○鴨川市文化財の保護に関する条例

平成17年2月11日

条例第94号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 指定文化財(第4条―第18条)

第3章 選定保存技術(第19条―第23条)

第4章 文化財保護審議会(第24条―第27条)

第5章 補則(第28条)

第6章 罰則(第29条・第30条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)及び千葉県文化財保護条例(昭和30年千葉県条例第8号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、市区域内に存するもののうち重要なものについて、その保存活用のために必要な措置を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。

(財産権等の尊重)

第3条 鴨川市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。

第2章 指定文化財

(指定)

第4条 教育委員会は、市の区域内に存する文化財のうち特に重要と認めるものを鴨川市指定文化財(以下「指定文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定による指定をするときは、あらかじめ指定しようとする文化財の所有者、保持者又は権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。ただし、当該文化財の所有者等が判明できないときは、この限りでない。

3 教育委員会は、第1項の規定による指定をするときは、あらかじめ第24条の規定により設置された鴨川市文化財保護審議会に諮問し、その答申を受けるものとする。

4 第1項の規定による指定は、その旨を教育委員会の指定する場所に告示するとともに、当該文化財の所有者等に通知するものとする。

5 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示のあった日からその効力を生ずる。

6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は当該指定文化財の所有者等に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第5条 教育委員会は、指定文化財が指定文化財としての価値を著しく失ったと認める場合、又は特別の事由があると認めるときは、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除には、前条第3項から第5項までの規定を準用する。

3 指定文化財について法第27条第1項、第71条第1項、第78条第1項及び第109条第1項の規定による国指定文化財又は県条例第4条第1項、第20条第1項、第26条第1項及び第34条第1項の規定による県文化財としての指定があったときは、当該指定文化財の指定は、解除されたものとする。

4 前項の場合には、教育委員会は、速やかにその旨を告示するとともに、当該指定文化財の所有者等に通知しなければならない。

5 第2項で準用する前条第4項の規定による指定文化財の指定の解除の通知を受けたとき及び前項の規定による通知を受けたときは、所有者等は、速やかに指定文化財の指定書を教育委員会に返還しなければならない。

(所有者等の管理義務及び管理責任者)

第6条 指定文化財の所有者等は、この条例並びにこれに基づく鴨川市教育委員会規則(以下「教育委員会規則」という。)及び教育委員会の指示に従い指定文化財を管理しなければならない。

2 指定文化財の所有者等は、特別の事情のあるときは、専ら自己に代わり当該指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者等は10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者等の変更等)

第7条 指定文化財の所有者等が変更になったときは、新たに所有者となった者等は、10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 指定文化財の所有者等又は管理者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(滅失、損傷等)

第8条 指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者)は、その事実を知った日から10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第9条 指定文化財の所在の場所の変更をしようとするときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(管理又は修理等の補助)

第10条 指定文化財の管理又は修理等に要する経費は、所有者等の負担とする。ただし、教育委員会が必要と認めるとき、市は、当該所有者等に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理等に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理等について指揮監督することができる。

3 教育委員会は、前項に定めるもののほか、補助金の交付目的を達成するために必要な事項について条件を付することができる。

4 第1項の規定による補助金の交付を受ける所有者等が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、市は、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者等に対し既に交付された補助金の全部又は一部の返還を命ずることができる。

(1) 管理又は修理等に関し、条例又は教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 第2項の補助の条件に従わなかったとき。

(管理又は修理等に関する勧告)

第11条 指定文化財の管理が適当でないため指定文化財が滅失し、損傷し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者等又は管理責任者に対し、管理方法の改善、記録の作成、伝承者の養成、修理保存その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 指定文化財が損傷している場合において、その保存のために必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者等に対しその修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 前項の規定により市が費用の全部又は一部を負担する場合には、前条第2項から第4項までの規定を準用する。

(修理の届出等)

第12条 指定文化財を修理しようとするときは、所有者等は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第10条第1項の規定による補助金の交付又は前条第1項及び第2項の規定による勧告によって修理を行う場合は、この限りでない。

2 指定文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言を与えることができる。

(現状変更等の制限)

第13条 指定文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

4 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わないときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

