルギーとかが河口の、この場合だったら右側の住宅とかにもやはり影響をすることもあるので、なかなか複雑だと思いますね。
○事務局(星上) ありがとうございます。
○宇多理事 ちょっと補足なのですが、加茂川のところ、ここにこんな形で人工構造物ができたわけですけれども、あれをつくったら河口には土砂がむしろたまりやすくなるはずなので、だって波が当たっていたのが当たらなくなるわけですから、それにもかかわらずあそこに何もない、水辺しかないというのはこっちから供給される土砂が本当に少ない。だって、両側を囲ってしまうわけだから、流れてきたものでたまりやすいものはうんとたまってしかるべきなのだけれども、たまっていないですね。むしろ右側のカーブをしているあたりに波がストーンと当たっていて越波しているということは、川底が浅くない、つまり深いままということなので、それも間接的な証拠としてやはり川は元気がないなという感じかな。厄介な話なのだけれども、川が昔どおり土砂を出してくれればもうちょっとよかったかなと思うのですけれどもね。
○事務局(星上) ありがとうございます。
 もう少し補足を兼ねて事務局からの提案もあるのでお話をさせていただきます。
 今朝現地を歩いていたら、漁港がありますけれども、今、実はここはそんなに浅くないのですが、ここのところを例えば掘ったらどうかというお話があると、県の方に聞きますと、ここのところの住宅のところに波が真っすぐ入って、ここで越波被害が起きるような状況が今、まあ浸水被害というのではないのですが、しぶきで家が傷んだりということがかなり起きているということを聞きました。ですので、ここを深く掘ると波がさらに入りやすくなるというのも事実だと思います。
 それともう一つ市役所の方に聞きますと、この上流にありました先ほどの砂州については野鳥が飛来して、結構毎年来ているということなのですね。きょう見ましたらシラサギとかもいましたので当然それを取ることはその野鳥にも影響を与えるということを懸念されている方もいらっしゃるというふうに市役所の方にも聞きました。
 以上、いろいろなことを総合しますと、これは事務局の提案としては、当面、今の状況で加茂川の土を動かす、例えば掘って動かすとかいうことはさらにいろいろな検討も必要なのではないかと思いますし、やったところの効果についても、海浜の浜幅をふやすという意味で余り期待ができにくい。そういう意味で、これはもう少し長期的に様子を見ながら議論を続けていくような話題なのかなというふうに思います。
 ですので、当面、皆さんでまさに川を今後監視していただいて、もう少し状況が変わってくればまた議論の対象にするようなことで御提案したいと思うのですが、いかがでしょうか……。
 特に異論がなければ、これはまた今後もいろいろな会議がある場とか、あと市役所さんとか県の方にも窓口がございますので、いろいろ意見を言っていただければと思います。
 では、土砂活用については一応ここで終わらせていただきまして、このまま引き続き、今回、清野先生の方から海岸の情報の話題提供ということで「ウミガメと亀塚」というようなことの情報をいただきますので、よろしくお願いします。
                〔 Power Point 〕
○清野アドバイザー ウミガメの話題を出してくださった方が御都合で帰られてしまったので、また直接お話をすることになりました。
 今回、ウミガメのことで情報提供がこちらからもありまして、また皆さんからもぜひお寄せください。
                〔 Power Point 〕
 ウミガメの前に海草の話で恐縮なのですが、この鴨川の海岸づくり会議を始めたときに非常におもしろいお話を伺いまして、これは全部カジメで、磯に生えていたり、特に打ち上がったものをこうやって鴨川の海岸は天日干しにして、これをヨードの材料というか、きちんと引き取ってくれる工場があって、1つの工業製品の材料にして出荷していた。子供さんたちがこういったところで、これはお弁当であるとか、猫がとるからここに吊しておくとか、いろいろなお話を伺いました。
 昔、鴨川はこうやってカジメをきちんと自然資源として利用されていたのが、後にヨードとかもほかからとれるようになったり、肥料としても使わなくなったので、今は海草はごみであるというようなお話もいただいたわけです。
                〔 Power Point 〕
 先ほどもこの写真は出てきましたけれども、ずっと嵐の後にカジメが打ち上がってものすごい量の、実は海の物質がこうやって陸に戻っているのですが、これについてはもうちょっと肥料としての有効活用ができないかとか、そういうお話も、きょうは来られていないのですが、いつも参加してくださっている相原さんという方からもお話を伺いました。それで、先ほどこれはだれか拾いに来ていませんかという話をしましたら、ごみが一緒になっていて、とても今のままだと肥料の形では使えないのではないかということも御指摘いただきましたので、ことしはしょうがないのかなと思うのです。
 ただ、房総の中ではビワの農家さんで、1個がすごく高いビワをつくっていらっしゃる方が、ごみを自分で選り分けてちょっとずつビワの肥料に持っていって、海草で育てたビワとか、そういうことで出しておられたりとか、あと今特に東北地方は海草がたくさん生えているところが多いので、海草でつくったネギとか、そういうので農業者の方が随分海草に注目されたりとか、あとは海草を少しふるい分けるとか、カットするとかいろいろな研究が進んでいます。
 ですから、私の御提案としては、前回にそういうお話も伺いましたので、ぜひ海草をもし活用するとしたらどういうことが必要なのかとか、あるいはコストがとか、ごみなのかとか、そんなことも機会がありましたらぜひ鴨川の農業者の方とか、そういう人ともお話ができたらと思っているのです。
 と言いますのは、鴨川の棚田のことで、今すごく有名ですけれども、ああいう活発な農業者がおられるとしたら、海でこういうふうなものがもったいないと思うのですけれどもというお話をしたときに何か応じてくださる方がいるかもしれないですし、ぜひ海とそういう農業をつなぐようなことをまた復活する1つの議論の場があれば参考になるのではないかと思います。
 もう一つ、これを肥料に使っていたときのノーハウはもう今もうある程度高齢になっている人しかわからないみたいです。だから、今の若い農家の人が持ってきていきなり畑に入れても枯らしてしまったりしているので、そういう、多分本人も気づかない海草利用のいろいろなノーハウがあると思うので、そんなものも何らかの形で鴨川の地域として受け継いでいくこともできるのではないかと思います。
                〔 Power Point 〕
 ウミガメなのですが、ウミガメの産卵ということで、これは本当にきょう撮ったばかりの写真なのですが、きょう事務局の方に撮っていただきまして、こういう形で産卵の跡があります。その産卵の跡のこの場所は結構大事でありまして、先ほど海岸のところで植生という、草が生えている場所というのはかなり重要な海岸の見方だというお話もしたのですけれども、いろいろな研究でウミガメが産卵するのに必要な浜の条件として、余りザブザブ波が来るところではなくて、本当に植物が生えているような場所と砂浜の間ぐらいのところ、植生のちょっと前ぐらいの場所というのが適正な場所なのだということを言われています。
 これは余り、そういういろいろな草が生えるところだと湿っぽかったりとか、ほかの昆虫とかがいてカメの卵を食べてしまうのですけれども、こういうところは絶妙に、まあウミガメの産卵にとってギリギリの、この写真でももうここからここぐらいまでしか利用できない本当に限られた幅のところです。
                〔 Power Point 〕
 見てみますとこうやって竹の棒を挿して、鴨川シーワールドさんの札が立っていまして、「アカウミガメの卵を保護しています」ということで、ここをむやみにさわったり掘り返したりしないようにということだと思います。
 1回前のスライドに戻ってください。
                〔 Power Point 〕
 ところが、こういう写真を見てみますと、明らかにここは一度この間の台風では水につかった可能性があるのですけれども、水につかった時間が短ければ卵も浸水しても死にません。ただ、卵が死んでしまうのは、御存じの方も多いと思いますけれども、長い時間、卵が水につかると爬虫類ですから、呼吸ができなくなって卵の中に入ったまま死んでしまいます。それから、浜がゴッソリ取られるとこれごと流出してしまうので、九十九里とか遠州灘とかはそういう場所で卵ごと台風の後にどこかに行ってしまったということがあります。だから、ここは何とかギリギリ、ラッキーに残っているような場所なのかなと思います。
                〔 Power Point 〕