5 第1項の許可を受けることができなかったことにより、又は第3項の許可の条件を付せられたことによって損失を受けた者に対しては、市は、その通常生ずべき損失を補償する。

(環境保全)

第14条 教育委員会は、指定文化財の保全のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。

2 前項の規定による処分によって損失を受けた者に対しては、市は、その損失を予算の範囲内で補償することができる。

(公開)

第15条 教育委員会は、指定文化財の所有者等に対し、6月以内の期間を限って教育委員会の行う公開の用に供するため指定文化財を公開することを勧告することができる。

2 教育委員会は、指定文化財の所有者等に対し、3月以内の期間を限って当該指定文化財の公開を勧告することができる。

3 第1項の規定による公開のために要する費用は、市の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 市は、第1項の規定により公開した所有者等に対し、給与金を支払うことができる。

5 教育委員会は、第1項の規定により指定文化財が公開されたときは、その職員のうちから指定文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。

6 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る指定文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。

7 第1項又は第2項の規定により公開したことに起因して当該指定文化財が滅失し、又は損傷したときは、市は、所有者に対し通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者等の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷した場合は、この限りでない。

(調査)

第16条 教育委員会は、必要があると認めるときは、指定文化財の所有者等又は管理責任者に対し、当該指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第17条 指定文化財の所有者等が変更したときは、新所有者等は、当該指定文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指定その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

(標識等の設置)

第18条 指定文化財の所有者等は、教育委員会の定める基準により指定文化財の管理保存に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

2 前項の標識等を設置する場合において、その所有者から申し出があったときは、市は当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

第3章 選定保存技術

(選定)

第19条 教育委員会は、市内に存する伝統的な技術又は技能で、文化財の保存のために欠くことのできないもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術に選定されたもの及び県条例第40条第1項の規定により千葉県選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち市として保存の措置を講ずる必要があるものを鴨川市選定保存技術(以下「選定保存技術」という。)として選定することができる。

2 前項の規定による選定には、第4条第3項から第5項までの規定を準用する。

(解除)

第20条 教育委員会は、選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなった場合、その他特殊な事由があるときは、その選定を解除することができる。

2 前項の規定による選定の解除には、第4条第3項から第5項の規定を準用する。

3 選定保存技術について法第147条第1項の規定による選定保存技術又は県条例第40条第1項の規定による千葉県選定保存技術としての選定があったときは、当該選定保存技術の選定は、解除されたものとする。

4 前項の選定保存技術の解除には、第5条第4項の規定を準用する。

(保持者の氏名変更等)

第21条 選定保存技術の保持者(以下「保持者」という。)には、第7条第1項及び第2項を準用する。

(保存)

第22条 教育委員会は、選定保存技術の保存のため必要があると認めるときは、選定保存技術について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、市は、保持者又はその保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第10条第2項から第4項までの規定を準用する。

(保存に関する指導又は助言)

第23条 教育委員会は、保持者又はその保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な指導又は助言をすることができる。

第4章 文化財保護審議会

(設置)

第24条 教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、並びにこれらの事項に関して教育委員会に建議するため、法第190条第1項の規定により鴨川市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(組織)

第25条 審議会は、委員7人以内で組織する。

2 委員は、識見を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。

3 審議会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選により定める。

4 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

5 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(任期)

第26条 委員の任期は、2年とする。

2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(議事)

第27条 審議会の会議は、会長が招集し、議長となる。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

第5章 補則

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は教育委員会規則で定める。

第6章 罰則

(刑罰)

第29条 指定文化財を故意に損壊し、損傷し、又は隠匿し、滅失し、衰亡するに至らしめた者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

第30条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して、前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、平成17年2月11日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の鴨川市文化財の保護に関する条例(昭和51年鴨川市条例第21号)又は天津小湊町文化財の保護に関する条例(昭和47年天津小湊町条例第5号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 この条例の施行の日の前にした行為に対する罰則の適用については、合併前の条例の例によるものとする。

附 則(平成17年6月30日条例第165号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成31年3月25日条例第13号)

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

鴨川市文化財の保護に関する条例

平成17年2月11日 条例第94号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第7編 育/第5章 文化財
沿革情報
平成17年2月11日 条例第94号
平成17年6月30日 条例第165号
平成31年3月25日 条例第13号