 それで、この海岸づくり会議の中で亀塚というのがあるのだよということでお話をいただきまして、早速行って調べてみました。きょうはちょっとそのお話をいただいた方がおられないのでまた直接御本人にも御報告しようと思うのですけれども、亀塚だよと教えていただいたところは今で言うとここです。駅前からずっと歩いていったところですね。ここが昔どんなところだったのだろうということで古い空中写真、昭和22年で、戦争が終わった直後に行ってみると、もうここは真っ白で、まあ砂浜がずっと続いていたのかなということです。待崎川のこっちの右側のところですね。
                〔 Power Point 〕
 それで、亀塚ということでどれだろうと思って行ってみたら、ちょっと小高くなっていまして、こういうふうに石碑というか、墓標が立っていまして、これがそうであるということなのです。この周りに住んでいる人が、「どうも霊感の強い人が何か感じるんだよな」とかいうふうにおっしゃっていて、(笑声)ここは何なのかなというような話もあったのですが、ここは今でもこうやって亀塚自体がある程度残してあるように、地元の方にとってある程度シンボルの場所で、ここは壊してはいけない場所というふうに言われていたようです。
                〔 Power Point 〕
 こういう形で家屋の裏山にあるのですけれども、今はこういう形で本当にもう家々が建っていてというところです。
 写真をもう一度戻していただきたいのですが……。
                〔 Power Point 〕
 それで、私もこのお話、すごく大事だと思いましたのは、今あるここのエリアというのは戦争が終わったときにはまだ砂浜だったりとか、ある程度畑をつくっている人とか、松の木を植えてあるとか、そういう状況だったのですけれども、どんどん、どんどん人間が砂浜の方に進出していって、いろいろな建物を建てたりだとか、あるいはここのあたりは市の方で造成された住宅地だとかという話を地元の方もおっしゃっていたので、ちょっと未確認で申しわけないのですけれども、見ていただくと、こうやって人間の方が出ていっています。これはどこの海岸もそうなのですけれども、できるだけこうやって護岸をして守ろうということでずっと戦後来ているのですが、これが今、やはりもう一度見直されてきているというのが現状です。
 そのときに、昔の人が、例えば規制とか罰則とか、そういうものがかけられなくても、余り危険なところとかに住まない方がいいよというときにこういう動物のお墓をつくったりとか、逆にいろいろな神社をつくったりとか、何らかの形で、何となくそこは開発したらいけないのかなというような雰囲気を昔の方はつくられていました。そのときに、亀塚の場所というのは本当に沿岸の中でも、ここに砂が吹き上がるというか、結構そういう意味でも特異な場所というか、ある意味では海からの災害を受けやすい、そういった条件の場所というのがあったと思います。
 私、この会議の中で過去にも地元の歴史の本から、亀の卵のある場所をきちんと竹で守って傷めないようにという風習があったというのを本から御報告させていただきました。さっきの鴨川シーワールドさんも竹でずっと囲ってありましたけれども、よくよく考えてみると、波がやはり上がるギリギリのところというのにウミガメが産卵していますので、亀の卵を守ろうねというのは、そこまでは高波が来ますよという、まさに御先祖さまの人たちが何千年と観察して、ここまではやはり波が来るからねという1つの警告だと思います。
 今、海草の利用のお話とか亀のお話をさせていただいたのですけれども、海との付き合いとか海や川の災害との付き合いで言うと、昔の方が知っていたことというのを一時は迷信とか、科学的ではないと言っていたのですけれども、改めていろいろな科学が発達してくると、やはり昔の人がここは余り開発してはいけないよと言っているところはそれなりの理由があります。だんだん科学が進んできて、逆にそういう昔の方の言い伝えの意味がはっきりしてきたということもあるのです。
 ですから、ぜひ皆さんもそういう地元のいろいろな言い伝えみたいなものというのを海に関して集めていただくと、こういう海岸の専門の人が聞くと、もしかしてこれを言いたかったのではないかなとか、難し過ぎるからこういうたとえ話にして言いたかったのではないかなとか、そんなことに気づくことがあります。
 ですから、こういう会議の場でいただいた本当にちょっとした情報が海岸の見方を変えてくれますので、今後とも機会がありましたら、そういう地元の大事な情報というものを、特に古い言い伝えとか、そういうものを教えてください。
 以上、話題提供でした。
○事務局(星上) 清野先生、どうもありがとうございました。
 この亀塚の情報も前々回ですか、どなたでしたか、鰻屋さん。
○清野アドバイザー 倉野さん。
○事務局(星上) 失礼しました。倉野さんからお教えいただきました。聞くところによると、どうやらこの亀塚は人工期に盛土してつくった。ここに要するに、亀の死骸だけではなくて、この地域で暮らしておった方の飼っていた例えば牛とか、そういう非常にかわいがっていた動物たちを埋葬していたという話もありますし、土左衛門も埋めていたといううわさもあると。まあいろいろいわくつきのところであります。神社の隣にあります。ただ、今はここに行くには人様の土地を横切らないと行けないので、行くときには十分注意してください。
 どうもありがとうございました。
○宇多理事 さっきのヨードの写真、採っているところの。あれ吊してあるのは本当に弁当箱なのですかね。すごい数の弁当が……。
○清野アドバイザー そうですね。籠の中に子供が入っていたりとか……。
○宇多理事 あの並んでいるおばさんたちはかなりの数がいるでしょう。
○清野アドバイザー ええ、多分、こういう働いていらっしゃる方と子供の分と何かということで……。
○宇多理事 多分、保育所みたいな、兼用のところで、子供たちの弁当ではなくて、あのおばさんたちが食う弁当が吊してあるのかなと思ったのですが。
○清野アドバイザー そうですね。そのあたりも、こういうものがまだあったとしたら、実は本当にこういうものというのは今意外と見直されてきて、最近、お弁当でも竹の子の皮の包装というのが復活してきていたりするのですけれども、こうやって風通しのいいころに吊るしておくとご飯が適度に冷えていいとか、いろいろあったみたいなので、今後、そういうヒートアイランド対策ではないですけれども、いろいろな地元の知恵があったのかなという気がします。
 それから、今、宇多さんがおっしゃっていたみたいに、本当に幼稚園のかわりであって、浜でみんなで働いて、子供もみんな地域の人たちで育てていたということで、地元の子供さんも本当に個々の家庭というよりもみんなで育ててもらっていたという感じがあったというのは、こういう写真を見てもそうかなという気がします。
○事務局(星上) ありがとうございます。
 お弁当の数は次回までの宿題にさせていただきたいと思います。
 それでは、一応今回、宿題でいただいていた分とかいろいろ議論をさせていただいた分を含めまして、本日の議題はこれですべて終了いたしました。

7.そ の 他

○事務局(星上) 最後に「その他」ということで何か御意見、要望等がございましたらぜひお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか……。
 本日はもう4時40分になってしまいました。時間が非常に超過してしまいまして、申しわけありませんでした。
 ということで、本日の議題につきましてはこれでひとまず終了させていただきまして、鴨川市役所さんの方に事務を返還させていただきます。
 御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○司会 長時間にわたりまして、大変御苦労さまでございました。
 本日、東条海岸の越波対策につきましては皆様方に基本合意ということで得られました。一日も早い実施に向けて、私ども、期待をいたしておるところでございます。
 また一方で皆様方からは利用、活用という面で越波対策、護岸工事に対しましても貴重な御意見をいただいております。実施まで時間がございます。引き続き、海岸づくり会議については実施をさせていただきたいと考えております。
 ただし、若干検討をする時間もいただきたいと思いますので、次回の会議の開催につきましては来年を考えておりますので、よろしく御理解いただければと思います。
 また、次回の開催につきましては、先ほどお話があったようになるべく多くの方から意見をお伺いしたいと思いますので、御案内には工夫をさせていただきまして、うちの方でも考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で会議はすべて終了しました。お疲れさまでございました。(拍手)
 最後に、資料にアンケート用紙が同封されておると思いますが、御意見等記載の上、後日でも構いませんので、市役所の都市建設課の方にお届けいただければと思います。
 よろしくお願いいたします。

8.閉      会


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